建設業許可「解体工事」の要件と費用を解説!登録との違いは?

こんにちは

行政書士の小野馨です。

ここ数年、全国的な空き家問題の深刻化や、高度経済成長期に建てられたビルの建替え需要などで、「解体工事」のニーズが爆発的に急増していますね。

私の事務所にも、「これから解体業を本格的に始めたいんだけど…」という相談が後を絶ちません。

でも、いざ始めようとすると、

「解体工事をやるには許可が必要なの?それとも登録だけでいいの?」

「昔取った『とび・土工』の許可があるから大丈夫でしょ?」

といった疑問や、勘違いしやすいポイントがたくさん出てきます。

実は、請負金額や工事の規模、そして法改正のタイミングによって、必要な手続きがガラリと変わるんです。

注意ポイント

ここを間違えると、知らず知らずのうちに無許可営業になってしまい、営業停止処分などの重いペナルティを受けるリスクもあります。

この記事では、建設業許可と解体工事業登録の決定的な違いから、2021年の経過措置終了に伴う複雑な技術者要件、そして気になる費用や申請手続きの裏側まで、現役の行政書士としての現場の視点を交えながら、どこよりも分かりやすく、かつ深く掘り下げてお話しします。

  • 建設業許可と解体工事業登録の明確な違いと「500万円の壁」の落とし穴
  • 2021年の経過措置終了で「とび・土工」許可が通用しなくなった理由
  • 許可取得にかかる法定費用と、プロに依頼した場合の報酬相場のリアル
  • スムーズな申請のために準備すべき「10年分の書類」と手続きの全体像

建設業許可書が必要な解体工事の要件と登録の違い

解体工事を仕事として請け負う場合、大きく分けて「建設業許可」を取るか、「解体工事業登録」をするかの二択になります。

これは「どっちでも好きな方を選んでいい」という話ではありません。

あなたが請け負う工事の規模や、今後の事業展開によって、法律で明確にルールが決まっているのです。

まずはこの「運命の分かれ道」となる基準と、許可を取るために乗り越えなければならないハードル(要件)について、徹底的に解説していきます。

500万円以上の解体工事に必要な許可と登録の区分

解体工事をビジネスとして行う上で、最初にぶつかる壁にして、最も基本的かつ重要なルールがこの「許可」と「登録」の区分けです。

判断基準は非常にシンプルで、請け負う工事の代金が「税込500万円」以上か未満か、これに尽きます。ただ、このシンプルさゆえに、現場では意外と誤解されていることが多く、知らず知らずのうちに法律違反を犯してしまっているケースも少なくありません。

まず、工事1件あたりの請負代金が500万円未満(税込)の場合についてです。

この規模の工事であれば、建設業法上の「許可」は必須ではありません。

その代わり、「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(通称:建設リサイクル法)」という別の法律に基づき、工事を行う現場を管轄する都道府県知事に「解体工事業登録」を行う義務があります。

この「解体工事業登録」は、建設業許可に比べると要件がかなり緩やかです。

例えば、実務経験の証明期間が建設業許可よりも短かったり、財産要件(500万円の資金証明など)が問われなかったりと、新規参入のハードルは低く設定されています。

そのため、内装解体や木造家屋の取り壊しなど、比較的規模の小さい工事をメインに行う事業者さんの多くは、まずこの登録からスタートして実績を積んでいくのが一般的です。

費用も安く済むため、開業初期の負担を抑えられるのも大きなメリットですね。

しかし、税込で500万円以上の工事を一度でも請け負う可能性があるなら話は全く別です。この場合は、建設業法に基づく「建設業許可(解体工事業)」が絶対に必要になります。

「登録」だけでは、どれだけ技術があっても、どれだけお客様から信頼されていても、500万円以上の工事を請けることは法律上できません。

【要注意】税込価格と付帯工事の罠
ここで特に注意したいのが、「税込」という点と「工事の分割禁止」のルールです。

例えば、税抜価格で460万円の工事を受注したとします。これに消費税10%を加えると506万円となり、建設業許可がないとアウトです。

「税抜なら500万いってないから大丈夫だろう」という甘い認識で工事を請け負ってしまうと、一発で建設業法違反(無許可営業)となり、営業停止処分や最悪の場合は逮捕といった重いペナルティを受けることになります。

