現在、産業廃棄物収集運搬業について「積替え保管なし」で許可を受けている事業者が、新たに積替え保管を行う場合は、事業の範囲の変更許可が必要です。
単にヤードを追加して変更届を出せばよい、というものではありません。
また、現在の許可が「積替え保管を除く」となっている間は、先に積替え保管を開始して、後から変更手続をするという進め方はできません。
そのため、
現在の許可内容
→ 新たに行いたい積替え保管
→ 候補地
→ 施設計画
→ 許可権者
→ 地域の事前手続
→ 変更許可
という順番で整理することが重要です。
なお、「自社ヤードへ一時的に持ち込む予定だが、そもそも積替え保管ありに該当するのか分からない」という場合は、先に産業廃棄物収集運搬業許可の「積替え保管」とは?あり・なしを判断する考え方を確認してください。
産業廃棄物収集運搬業許可そのものの要件や仕組みから確認したい場合は、産業廃棄物収集運搬業許可の完全ガイドで全体像を確認できます。
「積替え保管なし」から「あり」に変える場合は変更許可が必要
産業廃棄物収集運搬業の許可では、取り扱う産業廃棄物の種類だけでなく、積替えまたは保管を行うかどうかも事業の範囲に関係します。
そのため、現在の許可が、
「積替え保管を除く」
となっている事業者が、新たに積替え保管を行う場合は、事業範囲を広げるための変更許可が必要になります。
ここで重要なのは、
変更届ではなく、変更許可
という点です。
事業範囲の変更許可については、環境省の「産業廃棄物収集運搬業の事業範囲の変更の許可」でも、手続の根拠や提出先を確認できます。
変更許可と変更届は違う
変更許可と変更届は、同じ「変更」という言葉が入っていますが、手続の役割が異なります。
| 手続 | 主な考え方 |
|---|---|
| 変更許可 | 許可されている事業の範囲を広げる場合 |
| 変更届 | 住所・役員・車両など、届出対象事項を変更した場合 |
| 更新許可 | 現在の許可を有効期間後も継続する場合 |
| 新規許可 | その行政庁の許可を新たに取得する場合 |
「積替え保管なし」から「あり」への変更は、単なる会社情報や車両の変更ではなく、許可されている事業範囲そのものを広げる変更です。
そのため、変更届だけで積替え保管を追加することはできません。
ただし、すでに「積替え保管あり」の許可を持っている事業者が、施設を移転・追加したり保管計画を変更したりする場合は、変更内容によって必要な手続が異なることがあります。
この記事では、あくまで現在「積替え保管なし」で、これから初めて「あり」へ変更するケースを扱います。
更新時期が近くても、変更許可とは別に考える
「もうすぐ許可更新だから、そのときに積替え保管を追加すればよいのでは?」
と考えることもあるかもしれません。
しかし、更新許可と事業範囲の変更許可は、手続の目的が異なります。
更新は現在の許可を継続するための手続であり、「積替え保管なし」から「あり」へ事業範囲を広げることとは別の問題です。
行政庁によっては更新許可と変更許可を同時期に申請できる場合がありますが、更新時期が近いから変更許可自体が不要になるわけではありません。
更新と重なる場合は、管轄行政庁へ申請方法を事前に確認しておくとよいでしょう。
変更許可を考える前に、現在の許可証を確認する
変更許可申請書を探す前に、まず現在の許可内容を確認します。
少なくとも次の点を整理しておきましょう。
- どの行政庁から許可を受けているか
- 許可証に「積替え保管を除く」と記載されているか
- 現在許可されている産業廃棄物の種類
- 許可の有効期限
- これからどこで積替え保管を行いたいのか
- その場所でどのような作業をするのか
特に重要なのが、
「現在許可されている内容」と「これから行いたい内容」の差
です。
変更許可は、現在の許可内容を基準に、どの部分を新しく広げるのかを整理して進めます。
「なし→あり」の変更許可は、申請書を出すだけではない
積替え保管を追加する場合、変更許可申請書だけを作れば準備が終わるわけではありません。
新たに積替え保管施設を設けることになるため、
- どこに施設を設けるのか
- 何を保管するのか
