建設業許可完全ガイド!行政書士監修「日本一わかる建設業許可の教科書」

【結論】建設業許可とは?
建設業許可とは、軽微な建設工事を超える工事を請け負って営業するための許可です。

建築一式工事以外は1件500万円以上(税込)が基準。建築一式工事は金額・木造住宅の面積による別の基準があるため、まず工事の種類から判断します。

行政書士 小野馨
こんにちは!
行政書士の小野馨です。
ここでは建設業許可の全体像について、徹底的に解説します。

「元請から『次は許可がないと発注できない』と言われた」
「500万円を超える大きな工事の話が来たが、許可がないので断らざるを得ない」

もし今、あなたがこのような壁にぶつかっているなら、この記事はあなたのためのものです。

許可が必要か、いまの体制で要件を満たすか、どの資料を揃えるか。この順に整理すれば、次に準備すべきことが見えてきます。

行政書士として5000社以上の支援を行ってきた経験から、受けたい工事を起点に、必要な許可・自社の要件・費用と日程・資料の準備をつないで説明します。

自分で進めるか、判断が難しい部分を相談するかも選べるようにしていきましょう。

いま、どこで迷っていますか?

  1. この工事に許可が必要か知りたい
    工事の内容、税込金額、注文者から支給される材料を書き出して、まず許可の境界線へ。建築一式か専門工事かで基準が変わります。
  2. 初めて許可を取りたい。いまの体制で進められる?
    経営を担当する人の経歴、技術者候補の資格・経験、直近の決算書や資金の状況を手元に。要件の説明と見比べると、足りない情報を絞れます。
  3. すでに許可があり、更新や毎年の届出を知りたい
    許可通知書の満了日と、決算変更届の控えから確認しましょう。概要は取得後の章へ。手続きが目前の方は、更新の期限・必要資料、毎年の提出は決算変更届の進め方へ直接進めます。

費用・日程が気になる方は、申請費用と準備期間へ。まだ決まっていない項目があっても構いません。相談するときは受けたい工事と希望時期、いま止まっていることを添えてください。

ここに挙げた資料は状況整理の手がかりです。申請に必要な書類の一式ではありません。

建設業許可が必要な工事・不要な工事【基礎知識】

建設業を営む上で、すべての事業者に「許可」が必要なわけではありません。

法律では、一定規模以上の工事を請け負う場合に限り、許可の取得を義務付けています。

しかし、この「一定規模」の判定には、消費税の扱いや資材費の計算など、見積書の金額だけでは判断できない点があります。

まずは、御社が許可を取得しなければならない法的義務があるのか、正確な基準を確認しましょう。

ココがポイント

法令上は許可不要な工事でも、取引先が発注条件として許可を求める場合があります。

法律上の基準と契約上の条件を分けて確かめましょう。

1件500万円以上の工事は原則許可が必要(税込)

ポイント

結論から申し上げますと、「1件の請負代金が500万円(消費税込み)以上」の建築一式工事以外の工事を請け負う場合は、その工事に対応する建設業許可が必要です。

ここで重要なのは「1件あたり」という点と、「税込」であるという点です。

参考

例えば、税抜460万円の工事でも、消費税(10%)を含めると506万円となり、許可が必要なラインを超えてしまいます。

ギリギリの金額を扱う際は、必ず税込金額で判定を行ってください。

「建築一式工事」の特例

ただし、例外として「建築一式工事(総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事)」に関しては、要件が緩和されています。

  • 請負代金が1,500万円未満(税込)
  • または、延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事

建築一式工事がこのどちらかに該当すれば、建設業許可は不要です。

木造住宅は主要構造部が木造で、延べ面積の2分の1以上を居住用とするものが対象です。

支給材料がある、契約を分けている、建築一式か専門工事か迷う場合は、次の記事で工事額の具体的な判定例を先に確認できます。

注意すべきは、「リフォーム工事」や「内装工事」は、たとえ大規模であっても「建築一式」ではなく「専門工事(内装仕上工事など)」に分類されることがほとんどだという点です。

