建設業許可を取るべきか迷ったら、まず「今後請け負う工事」と「取引先から求められている条件」を確認しましょう。許可が必要な契約を適法に受注するための準備と、売上や融資が増えるかという経営上の見通しは、分けて考える必要があります。

建設業許可のメリットは、必要な工事を請け負うための条件を整えられること
1.軽微な工事の範囲を超える受注を検討できる
建築一式工事以外は、1件の請負代金が500万円未満の工事が軽微な工事です。500万円ちょうどから、その工事に対応する業種の許可が必要になります。金額は消費税込みです。
建築一式工事では、1,500万円未満、または延べ面積150㎡未満の木造住宅工事が軽微な工事に該当します。木造住宅は主要構造部が木造で、延べ面積の2分の1以上を居住に使うものです。専門工事を建築一式と呼び替えて、この基準を使うことはできません。
注文者から材料の支給がある場合は、その市場価格と運送費を加えて判断します。一つの工事を正当な理由なく分割して、個々の契約を基準未満にする方法も認められません。見積書をもとにした計算例は500万円の判定と支給材料の扱いをご覧ください。
許可取得後は一般・特定の別だけで元請受注額の上限が決まるわけではありません。ただし、許可業種、技術者の配置、施工体制を満たす必要があります。発注者から直接請け負う工事で下請契約の総額が税込み5,000万円以上、建築工事業では税込み8,000万円以上になる場合は、特定建設業許可の検討が必要です。この下請総額には、元請が下請へ支給する材料等の価格を含めません。
「許可を一つ取れば何でも施工できる」と考えず、工事内容と29業種の対応、一般・特定の区分を確認してください。
2.取引先に許可の内容を具体的に説明できる
取引先が許可業者であることを発注条件にしている場合、必要な許可を持つことで、その条件に沿った商談を進められます。現在の許可業種、一般・特定の区分、有効期間を示すことが大切です。
ただし、許可は施工品質や支払能力、仕事が増えることを保証する制度ではありません。施工実績、見積内容、工程、安全管理なども別に説明します。軽微な工事のみを適法に行う業者まで、許可がないことだけで問題があると決めつけることはできません。
3.公共工事への参加を準備する基礎になる
公共工事への参加を目指す場合は、希望する発注者の入札参加資格や公告を確認します。許可が必要な業種を取得しただけで、入札や受注が自動的に可能になるわけではありません。
対象となる公共工事を直接請け負うには、経営事項審査を受け、有効な結果を維持することなどが必要です。そのうえで発注者ごとの資格申請や案件の条件を確認します。軽微な工事等の例外もあるため、すべての公共工事を同じ条件で扱わず、経営事項審査と入札参加の違いから準備する順番を整理しましょう。
4.金融機関やホームページの閲覧者へ事業の状況を示せる
融資を申し込む際、事業に必要な許可の有無を説明する資料として許可通知書等を用意できます。ただし、融資の可否や条件は事業計画、返済能力、担保・保証等を含め金融機関が審査します。許可だけで融資が通る、資金繰りが安定するとはいえません。
ホームページにも許可番号や業種を正確に表示すると、検討中のお客様が事業者情報を確認しやすくなります。番号だけでなく商号・許可行政庁・有効な業種を対応させ、変更時は更新してください。許可番号の掲載による集客効果を保証するものではありません。公的な許可情報の調べ方も参考になります。
取得のメリットと、取得後に必要な管理を合わせて判断する
許可には、人員や財産等の要件、申請の準備、手数料などの負担があります。取得後も要件の維持、決算変更届や変更事項の届出、5年ごとの更新が必要です。申請の方法には電子申請等もあり、全員が何度も役所へ来庁するとは限りません。
- 受注予定の工事名・内容・税込金額・支給材料を整理する。
- 取引先が求める許可業種や区分、契約予定日を確認する。
- 自社の経営経験・技術者・財務資料を、許可要件に照らして整理する。
- 申請費用だけでなく、取得後の届出・技術者配置を継続できるか確認する。
許可が必要な工事は、取得前に契約してよいという意味ではありません。取引先と受注時期を調整し、要件や準備期間が不明なら、営業所を所管する許可行政庁または行政書士へ、上記の資料を示して確認しましょう。
制度の基準は国土交通省「建設業の許可とは」で確認できます。
建設業許可については、予定する工事の内容・金額、資格証明書、これまでの工事資料を整理したうえでご相談ください。当事務所では、許可要件の確認、役所への事前相談、必要資料の整理、申請書類の作成・提出や補正対応をご案内します。

