
こんにちは
開業20年 建設業許可の実績豊富な行政書士の小野馨です。
今回は建設業許可の要件についてお伝えします
建設業許可を新規で取得しようと考えたとき、最初に気になるのが「自社は要件を満たしているのか」という点ではないでしょうか。
建設業許可では、経営業務の管理体制、専任技術者、財産的基礎、欠格事由など、さまざまな要件を同時に確認する必要があります。
要件の理解が曖昧なまま準備を進めると、書類収集の段階で手戻りが発生したり、申請後の補正に時間がかかったりすることもあります。
この記事では、建設業法および各自治体の手引きで確認できる範囲をもとに、新規申請前に押さえておくべき要件と、判断しにくい点を整理します。
この記事で分かること
- 建設業許可が必要になるケースと、軽微な工事の範囲
- 一般建設業許可と特定建設業許可で変わる要件
- 経営業務の管理体制・専任技術者・財産的基礎・欠格事由など、確認される主な要件
- 営業所や社会保険、常勤性など、申請前に確認される周辺事項
- 必要書類・費用・期間・提出先を、要件確認の観点で整理する考え方
- 要件を満たしているか判断しにくいケースと、申請前の判断ポイント
それではこれから、建設業許可が必要になるケースと確認される主な要件、そして要件確認で手戻りしやすい点と申請前の判断ポイントの順にみていきましょう。
建設業許可の要件を確認する前に知っておきたい基本
建設業許可の要件を確認する前に、そもそも自社が許可を必要とするのか、どの区分の許可に該当するのかを整理しておくと、要件確認の優先順位がはっきりします。
ここでは、許可が必要になるケース、本記事で扱う申請の範囲、一般建設業許可と特定建設業許可の区分を順に確認します。
最初に確認すべきポイント
申請を検討する前に、以下の点を確認しておくと進めやすくなります。
- 自社が請け負う工事の規模が、許可が必要な範囲に入っているかどうか
- 一般建設業許可と特定建設業許可のどちらに該当するか
- 知事許可と大臣許可のどちらの提出先になるか
- 費用は法定費用と準備にかかる費用を分けて確認すること、期間は標準処理期間と実務準備期間を分けて確認すること
- 営業所の所在地や個別事情によって確認が必要な点があるため、申請先の最新の手引きも合わせて確認すること
建設業許可が必要になるケース
建設業許可が必要かどうかは、まず建設業法の規定で確認します。
建設業法第3条第1項では、建設業を営もうとする者は、軽微な工事を除き、29の建設工事の種類ごとに、国土交通大臣または都道府県知事の許可を受けなければならないと定められています(建設業法第3条第1項)。
ここでいう「軽微な工事」の範囲は、建設業法施行令第1条の2で定められています。
ココがポイント
具体的には、建築一式工事では請負代金が1,500万円未満の工事、または延べ面積150平米未満の木造住宅工事、建築一式以外の工事では請負代金500万円未満の工事が軽微な工事にあたり、許可を受けずに営業することができます(建設業法施行令第1条の2)。
ただし、軽微な工事の範囲には、契約の組み方や材料の扱いによって注意すべき点があります。
1つの工事完成にあたり、正当な理由がないにもかかわらず2つ以上の契約に分割して請け負う場合は、それらの合算額で許可要否を判定する必要があります(大阪府知事手引き)。
また、注文者が材料等を提供(支給)する場合は、その支給材料の市場価格および運送費を請負金額に合算して要否を判定しなければなりません(大阪府知事手引き)。
請負金額だけを見て軽微な工事と判断すると、実際には許可が必要なケースに該当することもあるため、契約形態と材料の扱いを合わせて確認しておくと安全です。
軽微な工事の範囲を一覧で確認します。
| 区分 | 軽微な工事の範囲 | 注意点 |
|---|---|---|
| 建築一式工事 | 請負代金1,500万円未満、または延べ面積150平米未満の木造住宅工事 | 分割契約は合算で判定 |
| 建築一式以外の工事 | 請負代金500万円未満の工事 | 支給材料は市場価格と運送費を請負金額に合算 |
見るべきポイント:金額だけで判断しないことです。分割契約や支給材料がある場合は、合算後の金額で許可要否が変わります。500万円未満かどうかといった境界事例の判断は、契約内容や材料の扱いを踏まえる必要があるため、個別に確認すべき論点として整理してください。