専門工事であれば、原則通り「500万円」が基準となりますので、自己判断は禁物です。

注文者が材料を提供する場合の注意点

「材料はお客様(施主・元請)持ちだから、手間賃(施工費)だけで300万円。だから許可はいらない」

許可の要否は、手間賃だけでは判断できません。

建設業法施行令では、許可の要否を判断する際、「注文者が材料を提供する場合、その市場価格と運送費を請負代金に加算する」と定められています。

つまり、手間賃が300万円でも、支給された材料費が200万円以上であれば、合計500万円以上となり、建築一式工事以外では許可が必要になります。

ココに注意

見積書の請負代金だけでなく、支給される材料の種類・価格・運送費も書き出してから判定しましょう。

許可が不要でも、別の登録・届出が必要な場合がある

上で示した許可不要の範囲に収まる「軽微な建設工事」は、建設業許可を受けずに請け負える範囲です。

ただし、電気工事業や解体工事業など、別の登録・届出や工事従事者の資格が必要になる場合があります。建設業許可が不要というだけで、すべての手続が不要になるわけではありません。

契約を分けた場合も工事全体で判定する

一つの工事を複数の契約に分けても、正当な理由がなければ請負代金は合算して判断します。

建築一式工事以外の税込800万円の工事なら、400万円の契約書を2本に分けただけで許可不要にはなりません。

工事現場や工期が明らかに別であるなど、正当な理由に基づく場合は別の扱いになります。

契約書の枚数だけで判断せず、工事内容・現場・工期を示して許可行政庁に相談してください。

すでに許可が必要な工事を契約している場合

これから許可を取る準備と、過去の契約への対応は別です。

必要な許可なく営業した場合は、行為者への3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金(併科あり)や、法人への両罰規定が関係します。ただし、刑の内容や欠格期間が一律に決まるわけではありません。

契約書・追加注文・支給材料と日付の分かる記録を保全し、許可行政庁へ事実を示してください。施工中は安全確保を優先し、契約紛争や刑事対応は弁護士へ相談します。

次の記事で、許可の要否、罰則、欠格の起算日と相談先を分けて説明しています。

すでに契約している方へ
白い書類を背景に、建設業許可ガイド、無許可営業の罰則、契約・許可要件を確認。
建設業の無許可営業の罰則|拘禁刑・罰金と欠格要件、対応の進め方

契約を結んだ後で、建設業許可が必要だったかもしれないと気づいた。 施工中の現場はどうするのか、次の仕事を受けてもよいのか。 まずは、いま必要な対応から考えましょう。 許可が必要な建設工事を無許可で営業 ...

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ここまでの判断ポイント

  • 建築一式以外は税込500万円以上が許可の基準。建築一式には別の基準がある。
  • 材料費をお客様が負担する場合も、その費用を含めて判断する。
  • 許可が必要な工事の無許可営業は刑事罰や欠格要件に関係する。刑の内容と期間は個別に確認する。

いまの体制で建設業許可を取れる?工事・人・資料を照合する

許可が必要と分かったら、次は「誰が、どの業種の要件を、何で示せるか」です。

受けたい工事を一つ挙げ、次の順に手元の情報と照らし合わせてください。ここでの整理だけで取得可否が確定するわけではありません。

最初に整理すると、次に調べることが分かる項目
手元にある情報 次に確かめること
受けたい工事、営業所、下請への発注予定 必要な業種と、知事・大臣、一般・特定の区分を絞る。
経営担当者・技術者候補の経歴と資格 該当する認定経路、同じ人で担える役割、必要な勤務体制を調べる。
決算書・資金の状況、資格証・契約書・勤務資料 要件そのものが足りないのか、満たしている事実を示す資料が不足しているのかを分ける。

経歴や資格が該当しそうなら、その経路に必要な資料を揃えます。

資料が足りないなら、残っている資料で確認できるかを申請先へ事前相談します。

経験・資格・配置自体が足りない場合は、別の認定経路や人員計画を検討します。

「書類がない」と「要件を満たさない」を同じ結論にしないことが大切です。

受けたい工事に合う業種・許可区分を選ぶ

29種類の業種一覧と自社に合う業種の選び方

工事名だけで判断しにくいときは、作業内容・見積りの内訳と業種の例を照らし合わせます。

一式工事と専門工事、附帯工事の違いを知りたい方はこちらへ。

工事に合う業種を選ぶ
白い書類と図面、紺のぼかしを背景に、建設業許可29業種、工事に合う業種の選び方。
建設業許可29業種一覧|自社の工事に必要な業種の選び方

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先に、受けたい工事の内容から「業種」を絞ります。

建設業許可は29業種に分かれており、軽微な工事を超える工事は、原則としてその業種の許可が必要です。

許可業種に附帯する工事には別の扱いがあるため、主たる工事との関係も確認します。

一式工事(2業種)

