産業廃棄物収集運搬業許可を申請するとき、「自社はどの品目を取ればよいのだろう」と迷うことがあります。
産業廃棄物には基本となる20種類があります。ただし、20種類の一覧から品目名を選ぶだけでは、自社に必要な許可範囲を判断できない場合があります。
紙くずや木くずなど一部の種類には業種等の条件があり、机や設備のような複数素材からなる物では、複数の品目が関係することもあるためです。
まず押さえておきたいのは、次の3点です。
- 産業廃棄物の基本分類は20種類
- 必要な品目は、実際に運ぶ廃棄物や事業内容から確認する
- すでに許可がある場合も、今回運ぶ廃棄物が現在の許可範囲に含まれているか確認する
この記事では、20種類の一覧だけでなく、自社の場合に何を確認すればよいのかまで順番に解説します。
産業廃棄物収集運搬業許可そのものの仕組みや、自己運搬・地域・積替え保管を含む許可範囲から確認したい方は、産業廃棄物収集運搬業許可とは?制度の意味と基本をわかりやすく解説もあわせてご覧ください。
産業廃棄物収集運搬業許可の品目とは|まず「何を運ぶか」を確認
産業廃棄物収集運搬業許可については一般に「品目」という言葉が使われますが、制度上はまず産業廃棄物の種類を確認します。
産業廃棄物は、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、法令で定められたものです。環境省も現行制度について、産業廃棄物を法令等で定められた20種類などと整理しています。環境省「令和8年版 環境・循環型社会・生物多様性白書」
ここで注意したいのは、収集運搬業の許可を取得すれば、あらゆる産業廃棄物を自由に運べるわけではないことです。
実際に取り扱える種類は、許可申請時の事業計画などを踏まえて判断されます。施設や車両の構造等によって、取り扱えないものが除かれる場合もあります。東京都の公式FAQでも、取り扱える品目の限定は申請時の事業計画等に基づいて決定されると案内されています。東京都環境局「よくある質問 基本編」
そのため、
「20種類の中から、できるだけ多く選ぶ」
のではなく、
「自社が実際に何を運ぶ予定なのか」
から必要な許可範囲を考えることが重要です。
産業廃棄物の品目は基本20種類
基本となる産業廃棄物の種類は、次の20種類です。東京都環境局の公式一覧でも、法で直接定める6種類と政令で定める14種類の計20種類として整理されています。東京都環境局「産業廃棄物の種類」
| No. | 産業廃棄物の種類 | 確認上のポイント |
|---|---|---|
| 1 | 燃え殻 | あらゆる事業活動に伴うもの |
| 2 | 汚泥 | あらゆる事業活動に伴うもの |
| 3 | 廃油 | あらゆる事業活動に伴うもの |
| 4 | 廃酸 | あらゆる事業活動に伴うもの |
| 5 | 廃アルカリ | あらゆる事業活動に伴うもの |
| 6 | 廃プラスチック類 | あらゆる事業活動に伴うもの |
| 7 | ゴムくず | あらゆる事業活動に伴うもの |
| 8 | 金属くず | あらゆる事業活動に伴うもの |
| 9 | ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず | あらゆる事業活動に伴うもの |
| 10 | 鉱さい | あらゆる事業活動に伴うもの |
| 11 | がれき類 | あらゆる事業活動に伴うもの |
| 12 | ばいじん | あらゆる事業活動に伴うもの |
| 13 | 紙くず | 業種・発生状況等の条件あり |
| 14 | 木くず | 業種・発生状況等の条件あり |
| 15 | 繊維くず | 業種・発生状況等の条件あり |
| 16 | 動物系固形不要物 | 対象となる事業等の条件あり |
| 17 | 動植物性残さ | 対象となる事業等の条件あり |
| 18 | 動物のふん尿 | 対象となる事業等の条件あり |
| 19 | 動物の死体 | 対象となる事業等の条件あり |
| 20 | 1~19の産業廃棄物を処分するために処理したもので、それらに該当しないもの | 処理後に生じるもの |
20種類それぞれの定義や具体例をさらに詳しく確認したい方は、サイト内の産業廃棄物20種類の分類一覧と判断基準で詳しく整理しています。
このページでは、20種類そのものの詳細よりも、その中から収集運搬業許可で自社に必要な品目をどう確認するかを中心に見ていきます。
紙くず・木くずなど7種類は業種等も確認する
13~19の7種類は、単に材質が一致するだけで産業廃棄物になるとは限りません。
