こんにちは。「1番わかる建設業許可の教科書」、行政書士の小野馨です。
建設業を営む個人事業主の皆様、あるいは一人親方の皆様。 今、こんな状況で頭を悩ませていませんか?
- 元請けから『そろそろ建設業許可を取ってくれ』と言われた
- 売上が伸びてきたので、許可を取って500万円以上の大きな工事を受注したい
- でも、今の個人事業のまま取るべきか、思い切って会社(法人)にするべきか迷っている
もしあなたが、「とりあえず個人で許可を取って、軌道に乗ったら数年後に法人化しよう」と考えているなら、プロとしてこれだけは言わせてください。
その選択は、将来的に大きなお金と時間をドブに捨てることになります。
実は、建設業許可と会社設立(法人化)の関係には、一般の経営解説本には載っていない**「建設業特有の落とし穴」が存在します。
ここを知らずに進めてしまい、後になって「なんで最初に教えてくれなかったんだ!」と後悔する社長様を、私は何人も見てきました。
この記事では、5,000件以上の相談を受けてきた行政書士の視点から、なぜ「許可と同時に法人化」すべきなのか、その理由を徹底的に深掘りします。
さらに、多くの人が不安に感じる「資本金500万円の壁」の突破方法や、「社会保険料」の真実**まで、検索してもなかなか出てこない実務の裏ノウハウを包み隠さず公開します。
あなたの会社の「これから10年」を左右する重要な決断のために、ぜひ最後までお付き合いください。
1. なぜ、プロは「個人事業主での建設業許可取得」を止めるのか?〜リスクとメリットの徹底比較〜
まず結論から申し上げます。
将来的に少しでも「会社組織にしたい(法人化したい)」という気持ちがあるなら、許可を取る「前(今)」が、最初で最後のベストタイミングです。
なぜなら、建設業許可という制度は、「後からの変更」に極めて厳しいルールを持っているからです。
【警告】許可取得後の法人成りに潜む「廃業と新規」の二重苦
建設業許可の最大の特徴、それは「許可は一身専属(その人・その会社だけのもの)」という原則です。 運転免許証と同じだと考えてください。あなたが免許を持っていても、それを家族や別人に貸すことはできませんよね?
これと同じことが「法人成り」でも起きます。
個人事業主「小野建設(代表:小野馨)」と、法人「株式会社小野建設(代表取締役:小野馨)」は、法律上は「全くの別人」として扱われます。
そのため、個人で苦労して許可を取った後に法人化すると、以下の手続きが必要になります。
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個人の許可を消滅させるための「廃業届」を出す。
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新しい法人として、一から「新規許可申請」を行う。
つまり、「許可の取り直し」になるのです。
これがどれほどの損失を生むか、具体的にシミュレーションしてみましょう。
損失額シミュレーション(あとから法人化する場合)
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行政庁への手数料(証紙代):
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個人の申請時:9万円
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法人の申請時:9万円
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無駄になる金額:9万円
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行政書士報酬:
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2回依頼することになるため、数十万円単位の追加コストが発生。
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看板・印刷物の作り直し:
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許可番号が変わるため、建設業の許可票(金看板)、名刺、封筒、請求書、ホームページの記載をすべて修正する必要があります。これだけで数万円〜十数万円かかります。
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「無許可期間」の発生:
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個人の廃業から法人の許可が下りるまでの審査期間(約1〜2ヶ月)、形式上は「無許可業者」になります。この間、500万円以上の工事を請け負うことができず、大きなビジネスチャンスを逃すリスクがあります。
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最初から法人で申請していれば、これらのコストとリスクはすべてゼロです。
「とりあえず個人で」という判断が、いかに高くつくかお分かりいただけると思います。
令和2年改正「認可承継制度」は使えるのか?実務上のハードル
詳しい方なら、「あれ?令和2年の法改正で、個人の許可を法人に引き継げるようになったんじゃないの?」と思われるかもしれません。
確かに、「譲渡及び譲受けの認可(認可承継)」という制度が新設されました。
しかし、実務現場の感覚としては、「正直、あまりおすすめできない(ハードルが高い)」のが現状です。
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審査期間が長い: 通常の新規申請よりも審査が長期化する傾向があります(数ヶ月かかることも)。
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手続きが煩雑: 事前の認可が必要で、スケジュール調整が非常にシビアです。タイミングを誤ると承継できません。
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費用が変わらない: 結局、手数料(証紙代)や専門家報酬はかかります。
「承継できるから大丈夫」と高を括るのではなく、やはり「最初から法人で取る」のが最もシンプルで確実な正攻法なのです。
メリット①【対外信用】元請け・銀行融資・採用における「株式会社」の威力
