
こんにちは。
建設業許可実績多数の行政書士小野馨です。
今回は、「建設業の許可の更新手続き」に関して詳しくお話します。
「建設業許可の更新、まだ先だと思っていたら通知が来て焦った!」なんて経験、ありませんか?
日々の現場管理や営業活動に追われていると、5年に一度の手続きなんてついつい後回しになってしまいますよね。
でも、この更新手続き、実は会社の命運を握ると言っても過言ではないほど重要なんです。
「たかが更新」と侮っていると、書類の不備で受理されなかったり、最悪の場合は許可が切れて無許可業者になってしまったりするリスクさえ潜んでいます。
もし許可が失効してしまったら、500万円以上の工事は請け負えなくなり、長年築き上げてきた信用も一瞬で崩れ去ってしまいます。
そうならないためにも、更新の要件や流れ、そして最新の法改正情報をしっかりと頭に入れておくことが大切です。
この記事では、建設業許可の専門家である私が、更新手続きの落とし穴から2025年の最新トレンドまで、現場の視点で徹底的に解説します。
これを読めば、もう更新の通知にビクビクする必要はありません。
ぜひ、この記事を参考に更新手続きをスムーズに進めてください。
それではいってみましょう。
- 建設業許可の更新期限と遅れた場合のリスク
- 更新申請に必要な書類と「決算変更届」の重要性
- 更新にかかる法定費用と行政書士報酬の相場
- 2025年の法改正や電子申請義務化への対策
建設業許可の更新手続きと絶対に外せない要件
建設業許可の更新は、単に「5年経ったからハンコをもらう」という事務的な手続きではありません。
この5年間、御社が建設業法を守り、適切な経営を行ってきたかを行政がチェックする、いわば企業の「通信簿」のようなものです。
ここでは、更新を確実にクリアするために絶対に知っておかなければならない基本的なルールと要件について、深掘りして解説していきます。
建設業許可の更新期限と申請受付期間のルール
まず一番大切な「期限」のお話から始めましょう。
ここを間違えると、努力がすべて水の泡になってしまいますからね。
建設業許可の有効期間は、許可があった日から起算して厳密に5年間です。
例えば、許可日が令和2年4月1日なら、有効期間の満了日は令和7年3月31日となります。
「満了日が日曜日だから月曜日まで大丈夫」なんていう甘いルールは存在しません。
満了日の24時を1秒でも過ぎれば、その瞬間、許可は失効してしまいます。
では、いつから手続きを始めればいいのでしょうか?
ポイント
一般的に、更新申請の受付は有効期間満了日の3ヶ月前から始まります。
そして、建設業法第11条第2項では「有効期間満了の日の30日前までに更新の申請を提出しなければならない」と定められています。
「えっ、期限まで30日もあるのに、もう出さないといけないの?」と驚かれる方も多いのですが、これにはちゃんとした理由があるんです。
役所が申請書を受け取ってから、内容を審査し、新しい許可証を発行するまでには「標準処理期間」という時間がかかります。
これがだいたい30日程度(自治体によります)なんです。
ポイント
つまり、30日を切ってから申請すると、審査中に現在の許可期限が来てしまい、新しい許可証が手元に届く前に「許可の空白期間」ができてしまうリスクがあるんですね。
実務上は、有効期間内に申請が受理されていれば、新しい許可が出るまでは従前の許可が有効とみなされますが(みなし業者)、取引先から「新しい許可証の写しを早く出してくれ」と言われたときに困ることになります。
特に注意が必要なのが「国土交通大臣許可」をお持ちの会社さんです。
大臣許可は地方整備局での審査になるため、知事許可よりも時間がかかります。
そのため、半年前、あるいはもっと前から準備を始めることが推奨されています。
知事許可の場合でも、年度末などの混雑時期は窓口の予約が取れないこともあります。「まだ3ヶ月あるから余裕」と思わず、通知が来たらすぐに動き出すのがプロの鉄則ですよ。
(出典:国土交通省『建設業の許可とは』)
建設業許可の更新審査で重視される経営能力と財産
更新申請では、新規のときと同じように「ヒト・モノ・カネ」の要件がチェックされますが、更新ならではの視点があります。
それはずばり、「継続性」です。5年間、途切れることなく要件を満たし続けていたかどうかが問われるんです。
まず「ヒト」の要件について。
建設業経営の要である「経営業務の管理責任者(経管)」や、技術の責任者である「専任技術者(専技)」が、この5年間、片時も欠けることなく常勤していたかどうかが厳しく見られます。
よくあるのが、専任技術者だった方が退職したのに、後任の届出を忘れたまま数ヶ月空いてしまっていた、というケース。
これは「空白期間」となり、最悪の場合、許可の取り消し事由にもなりかねません。
また、高齢の技術者の方が、実態としては週に1回しか出社していないのに名義だけ貸している、といったケースも更新時の調査で発覚しやすいポイントです。
次に「カネ(財産的基礎)」の要件です。
一般建設業の場合、「自己資本が500万円以上あること」などが要件ですが、更新時は直近の決算が赤字であっても、基本的には更新が可能です。
「過去に一度でも要件を満たして許可を取っており、その後5年間営業を継続できている」という実績が評価されるためです。ここが新規申請とは違う、ちょっと安心できるポイントですね。
特定建設業は要注意!