建設業許可の要件は新規申請前に確認する
この記事では、建設業許可の新規申請の要件についてお伝えします。
新規申請とは、新規に建設業の許可を取得する手続きであり、知事許可・大臣許可、一般建設業・特定建設業を問わず、初めて許可を取得する手続きを指します(建設業許可申請の手引き/中部地方整備局)。
要件確認を行うタイミングとして重要なのは、書類を集め始める前です。
建設業許可では、経営業務の管理体制、専任技術者、財産的基礎、欠格事由、営業所、社会保険といった複数の要件を同時に満たす必要があります。
要件のいずれかを満たしていないまま書類収集を進めると、収集した資料が活用できなくなったり、申請段階で要件不備が判明したりすることがあります。新規申請を進めるうえでは、
まず自社が各要件を満たしているかを確認したうえで、書類準備に入る流れが安全なんです。
一般建設業許可と特定建設業許可で要件が変わる
建設業許可には、一般建設業許可と特定建設業許可の2区分があり、どちらに該当するかによって財産的基礎の要件などが変わります。区分を分ける基準は、元請として発注者から直接請け負う工事における下請契約の規模です。
建設業法施行令第2条では、元請として発注者から直接請け負う1件の工事において、下請人に施工させる下請代金の総額が5,000万円(建築一式は8,000万円)以上の場合は、特定建設業許可が必要と定められています(建設業法施行令第2条)。
これに該当しない場合は、一般建設業許可となります。
財産的基礎の要件も区分により異なります。
特定建設業許可では、自己資本4,000万円以上、資本金2,000万円以上、流動比率75%以上、欠損20%以内の財務基準をすべて同時に満たすことが求められます(中部地方整備局手引き)。
一般建設業許可の財産要件は、この次で確認しましょう。
一般と特定の区分基準と財産要件を比較します。
| 区分 | 適用される場面 | 主な財産要件 |
|---|---|---|
| 一般建設業許可 | 特定建設業に該当しない場合 | 次の章で確認 |
| 特定建設業許可 | 元請として下請に施工させる金額が、1件の工事で合計5,000万円(建築一式は8,000万円)以上 | 自己資本4,000万円以上、資本金2,000万円以上、流動比率75%以上、欠損20%以内をすべて同時に満たす |
見るべきポイント:下請に出す金額の規模で区分が決まります。特定建設業の財務基準の詳細や、財務改善の進め方は本記事では深追いしません。自社がどちらの区分に該当するかを確認したうえで、次の章で各要件を順に整理してください。
建設業許可で確認される主な要件
建設業許可では、複数の要件を同時に満たすことが求められます。
経営業務の管理体制、専任技術者、財産的基礎、欠格事由、そして営業所や社会保険などの周辺要件です。
いずれか一つでも欠けると許可を受けることができないため、書類収集を始める前に、自社が各要件を満たしているかを順に確認していきます。
経営業務の管理体制に関する要件
経営業務の管理体制は、建設業の経営経験を持つ人が会社の経営に常勤で関わっていることを確認する要件です。
条件は、経営経験を持つ常勤役員等を置く方法と、補佐体制を整える方法の2通りに分かれます。
原則となるのは経営経験ルートです。
ポイント
常勤役員等(経営業務の管理責任者等)のうち一人が、建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有していることが求められます(大阪府知事手引き)。
ここでいう経営経験は、建設業を営む法人の役員、個人事業主、または支配人等としての経験を指します。
経営経験が不足する場合は、補佐体制を整えるルートがあります。
常勤役員等の経営経験が不足する場合、当該常勤役員等を直接補佐する者(財務、労務、業務運営をそれぞれ5年以上経験した常勤従業員)を、同一会社内にそれぞれ専任で配置することで要件を満たす方法です(大阪府知事手引き)。