ここからは、守りの話(リスク回避)だけでなく、攻めの話(メリット)をしましょう。
建設業界において、「株式会社(法人)」の看板が持つパワーは、他業種以上に絶大です。
元請け大手との取引条件
スーパーゼネコンや大手ハウスメーカーの中には、内規(社内ルール)で「新規取引は法人のみ(個人事業主不可)」と定めているところが増えています。
これは、コンプライアンス強化やインボイス制度の影響もあります。
個人事業のままだと、どんなに良い腕を持っていても、「土俵にすら上がれない」可能性があるのです。
銀行融資と資金調達
建設業は、材料費や外注費の先行払いが多く、資金繰りが命です。
銀行からのプロパー融資(信用保証協会を通さない直接融資)を受ける際、個人のままだとハードルが高いですが、法人化して決算書を整備することで、融資の審査が通りやすくなります。
ココがおすすめ
また、「社会保険に加入している法人であること」自体が、銀行評価の加点対象になります。
若手人材の採用
これが今、一番切実な問題かもしれません。
20代の若手やその親御さんは、就職先選びで「社会保険完備か?」「会社組織か?」を厳しくチェックします。
「うちは個人だけど腕はいいよ」と言っても、ハローワークの求人票で「社会保険:なし」となっていれば、見向きもされません。
「株式会社〇〇」という名刺を持たせてあげることが、若手を定着させるための最初のステップなのです。
メリット②【社会保険】強制加入は敵ではない?「厚生年金」の隠れた恩恵
法人化をためらう最大の理由がこれでしょう。
「法人にすると、社会保険(健康保険・厚生年金)に強制加入させられる。保険料が高くて払えない!」
確かに、会社負担分が発生するため、目先のキャッシュアウトは増えます。 しかし、これを「敵」や「損」と決めつけるのは早計です。
建設業許可と社保の密接な関係
現在、建設業許可の要件として、適切な社会保険への加入が事実上の義務となっています。
注意ポイント
個人事業主でも従業員が5人以上なら強制加入ですし、5人未満でも加入指導が強化されています。
つまり、「許可を取る以上、社保からは逃げられない時代」になったのです。
国民年金 vs 厚生年金
どうせ払うなら、メリットのある払い方をしましょう。
国民年金(個人)の受給額は、満額でも月6.5万円程度。老後の生活には心許ない金額です。
一方、厚生年金(法人)に加入すれば、将来の受給額は大幅に増えます(2階建て部分)。
さらに、「役員報酬」を設定することで、社長個人の所得税や住民税をコントロール(節税)できるため、トータルで見れば「手残り」が増えるケースも多いのです。
メリット③【節税・経費】インボイス制度と損益分岐点の真実
「売上がいくらになったら法人化したほうがいいの?」 よく聞かれる質問ですが、一般的な目安としては「課税売上高1,000万円」または「利益(所得)500万円〜800万円」が損益分岐点と言われています。
インボイス制度の影響
2023年から始まったインボイス制度により、多くの建設業者が課税事業者となりました。
個人事業主のまま課税事業者になると、消費税の負担が重くのしかかります。
しかし、法人化(資本金1,000万円未満)することで、最大2年間、消費税の免税事業者になれる特例(※条件あり)や、簡易課税制度の活用など、税務上の選択肢が広がります。
経費の幅が広がる
法人は個人よりも経費として認められる範囲が広いです。
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役員社宅: 自宅兼事務所の家賃の一部を会社の経費にできる。
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出張手当: 現場への移動や出張に対して日当を出し、非課税で個人にお金を移せる。
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生命保険: 法人契約の保険料を経費計上できる。
これらを駆使すれば、許可取得にかかる費用などすぐに回収できてしまいます。
資本金500万円がなくても大丈夫?「現物出資」と「残高証明」の活用法
「法人化のメリットは分かった。でも、建設業許可に必要な『財産的基礎要件(500万円)』をクリアするための資本金がないよ…」
そんな社長様のために、プロの裏技(合法的なテクニック)をお教えします。
建設業許可(一般)を取るには、「自己資本が500万円以上あること」または「500万円以上の資金調達能力があること」が必要です。
方法A:資本金500万円で会社を作る(王道)
最もシンプルで信用力が高い方法です。
しかし、手元に現金500万円がない場合もありますよね。
方法B:資本金は少額にして「残高証明書」で通す
実は、資本金は100万円や50万円でも構いません。
会社設立後、許可申請の直前に、会社の通帳に一時的に500万円を集め(借入等でも可)、銀行で「残高証明書」を発行してもらえば、要件をクリアできます。
※ただし、特定建設業許可の場合は資本金2,000万円以上が必須となるので注意が必要です。
裏技:現金がないなら「現物出資」
「現金はないけど、ダンプや重機、仕事用のハイエースならある」 そんな場合は、**「現物出資」**という方法で資本金を増やすことができます。
車やパソコン、工具などの「物」を会社の資本金として組み込むのです。
これにより、手出しの現金を抑えつつ、見かけ上の資本金を大きく見せることが可能です
(※定款への記載など、専門的な手続きが必要です)。
2. 個人事業主の建設業許可と法人成りの最短ルート
ここまで読んで、「よし、法人化と同時に許可を取ろう!」と決意された社長様。
ここからは、実際にどのような手順で進めれば最短・最安でゴールできるのか、具体的なロードマップを解説します。
個人事業主が法人化して許可を取るまでの標準スケジュール
これは「段取り」が命です。順番を間違えると、許可が下りるのが数ヶ月遅れてしまいます。
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【会社設立の準備】(約1週間)
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商号(会社名)を決める。
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印鑑証明書を取る、会社の実印を作る。
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定款(ていかん)の作成:ここが最重要!