ただし、「特定建設業許可」をお持ちの場合は話が別です。
特定建設業は、下請業者さんを保護するために、より強固な財産基盤が求められます。そのため、更新時であっても、直前の決算で以下の要件をすべて満たしている必要があります。
欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
流動比率が75%以上であること
資本金が2,000万円以上、かつ自己資本が4,000万円以上あること
もしこれを満たせていないと、更新は認められません。
その場合は、「特定」を捨てて「一般」に格下げする「般特新規」という手続きをしなければならず、請負金額の制限を受けることになってしまいます。
建設業許可の要件に関してはこちらをご覧ください。
こちらもCHECK
-
-
建設業許可の要件とは?5つの基準や費用・2025年改正を解説
続きを見る
建設業許可の更新申請に必須となる決算変更届
更新手続きの現場で、一番多くの事業者さんが頭を抱えるのがこの「決算変更届」です。
正式名称を「事業年度終了報告書」と言いますが、建設業許可を持っている事業者は、毎年の決算終了後4ヶ月以内にこの届出を提出する義務があります。
「現場が忙しくて、つい出すのを忘れていた…」
「更新の時に5年分まとめて出せばいいと、先代の社長から聞いていた」
なんてこと、ありませんか?
はっきり言いますが、これは非常に危険な状態です。
なぜなら、更新申請の窓口では、「過去5期分の決算変更届がすべて提出されていること」が、更新申請書を受理してもらうための絶対条件だからです。
もし1期分でも未提出があると、更新申請書は受け取ってもらえません。
その場で「じゃあ今すぐ作ります!」と言っても、そう簡単にはいきません。
決算変更届には「工事経歴書」という書類が含まれており、その年度に施工した主な工事の「注文者名」「工事名」「請負金額」「工期」「配置技術者」などを正確に記載する必要があります。
5年前の工事台帳や契約書、注文書、請求書…すべて完璧に残っていますか?
記憶だけでは絶対に作れません。もし資料がないからといって適当なことを書けば、それは「虚偽記載」となり、さらに重い処分の対象になります。
毎年の決算変更届は、いわば更新のための「積み立て貯金」のようなものです。
これをコツコツやっていれば更新は楽勝ですが、サボると更新直前に5年分の宿題を徹夜で片付けることになり、膨大な労力と行政書士への追加報酬(溜めた年数分かかります!)が発生します。
まさに「急がば回れ」、毎年の届出こそが最強の更新対策なのです。
こちらもCHECK
-
-
建設業許可の決算変更届!期限や必要書類をプロがわかりやすく解説
こんにちは。 1番わかる建設業許可の教科書、運営者の行政書士の小野馨(おのっち)です。 日々の現場仕事、本当にお疲れ様です。 ようやく今期の決算が終わって、税理士さんとの打ち合わせや税務署への申告も済 ...
