【結論】建設業許可「500万円の壁」とは?
建設業許可における「500万円の壁」とは、許可なしで請け負うことができる「軽微な工事」の法的上限金額です。1件の工事請負代金が500万円(税込)以上になる場合、許可を持たずに受注することは法律で固く禁じられており、違反すれば厳しい刑事罰と「5年間の許可取得不可」という重い制裁が待っています。

「建設業許可の教科書」管理者、行政書士の小野馨です。
今回は、建設業者の運命を分ける「500万円の境界線」について、法務のプロとして徹底解説します。
「税抜なら480万円だから、許可がなくてもギリギリセーフだ」
「材料はお客さん持ちだから、手間代だけで計算すれば500万円はいかない」
もし今、あなたがこのような「独自解釈」で工事請負契約書にハンコを押そうとしているなら、一度手を止めてください。
その判断は、建設業法違反(無許可営業)になる可能性が極めて高いです。
行政書士として5000社以上の相談を受けてきましたが、無許可営業で摘発されるケースの大半は、悪意のある確信犯ではなく、こうした「金額計算の勘違い」から生まれています。
しかし、知らなかったでは済まされません。たった1回の違反が、取引停止や銀行融資のストップ、最悪の場合は会社倒産を引き起こすトリガーとなります。
【警告】無許可営業の罰則は『3年以下の懲役 または 300万円以下の罰金』です。さらに恐ろしいのは、一度でも処分を受けると『向こう5年間、建設業許可が一切取れなくなる(業界追放)』という事実です。
この記事でわかる4つのポイント
- ✅ 許可が必要な「500万円」と「1500万円」の正確なライン
- ✅ 税抜判定はNG!消費税と資材費を含めた正しい計算式
- ✅ 注文書を分けても無駄?「工期分割」がバレる理由
- ✅ 金額ギリギリの案件が来た時の、プロが教える対処法
建設業許可が必要な金額ライン(500万円・1500万円)
建設業を営む上で、すべての工事に許可が必要なわけではありません。法律は「軽微な建設工事」についてのみ、許可不要での営業を認めています。
しかし、この「軽微」の定義が非常に厳格です。まずは、ご自身の工事が「500万円」の基準なのか、それとも特例の「1500万円」の基準なのか、スタートラインを間違えないように整理しましょう。
【行政書士 小野馨のここだけの話】
「うちはリフォームだから1500万円まで大丈夫ですよね?」というご相談をよく頂きますが、これは最も危険な勘違いです。一般的なリフォーム工事の99%は「500万円」が基準です。なぜそうなるのか、法的なロジックを解説します。
原則は「税込500万円以上」がボーダーライン
建設業法における大原則は以下の通りです。
【原則】
1件の請負代金の額が500万円(税込)以上の工事には、建設業許可が必須である。
これは、内装工事、塗装工事、電気工事、管工事、解体工事など、29業種のうち27業種(専門工事)すべてに適用されるルールです。
「500万円以上」ですから、500万円ジャストも含みます。
つまり、許可を持たずに適法に受注できるのは、「499万9,999円」までということになります。
建築一式工事だけの特例(1500万円未満・150㎡未満)
一方で、以下の条件を満たす「建築一式工事」の場合に限り、許可不要の範囲が拡大されます。
- 1件の請負代金の額が1,500万円未満(税込)の工事
- または、延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事
このどちらかに該当すれば、許可がなくても施工可能です。
「木造住宅で150㎡未満」であれば、たとえ請負金額が2,000万円の新築工事であっても、無許可で請け負うことが法的に認められています(※ただし、実務上は住宅ローン利用等の関係で許可を求められるケースが大半です)。
「リフォーム一式」は建築一式ではない
ここで注意が必要なのが、「建築一式工事」の定義です。
建築一式とは、元請として建物を総合的に企画・指導・調整して建てる工事(新築や大規模増改築)を指します。
単なる「クロスの張り替え+キッチンの交換+外壁塗装」といったリフォーム工事をまとめて請け負ったとしても、それは「内装・管・塗装工事の集合体」であり、「建築一式工事」とはみなされません。