また、「足場工事や廃棄物処理費は別契約にすればいいの?」という質問もよく受けますが、これもNGです。

建設業法では、許可逃れのために正当な理由なく請負契約を分割することを禁じています。

足場代、材料費、運搬費など、その工事を完成させるために必要な費用はすべて合算して判断されるため、見積もりの出し方には細心の注意が必要です。

ちなみに、すでに「土木工事業」や「建築工事業」の建設業許可を持っている業者さんは、500万円未満の解体工事であれば、建設リサイクル法の特例により、新たに「解体工事業登録」をする必要はありません。

許可を持っていれば登録は不要、という上位互換の関係にあるからです。

しかし、土木や建築の許可を持っていても、「解体工事業」の許可(業種追加)をしていなければ、500万円以上の解体工事はできません。

ここ、非常に混同しやすいので注意してくださいね。

さらに詳しい登録の要件や制度の趣旨については、国土交通省の公式ページで一次情報を確認できます。
(出典:国土交通省『建設リサイクル法の概要』)

2021年の経過措置終了で変わる技術者要件

「うちは昔から『とび・土工』の許可を持ってるから、解体工事も自由にできるよ」と考えている親方や社長さん、いらっしゃいませんか?実はその知識、今すぐにアップデートしないと大変なことになります。

ポイント

かつて解体工事は「とび・土工・コンクリート工事業」の一部として扱われていましたが、2016年(平成28年)6月の建設業法改正で、約40年ぶりに新しい専門業種「解体工事業」として独立しました。

この業種独立は、解体工事における安全管理やアスベスト対策、リサイクルの重要性が増したことによる国の方針転換です。

この改正に伴い、既存業者への激変緩和措置として「経過措置期間」が設けられていました。

具体的には、2016年時点で「とび・土工」の許可を持っていた業者は、一定期間そのまま解体工事ができたり、とび・土工の技術者を解体工事業の技術者としてみなしたりする特例があったのです。

しかし、この経過措置は2021年(令和3年)6月30日をもって完全に終了しています。

注意ポイント

最重要・注意点
現在(2024年以降)、とび・土工工事業の許可しか持っていない業者が、500万円以上の解体工事を請け負うことは法律で明確に禁止されています。これを行うと無許可営業となります。

つまり、今から500万円以上の解体工事を行いたい場合は、必ず正規の「解体工事業」の許可(または業種追加)を取得しなければなりません。

このルール変更を知らずに、「今まで大丈夫だったから」「周りの業者もみんなそうだから」と営業を続けていると、ある日突然、元請業者から「お宅、解体の許可持ってないの?じゃあコンプライアンス的に発注できないよ」と取引を停止されたり、行政の立ち入り検査で指摘されたりするリスクがあります。

特にコンプライアンスに厳しい大手ゼネコンやハウスメーカーは、この点を徹底的にチェックしています。

特に影響が大きいのが技術者の要件です。

経過措置期間中は「とび・土工」の実務経験や資格でも解体工事業の専任技術者になれましたが、現在は「解体工事そのものの実務経験」や「解体工事に対応した資格」が厳密に求められます。

「みなし規定」はもう使えません。「とびの許可があるから大丈夫」というのは過去の話だと肝に銘じておいてください。

もし、お手元の建設業許可証を確認して「許可の有効期間」は残っていても、業種の欄にある「解体」の文字に〇がついていなければ、それは解体工事ができない許可証です。

早急に行政書士に相談して業種追加の手続きを進めることを強くおすすめします。

経過措置終了に関する詳細なアナウンスは、各自治体からも出されていますので確認しておきましょう。
(出典:埼玉県『解体工事業に係る経過措置(専任技術者の経過措置)終了のお知らせ』)

