産業廃棄物収集運搬業の許可を取りたいと思っても、
「会社がある都道府県へ申請すればいいのか」
「廃棄物を運ぶ途中の県にも許可が必要なのか」
「県と市のどちらへ申請するのか」
と迷いやすいところです。
結論からいうと、申請窓口を先に探すのではなく、
運搬計画を整理する
↓
必要な許可権者を特定する
↓
その行政庁の実際の申請窓口を確認する
という順番で考えると整理しやすくなります。
運搬のみを業として行う場合、許可を考える基本になるのは、産業廃棄物の積卸しを行う区域です。愛知県の現行手続案内でも、この考え方が明示されています。
この記事のポイント
- まず「どこで産業廃棄物を積み、どこで卸すのか」を確認する
- 通過するだけの地域は積卸しをする地域と分ける
- 各積卸し地点について、都道府県と市のどちらが許可権者になるか確認する
- 積替え・保管をする場合は別の分岐として考える
- 許可権者が分かった後、その行政庁の最新の受付窓口を確認する
なお、「そもそも自社に収集運搬業許可が必要なのか」がまだ分からない場合は、先に産業廃棄物収集運搬業許可が必要な人・不要な人の違いを確認しておくと判断しやすくなります。
産業廃棄物収集運搬業許可の申請先は「許可権者→受付窓口」の2段階で確認する
「申請先」という言葉には、実際には2つの意味があります。
一つは、
どの都道府県知事等の許可を受ける必要があるのか
という制度上の申請先です。
もう一つは、
その許可申請書を、実際にどの庁舎・担当部署へ提出するのか
という具体的な受付窓口です。
環境省の手続案内でも、産業廃棄物収集運搬業許可の提出先は「都道府県又は同法施行令で定める市」とされています。
この2つを混同すると、
- 会社が東京だから東京都へ出せばよい
- 車で通る県すべてに申請が必要
- ○○市で仕事をするから○○市へ申請する
といった誤解につながります。
まず「どの行政庁の許可が必要なのか」を決め、その後で具体的な提出窓口を確認しましょう。
まず「積む場所・通過する場所・卸す場所」を整理する
産業廃棄物の運搬のみを業として行う場合、必要な許可を考える基本になるのは、産業廃棄物の積卸しを行う区域です。
そこで、予定している運搬を次の3つに分けます。
| 場所 | 確認すること |
|---|---|
| 積込地 | どこで産業廃棄物を積むのか |
| 通過地域 | 積卸しをせず通過するだけなのか |
| 荷卸し地 | どこで産業廃棄物を卸すのか |
積込地を確認する
最初に、産業廃棄物を実際にどこで積み込む予定なのかを確認します。
たとえば、排出事業者の工場や工事現場などから産業廃棄物を収集するのであれば、その積込地点がどの都道府県等にあるのかを整理します。
会社の本店住所だけを見るのではなく、実際の事業計画上、どこで産業廃棄物を積むのかを見ることが重要です。
荷卸し地も確認する
次に、収集した産業廃棄物をどこで卸す予定なのかを確認します。
積込地とは別の都道府県にある処分施設などへ運搬する場合は、荷卸し地側の許可権者についても確認します。
複数地域をまたぐ場合は、
どこで積む
→ どこを通る
→ どこで卸す
と書き出してみると分かりやすくなります。
通過するだけの都道府県には、通過だけを理由とする許可は不要
ここは申請先を考えるうえで特に重要です。
産業廃棄物を積んだ車両がある都道府県を走行しても、その区域内で積卸しをせず、単に通過するだけであれば、その通過だけを理由として当該都道府県知事の収集運搬業許可を取得する必要はありません。
茨城県の現行FAQでも、県内で積卸しをせず通過する場合は茨城県知事の許可は不要と明示されています。
たとえば、説明用の仮例として、
A県で積込
↓
B県を通過
↓
C県で荷卸し
という運搬を考えます。
B県では積卸しをしないのであれば、まず確認するのはA県側とC県側の許可権者です。
「何県を走るか」ではなく、どこで積卸しをするのかから考えましょう。
会社所在地だけで産廃許可の申請先を決めない
「会社の本店が東京都にあるから、東京都の許可を取ればよい」
とは限りません。
運搬のみの場合、必要な許可区域を考える基本になるのは、会社所在地ではなく積卸しを行う区域だからです。
たとえば、会社所在地とは別の県で産業廃棄物を積み、さらに別の県で卸す計画なら、本店住所だけから必要な許可を判断することはできません。
ただし、
会社所在地が申請手続にまったく関係しない
という意味でもありません。
どの行政庁の許可が必要かを特定した後、その行政庁内のどの受付窓口へ提出するのかについて、本店や主たる事務所所在地などによって担当先が分かれる自治体があります。
愛知県では、積替え・保管を行わない場合の具体的な提出先について、本店・主たる事務所の所在地などに応じた案内を設けています。群馬県でも本店所在地を基準とする管轄窓口が案内されています。