要件を満たす2つのルートを整理します。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 経営経験 | 常勤役員等のうち一人が、建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有していること |
| 補佐体制 | 経営経験が不足する場合、財務・労務・業務運営をそれぞれ5年以上経験した常勤従業員を、同一会社内にそれぞれ専任で配置 |
見るべきポイント:経営経験ルートか補佐体制ルートのどちらで要件を満たすかを最初に決めることです。過去の役員履歴や雇用形態を確認する必要があり、経験年数が境界にあるケースや、補佐体制で要件を満たそうとするケースでは、個別に確認が必要な場合があります。
専任技術者に関する要件
専任技術者は、許可を受けようとする業種ごとに、技術面での専門知識や経験を持つ人を営業所に置くことを求める要件です。
要件を満たす方法は、国家資格と実務経験の2つに分かれます。
国家資格ルートでは、各営業所ごとに、許可を受けようとする建設業に対応する指定の国家資格(技術士、施工管理技士、建築士、技能士等)を有する者を専任で配置することが求められます(岡山県手引き)。資格があれば、実務経験年数を別途証明する必要がありません。
資格がない場合は、実務経験ルートを使います。許可を受けようとする業種に関して10年以上の実務経験(指定学科を卒業している場合は高卒5年、大卒3年)を有する者を専任で配置することで要件を満たします(岡山県手引き)。
2つのルートを比較します。
| ルート | 主な要件 |
|---|---|
| 国家資格ルート | 許可業種に対応する指定の国家資格(技術士、施工管理技士、建築士、技能士等)を有する者を、営業所ごとに専任で配置 |
| 実務経験ルート | 許可業種に関して10年以上の実務経験を有する者(指定学科卒業の場合は高卒5年、大卒3年)を、営業所ごとに専任で配置 |
見るべきポイント:社内に有資格者がいるかどうかです。実務経験ルートを使う場合、過去の在籍先や工事内容を裏付ける資料の準備が必要であり、実務経験の証明資料は申請先の手引きで確認が必要です。なお、許可業種ごとに対応する資格は細かく分かれているため、本記事では資格一覧の網羅は行いません。自社が取得しようとする業種に該当する資格は、申請先の手引きで確認してください。
財産的基礎・金銭的信用に関する要件
財産的基礎は、建設業を継続的に営むうえでの資金的な裏付けを確認する要件です。一般建設業許可と特定建設業許可で基準が異なります。
一般建設業許可では、直近決算期で、自己資本(純資産額)が500万円以上であること、または500万円以上の資金調達能力(申請直前1ヶ月以内の日付の預金残高証明書等)があることが求められます(岡山県手引き)。自己資本でこの基準を満たさない場合に、預金残高証明書等を用いて資金調達能力を示す方法が選択肢になります。
特定建設業許可では、より厳しい基準が設けられています。自己資本4,000万円以上、資本金2,000万円以上、流動比率75%以上、欠損20%以内の財務基準をすべて同時に満たすことが必要です(中部地方整備局手引き)。
一般と特定の財産要件を比較します。
| 区分 | 財産要件 |
|---|---|
| 一般建設業許可 | 自己資本(純資産額)500万円以上、または500万円以上の資金調達能力(申請直前1ヶ月以内の日付の預金残高証明書等) |
| 特定建設業許可 | 自己資本4,000万円以上、資本金2,000万円以上、流動比率75%以上、欠損20%以内をすべて同時に満たすこと |
見るべきポイント:決算書の数字で要件を満たせるか、預金残高証明書で資金調達能力を示すかを判断することです。預金残高証明書を用いる場合は、証明書の発行日や有効期限の取り扱いに注意が必要で、申請先により異なる場合があるため、申請先の最新の案内も合わせて確認してください。なお、赤字決算や債務超過の場合に許可を受けられるかどうかは、個別の財務状況を踏まえた判断が必要であり、本記事では一律の可否を断定しません。
欠格事由に該当しないこと
欠格事由は、申請者や役員等が一定の事由に該当する場合に、許可を受けることができないという要件です。要件の確認は、対象者の確認と該当事由の確認の2段階で行います。