総合的な企画・指導・調整を行う工事です。

これを持っているからといって、すべての専門工事ができるわけではありません。

  • 土木一式工事
  • 建築一式工事
専門工事(27業種)

特定の内容の工事を請け負うための許可です。

  • 大工、左官、とび・土工・コンクリート、石、屋根、電気、管、タイル・れんが・ブロック、鋼構造物、鉄筋、舗装、しゅんせつ、板金、ガラス、塗装、防水、内装仕上、機械器具設置、熱絶縁、電気通信、造園、さく井、建具、水道施設、消防施設、清掃施設、解体

ポイントは、予定する工事内容と、証明できる資格・経験を対応させることです。

申請する各業種について技術者要件を満たす必要があります。同じ営業所で複数業種の要件を満たす一人が担当できる場合もあるため、業種数だけで必要人数を決めないでください。

必要な業種を同時に申請するか、後から業種追加するかは、受注計画と証明資料の準備状況で判断しましょう。

知事許可と大臣許可の違い(営業所の場所)

まずは、誰(どこ)に申請を出すかを決めます。

判断基準は非常にシンプルで、「営業所がどこにあるか」だけです。

  • 都道府県知事許可: 1つの都道府県内「のみ」に営業所がある場合
  • 国土交通大臣許可: 2つ以上の都道府県に営業所がある場合

例えば、兵庫県神戸市に本店があり、兵庫県尼崎市に支店がある場合は、どちらも兵庫県内なので「兵庫県知事許可」です。

一方、神戸市に本店があり、大阪府に支店を出す場合は「国土交通大臣許可」が必要になります。

「営業所」の定義に注意

ここで言う「営業所」とは、単なる現場事務所や連絡所のことではありません。

建設業法上の営業所とは、「請負契約の見積もり、入札、契約締結の実体的な権限を持つ拠点」を指します。

単なる資材置き場や、事務作業だけの拠点は営業所に含まれません。

つまり、建設業法上の営業所が兵庫県内だけであれば、「知事許可」のままで全国どこの現場でも施工可能です。

他県の拠点が請負契約に関する指導監督などに実質的に関与している場合は、その拠点も営業所に当たるかを確認してください。

一般建設業と特定建設業の違い(下請金額)

次に、「一般」か「特定」かを選びます。これは会社の規模ではなく、「元請として、下請業者に出す金額の大きさ」で決まります。

  • 一般建設業許可:
    • 下請として工事を行う場合(金額制限なし)
    • 元請として工事を行うが、下請に出す金額の合計が5,000万円(建築一式は8,000万円)未満の場合
  • 特定建設業許可:
    • 元請として工事を受注し、その工事を下請に出す金額の合計が5,000万円(建築一式は8,000万円)以上となる場合

※この一般・特定の判定額は消費税込みです。

発注者から直接請け負う1件の工事について、一次下請との契約総額で判断し、元請が提供する材料等の価格は含めません。

一般か特定かは、事業者数の割合ではなく、実際の元請工事と下請契約の計画で決めます。

「特定」は、ゼネコンのように巨額の工事を元請として仕切り、多数の業者に発注する企業向けの許可です。

特定建設業は財産要件が非常に厳しく(資本金2,000万円以上、自己資本4,000万円以上など)、取得のハードルが一気に跳ね上がります。

予定する工事で特定建設業が必要なら、その要件を初めから検討します。

一般で足りる工事なのか、資金と技術者の要件を含めて判断しましょう。

ここまでの判断ポイント

  • 営業所が1つの都道府県内なら「知事許可」、またがれば「大臣許可」。
  • 発注者から直接請け負った1件の工事で、下請契約総額5,000万円以上(建築一式は8,000万円以上)なら特定建設業が必要。
  • 必要な業種と技術者の資格・経験を照合し、同時申請か業種追加かを決める。