したがって、大規模リフォームであっても、原則通り「500万円」の基準が適用されると考えてください。
これが「軽微な建設工事(許可不要)」の定義
まとめると、建設業法で定義される「軽微な建設工事(許可がいらない工事)」とは、以下の範囲内に収まる工事のことです。
| 工事の種類 | 許可が不要な範囲(軽微な建設工事) |
|---|---|
| 建築一式工事 |
1,500万円未満 (または延べ150㎡未満の木造住宅) |
| それ以外の工事 (専門工事) |
500万円未満 |
自社の工事が「建築一式」なのか「専門工事」なのか迷った場合は、安全を見て「専門工事(500万円基準)」で判断することをお勧めします。ここを読み違えることが、違反への第一歩となります。
【第1章のポイント】
- 基本は「500万円未満」なら許可不要。「以上」なら許可必須。
- 「建築一式工事」だけは1500万円未満までOKだが、適用ハードルは高い。
- リフォーム工事を勝手に「一式」と解釈して1000万円を受注するのは違法。
▼「一式工事」の定義を詳しく確認する▼
間違いだらけの「500万円」計算方法(3つの罠)
「500万円未満なら許可はいらない」。
この言葉だけが独り歩きし、肝心の「計算方法」を我流で解釈している経営者様があまりにも多いのが現状です。
建設業法における金額の計算は、皆さんが普段使っている会計上の計算とは全く異なります。
ここで紹介する「3つの罠」に一つでも当てはまっていれば、御社はすでに無許可営業(法律違反)の状態にあるかもしれません。
【行政書士 小野馨のここだけの話】
立入検査で摘発された社長が口を揃えて言うのが「税抜きで計算していました」と「材料費は別だと思っていました」の2つです。しかし、行政側は「プロの事業者なら法律を知っていて当然」というスタンスですので、知らなかったは通用しません。ここで正しいルールを頭に叩き込んでください。
【罠1】税抜価格で判断してはいけない(消費税の扱い)
最初の罠は「消費税」です。
❌ 間違い: 税抜 480万円 + 消費税 48万円 = 請求額 528万円
→ 「本体価格は480万円だから、500万円未満でセーフ!」
⭕ 正解: 税込 528万円
→ 「500万円以上なので、許可がないと完全アウト!」
建設業法の許可要件において、請負代金は「消費税及び地方消費税を含んだ額」で判定します。
消費税率が10%の現在、税抜価格が「約454万円」を超えた時点で、税込金額は500万円に到達します。
免税事業者でも「税込」で計算する
「うちは売上1000万円以下の免税事業者だから、消費税をもらっていない」
そう主張される方もいますが、国土交通省のガイドラインでは、「請負人が免税事業者であっても、取引に係る消費税相当額を含んだ額で判定する」と明確に定められています。
つまり、あなたが消費税を納税しているかどうかに関わらず、契約金額には常に1.1倍のみなし計算が適用されるリスクがあると考えて行動すべきです。
【罠2】材料費はお客様持ちでも「合算」が必須(資材費の扱い)
2つ目の罠は、最も悪質な抜け道として警戒されている「材料費(資材費)」の扱いです。
「500万円を超えそうだから、高額な設備(キッチンやユニットバス、太陽光パネルなど)は施主さんに直接買ってもらおう。うちは工事の手間賃だけもらえばいい」
これは、建設業法施行令第1条の2第3項により、完全に封じられています。
【建設業法施行令 第1条の2 第3項】
注文者が材料を提供する場合においては、その市場価格及び運送賃を請負代金の額に加えたものを請負代金の額とする。
法律は、「材料費を外出しにして金額を小さく見せる行為」を認めていません。
許可の要否を判定する際は、以下の計算式が適用されます。
例えば、手間賃が200万円でも、施主が支給した材料が300万円分あれば、合計500万円となり許可が必要です。
「材料費は自分たちの売上じゃないのに理不尽だ」と思われるかもしれませんが、これは「500万円規模の工事を施工する技術的責任があるか」を問うているため、金額の出所は関係ないのです。
【罠3】工期・雑工事も含めた総額で判断される
3つ目の罠は、見積もりの出し方です。
メインの工事契約とは別に、「雑工事」や「残材処分費」「諸経費」などを別の請求書に分けていませんか?