対象者の範囲は、申請者本人だけではありません。申請者、法人の全役員等、支配人、令3条の使用人等が、暴力団員等の排除規定、精神機能障害、禁錮以上の刑等の不許可要件に該当しないことが求められます(中部地方整備局手引き)。法人の場合は、代表者だけでなく、すべての役員と一定範囲の使用人について確認する必要があります。
欠格事由の確認ポイントを整理します。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 申請者、法人の全役員等、支配人、令3条の使用人等 |
| 主な該当事由 | 暴力団員等の排除規定、精神機能障害、禁錮以上の刑等の不許可要件 |
見るべきポイント:対象者の範囲が広いことです。過去の刑罰歴や、関連する事由の該当可能性がある場合は、個別に確認が必要であり、欠格事由の細部については個別事情により判断が分かれる場合があります。
営業所・社会保険など申請前に確認される事項
要件には、経営や技術、財産の要件だけでなく、営業所の実体性、社会保険、常勤性といった周辺事項もあります。これらは見落とされやすい一方、申請段階で確認される項目です。
営業所については、本店・支店や常時契約を締結する営業所において、外部看板・表札、固定電話、PC、机等の什器備品を備え、居住スペースと明確に独立した事務所を常時使用する権原を有することが求められます(大阪府知事手引き)。自宅の一部を事務所として使う場合などは、居住スペースとの独立性を確認できる状態にしておく必要があります。営業所の判断基準は申請先により異なる場合があるため、申請先の最新案内も確認してください。
社会保険については、社会保険への適正な加入(健康保険、厚生年金保険、雇用保険)を満たしていることが求められます。未加入の場合は、新規許可を受けることができないとされています(中部地方整備局手引き)。
常勤性の証明についても注意が必要です。健康保険被保険者証の新規発行廃止に伴い、常勤役員や技術者の常勤性を確認する資料として、「被保険者標準報酬決定通知書」「ハローワークの雇用保険資格取得確認通知書」「雇用証明書」等の公的資料を準備することが案内されています(千葉県知事許可の手引)。常勤性の代替証明資料の扱いは申請先により異なる場合があるため、申請先の手引きで確認すると安心です。
周辺要件をまとめます。
| 確認項目 | 主な内容 |
|---|---|
| 営業所 | 外部看板・表札、固定電話、PC、机等の什器備品、居住スペースと独立した事務所、常時使用する権原 |
| 社会保険 | 健康保険、厚生年金保険、雇用保険への適正な加入 |
| 常勤性 | 被保険者標準報酬決定通知書、ハローワークの雇用保険資格取得確認通知書、雇用証明書等の公的資料 |
見るべきポイント:周辺要件は要件確認の最終段階で見落とされると手戻りの原因になりやすいことです。要件確認を終えたら、必要書類の準備や申請の流れに進みますが、次の章では、要件確認で実際に手戻りしやすい点と、申請前の判断ポイントを順に整理します。
要件確認で手戻りしやすい点と申請前の判断
要件の確認が終わったら、要件を証明するための書類、費用、期間、提出先を整理する段階に進みます。ここで重要なのは、必要書類は要件を証明するために準備するものであり、費用と期間は性質ごとに分けて確認するということです。要件確認の延長線上で押さえておきたい実務的な論点と、自力申請か行政書士への相談かを分ける判断ポイントを整理します。
必要書類は要件を証明するために準備する
建設業許可申請の必要書類は、それぞれの要件を満たしていることを証明するために準備します。書類リストを単独で眺めるのではなく、「どの要件を証明するための書類か」という観点で整理すると、書類収集の優先順位が見えやすくなります。
申請に必要となる主な書類としては、建設業許可申請書、役員等の一覧表、営業所一覧表(新規)、収入印紙等貼付用紙、専任技術者一覧表、工事経歴書、直前3年の工事施工金額、使用人数、誓約書、常勤役員等証明書、健康保険等の加入状況、専任技術者証明書、実務経験証明書などがあります(福岡県・千葉県手引)。これらは、申請書本体に加え、経営業務管理体制、専任技術者、財産的基礎、欠格事由、営業所、社会保険、常勤性といった要件と対応関係にあります。
主な書類を要件との対応関係で整理します。