- どのくらい保管するのか
- どのような設備を設けるのか
- どのように搬入・搬出するのか
- その場所で何をするのか
まで具体化する必要があります。
候補地と施設計画を整理する
まず、積替え保管を行う候補地を具体化します。
そのうえで、
所在地
→ 保管する産業廃棄物
→ 保管量
→ 保管方法
→ 施設配置
→ 搬入・搬出方法
を整理していきます。
囲い、掲示板、飛散・流出防止、保管量、屋外保管時の高さなど、積替え保管施設そのものの詳しい基準については、積替え保管施設・保管基準の記事で確認してください。
施設基準については、土地を契約した後に考えるのではなく、候補地を決める段階から確認することが重要です。
積替え保管場所の所在地によって許可権者を確認する
もう一つ重要なのが、どの行政庁の許可が必要なのかです。
現在持っている許可を出した行政庁へ変更許可を申請すれば、必ずそれだけで完結するとは限りません。
積替え保管施設をどこに設けるのかによって、許可権者との関係を改めて確認する必要があります。
特に、都道府県と政令市・中核市などでは、積替え保管の有無によって許可関係が変わることがあります。
そのため、
「今どこの許可を持っているか」だけでなく、「積替え保管施設をどこに置くのか」
をセットで確認します。
積替え保管施設をどこに設けるかによって、確認すべき許可権者が変わることがあります。
どの都道府県・市の許可を確認すべきか判断しにくい場合は、産業廃棄物収集運搬業許可の申請先・許可権者の考え方もあわせて確認してください。
自治体独自の事前手続にも注意する
積替え保管施設については、自治体によって、
- 事前相談
- 事前計画
- 事前協議
- 施設に関する独自基準
- 現地確認
などの手続が設けられている場合があります。
これらは全国一律の手続ではありません。
そのため、
土地を契約する
→ 施設を整備する
→ 最後に行政庁へ相談する
という順番で進めると、計画の見直しが必要になる可能性があります。
候補地が具体化した段階で、施設整備や契約を進める前に、管轄行政庁へ事前手続の有無を確認することが重要です。
実際の事前手続は自治体によって異なります。たとえば東京都では、積替え保管を含む収集運搬業について事前計画書の手続が設けられています。
東京都での具体的な手続例は、東京都環境局「産業廃棄物収集運搬業及び処分業の許可申請・届出等」で確認できます。
あくまで東京都の例ですので、実際には積替え保管施設を設ける場所を管轄する行政庁の最新案内を確認してください。
「積替え保管なし」から「あり」へ変更する流れ
全国すべての自治体で同じ申請手順になるわけではありませんが、準備の考え方は次のように整理できます。
STEP1 現在の許可証を確認する
まず、
- 許可行政庁
- 許可の有効期限
- 取り扱える産業廃棄物
- 積替え保管の有無
を確認します。
現在の許可が「積替え保管を除く」になっているかを確認してください。
STEP2 新しい積替え保管計画を整理する
次に、
- どこで
- 何を
- どのくらい
- どのように保管し
- その後どこへ運ぶのか
を整理します。
STEP3 候補地と施設基準を確認する
積替え保管場所には施設・保管基準があります。
候補地の広さだけで判断せず、予定する廃棄物や保管方法に応じた施設計画を確認します。
STEP4 許可権者と地域の事前手続を確認する
積替え保管施設の所在地をもとに、
- どの行政庁の許可が必要か
- 事前相談・事前協議等があるか
- 施設整備をどの段階で行うか
を確認します。
STEP5 変更許可申請の準備をする
行政庁の案内に従い、変更前・変更後の事業範囲や施設計画などを申請書類として具体化します。
STEP6 変更許可を申請する
必要な事前手続を終えたうえで、管轄行政庁へ事業範囲の変更許可を申請します。
STEP7 変更許可後に積替え保管を開始する
現在の許可が「積替え保管を除く」となっている間は、受託した産業廃棄物について積替え保管を開始することはできません。
変更後の事業範囲で業務を始めるのは、変更許可を受けてからです。
変更許可申請では何を準備する?