つまり、
必要な許可を決める基準
と
その許可の申請書を実際に提出する窓口を決める基準
は分けて考える必要があります。

都道府県と「政令で定める市」のどちらへ申請するか
積込地と荷卸し地が分かったら、次に確認するのが、都道府県と廃棄物処理法上の「政令で定める市」のどちらが許可権者になるのかです。
ここは、
「○○市で積むから○○市へ申請する」
と単純には判断できません。
収集運搬業許可は2011年の制度改正で合理化され、原則として一つの政令市の区域を越えて収集運搬業を行う場合は、都道府県の許可を受ける仕組みになっています。環境省資料では、政令市側の許可が必要となる主な場合として、
- 政令市の区域内で積替え・保管を行う場合
- 都道府県内で一つの政令市だけで業を行う場合
が示されています。
また、市域を越える範囲で収集運搬業を行う都道府県の許可を受けた事業者は、一つの政令市内でも収集運搬を行えるとされています。
そのため、申請先を考えるときは、
- どこで積卸しをするのか
- 一つの市の区域内だけで業を行うのか、市域を越えるのか
- 積替え・保管を行うのか
を確認します。
「市内だから市へ」「県内だから県へ」と住所だけで判断しないことが重要です。
積替え・保管をする場合は申請先を別に確認する
産業廃棄物を積込地から処分先へそのまま運搬するのではなく、途中の施設で積替えや保管を行う計画がある場合は、申請先の判断が変わります。
積替え・保管を伴う収集運搬は、積替え・保管なしの場合と同じ考え方だけでは判断できません。
環境省の許可合理化資料でも、政令市内で積替え・保管を行う場合は、市の許可が必要となるケースとして示されています。
また、現在の東京都の申請案内でも「積替え保管を除く収集運搬業」と「積替え保管を含む収集運搬業」で申請案内や受付先が分けられています。
したがって、積替え・保管を予定している場合は、
- 積替え・保管施設をどこに置くのか
- その施設所在地を誰が管轄するのか
- 自治体がどのような事前手続・申請窓口を設けているのか
を最新の公式情報で確認してください。
複数都道府県にまたがる場合は「何県走るか」ではなく「どこで積卸しするか」で考える
複数の都道府県が関係すると、「全部の県の許可が必要なのでは」と考えがちです。
この場合も基本は同じです。
たとえば、
A県:積込
↓
B県:通過のみ
↓
C県:荷卸し
であれば、
- A県側の許可権者を確認
- B県では本当に通過だけか確認
- C県側の許可権者を確認
- A県・C県について都道府県と市の権限関係を確認
- 積替え・保管がある場合は、その所在地について別途確認
という順番で整理します。
茨城県の公式案内でも、積卸しを行う区域について許可を受け、途中を通過する都道府県については許可が不要という考え方が示されています。
この整理ができれば、
「3県を走るから3県すべてに申請する」
という考え方ではなく、自社の実際の運搬計画から必要な申請先を絞り込めます。
許可権者が分かったら、最新の公式情報で実際の申請窓口を確認する
どの行政庁の許可が必要かを整理できたら、次に実際の受付部署・申請方法を確認します。
産業廃棄物収集運搬業許可は、同じ制度でも自治体によって、
- 受付部署・庁舎
- 予約の要否
- 窓口・郵送などの受付方法
- 積替え・保管の有無による担当部署
などが異なります。
実際に、東京都は収集運搬業の区分に応じて受付場所を案内しており、宮城県では2026年に受付窓口の変更も案内されています。
そのため、古い民間サイトの窓口住所だけを頼りにせず、申請時点の自治体公式ページを確認することが重要です。
実際の申請窓口を探す手順
まず対象となる都道府県または市を特定します。
その後、対象行政庁の公式サイトで、
「産業廃棄物収集運搬業 許可申請」
「申請窓口」
「提出先」
「申請手引き」
などを確認します。
環境省は、各都道府県・政令市の廃棄物・リサイクル関連公式ページへ進める一覧を公開しています。対象自治体の公式情報を探す入口として利用できます。
環境省「都道府県・政令市における廃棄物・リサイクルに関する情報」から申請先自治体を探す
産廃許可の申請先に迷ったら、この7項目を順番に確認する
ここまでの内容を、実際に使える確認順序にすると次のとおりです。
- 産業廃棄物をどこで積むか
- どこで卸すか
- 通過するだけの地域はどこか
- 積替え・保管をするか
- 各積卸し地点について誰が許可権者になるか
- 都道府県と「政令で定める市」の権限関係はどうなっているか
- 許可権者の最新公式ページで実際の申請窓口を確認する
この順番で考えれば、
「窓口を調べて申請準備を始めた後で、実は別の県の許可も必要だった」
といった手戻りを減らしやすくなります。
【図表化推奨】
公開時には、