専任技術者に必要な国家資格と実務経験の壁

建設業許可の申請において、最も高いハードルとなり、多くの事業者が頭を悩ませるのが「専任技術者(センギ)」の確保です。

営業所ごとに常勤で配置しなければならないこの技術者ですが、解体工事業においては、資格や実務経験の条件が少々複雑になっています。

他の業種と違い、法改正の影響を色濃く受けているため、「持っている資格が使えるかどうか」の判定が非常にシビアなのです。

まず、専任技術者になるためのルートは大きく分けて「国家資格」と「実務経験」の2つがあります。

国家資格を持っているのが一番手っ取り早く、証明も簡単ですが、ここにも大きな落とし穴があります。

資格名 合格年度・条件 専任技術者になれるか?
1級土木施工管理技士
1級建築施工管理技士
全年度 〇 なれる
(特定・一般ともに可)
2級土木施工管理技士(土木)
2級建築施工管理技士(建築・躯体)
平成28年度(2016年度)以降合格 〇 なれる
(一般建設業のみ)
平成27年度(2015年度)以前合格 △ 条件付き
※「登録解体工事講習」の受講 または 実務経験1年が必要
技術士(建設部門等) 全年度 〇 なれる
とび技能士(1級) - △ 条件付き
※解体工事の実務経験が必要な場合あり

表の中で特に注意してほしいのが、「2級施工管理技士」の合格年度です。

平成27年度以前の試験には「解体工事」という種目がカリキュラムに含まれていなかったため、この時期に資格を取った方は「土木や建築の知識はあるけれど、解体の専門知識が十分にあるとは言えない」とみなされてしまいます。

そのため、資格を持っているだけではダメで、別途「登録解体工事講習」を受講するか、あるいは「解体工事の実務経験が1年以上あること」を追加で証明しなければならないのです。

この「登録解体工事講習」は、公益社団法人全国解体工事業団体連合会などが実施していますが、いつでもどこでも受けられるわけではありません。

開催日程や場所が限られているため、「申請しようと思ったら講習が終わっていた!」「次の開催は半年後だった!」なんてことにならないよう、早めのスケジュール確認が必須です。

一方、資格がない場合は「実務経験」で勝負することになります。

基本は「10年以上の実務経験」です。学歴(指定学科卒業)によっては3年~5年に短縮されますが、多くの方は10年の証明が必要になります。

ここで最大の問題になるのが、「解体工事の実績をどうやって証明するか」です。単に「解体現場にいました」と言うだけでは役所は認めてくれません。

実務経験証明のポイント
過去10年分の工事契約書、注文書、請求書などを引っ張り出してくる必要があります。しかも、その工事名に明確に「解体」の文字が入っていないと認められないケースが多いです。

「改修工事一式」や「リフォーム工事」といった名称の場合、見積書や図面を添付して「この工事の中に解体が含まれていた」ことを立証しなければならず、書類作成の難易度が格段に上がります。

講習の実施機関や日程については、以下の公式サイトで最新情報をチェックしてください。

(出典:国土交通省『登録解体工事講習の実施機関一覧』)

経営業務の管理責任者に求められる5年の実績

技術者の次は、会社の経営を担う「経営業務の管理責任者(通称:経管・ケイカン)」の要件です。

建設業は請負金額が大きく、工期も長いため、安定した経営能力がない会社に許可を出してしまうと、倒産や工事放棄などで発注者や下請業者に多大な迷惑をかける恐れがあります。

そこで、「建設業の経営経験があるベテラン役員」の配置を求めているわけです。

基本ルールとして、建設業(解体業に限らず、どの業種でもOK)の経営業務に関し、5年以上の経験があることが求められます。

法人の場合は常勤の役員(取締役など)、個人事業主の場合は事業主本人がこれに該当する必要があります。

「5年」というのは結構長いです。

例えば、これから独立して会社を作る場合、自分に5年の経営経験がなければ、経験のある人を役員として外部から招き入れるしかありません。

また、経験を証明するためには、過去5年分の「確定申告書(法人の場合は決算書の表紙や役員報酬明細)」や「工事請負契約書」といった客観的な資料の原本提示が求められます。

「実は経験があるんですが、書類は捨てました」「知り合いの会社を手伝っていただけなので書類はありません」では絶対に通用しない世界なのです。

ここで重要なのが、解体工事業特有の事情です。解体業は他業種からの参入も多い分野ですが、

例えば「産業廃棄物処理業」や「不動産業」としての経営経験は、原則として建設業の経営経験にはカウントされません。

あくまで「建設工事の請負」を行っていた期間のみが対象となります。

そのため、産廃業者が解体業許可を取ろうとする場合、過去に「建設工事として」解体を請け負っていた実績(契約書など)があるかどうかが審査の分かれ目になります。

異業種から参入される場合は、ご自身の経歴が建設業法上の「経営経験」に該当するかどうか、慎重に確認する必要があります。

緩和措置について
2020年の建設業法改正で、経営業務の管理責任者の要件が少し緩和されました。「組織としての経営管理体制」が整っていれば、一人の役員に全ての経験がなくても、補佐する人を置くことで認められるケースが出てきました(例えば、役員経験2年+補佐経験3年など)。
ただ、この緩和措置を使って申請するのは書類が非常に複雑になるため、基本的には「5年以上の役員経験がある人」を見つけるか、育てるのが一番の近道かなと思います。