主な対象は次のとおりです。公的な一覧でも、これら7種類は「業種等が限定されるもの」として区分されています。
| 種類 | 主な対象となる業種・発生条件 |
|---|---|
| 紙くず | 建設業のうち工作物の新築・改築・除去に伴うもの、パルプ・紙・紙加工品製造業、新聞業、出版業、製本業、印刷物加工業に係るものなど |
| 木くず | 建設業のうち工作物の新築・改築・除去に伴うもの、木材・木製品製造業、パルプ製造業、輸入木材卸売業、物品賃貸業に係るものなど。貨物流通に使用した木製パレットは業種を問わず対象 |
| 繊維くず | 建設業のうち工作物の新築・改築・除去に伴うもの、一定の繊維工業から生じる天然繊維くずなど |
| 動植物性残さ | 食料品製造業、医薬品製造業、香料製造業で原料として使用した動植物に係る固形状の不要物 |
| 動物系固形不要物 | と畜場でとさつ・解体した獣畜や、食鳥処理場で処理した食鳥に係る固形状不要物 |
| 動物のふん尿 | 畜産農業に伴って生じるもの |
| 動物の死体 | 畜産農業に伴って生じるもの |
たとえば、飲食店から出る野菜くずだからという理由だけで、産業廃棄物の「動植物性残さ」になるわけではありません。
このように、何でできているかと、どの事業・場面から発生したかの両方を見る必要がある品目があります。
また、この20種類は産業廃棄物の基本分類です。
「20種類のどれに当たるか」と「自社の収集運搬業許可で取り扱えるか」は、分けて確認しましょう。
自社で必要な許可品目を確認する4つのポイント
自社に必要な品目を確認するときは、20種類を上から順番に選ぶより、実際に運ぶ廃棄物から逆算した方が整理しやすくなります。
次の4点を順番に確認してみましょう。
1.実際に何を運ぶのかを具体的にする
最初に整理するのは、実際に排出される物です。
現場では、
- 廃材
- 解体ごみ
- 工場ごみ
- 不用品
- 廃設備
などの呼び方が使われることがあります。
しかし、こうした通称だけでは、許可上どの種類が関係するのか判断できないことがあります。
まずは、
- 何でできている物なのか
- どのような状態なのか
- 単一の素材なのか、複数素材なのか
を具体的にしていきます。
2.どのような事業・場面から出るのかを確認する
次に確認したいのが、その廃棄物がどのような事業や場面から発生したのかです。
紙くずや木くずなどには、対象となる業種等が限定されているものがあります。
そのため、
「何でできているか」だけでなく、「どこから、どのように出たのか」
も品目を考える重要な材料です。
一覧表で材質が一致したからといって、そこで判断を終わらせないようにしましょう。
3.複数の品目が関係しないか確認する
机、家具、設備、建築物の一部など、一つの物に複数の素材が使われているケースがあります。
このような物は、必ずしも一つの品目だけで整理できるとは限りません。
東京都の公式案内でも、産業廃棄物は20種類のいずれか、または混合物として排出することが示されています。東京都環境局「産業廃棄物の種類」
たとえば、金属とプラスチックから構成されている物では、金属くずと廃プラスチック類など、複数の種類が関係する可能性があります。
したがって、
「これは○○という製品だから、許可品目は○○だけ」
と製品名だけから決めないことが大切です。
4.石綿・水銀・特別管理産業廃棄物などの追加確認がないか見る
通常の20種類を確認しただけでは、判断を終えない方がよい廃棄物もあります。
代表的なのが、
- 石綿が関係する廃棄物
- 水銀が関係する廃棄物
- 特別管理産業廃棄物に該当する可能性があるもの
です。
こうした廃棄物では、通常の品目名とは別に確認すべき区分があります。
つまり、自社に必要な許可範囲を確認するときは、
実際に運ぶ物
↓
発生した事業・場面
↓
混合・複合の有無
↓
石綿・水銀等の特殊な区分
↓
申請予定または現在の許可範囲
という順番で整理すると、確認すべき点を見つけやすくなります。
この順序は法律上定められた判定式ではありません。品目確認の漏れを減らすための整理方法として活用してください。
小野馨の一言
品目一覧を見ると、最初から「何品目申請するか」を考えたくなります。しかし、その前に「実際に何を運ぶ予定なのか」を具体的にしておく方が、必要な許可範囲を整理しやすくなります。分からない物まで無理に品目へ当てはめず、判断に必要な情報を整理してから確認していくことが大切です。
「将来使うかもしれない品目」まで申請した方がよい?