建設業許可を取得するためには、経営管理体制、営業所技術者等、誠実性、財産的基礎などの許可要件を満たし、欠格要件に該当しないことが必要です。

社会保険は適用対象となる保険ごとに確認します。

これらは一見複雑に見えますが、行政書士の視点で整理すると、大きく以下の3つの要素に集約されます。

  • 👤 ヒトの要件: 経営のプロと技術のプロがいるか
  • 💰 カネの要件: 工事を完遂できる資金力があるか
  • ⚖️ 誠実性・欠格要件: 誠実性があり、欠格事由がないか
ココがポイント

経営や技術の経験は、本人の経歴だけでなく裏付け資料で示します。

資料が足りない場合は、代わりに使える資料があるか申請先へ相談します。

①経営業務の管理責任者(ヒトの要件1)

建設業の経営は、資金繰りや安全管理など特殊なノウハウが必要です。

そのため、一定の経営経験を持つ責任者を「常勤」で配置することが義務付けられています。

これを実務用語で「経管(けいかん)」と呼びます。

主な要件

代表的な経路は次のとおりです。法人は常勤役員、個人事業は本人または支配人について確認します。

常勤役員等と直接補佐者を組み合わせる経路もあるため、以下だけで判断しないでください。

  • 建設業の経営経験(取締役や個人事業主)が5年以上あること
  • 建設業に関して経営業務の管理責任者に準ずる地位で、経営業務を補佐した経験が6年以上あること。なお、権限委任を受けて経営業務を管理した5年以上の経験など、別の認定経路もあります。

「自分は社長を5年やっているから大丈夫」と思っていても、その期間中に「建設業を営んでいたこと」を確定申告書や契約書で客観的に証明できなければ認められません。

まず経歴を年表にし、各期間についてどの資料が残っているかを並べると、不足している証拠を絞れます。

②営業所技術者等(旧・専任技術者)の要件

営業所ごとに、工事の専門知識を持つ技術者を常勤で置く必要があります。これを「専技(せんぎ)」と呼びます。

経管が「経営のプロ」なら、専技は「技術のプロ」です。

同一営業所で、それぞれの要件を満たす場合は兼任できることがあります。担当営業所や勤務実態も含めて確認します。

「社長一人で両方を担えるか」「資格のある家族や出向者に頼めるか」が気になる場合は、経歴と勤務計画を一緒に見てください。

次の記事で同一営業所の兼務、他社勤務、現場配置との違いを整理できます。

同じ人で兼ねたいとき
建設業許可、経管と技術者を兼任できる条件。
経管と専任技術者は兼務できる?営業所内と現場の条件を解説

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主な要件

一般建設業では、取得したい業種に応じて以下のような認定経路があります。

特定建設業の技術者要件は異なり、指定建設業などでは経験だけでは足りません。

  1. 国家資格者: 1級・2級施工管理技士、建築士、電気工事士など
  2. 実務経験者: その業種について10年以上の実務経験がある人(指定学科卒業なら3〜5年に短縮可)

資格によっては取得後の実務経験も必要です。

実務経験で申請する場合は、業種ごとの必要年数と経験内容を確認し、申請先の案内に沿って契約書・請求書・入金記録などを揃えます。

資格がないから直ちに採用が必要とは限りません。

まず今いる人の資格・学歴・工事経験を希望業種と照合し、使える認定経路と不足する条件を分けましょう。

③誠実性・④財産的基礎(カネの要件)

許可を取るためには、信用とお金も必要です。

③ 誠実性

請負契約に関して、詐欺や脅迫、不正な行為をする恐れがないことです。

過去に他法令による処分を受けた場合も、処分の理由と内容を確認します。

取消処分を受けたという事実だけで一律に判断せず、請負契約に関する不正・不誠実な行為のおそれが明らかか、許可行政庁に相談してください。

④ 財産的基礎(金銭的信用)

建設工事は資材購入や労働者の確保に先行投資が必要です。

請負契約を履行するための財産的基礎や金銭的信用が必要です。一般建設業と特定建設業では要件が異なります。

一般建設業の財産的基礎は、自己資本500万円以上、500万円以上の資金調達能力、申請直前5年間の継続した許可営業実績のいずれかで判断します。

残高証明は資金調達能力を示す資料の一つで、一時的に入金すれば許可されるという保証ではありません。

自己資本で示すのか、資金調達能力を資料で示すのかで準備が変わります。

残高証明を使う場合の名義・証明日・複数口座の扱いに迷う方は、次の記事で揃える条件を確かめてください。

⑤欠格要件・⑥社会保険への加入

刑や処分などの欠格要件と、適用される社会保険への加入状況も確認します。

⑤ 欠格要件

欠格要件の主な例は以下のとおりです。

対象者・刑や処分の内容・起算日を確認し、該当の判断に迷う場合は公的資料と申請先で確かめます。

  • 拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  • 暴力団員、または暴力団員でなくなってから5年を経過しない者
  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  • 精神の機能の障害により建設業を適正に営むに当たって必要な認知などができない者