続きを見る
建設業許可の更新に必要な書類一覧と確認資料
いざ更新申請をしようとすると、その書類の多さに圧倒されるかもしれません。
基本的には新規申請と似ていますが、更新ならではの「過去の実績を確認するための資料」が多くなります。
ここで一度、主な書類を整理しておきましょう。
| 分類 | 主な書類名 | ポイント・注意点 |
|---|---|---|
| 法定様式(作成書類) | 建設業許可申請書(第一号)
役員等の一覧表 営業所一覧表 専任技術者一覧表 工事経歴書(直前1年分) 直前3年の施工金額 使用人数 誓約書 |
法人番号の記載が必須です。
工事経歴書は、決算変更届ですでに提出していても、更新申請時に改めて直近のものを求められるケースがあります。 誓約書では、役員全員が欠格要件に該当しないことを誓います。 |
| 確認資料(添付書類) | 定款の写し(法人の場合)
登記事項証明書(履歴事項全部証明書) 納税証明書(知事:事業税、大臣:国税) 登記されていないことの証明書 身分証明書 健康保険証の写し等 |
公的証明書は、原則として発行から3ヶ月以内の原本が必要です。
「登記されていないことの証明書」は法務局で、「身分証明書」は本籍地の市区町村で取得します。役員全員分が必要なので、本籍地が遠方の役員がいる場合は郵送請求の日数も計算に入れておく必要があります。 |
特に最近審査が厳しくなっているのが、役員や専任技術者の「常勤性」を証明する資料です。
これまでは健康保険証の写しだけで通っていた自治体でも、住民票の抄本や、賃金台帳の写し、出勤簿などをセットで求められるケースが増えています。
また、営業所の実態確認も厳格化しており、事務所の入り口(看板)、内部(執務スペース、固定電話、PC等)の写真を詳細に撮って提出しなければならないこともあります。
「レンタルオフィスやバーチャルオフィスでは許可が下りない」というのは有名な話ですが、更新時にも改めて「ちゃんとそこで営業しているか」がチェックされると思ってください。
(出典:東京都都市整備局『建設業許可申請の手引』)
建設業許可の更新にかかる法定費用と報酬相場
更新にはお金もかかります。大きく分けて「役所に納める手数料(法定費用)」と、手続きを依頼する「行政書士への報酬」の2つですね。
予算取りのためにも、相場感をしっかり把握しておきましょう。
まず法定費用ですが、これは誰がやっても必ずかかる費用です。金額は全国一律で決まっています。
知事許可・大臣許可ともに、1つの許可区分(一般または特定)につき50,000円です。
ここで注意が必要なのは、「一般」と「特定」の両方を持っている場合です。
例えば、「建築一式は特定、内装は一般」という会社さんの場合、これらは別々の許可としてカウントされるため、50,000円 × 2 = 100,000円の手数料が必要になります。知事許可の場合は都道府県の証紙や納付書で、大臣許可の場合は収入印紙で納めます。
次に行政書士報酬の相場ですが、これは事務所や地域、依頼する範囲によってピンキリです。
- 知事許可(一般)の更新:5万円〜10万円程度書類作成だけのプランなら安く、公的書類の収集まで丸投げするなら高くなります。
- 大臣許可や特定建設業の更新:10万円〜15万円程度営業所が全国にある場合や、財産要件のチェックが複雑なため、報酬も高めに設定される傾向があります。
これに加えて、住民票や納税証明書の取得実費(数千円〜)がかかります。
さらに、先ほどお話しした「決算変更届」を何年分も溜めてしまっている場合、その作成費用(1期あたり3万〜5万円程度)が別途加算されます。
5年分溜めていると、それだけで20万円近く上乗せされることも…。
コストを抑えるためにも、毎年の手続きは計画的に行いたいですね。
自分でやればタダ?
「5万円も払いたくないから自分でやる!」という社長さんもいらっしゃいますが、そのために手引きを読み込み、役所へ何度も足を運ぶ人件費と時間を考えたら、プロに任せた方が安上がりだった、というケースが大半です。時は金なり、ですよ。
建設業許可の更新と同時に行う一本化のメリット
建設業を長く営んでいると、「最初は建築一式だけ取ったけど、2年後に内装と塗装を追加した」というように、許可の取得時期がズレてしまうことがありますよね。
そうなると、許可の有効期間もバラバラになり、3年後に建築の更新、その2年後に内装の更新…と、しょっちゅう更新手続きをしなければならなくなります。
これは非常に面倒ですし、その都度、法定費用の5万円と行政書士報酬がかかってしまい、コスト的にも無駄が多いです。
そこで活用したいのが、更新のタイミングで行う「許可の一本化(有効期間の調整)」というテクニックです。
これは、いずれかの許可(例えば建築一式)の更新申請を行う際に、まだ有効期間が残っている他の許可(内装・塗装)についても同時に更新申請を行ってしまう方法です。
この場合、残っている期間を捨てて更新することになるため、一見損をしたように感じるかもしれませんが、これによってすべての許可の有効期間満了日が統一されます。
次回からは、5年に一度、まとめて更新手続きをすれば済むようになるので、長期的な管理コストや手間を大幅に削減できるんです。
「許可日がバラバラで管理が大変だな」と感じている方は、ぜひ今回の更新のタイミングで行政書士に「一本化したい」と相談してみてください。
建設業許可の更新で注意すべきリスクと法改正
「更新なんて、書類を出せば終わりでしょ?」と高を括っていませんか?