財産的基礎や誠実性など欠格要件のチェック

人(技術者・経営者)の要件をクリアしたら、次は「お金(財産的基礎)」と「信用(誠実性・欠格要件)」です。

解体工事は重機のリース代や燃料費、そして何より高額になりがちな産業廃棄物の処分費など、工事代金が入ってくる前に多額の支払いが発生するビジネスモデルです。

そのため、資金ショートして工事が止まることがないよう、最低限の資金力が求められます。

一般建設業許可の場合、以下のいずれかを満たす必要があります。

  1. 直前の決算において、自己資本(純資産の額)が500万円以上あること
  2. 500万円以上の資金調達能力があること(銀行の残高証明書などで証明)

創業直後の会社や、赤字決算で純資産が500万円を割っている会社でも、諦める必要はありません。

申請の直前に銀行口座に500万円以上の現金を一時的に用意し、銀行から「残高証明書」を発行してもらえれば、この要件はクリアできます

(※残高証明書の有効期限は発行から約1ヶ月なのでタイミングに注意!)。

そして最後に「欠格要件」です。

これは「許可を与えてはいけない人」のブラックリストのようなものです。

特に解体業界は、過去に不法投棄やミンチ解体(分別せずに壊すこと)、強引な取り立てなどでトラブルになるケースがあったため、コンプライアンス面が厳しくチェックされます。

具体的には以下のような場合、許可は下りません。

  • 申請書に虚偽の記載をした場合
  • 役員や事業主、支配人などが「暴力団員」である、または暴力団員でなくなってから5年を経過していない場合
  • 禁錮以上の刑に処せられ、刑の執行が終わってから5年を経過していない場合
  • 建設業法違反だけでなく、暴力行為等処罰法、傷害罪、脅迫罪などで罰金刑を受け、5年を経過していない場合

さらに、解体業者として特に気を付けたいのが、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」「建設リサイクル法」違反による罰金刑も、欠格要件に含まれる可能性がある点です。

過去にマニフェストの不交付や不法投棄で処罰を受けていると、5年間は建設業許可が取れない場合があります。

「誠実性」という言葉も要件に含まれており、請負契約に関して詐欺や脅迫を行うおそれがないことも求められます。

これらの厳しい審査をパスしているからこそ、建設業許可業者は社会的な信用が高いと言えるんですね。

建設業許可書の解体工事申請にかかる費用と手続き

ここまで読んで「よし、要件はなんとかなりそうだ!」と思ったあなた。次は具体的な申請手続きと、それに掛かる費用の話です。建設業許可はタダでは取れませんし、書類作成の手間も相当なものです。事前にコスト感と労力を把握し、計画的に進めることが大切です。

新規申請や更新時に発生する法定費用の相場

建設業許可を取得する際、役所(都道府県や国)に支払う手数料のことを「法定費用」と言います。これは自分たちで必死に書類を作って申請しても、行政書士等のプロに依頼しても、必ず同額がかかる実費です。金額は「知事許可か大臣許可か」「新規か更新か」によって異なります。

申請区分 知事許可
(1つの都道府県のみに営業所)
大臣許可
(2つ以上の都道府県に営業所)
新規許可 90,000円 150,000円
更新(5年ごと)
業種追加
50,000円 50,000円

ほとんどの地場解体業者さんは、営業所が1箇所または同一県内にあるケースが多いので、「知事許可の新規」で9万円を用意することになります。支払いは、収入証紙や現金など自治体によって方法が違うので事前の確認が必要です。

ここで一つポイントなのが、「業種追加」です。すでに「とび・土工」などの許可を持っていて、そこに「解体」を追加する場合は、新規ではなく業種追加扱いとなり、手数料は5万円で済みます。新規で取るより少しお得ですね。