⑥ 社会保険への加入(令和2年〜必須化)

以前は未加入でも許可が取れるケースがありましたが、法改正により、適切な社会保険(健康保険・厚生年金・雇用保険)への加入が許可要件となりました。

ココに注意

健康保険・厚生年金・雇用保険は、それぞれの適用条件に従って判断します。

個人事業で従業員が4人以下でも、すべての保険が一律に適用除外となるわけではありません。

▼該当する条件を公的資料で確かめる▼

国土交通省:許可要件・欠格要件

ここまでの判断ポイント

  • 経営管理体制と営業所技術者等は、本人の経験・資格がどの認定経路に当たるかを確かめる。
  • 一般建設業の財産的基礎は自己資本・資金調達能力・継続営業実績のいずれかで確認。残高証明の扱いは申請先の案内に従う。
  • 社会保険は適用対象の保険ごとに加入状況を確認する。適用除外と加入義務のある未加入を区別する。

経歴や資格が条件に当てはまるか、手元の資料で経験を示せるか。この段階で判断に迷ったら、予定する工事と資格・経歴、残っている契約書などをもとにご相談ください。

役所への事前相談や必要資料の整理から、次にすることを具体的にします。

受注予定に向け、費用と準備・審査の時間を見積もる

受けたい工事と希望時期が決まっているなら、申請先の審査期間だけでなく、要件を確かめる時間と資料を揃える時間も見込んで逆算しましょう。

費用も、役所へ支払う分と、依頼する作業の報酬を分けて考えます。

ココがポイント

報酬額だけでなく、見積りに含む作業と自社が準備する資料を比べましょう。

追加費用が生じる条件も依頼前の確認事項です。

法定費用(実費)と行政書士報酬の考え方

建設業許可にかかる費用は、役所に支払う「法定費用(実費)」と、専門家に支払う「報酬(手数料)」の2階建てになっています。

1. 法定費用(誰がやってもかかるお金)

登録免許税や申請手数料は、行政書士報酬とは別の費用です。

一般・特定の両方を申請する場合や複数の手続を同時に行う場合は合計額が変わるため、申請区分と納付方法を申請先で確認します。

  • 兵庫県知事許可(新規):一般・特定それぞれ9万円
  • 大臣許可(新規):一般・特定それぞれ登録免許税15万円
  • 更新・業種追加:一般・特定それぞれ1申請区分5万円(兵庫県知事・大臣許可)

2. 行政書士報酬(事務所によって異なる)

専門家に依頼する場合の相場は、事務所のサービス内容によって大きく異なります。

  • 報酬は個別見積り:申請区分、対象業種、資料の状況、依頼範囲によって異なります。

見積額を比べるときは、どの作業まで含まれるかを揃えて見ましょう。

単に書類を作るだけの事務所もあれば、要件確認、役所への事前相談、必要資料の整理、申請書類の作成・提出、補正対応などを含む見積りもあります。公的書類の取得代行など、含まれる作業は依頼前に確認してください。

ご自身の手間をどこまで減らしたいかで判断することをお勧めします。

申請から許可が下りるまでの期間(標準処理期間)

希望する契約日が迫っている場合も、申請後の審査期間を省く前提にはできません。
申請先には標準処理期間が設けられていますが、許可日を保証するものではありません。

書類準備、補正、審査にかかる時間を分けて計画します。

審査期間の目安(申請書受理後)

  • 兵庫県知事許可の新規申請:受理後おおむね2か月。審査状況により長くなる場合あり
  • 大臣許可:本店を管轄する地方整備局等の最新の標準処理期間を確認

※自治体や混雑状況により前後します。

手元の資料から、申請までをどう進める?