実は、更新のタイミングは、会社のリスク管理能力が試される最大の難所でもあります。
うっかりミスが会社の存続に関わる致命傷になることも…。
ここでは、最悪の事態である「許可失効」のリスクや、2025年に向けて激変する建設業界のルールについて、厳しめの現実をお伝えします。
建設業許可の更新期限切れで発生する許可失効
これだけは、何があっても絶対に避けなければなりません。
建設業許可において「うっかり忘れていました」は通用しません。
許可の有効期間満了日を1日でも過ぎれば、その許可は法律上、自動的に失効します。猶予期間はありません。
許可が切れるとどうなるか、想像してみてください。
まず、500万円以上の工事(建築一式なら1500万円以上)を請け負うことが即座にできなくなります。
もし無許可の状態で請け負ってしまった場合、建設業法第3条第1項違反(無許可営業)となり、「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」という非常に重い刑事罰が科される可能性があります。
さらに、情状が重いと判断されれば、その後5年間は新たな許可を取得できなくなる(欠格要件に該当する)リスクさえあるのです。
実務的な影響も甚大です。元請業者からは「許可がないなら契約できない」と取引を停止され、金融機関からは「コンプライアンスに問題あり」と判断されて融資を引き上げられるかもしれません。公共工事の入札資格も当然失います。
万が一、期限切れに気づいたら、直ちに500万円以上の新規契約をストップし、速やかに「新規許可申請」を行う必要があります。
これは更新に比べて審査期間が長く(知事許可でも1ヶ月以上)、財産要件の証明もゼロからやり直しです。許可番号も新しいものに変わってしまうため、名刺、ホームページ、契約書、封筒などの刷り直しコストも発生します。
たった1日の遅れが、数百万円の損失を生むこともあるのです。
建設業許可の更新時に求められる始末書の効力
「期限の30日前までに申請しなければならない」というルールがありますが、実際には様々な事情で遅れてしまうこともあるでしょう。
では、期限ギリギリ(例えば満了日の1週間前など)に申請する場合、どうなるのでしょうか。
多くの自治体では、窓口で「始末書(理由書)」の提出を求められます。
これは、「なぜ30日前までの規定を守れなかったのか」という理由と、「今後は二度としません」という反省、そして「今後は管理表を作って徹底します」といった再発防止策を記載した文書です。
「始末書を出せば許してもらえる」と思っている方も多いですが、これはあくまで行政側の温情的な運用による救済措置です。法的に提出が免除されているわけではありません。
始末書を提出することで、とりあえず申請は受け付けてもらえますし、有効期間内に受理されれば、新しい許可証が届くまでの間も営業は続けられます(これを「みなし業者」といいます)。
しかし、これは行政側に「法令遵守の意識が低い要注意業者」として記録されることを意味します。
常習的に遅れていると、次回の審査が厳しくなったり、行政指導の対象になったりする可能性もあります。
始末書はあくまで「最後の命綱」であり、本来は使うべきではないカードだと肝に銘じておいてください。
建設業許可の更新を自分でやる手間と見えない費用
コスト削減のために「自分で更新手続きをやろう(DIY)」と考える社長さんや事務担当者の方もいらっしゃいます。インターネットで様式をダウンロードできますし、決して不可能ではありません。
しかし、そこには「見えないコスト」が潜んでいることに気づいていないケースが多いんです。
まず、各都道府県が発行している数百ページにも及ぶ「建設業許可の手引き」を読み込む時間が必要です。
専門用語のオンパレードで、内容を理解して自社の状況に当てはめるだけで数日はかかるでしょう。
そして、いざ書類を作って役所の窓口に行っても、一発で受理されることは稀です。
「ここのハンコが足りない」「この証明書の期間が切れている」「工事経歴書の書き方が違う」と指摘され、何度も出直しを余儀なくされます。
役所の窓口は平日の昼間しか開いていませんから、そのたびに現場を抜けたり、事務仕事をストップさせたりしなければなりません。
社長の時給を仮に5,000円だとしましょう。勉強と書類作成に20時間、修正と提出のために役所へ3往復して10時間かかったとしたら、それだけで15万円分の見えないコスト(機会損失)が発生しています。