| 書類の性質 | 主な書類例 | 対応する要件 |
|---|---|---|
| 申請書本体 | 建設業許可申請書、役員等の一覧表、営業所一覧表(新規)、収入印紙等貼付用紙 | 申請全体 |
| 経営・技術者の証明 | 常勤役員等証明書、専任技術者一覧表、専任技術者証明書、実務経験証明書 | 経営業務管理体制、専任技術者 |
| 工事実績 | 工事経歴書、直前3年の工事施工金額、使用人数 | 経験・体制の裏付け |
| その他 | 誓約書、健康保険等の加入状況 | 欠格事由、社会保険 |
見るべきポイント:書類は要件を裏付けるためにあるという視点です。書類名や様式は申請先により異なる場合があるため、申請先の最新の手引きで確認してください。本記事では書類の全件詳細や様式記載例には踏み込みませんので、各書類の取得先や記載方法は、申請先の手引きを参照してください。
費用と期間は法定費用・標準処理期間・実務準備期間を分けて確認する
費用と期間は、性質の異なるものを混ぜずに分けて確認すると、申請全体の準備が立てやすくなります。費用は「法定費用」と「準備にかかる費用」、期間は「標準処理期間」と「実務準備期間」をそれぞれ分けて整理します。
法定費用は、許可区分により金額が異なります。国土交通大臣許可(新規)の場合は、登録免許税が150,000円です(国土交通省「登録免許税」公式案内)。都道府県知事許可(新規)の場合は、申請手数料が90,000円です(大阪府・福岡県等の知事許可手数料案内)。納付方法は申請先により異なる場合があります。
法定費用を区分ごとに整理します。
| 費用項目 | 金額 | 支払先・納付方法 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 登録免許税(大臣許可・新規) | 150,000円 | 国土交通省(公式案内) | — |
| 申請手数料(知事許可・新規) | 90,000円 | 都道府県(自治体案内) | 納付方法は申請先により異なる場合あり |
期間については、標準処理期間と実務準備期間を分けます。標準処理期間は、申請を受け付けた後に行政庁が審査にかける期間を指します。大臣許可の場合、標準処理期間はおおむね120日程度です(国土交通省「建設業の許可申請処分に係る標準処理期間について」)。
これとは別に、申請前の実務準備期間があります。準備にかかる期間は、資料の有無や申請先の確認状況によって変わります。資格証明書や実務経験の裏付け資料、預金残高証明書、社会保険関係資料などをそろえる時間が必要であり、標準処理期間とは別に見込んでおく必要があります。
期間も性質ごとに分けます。
| 期間の種類 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 標準処理期間(大臣許可) | おおむね120日程度 | 受付後の審査期間。補正等が発生すれば期間は変動する |
| 実務準備期間 | 申請前の資料収集・整理にかかる期間 | 資料の有無や申請先の確認状況によって変わる |
注意:標準処理期間と実務準備期間を一体で語らないことが大切です。「申請から〇日で許可が下りる」という形で両者を混ぜると、実態と合いません。費用についても、法定費用以外の準備にかかる費用は、状況により異なるため一律の相場としては扱えません。
提出先・管轄は知事許可と大臣許可で確認する
提出先は、知事許可か大臣許可かによって異なります。まず自社がどちらに該当するかを確認したうえで、対応する窓口を確認します。
国土交通大臣許可の場合、提出先は本店所在地を管轄する各地方整備局の建設産業課等の窓口です(中部地方整備局手引き等)。都道府県知事許可の場合は、主たる営業所の所在地を管轄する都道府県の建設業担当窓口が提出先となります。
電子申請については、国土交通省「建設業許可・経審電子申請システム(JCIP)」が運用されています(国土交通省JCIP電子申請システム公式ガイド)。JCIPの対応範囲や運用は順次変わる可能性があるため、利用を検討する場合は最新の案内を確認してください。
提出先を区分ごとに整理します。
| 区分 | 提出先 | 注意点 |
|---|---|---|
| 大臣許可 | 本店所在地を管轄する各地方整備局 建設産業課等の窓口 | 地域ごとの窓口は地方整備局の案内で確認 |