審査期間とは別に、要件を確かめ、資料を集めて申請書類を整える時間が必要です。

次の流れに沿って、いま終わっている作業と、止まっている作業を分けてみてください。

  1. 要件に当てはめる
    予定する工事・業種と、経営担当者や技術者の経歴、財産の状況を照合します。どの認定経路を使うかで、用意する証拠が変わります。
  2. ある資料と、足りない資料を分ける
    契約書・申告書・資格証などを並べます。経験の証明など判断に迷う点は、その資料を示して申請先へ事前相談します。
  3. 申請書類を整えて提出する
    申請区分に合う様式と添付資料を揃え、氏名・会社名・日付などの対応を確かめます。
  4. 審査中の照会・補正に対応する
    追加で求められた資料や説明、対応期限を整理します。準備の状況によっては前の段階へ戻って確かめることもあります。
  5. 許可通知の内容を確かめる
    許可された業種・区分と有効期間を確かめ、工事の受注計画と更新・届出の管理につなげます。

これは準備を進める目安で、すべての申請で作業がこの順に一度ずつ終わるわけではありません。

相談するときは、止まっている段階と手元の資料を伝えると、必要な支援を具体的に話せます。

要件確認や必要資料の整理から相談することも、申請書類の作成・提出などを依頼することもできます。

準備期間は資料の保管状況や追加確認の有無によって異なり、一律に短縮できるとは限りません。

受注予定が決まっている場合は、許可が必要な工事を契約する時期から逆算して準備します。

資料集めと審査を合わせて3か月でも足りない場合があるため、早めに相談してください。

▼申請期間と準備の目安▼

兵庫県:許可申請の期間に関するQ&A

ここまでの判断ポイント

  • 兵庫県知事の新規許可手数料は、一般・特定それぞれ9万円。複数の申請区分を組み合わせる場合は合計額を確認する。
  • 兵庫県知事の新規許可は受理後おおむね2か月が目安。資料収集・作成・補正の期間は別に見込む。
  • 急ぎの場合は、希望日と不足資料を早めに相談する。審査期間の短縮は保証されない。

建設業許可の必要書類|自分の申請に合う資料を揃える

必要書類は、申請区分や要件の証明方法によって異なります。

先に自分の申請に必要なものを分けてから、手元の資料を探しましょう。

申請書を書き始める前に、過去の契約書や申告書などが残っているかを確かめましょう。経験を証明する資料が足りないと、追加収集や事前相談が必要になります。

許可申請の書類は、単に「書く」ものではなく、「過去の事実を証明するために集める」ものなのです。

ココがポイント

申請書に記載した経験や常勤性は、契約書や勤務資料などと対応させます。

日付、氏名、会社名が一致しているか、変更がある場合はその経緯も整理しましょう。

主な必要書類と確認資料(裏付け資料)

提出書類は、大きく「閲覧される書類(表紙や財務諸表など)」と「閲覧されない確認資料(裏付け)」に分かれます。特に大変なのが後者です。

1. 作成が必要な書類(法定様式)

申請先の様式に記入する書類です。

次は主な例であり、全員がこの一覧だけで申請できるという意味ではありません。

  • 建設業許可申請書
  • 役員等の一覧表
  • 営業所付近の地図・写真
  • 営業所技術者等証明書
  • 実務経験証明書
  • 財務諸表(建設業法等の様式に書き換えが必要)
  • 誓約書 など多数

2. 取り寄せが必要な公的書類

役所や法務局で取得します。有効期限(3ヶ月以内など)に注意が必要です。

  • 登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
  • 納税証明書(知事許可・大臣許可で種類が異なる)
  • 身分証明書(本籍地で取得。必要な対象者は申請先の案内で確認)
  • 登記されていないことの証明書(法務局。対象者や医師の診断書による確認が必要な場合は申請先へ相談)

3. 経験や常勤性を裏付ける資料

要件を満たすことを、資格・経験・勤務の実態に対応する資料で示します。

  • 常勤性の確認資料: 社会保険の標準報酬決定通知書、住民票など。
  • 経営経験の確認資料: 過去5年分の確定申告書、工事請負契約書、注文書など。
  • 実務経験の確認資料(資格がない場合):該当する認定経路の必要年数・経験内容に応じた資料を揃えます。契約書、請求書、入金記録などの必要範囲は申請先の手引きで確認してください。「10年前の請求書なんて残っていない」「通帳を紛失した」という場合、証明の難易度は跳ね上がります。