それなら、10万円払って行政書士に任せて、ご自身は本業で売上を作ったほうが、経済的合理性が高いと思いませんか?リスク管理の観点からも、餅は餅屋、プロの活用を強くおすすめします。
建設業許可の更新へ影響する2025年法改正と電子化
建設業界はいま、大きな変革期にあります。2025年に向けて、建設業法改正やデジタル化が急速に進んでおり、更新手続きにも大きな影響が出てきています。
まず、デジタル化の波です。国土交通省は「JCIP(建設業許可・経営事項審査電子申請システム)」の普及を強力に推し進めています。
これまでは何センチもの厚さになる紙の書類を役所に持ち込んでいましたが、今後はパソコンから電子申請するのが当たり前になります。
これには大きなメリットがあります。役所に行く必要がなく、システムのエラーチェック機能で単純な記載ミスも防げます。
しかし、利用するには「GビズIDプライム」というアカウントの取得が必須です。このID発行には印鑑証明書を使った厳格な審査が必要で、申請から発行まで2〜3週間かかることもあります。
更新期限直前になって「今回は電子でやろう!」と思っても、IDが間に合わなければアウトです。まだ取得していない方は、今のうちに手続きしておくことを強く推奨します。
また、2024年・2025年の建設業法改正も見逃せません。
特に重要なのが「社会保険加入の完全義務化」と「労務費の適正化」です。社会保険(健康・厚生・雇用)への加入は、もはや許可維持の絶対条件です。
未加入の場合、更新が認められないだけでなく、現場への入場も制限されるようになっています。
さらに改正法では、著しく低い労務費での契約を禁止する動きもあり、更新時の確認資料として、適正な賃金水準が守られているかを示す書類が必要になる可能性もあります。
(出典:国土交通省『建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)』)
東京都などで厳格化する建設業許可の更新審査実態
特に東京都などの都市部では、更新審査が年々厳格化しています。
背景には、ペーパーカンパニーや名義貸し、社会保険未加入業者を排除しようとする行政の強い意志があります。
例えば、営業所の実態確認です。
これままでは固定電話があればOKだったのが、最近では事務所の看板(テプラなど簡易なものはNG)、事務所内部の執務スペース、接客スペース、パソコンやコピー機などの事務機器が揃っていることがわかる写真の提出を求められることが増えています。
シェアオフィスや自宅兼事務所の場合、居住スペースと明確に区分されているかどうかが厳しくチェックされます。
また、高齢化に伴う対策として、70歳以上の役員や専任技術者の常勤性確認も変わりました。
70歳を超えると厚生年金の被保険者資格を喪失するため、標準報酬月額決定通知書などの一般的な資料では在籍確認ができなくなります。
これに代わる資料として、「厚生年金保険70歳以上被用者該当届」の控えや、直近の賃金台帳、出勤簿など、複数の資料を組み合わせて証明しなければなりません。
「5年前はこれで通ったから大丈夫だろう」という経験則は、もはや通用しません。
各自治体の最新の「手引き」を必ず確認するか、その地域の事情に詳しい専門家に相談することが、スムーズな更新の鍵となります。
建設業許可の更新を円滑に進めるための対策総括
長くなりましたが、最後に建設業許可の更新を失敗しないためのポイントをまとめます。
- 期限管理を徹底する:5年後の満了日をカレンダーに入れ、半年前にはアラートが鳴るようにスマホやスケジューラーに登録しましょう。
- 決算変更届を毎年出す:これが更新のパスポートです。税理士さん任せにせず、建設業専門の届出が終わっているか毎年確認してください。絶対に溜め込まないこと!
- 変更があったらすぐ届出:役員や技術者、営業所の所在地に変更があったら、その都度(2週間〜30日以内)変更届を出しましょう。これをサボると更新時に痛い目を見ます。
- 専門家を頼る:法改正やローカルルールの変化に対応するため、信頼できる行政書士をパートナーに持ちましょう。顧問契約までしなくても、更新の時だけでも相談できる相手がいると安心です。
建設業許可の更新は、御社が社会的な信用を守り、健全な経営を続けてきたことの証です。
早めの準備と確実な手続きで、次の5年も安心して事業を発展させていきましょう。この記事が、皆様の円滑な更新手続きの一助となれば幸いです。