| 知事許可 | 主たる営業所の所在地を管轄する都道府県の建設業担当窓口 | 都道府県により担当窓口の名称が異なる場合あり |
| 電子申請 | 国土交通省JCIP | 対応範囲は最新案内で確認 |
見るべきポイント:大臣許可か知事許可かで提出先がまったく異なることです。地域別の具体的な窓口や受付方法の詳細は、地域実務に関する別記事で扱います。
要件を満たしているか判断しにくいケース
要件を一通り確認しても、実際の申請段階で手戻りが発生しやすい論点があります。書類収集の最終段階や、申請直前で判明することが多いため、要件確認の段階で意識しておくと安全です。
代表的な手戻りポイントとして、常勤性の代替証明不備があります。健康保険被保険者証の新規発行廃止に伴い、常勤性を確認する資料として代替の公的資料が必要になっており、資料の選定や有効期限の取り扱いで不備が生じることがあります(千葉県知事許可の手引)。
財産要件に関連しては、預金残高証明書の有効期限切れも手戻りの原因になりやすい論点です(大阪府知事手引き、岡山県手引き)。預金残高証明書は申請直前1ヶ月以内など期限の指定があるため、書類収集の順序によっては再取得が必要になることがあります。
営業所については、営業所実体性の不足が不許可につながるケースもあります(大阪府知事手引き)。看板、固定電話、什器備品、居住スペースとの独立性などが、現地確認や提出書類で確認されるためです。
実務経験ルートで専任技術者要件を満たそうとする場合は、実務経験の証明資料の取り扱いに注意が必要です。実務経験の証明資料は申請先の手引きで確認が必要です。
手戻りしやすいポイントを整理します。
| 手戻りポイント | 内容 | 確認の方向性 |
|---|---|---|
| 常勤性の代替証明不備 | 健康保険被保険者証の新規発行廃止に伴う代替資料の選定・期限 | 申請先の手引きで指定資料を確認 |
| 預金残高証明書の有効期限切れ | 申請直前1ヶ月以内の発行などの期限指定 | 書類収集の順序を組み立てる |
| 営業所実体性の不足 | 看板、固定電話、什器備品、居住スペースとの独立性 | 申請前に営業所の状態を確認 |
| 実務経験の証明資料 | 実務経験10年等を証明する資料の取り扱い | 申請先の手引きで確認が必要 |
注意:これらは申請先や個別事情により扱いが異なる場合があります。申請先の最新の案内も合わせて確認してください。
自力申請と行政書士への相談を分ける判断ポイント
最後に、自力で申請を進めるか、行政書士に相談するかの判断ポイントを整理します。どちらが正解かは一律には決められず、自社の状況によって変わります。
自力申請が進めやすい傾向にあるのは、要件の充足が明確なケースです。たとえば、経営業務管理体制を経営経験5年以上のルートで明確に満たしている、専任技術者を国家資格で配置できる、財産要件を自己資本で明確に満たしている、欠格事由に該当する事情がない、営業所と社会保険・常勤性の状態が整っている、といった条件が揃っている場合です。書類収集と申請書作成にかける時間を確保できる体制があれば、自力での申請も選択肢になります。
一方、相談を検討すると進めやすくなる傾向にあるのは、要件のいずれかに判断が必要なケースです。経営経験が境界にある、補佐体制で満たそうとしている、専任技術者を実務経験10年ルートで証明する、財産要件を預金残高証明書で満たす、欠格事由に該当する可能性がある事情を確認したい、営業所の実体性で個別判断が必要、といったケースでは、判断材料を整理する段階で相談を検討すると進めやすくなります。
状況別の方向性を整理します。
| 状況 | 方向性 |
|---|---|
| 要件をいずれも明確に満たしており、書類収集の時間を確保できる | 自力申請が選択肢になりやすい |
| 要件のいずれかに判断や個別確認が必要 | 相談を検討すると整理しやすい |
| 手戻りポイント(常勤性、残高証明、営業所、実務経験)で不安がある | 申請前に確認内容を整理する段階で相談を検討 |
見るべきポイント:自社の状況を要件ごとに棚卸しすることです。確認できる範囲と確認しにくい範囲を分けて整理しておくと、自分で進める場合も、相談を検討する場合も、その後の判断がしやすくなります。