手数料は戻ってこない!?
万が一、書類の不備や要件不足で審査に落ちて「不許可」になった場合でも、一度納めたこの手数料(9万円や5万円)は原則として返還されません。だからこそ、申請前の「要件確認」が何よりも重要なんです。イチかバチかで申請するのは絶対にやめましょう。

行政書士へ依頼する場合の報酬額とメリット

「法定費用は分かったけど、専門家に頼むといくらかかるの?」ここ、一番気になりますよね。建設業許可の申請書類は、東京都の例で見ても20種類以上、ページ数にして数十枚から百枚近くになることもあります。これを本業の合間に作成し、公的書類を集め、役所の窓口で事前相談や修正対応をするのは、正直言って骨が折れます。

そこで行政書士に依頼する場合の報酬相場(目安)は以下の通りです。

  • 新規許可(知事・一般):12万円 〜 20万円程度
  • 業種追加(知事・一般):7万円 〜 10万円程度
  • 解体工事業登録のみ:3万円 〜 5万円程度

「うーん、ちょっと高いな…」と感じるかもしれません。でも、行政書士に依頼するメリットは単なる「代書」だけではありません。最大のメリットは「要件診断の正確さ」「証明資料の収集・構成力」です。

特に解体業の場合、実務経験の証明が鬼門です。過去の膨大な書類の中から「解体工事として認められる請求書」を選び出し、不足があれば「工事台帳」や「発注証明書」を補完資料として作成し、審査官を納得させるストーリーを組み立てる。このノウハウは一朝一夕では身に付きません。自分たちでやって何度も役所に足を運び、そのたびに「これじゃ証明になりません」と突き返されて心が折れる…という時間と労力を考えれば、プロに任せて最短ルートで許可を取る方が、結果的にコストパフォーマンスが良いケースがほとんどですよ。

(出典:日本行政書士会連合会『報酬額統計調査結果(令和2年度)』)

既存許可に解体工事業を業種追加する申請手順

すでに建設業許可(例えば「土木」や「とび・土工」)を持っている会社が、事業拡大のために「解体」も取ろうとするケース。これは新規申請ではなく「業種追加(ぎょうしゅついか)」という手続きになります。解体需要の高まりを受けて、このパターンでの申請が非常に増えています。

業種追加の最大のメリットは、会社としての共通要件(経営業務の管理責任者、財産的基礎、欠格要件など)の審査が一部省略、あるいは簡略化される点です。すでに許可業者としての実績があるわけですから、そこは信頼されているわけですね。「お金の証明(500万円)」も、既存の許可の更新時などにチェックされているため、改めて証明する必要がない場合が多いです(自治体によります)。

手続きのメインになるのは、「解体工事業の専任技術者の証明」です。これだけはゼロから厳格に審査されます。手順としては以下のようになります。

  1. 技術者要件の確認:社内に解体の資格者(1級土木、講習受講済みの2級土木など)や、10年の解体実務経験者がいるか確認。
  2. 証明書類の収集:資格証の原本、または過去の実務経験を証明する契約書等を準備。実務経験の場合は、既存許可取得後の経験もカウントできます。
  3. 申請書の作成:「専任技術者証明書(様式第八号)」などを新たに作成。
  4. 役所へ提出:手数料5万円(証紙等)を添えて申請。

注意点として、業種追加をしても、もともとの許可の有効期限(5年)は延びません。例えば、既存の許可があと1年で切れるタイミングで業種追加をすると、追加した解体の許可もあと1年で一緒に切れてしまい、すぐに更新手続きが必要になります。これだと手数料や手間が二重にかかってしまいますよね。

そこでおすすめなのが、「更新と同時に業種追加をする」というテクニック(一本化)です。更新のタイミングに合わせて解体を追加すれば、全ての業種の期限を揃えられ、管理も楽になります。タイミングが近い場合はぜひ検討してみてください。

申請に必要な実務経験証明書や確認書類の準備

建設業許可申請で最も申請者が苦しむのが、この書類準備です。特に国家資格ではなく、「10年の実務経験」で技術者要件を通そうとする場合、その難易度は跳ね上がります。ここをクリアできるかどうかが許可取得の最大の山場と言えるでしょう。

まず、「実務経験証明書(様式第九号)」という書類を作成し、過去10年間にどのような解体工事を行ってきたかを記載します。しかし、役所は「紙に書いてあること」を簡単には信じてくれません。「本当にその工事をやったのか?」「その期間、技術者は会社に在籍していたか?」を裏付ける資料(疎明資料)を求められます。