資料に日付や社名の不一致があると、補正や追加説明が必要になる場合があります。

行政書士には、資料の対応関係や不足を整理し、申請先への確認を踏まえて申請書類を整える作業を相談できます。

▼書類収集で迷子にならないために▼

兵庫県:建設業許可申請等の手引(PDF)

ここまでの判断ポイント

  • 申請区分と認定経路に合わせ、必要な書類と証明資料を分ける。
  • 手元にある証拠と不足を整理し、代わりの資料を使えるか迷うときは申請先へ相談する。
  • 自分で用意できる資料と、要件確認・書類作成などを任せたい部分を分ける。

自分で進めることと、任せることを分ける

資料が整い、手引きを読んで役所への相談・書類作成の時間を確保できるなら、自社で申請を進める選択肢があります。

判断が難しい部分があるなら、そこから相談しても構いません。

準備の状況に合わせた進め方
進め方 自社で整理すること 次に確認・相談すること
自社で申請する 手引き、資料収集、書類作成、提出と補正の担当・時間を決める。 要件や資料に判断がつかない点を役所へ事前相談する。
難しい部分から相談する 経歴・予定工事と、ある資料/不足資料を示す。 要件の照合や必要資料の整理など、相談したい作業と費用の範囲を確認する。
申請の実務を依頼する 工事や勤務・経歴の事実、手元の証拠、希望時期を伝える。 役所への事前相談、作成・提出、補正対応のどこまで含むかと、自社が用意する資料を確認する。

任せる範囲が決まれば、見積りを比べる基準も揃います。行政書士へ依頼しても、事実の説明や会社の資料提供は必要です。

自社申請の具体的な準備と流れを見たい方は、次の記事をご覧ください。

自分で申請を進めたい方へ
建設業許可を自分で申請。手順と準備する資料
建設業許可は自分で申請できる?費用・必要書類・手順と注意点

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許可取得後の受注・更新・届出を管理する

苦労して取得した建設業許可ですが、一度取れば「一生モノ」というわけではありません。

建設業許可には明確な有効期限があり、さらに許可を維持し続けるための「毎年の義務」が課せられています。

許可通知書が届いたら、受注する工事と許可業種・一般/特定の区分を照合し、更新と毎年の届出の担当を決めましょう。

許可取得は受注や施工品質を保証するものではなく、工事ごとの技術者配置なども確認が必要です。

ココがポイント

更新日と事業年度終了後の届出期限を管理表に残してください。

手続を依頼する場合は、期限の連絡や資料準備を誰が担当するかも確認します。

許可の有効期間は5年間(更新手続きが必要)

建設業許可の有効期間は、「許可があった日から5年間」です。

更新申請は有効期間満了日の30日前までに行います。

満了前に更新を申請し、審査中に満了日を迎えた場合は、処分がされるまで従前の許可が有効です。

申請せずに満了した場合は失効するため、許可通知書の満了日を確認して準備してください。

更新手続きの期間

更新の申請は、いつでもできるわけではありません。兵庫県では満了日の3か月前から受け付け、30日前までの申請が必要です。

受付開始時期は申請先ごとに確認してください。

役所からの案内を待つのではなく、自社で満了日と準備開始時期を管理しておきましょう。

また、更新時にも「常勤役員(経管)」や「専任技術者」が在籍しているかどうかが再審査されます。

5年の間に担当者が退職していたり、役員変更の届出を忘れていたりすると、更新ができなくなる恐れがあります。

毎年提出が必要な「決算変更届」とは?

建設業許可業者には、毎事業年度終了後に「決算変更届(事業年度終了届)」を提出する義務があります。

これは、「この1年間で、これくらいの工事をして、財務状況はこうなりました」という報告書です。

提出期限は、「決算終了後4ヶ月以内」です。

なぜ「決算変更届」が重要なのか?