注意:必要書類や常勤性の証明資料、営業所の確認方法などは、申請先の自治体や個別事情により扱いが異なる場合があります。実際に申請する際は、申請先の最新の手引きや案内も合わせて確認してください。
申請前に整理しておきたいこと
建設業許可の要件は、経営業務の管理体制、専任技術者、財産的基礎、欠格事由、営業所、社会保険、常勤性など、複数の項目を同時に満たす必要があります。書類は要件を証明するために準備するものであり、費用は法定費用と準備にかかる費用、期間は標準処理期間と実務準備期間を分けて確認することが、申請全体を見通すうえでの基本になります。
申請前に確認しておきたいポイント
- 自社の工事規模が、許可が必要な範囲に入っているか(軽微な工事に該当するか、分割契約や支給材料の扱いを含めて確認)
- 一般建設業許可と特定建設業許可のどちらに該当するか
- 経営業務の管理体制、専任技術者、財産的基礎、欠格事由、営業所、社会保険、常勤性のそれぞれをどのルートで満たすか
- 法定費用(大臣許可:登録免許税150,000円/知事許可:申請手数料90,000円)と、書類収集や準備にかかる費用を分けて把握しているか
- 標準処理期間(大臣許可はおおむね120日程度)と、実務準備期間を別に見込めているか
- 提出先(大臣許可は地方整備局、知事許可は都道府県の建設業担当窓口)の確認、JCIPによる電子申請の最新案内の確認
自社で要件をいずれも明確に満たしており、書類収集と申請書作成の時間を確保できる場合は、自力申請も選択肢になります。一方、経営経験が境界にある、専任技術者を実務経験ルートで証明する、財産要件を預金残高証明書で満たす、欠格事由の確認が必要、営業所の実体性で個別判断が必要、常勤性の代替証明や預金残高証明書の有効期限の扱いに不安があるといったケースでは、判断材料を整理する段階で行政書士への相談を検討すると、進めやすくなります。
注意:必要書類、費用、期間、提出先、受付方法は、申請先の自治体や個別事情により扱いが異なる場合があります。実際に申請する際は、申請先の最新の手引きや案内も合わせて確認してください。なお、行政書士に依頼する場合の報酬や支払時期、相談方法は事務所により異なります。依頼を検討する際は、法定費用と行政書士報酬を分けて確認しておくと安心です。
申請前に、自社の状況を要件ごとに棚卸しし、確認できる範囲と確認しにくい範囲を分けて整理しておくと、自分で進める場合も、相談を検討する場合も、その後の判断がしやすくなります。
よくある質問
Q1. 請負代金が500万円未満なら建設業許可は不要ですか?
建設業法施行令第1条の2では、建築一式以外の工事で請負代金500万円未満の工事は軽微な工事として許可を受けずに営業できるとされています。ただし、分割契約は合算で判定し、注文者からの支給材料がある場合は市場価格と運送費を請負金額に合算して判定する必要があります。金額だけで判断せず、契約形態と材料の扱いを合わせて確認してください。
Q2. 一般建設業許可と特定建設業許可は何が違いますか?
区分を分ける基準は、元請として発注者から直接請け負う1件の工事において、下請に施工させる下請代金の総額が5,000万円(建築一式は8,000万円)以上かどうかです。これに該当する場合は特定建設業許可、該当しない場合は一般建設業許可になります。特定建設業は財産的基礎の要件も一般より厳しくなります。
Q3. 建設業許可の申請費用はいくらかかりますか?
法定費用は、国土交通大臣許可(新規)の場合は登録免許税150,000円、都道府県知事許可(新規)の場合は申請手数料90,000円です。納付方法は申請先により異なる場合があります。法定費用以外に、書類収集や準備にかかる費用は状況により異なるため、法定費用とは分けて確認してください。
Q4. 建設業許可は自分で申請できますか?
要件をいずれも明確に満たしており、書類収集の時間を確保できる場合は、自力申請も選択肢になります。一方、経営経験が境界にある、専任技術者を実務経験ルートで証明する、財産要件を預金残高証明書で満たす、欠格事由の確認が必要、営業所の実体性で個別判断が必要といったケースでは、判断材料を整理する段階で相談を検討すると進めやすくなります。