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【定款認証・資本金払込】(約数日)
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公証役場で定款の認証を受ける(株式会社の場合)。
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個人の通帳に資本金を振り込む。
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【設立登記申請】(法務局へ提出)
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この日が「会社設立日(誕生日)」になります。
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登記完了まで約1週間〜10日待ちます。
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【履歴事項全部証明書(登記簿)の取得】
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会社が誕生した証明書を取得します。
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【建設業許可の申請】(約1ヶ月〜2ヶ月)
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登記簿や納税証明書を添付して、都道府県知事へ許可申請を行います。
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並行して、税務署や年金事務所への届出も行います。
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トータルの所要期間:約2ヶ月〜3ヶ月 この期間を見越して、早めに動き出すことが重要です。
失敗しない「定款作成」のポイント|事業目的と機関設計
ステップ1の「定款作成」には、建設業ならではの注意点があります。
事業目的(何をする会社か)
定款の「事業目的」欄に、これから許可を取りたい業種が含まれていないと、許可が下りない場合があります。
例えば、「内装仕上工事業」の許可を取りたいのに、定款に「建築工事の請負」としか書いていないと、自治体によっては修正を求められることがあります。
プロに依頼すれば、「将来取るかもしれない業種(とび、解体、産廃など)」も含めて、網羅的に記載します。これで将来の定款変更コスト(3万円)を節約できます。
機関設計(役員の任期)
役員の任期は最長10年まで伸ばせます。
これを2年などに設定してしまうと、頻繁に「重任登記」が必要になり、その都度司法書士報酬と登録免許税がかかります。
家族経営なら10年に設定するのがセオリーです。
株式会社か合同会社か?建設業における法人形態の選び方
最近増えている「合同会社(LLC)」ですが、建設業の場合はどうでしょうか?
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株式会社:
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設立費用:約20万円〜(登録免許税15万円含む)
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メリット:圧倒的な知名度と信用力。採用に強い。
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推奨:元請けとの取引や採用を重視するなら、迷わず株式会社です。
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合同会社:
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設立費用:約6万円〜(登録免許税6万円)
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メリット:安い。決算公告義務がない。
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推奨:一人親方で、とにかく安く法人化したい場合。ただし、「合同会社って何?」と聞かれる手間や、名刺の見た目を気にするなら株式会社が無難です。
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バラバラ依頼は損!司法書士・税理士・行政書士の連携メリット
会社設立と許可申請を自分一人でやるのは、正直不可能です。
書類の量が尋常ではありません。 では、専門家に頼むとして、誰に頼みますか?
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登記は「司法書士」
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税金届出は「税理士」
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社保は「社労士」
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建設業許可は「行政書士」
これらを個別に探して依頼すると、打ち合わせも4回、費用もそれぞれに発生し、トータルコストが跳ね上がります。
さらに、「司法書士が作った定款の事業目的が足りなくて、行政書士が許可申請できない」といった連携ミスによるトラブルも多発しています。
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さらに、当事務所は「電子定款」に完全対応しています。
ご自身で紙の定款を作ると、収入印紙代が4万円かかりますが、電子定款ならこれが0円になります。
つまり、プロに頼んだ方が、実費の部分でいきなり4万円も得をするのです。
この浮いた4万円を、許可申請の費用や、新しい会社のロゴ作成費に回してください。
結論:あなたの会社を「100年続く企業」にするための賢い選択
建設業許可と会社設立。
これは単なる「手続き」ではなく、あなたのビジネスを「家業(個人)」から「企業(法人)」へと進化させるための儀式です。
目先の数万円の手数料を惜しんで個人でスタートし、後で数十万円の損をするか。
それとも、最初から法人として盤石な体制を築き、信用と節税メリットを享受しながら最短距離で成長するか。
賢明な建設社長であるあなたなら、どちらが正解かは明白だと思います。
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