多くの事業者様が「税務署に確定申告しているから大丈夫」と勘違いされていますが、税務申告とは別に、許可行政庁(都道府県や国)へ提出が必要です。

決算変更届の未提出があると、更新や経営事項審査の準備にも影響します。未提出の年度を洗い出し、提出先に対応を相談してください。

  1. 更新前に未提出分の対応が必要:兵庫県では、更新申請の受理前に提出すべき過年度分をすべて提出するよう案内しています。必ず5年分とは限らないため、自社の届出済み年度と未提出年度を確認します。
  2. 「経営事項審査(経審)」が受けられない:公共工事の入札参加資格を得るための経審は、決算変更届が提出されていることが前提条件です。
  3. 是正勧告や罰則の対象になる:建設業法違反として、指導や始末書の対象となります。

毎年の決算資料を誰が取りまとめ、誰が届出を作成・提出するかを決めておきましょう。

自社で継続するか、必要な手続を依頼するかは、担当者と作業時間を踏まえて選べます。

ここまでの判断ポイント

  • 許可は5年更新。更新未申請のまま満了すれば失効するが、満了前の更新申請に対する処分待ちの間は従前の許可が有効。
  • 更新は満了日の30日前までに申請。兵庫県の受付は3か月前から。
  • 決算変更届は事業年度終了後4か月以内。未提出分がある場合は、更新前に提出先へ相談して整える。

融資や公共工事を目指す場合は、許可取得とは別の条件も確認する

金融機関に事業内容を説明する際は、許可業種と今後の受注計画も整理しておきましょう。

許可の有無だけで融資の可否や条件が決まるわけではありません。金融機関は決算、資金繰り、返済計画なども審査します。

設備投資や運転資金の計画は、許可取得の準備とは別に検討してください。

公共工事への参加資格(経営事項審査)

「いつかは公共工事(役所の仕事)を取りたい」
公共工事を目指す場合は、発注機関の参加条件も確認しましょう。

国や自治体などから公共工事を直接請け負おうとする建設業者は、原則として「経営事項審査(経審・ケイシン)」を受けます。政令で定める軽微な工事等の例外があるため、建設業許可の要否とあわせ、発注機関の入札参加資格・登録制度を確認してください。

許可を取得しただけで入札へ参加できるとは限りません。目指す発注機関の募集時期と参加条件を調べ、経審や入札参加資格の準備を分けて進めましょう。

経審の点数を見直したい方は、次の記事で評価項目と自社の状況を照らし合わせてください。

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まだ判断できない点を整理して、次の準備へ進む

必要な許可、自社の要件、希望時期、手元の資料。このうち答えが出ていない部分を確認しましょう。

すべてを揃えてからでなく、分からない点を整理する段階でも相談できます。

建設業許可についてよくある質問

建設業許可が必要な金額は税込みですか?税抜きですか?

建築一式工事以外の500万円基準は税込みです。税抜460万円は税率10%なら506万円となり許可が必要です。

建築一式工事には別の金額・木造住宅の面積基準があります。

資格を持っていなくても建設業許可は取れますか?

一般建設業では、その業種の実務経験などにより営業所技術者の要件を満たせる場合があります。必要年数や資料は認定経路によって異なり、経営管理体制や財産など他の要件も必要です。

特定建設業は別の技術者要件で判断します。

建設業許可の取得にかかる期間はどれくらいですか?

兵庫県知事の新規許可は受理後おおむね2か月が目安で、審査状況により長くなる場合があります。

資料の収集・作成や補正に要する期間は別に見込み、他の申請先ではその行政庁の案内を確認してください。

個人事業主でも建設業許可は取れますか?

はい、個人事業主でも要件を満たせば取得できます。

法人成りでは、事前の認可により許可上の地位を承継できる場合があります。新規申請との違い、承継の条件と日程を、法人へ事業を移す前に許可行政庁へ相談してください。

建設業許可の準備を支える「サクセスファン」の相談対応

サクセスファン行政書士事務所では、建設業許可の準備から申請まで、進めるうえで判断に迷うことをご相談いただけます。

手元の資料と不足するものを整理し、役所への事前相談、申請書類の作成・提出、補正対応まで、必要な支援の範囲をご相談いただけます。

資料不足や他で難しいと言われた場合も、まず事実と要件を照合します。相談や依頼によって許可取得が保証されるものではありません。

「この工事に許可が必要か」「経験を何の資料で示せるか」「希望する受注時期に向けて、何から進めるか」。整理が止まっているところからご相談ください。

ご相談の際は、予定する工事、今ある資格・経歴の資料、希望時期と、いま困っていることをお知らせください。

まだ未定の項目や不足資料があっても構いません。

自分で準備することと依頼したいことを分け、次の作業を一緒に整理しましょう。

電話でのご相談:090-3542-8440