積込地を確認
↓
通過地域を除外
↓
荷卸し地を確認
↓
県・市の許可権者を判定
↓
積替え・保管の有無を確認
↓
公式窓口を確認
という縦型フローを、この見出し付近へ配置するとスマートフォンでも理解しやすくなります。
申請先が分かった後は、申請準備へ進む
必要な許可権者と申請窓口を整理できたら、次は実際の申請準備です。
初めて産業廃棄物収集運搬業許可を調べていて、制度全体を先に確認したい場合は、総合解説があります。
産業廃棄物収集運搬業許可の要件・費用・手続をまとめて確認する
自分で申請することを検討している場合は、申請準備・書類作成・申請方法をまとめた記事へ進めます。
必要書類を確認したい場合はこちらです。
なお、制度そのものの意味や自己運搬との違いから確認したい場合は、基礎解説もあります。
これらは現在実在する産業廃棄物許可サイト内の記事であり、読者の次の問題に応じて導線を分けています。
自分だけで申請先を判断しにくい場合は、運搬計画を整理して相談する
複数の都道府県や市が関係する場合や、積替え・保管を予定している場合などは、自社の計画へ制度を当てはめるのが難しいことがあります。
その場合は、行政窓口や専門家へ確認する前に、少なくとも次を整理しておきましょう。
- 産業廃棄物をどこで積む予定か
- どこで卸す予定か
- 途中で積卸しをする場所があるか
- 積替え・保管を予定しているか
- すでに取得している収集運搬業許可があるか
- 今後予定している主な運搬ルート
単に「会社は○○県です」と伝えるのではなく、どの場所で何をする事業計画なのかまで整理するのがポイントです。
自分で整理できるケースであれば、その情報をもとに自治体の公式ページを確認して申請準備へ進めます。
一方、
- どの都道府県・市の許可を取得すべきか整理できない
- 複数地域の申請をどう進めればよいか分からない
- 積替え・保管が関係して判断しにくい
- 申請準備そのものを専門家と確認したい
という場合は、行政書士へ個別に相談する方法もあります。
産業廃棄物許可サイトには問い合わせフォームが設置されています。相談する場合は、積込地・荷卸し地・運搬ルート・積替え保管の有無を整理したうえで伝えると、自社の状況を説明しやすくなります。
申請代行の内容そのものを確認したい場合は、サクセスファン行政書士事務所の産業廃棄物収集運搬業許可代行ページも確認できます。
よくある質問
会社所在地の都道府県の許可は必ず必要ですか?
会社所在地だけで必要な許可が決まるわけではありません。
運搬のみの場合は、産業廃棄物の積卸しを行う区域から必要な許可を確認します。
ただし、許可権者を特定した後の実際の受付窓口については、本店や主たる事務所所在地が関係する自治体があります。
途中で通るだけの都道府県にも許可申請が必要ですか?
その都道府県内で積卸しをせず、単に通過するだけであれば、その通過だけを理由とする収集運搬業許可は必要ありません。
「どの県を走るか」ではなく、「どこで積卸しをするか」で整理してください。
市内で収集運搬する場合は市へ申請すればよいですか?
一律には判断できません。
一つの政令市の区域を越えて収集運搬業を行う場合は原則として都道府県許可とする合理化が行われていますが、一つの政令市内だけで業を行う場合や、政令市内で積替え・保管をする場合は市の許可が関係します。
複数の都道府県を通る場合、全部の許可が必要ですか?
単に通過するだけの都道府県まで機械的に許可を取得するわけではありません。
積込地、荷卸し地、積替え・保管の有無を確認したうえで、それぞれの許可権者を整理します。
実際の申請窓口はどこで調べればよいですか?
まず許可権者となる都道府県または市を特定し、その自治体の最新の産業廃棄物収集運搬業許可ページを確認してください。
全国の自治体公式情報を探す入口として、環境省の都道府県・政令市一覧も利用できます。
産業廃棄物収集運搬業許可の申請先は「運搬計画」から逆算する
産業廃棄物収集運搬業許可の申請先を調べるときは、最初から窓口住所を検索するのではなく、
どこで積むか
↓
どこで卸すか
↓
通過するだけの地域はどこか
↓
積替え・保管はあるか
↓
誰が許可権者になるか
↓
実際の申請窓口はどこか
という順番で考えます。
特に、
- 会社所在地だけで必要な許可を決めない
- 通過地域と積卸し地域を分ける
- 都道府県と市の許可権限を確認する
- 積替え・保管がある場合は別に確認する
- 最後は申請時点の自治体公式情報で窓口を確認する
という点を押さえておきましょう。
まず自社の運搬ルートを書き出し、「どこで積み、どこで卸すのか」を整理してみてください。
そこまで整理できれば、自分で公式情報を確認して申請準備へ進むのか、行政窓口へ確認するのか、専門家へ相談するのかという次の行動も判断しやすくなります。