あるいは、A工事とB工事という名目で分けていても、実態として一連の工事であれば、それらは全て合算されます。
原則として、「工事完成のために必要な全ての費用」が請負代金となります。
「ここまでは契約内、ここからはサービス工事(または別口発注)」といった小細工は、実態調査が入ればすぐに見抜かれます。
特に危険なのが、次章で解説する意図的な「注文書の分割」です。これは単なる計算ミスではなく、悪質な偽装工作とみなされる恐れがあります。
【第2章のポイント】
- 判定は常に「税込」。税抜455万円以上なら警戒せよ。
- 「施主支給」の材料費も、運送費も含めて合算しなければならない。
- 免税事業者であっても、消費税相当額を含んで判断されるのが原則。
▼材料支給についてもっと詳しく▼
絶対にやってはいけない「注文書分割」のリスク
建設業許可の500万円の壁に直面した際、多くの経営者が悪魔のささやきに耳を貸してしまいます。
「今回の工事は800万円だけど、400万円の契約書を2枚作れば許可はいらないだろう」
これは、税務署に対する脱税工作と同じくらい、建設業法においては悪質な「脱法行為」とみなされます。
特に元請業者や施主から「許可がないなら、契約書を2つに分けて発注してやるから」と持ちかけられるケースが後を絶ちません。
しかし、これに乗ってしまうと、あなたは知らぬ間に「法の網」をかいくぐるつもりが、「法の罠」に自らかかることになります。
行政庁(国土交通省や都道府県)は、こうした子供騙しのテクニックを何十年も見続けており、その手口は全てお見通しだからです。
【行政書士 小野馨のここだけの話】
「注文書を分ける」という手法は、実は提案してきた発注者(元請)側にも巨大なリスクがあります。もし現場で事故が起きたりトラブルになった際、無許可業者に違法な分割発注をしていた事実が露呈すれば、元請としての監督責任を問われ、指名停止や営業停止などの行政処分を受ける可能性があるからです。
800万円を400万円×2回に分けてもバレる理由
建設業法施行令第1条の2第2項には、契約の分割に関する極めて重要な規定が存在します。
【建設業法施行令 第1条の2 第2項】
正当な理由がない限り、契約を分割して請け負うときは、各契約の請負代金の額の合計額とする。
この条文が意味することは明白です。
「許可逃れのために契約書を何枚に分けても、それらは全て合算して1つの工事(500万円以上)として扱います」という宣言です。
では、なぜバレるのでしょうか? 行政庁の実態判断(ガイドライン)では、主に以下の要素を総合的に見て「一連の工事」かを判断します。
- 場所的近接性: 同じ建物、同じ敷地内での工事か?
- 時間的近接性: 工期が連続している、または重複しているか?
- 契約の目的: 完成させる目的物が実質的に1つであるか?
【アウトになる典型例】
一軒家のリフォーム工事総額600万円を、「1階改修:300万円」と「2階改修:300万円」に分け、日付を数日ずらして契約した。
↓
実態判断: 同じ現場で、同じ職人が、連続した期間で作業を行っているため、間違いなく「一連の工事(600万円)」とみなされます。
契約分割が認められる唯一の「正当な理由」とは?