ここが落とし穴!準備すべき裏付け資料の例
1. 工事の契約書類原本:
工事請負契約書、注文書、請求書+入金通帳など。原則として1年につき1件以上、10年分なら最低10件以上の原本提示が必要です。「原本」というのがポイントで、コピーではダメなケースが多いです。
2. 工事内容の明確さ:
請求書の品名が単に「工事一式」や「雑工事」となっていると、それが解体工事なのか分かりません。「○○邸 木造家屋解体工事」のように具体的に書かれているものを選ぶか、見積書や図面をセットにして「この工事は解体工事でした」と説明する必要があります。
3. 常勤性の確認:
その期間、技術者が会社に在籍していたことを証明するために、過去の厚生年金被保険者記録や確定申告書(給与明細)なども必要になります。

これらを10年分遡って整理するのは至難の業です。「5年前の請求書なんて倉庫の奥底だよ…」なんてこともザラにあります。だからこそ、日頃から契約書や請求書をきちんと整理・保管しておくこと、そして工事名は具体的に記載しておくことが、将来の許可取得への一番の近道になるんです。

知事許可と大臣許可や一般と特定の選び方

最後に、許可の「種類」の選び方を整理しておきましょう。自分の会社がどれに当てはまるか、間違えないように選定する必要があります。

【知事許可 vs 大臣許可】
これは「営業所(本店や支店など、契約締結権限のある場所)がどこにあるか」で決まります。

  • 知事許可:1つの都道府県内のみに営業所がある場合。
    (例:東京都千代田区に本店、東京都八王子市に支店 → 東京都知事許可)
    ※ここ重要!知事許可でも、工事自体は全国どこでも施工できます。「他県で工事したいから大臣許可が必要」というのは間違いです。
  • 大臣許可:2つ以上の都道府県にまたがって営業所がある場合。
    (例:東京都に本店、神奈川県に支店 → 国土交通大臣許可)

【一般建設業 vs 特定建設業】
これは「下請に出す金額の大きさ」で決まります。

  • 一般建設業許可:ほとんどの業者はここからスタート。下請を使わない、あるいは下請に出す金額が少ない場合はこれでOK。
  • 特定建設業許可:元請(発注者から直接請け負う)として工事を受注し、その工事の一部を下請に出す際、下請代金の総額が4,500万円以上(建築一式工事の場合は7,000万円以上)になる場合に必要。
    ※ビル一棟の解体などで、一次下請に足場、産廃運搬、内装解体などをまとめて発注すると4,500万円を超えるケースがあります。そのような大規模工事の元請になりたい場合は「特定」が必要ですが、財産要件(資本金2,000万円以上など)が非常に厳しくなります。

建設業許可書による解体工事の信頼性向上まとめ

長々とお話ししてきましたが、建設業許可「解体工事」を取得することの意義は、単に「500万円以上の大きな工事ができるようになる」という法的メリットだけではありません。

建設業許可を持っているということは、「国や都道府県が定めた厳しい基準(経営能力、技術力、財産的信用、誠実性)をすべてクリアした優良な企業である」という強力な証明になります。特に解体業界は、不法投棄などのイメージから施主様が不安を感じやすい分野でもあります。そんな中、「許可業者」であることは、元請業者や施主様に対する最大のアピールポイントとなり、選ばれる理由になります。

また、銀行融資の審査が有利になったり、公共工事の入札に参加するための第一歩(経営事項審査)になったりと、会社の成長スピードを加速させるチケットにもなります。まずは「解体工事業登録」から始めて実績を積み、要件が整い次第「建設業許可」へステップアップする。これが解体工事業者の王道の成長戦略です。

要件は複雑で書類も大変ですが、取得した先には大きなビジネスチャンスが待っています。この記事が、あなたの会社のさらなる飛躍の一助になれば嬉しいです。もし自分たちだけで難しいと感じたら、迷わず専門家である行政書士に相談してくださいね。

 

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  • この記事を書いた人

行政書士 小野馨

平成17年2月行政書士開業。建設業許可申請の手続き実績100件以上。フットワークの軽さとサービス精神で、県内トップクラスの良心価格と実績を持っています。建設業許可は当事務所にお任せ下さい。みなさまのご依頼をお待ちしております!

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