実際の必要書類や様式は行政庁によって異なります。
そのため全国版の記事で「この書類だけを揃えればよい」と固定することはできませんが、変更許可では主に次のような内容を整理します。
| 準備する内容 | 主な確認事項 |
|---|---|
| 現在の許可 | 許可行政庁、許可番号、有効期限、現在の事業範囲 |
| 変更後の事業範囲 | 積替え保管ありへ変更する内容 |
| 事業計画 | 収集・運搬・積替え保管・搬出の流れ |
| 保管する廃棄物 | 種類、予定数量 |
| 積替え保管施設 | 所在地、構造・設備、保管方法 |
| 施設の使用権原 | 所有・賃貸等、その施設を使用できる根拠 |
| 図面等 | 配置、構造、搬入・搬出動線など |
| 運搬設備 | 車両・容器等 |
| その他の許可要件 | 技術的能力・経理的基礎等、行政庁が確認する事項 |
大切なのは、書類の名前を先に覚えることではありません。
変更後にどのような事業を行うのかを具体的に説明できる状態にすることが、変更許可準備の出発点です。
施設を契約・整備する前に確認したい3つのこと
積替え保管の変更許可では、施設を先に決めてしまうと手戻りが大きくなる可能性があります。
1.その候補地で積替え保管を検討できるか
所在地を管轄する自治体の独自基準や事前手続を確認します。
全国共通の基準だけを見て、「この土地なら大丈夫」と判断しないことが重要です。
2.予定する施設で保管基準を満たせるか
囲い・掲示・保管量・飛散流出対策など、積替え保管施設には確認すべき基準があります。
具体的な施設基準は、積替え保管施設・保管基準の記事で確認してください。
3.ヤード内で予定している作業が積替え保管の範囲か
積替え保管場所で、
- 選別
- 破砕
- 圧縮
などを予定している場合は、単なる積替え保管として考えてよいかを別途確認する必要があります。
ヤード内で行う作業の区分が曖昧な場合は、積替え保管と中間処理の違いを確認してください。
行政庁へ相談する前に整理したい8項目
積替え保管の変更許可について行政庁へ相談するときは、
「積替え保管ありに変更したいのですが、何が必要ですか?」
だけではなく、計画をできるだけ具体化しておくと確認しやすくなります。
少なくとも次の8項目を整理しておきましょう。
- 現在許可を受けている行政庁
- 現在の許可番号・有効期限
- 現在許可されている事業範囲
- 新たに積替え保管を行いたい場所
- 保管する産業廃棄物の種類
- 予定する保管量・搬入量・搬出量
- 施設の配置・設備・保管方法
- 積替え保管場所で実際に行う作業
この内容が整理できると、
変更許可なのか
→ どの行政庁へ確認するのか
→ 施設について何を準備するのか
→ 事前手続があるのか
を確認しやすくなります。

次に確認する内容を選ぶ
ここまで整理できたら、自社の状況に応じて次の確認へ進みます。
そもそも予定している運搬方法が「積替え保管あり」に当たるか迷っている場合は、産業廃棄物収集運搬業許可の「積替え保管」とは?あり・なしを判断する考え方へ戻って確認してください。
積替え保管施設に必要な囲い・掲示・保管量などを確認したい場合は、積替え保管施設・保管基準の記事へ進みます。
ヤードで選別・破砕・圧縮なども予定している場合は、積替え保管と中間処理の違いを確認してください。
産業廃棄物収集運搬業許可全体の要件や仕組みから確認したい場合は、産業廃棄物収集運搬業許可の完全ガイドで全体像を確認できます。
「積替え保管なし」から「あり」への変更許可でお困りの方へ
「積替え保管あり」への変更では、変更許可申請だけでなく、候補地・施設基準・許可権者・自治体独自の事前手続まで含めて確認する必要があります。
特に、
- 現在の許可から何を変更すればよいのか分からない
- 自社ヤードを積替え保管場所として検討している
- 候補地を契約する前に確認しておきたい
- どの行政庁へ相談・申請すればよいか分からない
- 変更許可の準備をどこから始めればよいか分からない
という場合は、施設整備や積替え保管を始める前に計画を整理しておくことが重要です。
当事務所では、産業廃棄物収集運搬業許可や積替え保管に関するご相談を承っています。
現在の許可内容や、これから予定している積替え保管の内容がまだ完全に固まっていない段階でも構いません。まずは現在の計画をお聞かせください。