条文にある「正当な理由」があれば分割は認められますが、そのハードルは極めて高いです。
単に「予算がないから」「許可がないから」というのは正当な理由にはなりません。
正当な理由として認められる可能性があるケース
- 工種が全く異なる場合:(例:基礎工事と、数ヶ月後の内装仕上げ工事で、発注体系も明確に分離されているなど ※ただし慎重な判断が必要)
- 予算年度が異なる場合:(例:第1期工事を完了・検収した後、翌年度の予算で第2期工事を契約するなど、明確な期間の断絶がある場合)
このように、実質的にも形式的にも「別の工事」といえるだけの根拠が必要です。
連続して施工するのに契約書だけ分ける行為は、100%認められないと考えてください。
無許可営業とみなされた場合のペナルティ
もし、分割工作が否認され「無許可営業」と認定された場合、どのような制裁が待っているのでしょうか。
懲役3年以下 または 罰金300万円以下
これは刑事罰(前科)ですが、経営者にとって真に恐ろしいのは、行政処分としての「欠格要件」です。
もし罰金刑以上の刑を受けてしまうと、刑の執行が終わってから向こう5年間、新たに建設業許可を取得することが一切できなくなります。
さらに、この処分は法人だけでなく、その時の「役員全員」に及びます。
つまり、「会社を潰して、新しい法人を作って再出発しよう」としても、あなたが役員に入っている限り、その新会社でも許可は取れません。
文字通り、「建設業界からの5年間の追放処分」を受けることになるのです。
目先の数十万円、数万円の利益のために、将来の5年間を棒に振るリスクを負うべきではありません。
【第3章のポイント】
- 契約書を分割しても、場所・時期・目的が同じなら「1つの工事」とみなされる。
- 「正当な理由」のハードルは高く、単なる許可逃れは通用しない。
- 発覚すれば「5年間の許可取得不可」となり、事実上の廃業に追い込まれる。
金額ギリギリの案件が来たらどうすべきか(プロの助言)
ここまで「500万円の壁」の厳しさをお伝えしてきましたが、実際に明日の現場で「税込490万円」や「追加工事で500万円を超えそう」というシチュエーションになった時、具体的にどう動けば身を守れるのでしょうか。
無許可での営業は論外ですが、適法にリスクを管理するための実務的なテクニックがあります。
【行政書士 小野馨のここだけの話】
「口約束」や「どんぶり勘定」は、ギリギリの案件では命取りです。後から税務調査や立入検査が入った時、あなたを守ってくれるのは「いつ、いくらで契約したか」を証明する書類だけです。
発注書・請書の日付管理の重要性
金額が400万円台後半の「レッドゾーン」にある案件では、書類の日付管理が極めて重要になります。
1. 追加工事(変更契約)の罠を防ぐ
当初の契約が480万円(税込)だったとしても、工事途中で「ここも直してほしい」と追加注文が入り、30万円プラスになったらどうなるでしょうか?
合計510万円となり、その瞬間に建設業許可が必要になります。
許可がない場合、合計が500万円を超える追加工事は、涙を飲んで断るか、許可業者にバトンタッチするしかありません。
この管理を徹底するためには、最初の契約(発注書・請書)の日付と金額を確定させ、追加工事が発生するたびに「合計いくらになるか」をリアルタイムで把握する必要があります。
2. 「契約日」と「着工日」の整合性
もし、将来的に許可を取得することになった場合、この時期の工事実績(契約書や注文書)が「実務経験の証明資料」として使える可能性があります。
しかし、書類の日付が適当だったり、バックデート(日付の改ざん)をしていたりすると、証明資料として認められません。
「いつ契約し、いつ着工し、いつ完了したか」。この日付が整合している注文書・請書・請求書をセットで保管しておくことが、将来の許可取得への一番の近道です。
迷ったら行政書士に相談すべきタイミング
「この工事、受けても大丈夫かな?」と不安に思ったら、どのタイミングで専門家に相談すべきでしょうか。
私の経験上、以下のラインを超えたら、直ちに行動を起こすべきサインです。
- ✅ 見積額(税抜)が「450万円」を超えた時
- ✅ 元請から「次は許可がないと厳しい」と匂わされた時
- ✅ 施主支給の材料費を含めるといくらになるか不明な時
これらは「会社の成長痛」です。
このタイミングで自己判断で無理をして事故(違反)を起こすか、専門家を入れて足場(許可体制)を固めるかで、5年後の会社の規模が決まります。
まとめ・500万円の壁は「成長への入場ゲート」
建設業許可の「500万円の壁」は、意地悪な規制ではありません。
「ここから先は、技術も資金も信用もあるプロフェッショナルだけの領域です」という、国が定めたステージの境界線です。
小手先の計算テクニックや、違法な契約分割で壁をすり抜けようとしても、いつか必ず綻びが出ます。
そして、一度でもペナルティを受ければ、5年間は再起不能となります。
「500万円以上の仕事が来るようになった」。
それは御社が信頼されている証拠です。
コソコソと逃げ回るのではなく、堂々と許可を取得し、1000万円、1億円の工事を受注できる企業へと進化しませんか?
当事務所は、そんな「攻める建設業者」を法務面から全力でサポートします。
【毎月5社様限定】その工事、本当に大丈夫ですか?
「今の見積もり、法的に問題ないか不安だ」
「最短で許可を取って、大きな現場に入りたい」
そんな経営者の悩みを、建設業専門の行政書士が解決します。
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