許可申請をするとき、
「今後扱う可能性があるので、できるだけ多くの品目を入れておいた方が安心では?」
と考えることもあるでしょう。
しかし、許可される取扱範囲は、申請者が希望する種類を並べればそのまま決まるものではありません。
許可申請時の事業計画などに基づいて判断され、車両や施設の構造等との関係で取り扱えないものが除かれる場合もあります。東京都環境局「産業廃棄物収集運搬業及び処分業の許可申請・届出等」
そのため、まず整理したいのは、
- 現在どのような廃棄物を扱う予定なのか
- どのような排出事業者から受託する予定なのか
- どこへ運搬する予定なのか
- どのような車両等で運搬するのか
といった実際の事業計画です。
「品目数を増やすこと」ではなく、予定している事業と必要な許可範囲を一致させることを優先しましょう。
石綿・水銀・特別管理産業廃棄物は20種類だけで判断しない
石綿を含む廃棄物
石綿を含んでいる廃棄物が、すべて特別管理産業廃棄物になるわけではありません。
石綿関係では、
- 石綿含有産業廃棄物
- 廃石綿等
を区別して確認する必要があります。
環境省も、石綿含有産業廃棄物と廃石綿等について、それぞれ別の定義を示しています。環境省「廃棄物処理法における廃石綿等の基準等について」
廃石綿等は特別管理産業廃棄物に該当しますが、石綿含有産業廃棄物は廃石綿等とは別の区分です。
石綿が関係する場合は、「がれき類」「廃プラスチック類」など通常の20種類だけを見て判断を終えないようにしましょう。
水銀が関係する廃棄物
水銀についても、通常の産業廃棄物の種類に加えて確認が必要になる場合があります。
水銀使用製品産業廃棄物や水銀含有ばいじん等への該当も確認する必要があるためです。
環境省では、2026年3月版の「水銀廃棄物ガイドライン第5版」を含む水銀廃棄物の公式情報を公開しています。環境省「水銀廃棄物関係」
具体的な申請上の取扱いは、申請先自治体の最新案内も確認してください。
特別管理産業廃棄物は別の許可
通常の産業廃棄物収集運搬業許可と、特別管理産業廃棄物収集運搬業許可は別の許可です。東京都の公式FAQでも、両者は別の許可であることが明示されています。東京都環境局「よくある質問 基本編」
そのため、
「産業廃棄物収集運搬業許可を持っているから、特別管理産業廃棄物も運べる」
とは判断できません。
特別管理産業廃棄物に当たる可能性がある場合は、通常の品目確認とは別に許可区分を確認しましょう。
すでに許可がある場合は「今回の廃棄物が範囲内か」を確認する
すでに産業廃棄物収集運搬業許可を持っている事業者も、新しい案件を受ける際には品目確認が必要です。
見るべきなのは、
「許可を持っているか」ではなく、「今回運搬する廃棄物が現在の許可の事業の範囲に含まれているか」
です。
新しい案件を受ける前には、少なくとも次の順番で確認すると整理しやすくなります。
- 実際に何が排出されるのか確認する
- どの種類の産業廃棄物に当たるのか確認する
- 現在の許可内容にその種類が含まれているか確認する
- 石綿・水銀・特別管理産業廃棄物など、追加確認事項がないか確認する
「産廃の許可があるから大丈夫」とだけ考えず、案件ごとに許可範囲との対応を確認しましょう。
現在の許可にない品目を追加したい場合
事業を続けていると、
「これまで扱っていなかった産業廃棄物も運びたい」
という場面が出てくることがあります。
産業廃棄物収集運搬業者が事業の範囲を変更する場合は、廃棄物処理法第14条の2第1項に基づく変更許可の手続があります。環境省も「産業廃棄物収集運搬業の事業範囲の変更の許可」として正式に案内しています。環境省「産業廃棄物収集運搬業の事業範囲の変更の許可」
東京都の案内でも、取り扱う廃棄物の種類を増やす場合等は変更許可申請が必要とされています。車両変更等の変更届とは区別されています。東京都環境局「許可申請・届出等」
新しい品目を扱う予定が生じたら、
現在の許可内容を確認する
↓
新たに扱う廃棄物の種類を確認する
↓
申請先自治体の最新手引きで変更許可の手続を確認する
という順序で進めましょう。
サイト内では、産業廃棄物収集運搬業の変更届・変更許可の違いと手続も詳しく解説しています。
許可範囲にない品目について、「変更届だけでよい」と自己判断しないことが重要です。
品目が分からないときは、何を整理して確認すればよい?
20種類の一覧を見ても、自社が扱う廃棄物の品目を判断できないケースはあります。
その場合は、無理に一つの品目へ当てはめるのではなく、次の情報を整理してください。
- 実際に廃棄する物は何か
- 主な材質や構成物は何か
- 単一素材か、複数素材からなる物か
- どのような事業・工程・場面から発生したか
- 石綿、水銀など特別に確認すべき性質がないか
- すでに許可がある場合、その種類が現在の事業範囲に入っているか
内容物や性状そのものが分からない場合には、排出事業者や製品メーカー等への確認が必要になることもあります。
ここまで整理しても判断できない部分は、申請先・管轄行政庁へ確認しましょう。
専門家へ相談する場合も、単に「このゴミは何品目ですか」と尋ねるより、何を、どの事業から、どのような状態で運ぶ予定なのかを整理しておくと確認を進めやすくなります。
よくある質問
産業廃棄物収集運搬業許可の品目は全部で何種類ですか?
基本となる産業廃棄物の種類は20種類です。
ただし、紙くずや木くずなど一部には業種等の条件があります。また、石綿、水銀、特別管理産業廃棄物など、通常の20種類を確認しただけでは判断を終えられないケースもあります。
許可品目は多いほどよいのでしょうか?
単純に「多いほどよい」とは言えません。
実際に許可される取扱範囲は申請時の事業計画などを踏まえて判断され、車両や施設の構造等との関係で取り扱えないものが除かれる場合もあります。
品目数ではなく、実際の事業計画に必要な許可範囲を整理することが重要です。
「混合廃棄物」は一つの許可品目ですか?
複数の素材から構成されている廃棄物では、複数の産業廃棄物の種類が関係することがあります。
「混合廃棄物」という呼び方だけから一つの品目を決めず、何が含まれているのかを確認してください。
産業廃棄物の品目は「20種類を知る」だけでなく「自社の許可範囲へ当てはめる」
産業廃棄物収集運搬業許可の品目を考えるとき、まず20種類の一覧を確認することは大切です。
しかし、そこで終わりではありません。
必要なのは、
実際に運ぶ物を確認する
↓
発生した事業・場面や構成素材等を確認する
↓
必要な産業廃棄物の種類を整理する
↓
申請予定または現在の許可範囲と照合する
という流れです。
特に、
- 業種等によって扱いが変わるもの
- 複数素材からなる物
- 石綿や水銀が関係する物
- 特別管理産業廃棄物の可能性がある物
- 現在の許可にない新しい品目
は、一覧だけで判断を終えないようにしましょう。
自分で確認できる場合は、対象となる廃棄物や事業内容を整理したうえで、公的資料や申請先自治体へ確認できます。
一方、
- 複数の品目が関係して整理しにくい
- 新規申請でどの品目を申請範囲に入れるべきか整理したい
- 現在の許可で新しい案件を受けられるか分からない
- 品目追加に変更許可が必要か確認したい
といった場合は、産業廃棄物収集運搬業許可を扱う行政書士へ個別に相談する方法もあります。
相談するときは、**「何を、どこから、どのような状態で運ぶ予定なのか」**を整理しておくと確認を進めやすくなります。
当サイトへの個別のご相談は、産業廃棄物許可のお問い合わせフォームからお送りいただけます。


