「昔、罰金を払ったことがあるけれど、産廃許可は取れる?」
「役員に前科があると、会社も許可を取れない?」
「以前勤めていた会社が許可を取り消されたけれど、自分にも影響する?」
産業廃棄物収集運搬業の許可を申請するとき、このような事情が気になることがあります。
そこで確認するのが、欠格要件です。
欠格要件とは、法令に従って適正に事業を行うことが期待できない一定の者を、許可の対象から除外するための基準です。
欠格要件に該当する場合は、車両や運搬容器を用意し、講習会を修了していても、許可を受けることができません。
ただし、過去に違反や処分を受けたことがあるからといって、必ず欠格要件に該当するわけではありません。
重要なのは、次の3つを分けて確認することです。
- 誰の事情か:申請者本人、法人、役員、政令使用人など、誰についての問題なのか
- どのような事情か:刑事処分、許可取消し、破産、暴力団関係など、何が起きたのか
- いつの事情か:処分の内容や、法律上の期間を判断するための起算日はいつなのか
参考
例えば、罰金刑でも対象となる犯罪は限定されています。また、法律に定められた5年間の欠格期間についても、すべての事由で同じ日から数えるわけではありません。
この記事では、産業廃棄物収集運搬業の新規許可を検討している方に向けて、欠格要件の確認対象、具体的な事由、期間の考え方、自社で確認する方法まで説明します。
すでに許可を持っている場合の注意点も、後半で取り上げます。
欠格要件は、申請準備の早い段階で確認しておきたい事項です。特に過去の処分などで気になる事情がある場合は、車両購入などの費用をかける前に確認を始めると、準備の手戻りを減らしやすくなります。
なお、欠格要件は、産業廃棄物収集運搬業許可で確認する条件の一つです。その他の取得条件については、産業廃棄物収集運搬業許可の5要件で確認できます。
1.欠格要件に該当するのはどのような場合?
産業廃棄物収集運搬業許可の欠格要件には、刑事処分や許可取消歴のほか、破産・復権、暴力団関係など、さまざまな事情があります。
まず、自社に関係する項目を確認してください。
| 気になる事情 | 最初に確認すること |
|---|---|
| 過去に刑事処分を受けた | 刑の種類、犯罪・違反の内容、刑の執行状況 |
| 罰金を払ったことがある | 刑罰としての罰金なのか、何の法律・罪によるものか |
| 執行猶予付きの判決を受けた | 刑の全部・一部のどちらの執行猶予か、現在の状態 |
| 以前の会社が許可を取り消された | 取消処分の理由、当時の役職、在任時期 |
| 以前の会社が廃業した | 許可取消しに向けた聴聞手続との関係があるか |
| 破産したことがある | 破産手続開始の決定と、復権の有無 |
| 心身の状態について心配がある | 法令上の業務遂行能力に関する基準に該当するか |
| 暴力団との関係が問題になる | 本人の該当状況や事業への支配関係 |
| 過去に業務上の不正・違反がある | 不正または不誠実な行為のおそれを認める相当の理由があるか |
ここで大切なのは、気になる事情があることと、法律上の欠格要件に該当することは同じではないという点です。
例えば、交通違反で反則金を納付した場合と、刑事裁判で拘禁刑に処せられた場合では、確認する法律上の条件が異なります。
また、過去に会社が破産したことと、現在の申請者が破産手続開始の決定を受けて復権を得ていないことも、区別しなければなりません。
欠格要件の基本的な内容は、名古屋市の「欠格要件」公式案内でも確認できます。
法律上は、廃棄物処理法第14条第5項第2号などに規定されています。
2.欠格要件は誰について確認する?法人・役員・株主の範囲
欠格要件を確認するとき、最初につまずきやすいのが、会社の誰について調べればよいのかという問題です。
法人が申請する場合、代表取締役本人だけを確認すればよいわけではありません。
法人の場合は、会社自身と役員等を確認する
法人申請では、法人自身の事情に加え、法令上の役員や政令で定める使用人の事情が関係します。
| 確認対象 | 確認の考え方 |
|---|---|
| 申請法人 | 法人自身の刑事処分や許可取消歴など |
| 代表取締役・取締役等 | 法令上の役員として欠格事由を確認 |
| 執行役・業務執行社員等 | 役職や法人形態に応じて確認 |
| 相談役・顧問等 | 名称だけでなく、実質的な支配力の有無を確認 |
| 株主・出資者 | 申請資料上の確認対象と、実質的な支配力を区別 |
| 政令で定める使用人 | 支店・事業所等での立場や契約締結権限を確認 |
例えば、社長本人に欠格事由がなくても、別の取締役に該当事由がある場合には、法人の許可取得に影響します。
反対に、会社と取引がある人、一般の従業員、運転手というだけで、全員が当然に法定の確認対象となるわけではありません。
まずは、役員の構成と、事業所ごとの権限関係を整理してください。
株式を5%以上持っている人は、必ず欠格要件の対象になる?
5%以上の株主・出資者は、申請実務上の重要な確認対象です。ただし、株式の保有割合だけで、法律上の役員該当性が一律に決まるわけではありません。
産業廃棄物処理業の申請では、発行済株式総数の100分の5以上を保有する株主や、出資額の100分の5以上に相当する出資をしている者について、氏名・名称などを把握する仕組みがあります。
また、実際の申請審査でも、5%以上の主要株主・出資者を欠格要件の確認対象として取り扱う行政庁があります。
例えば、福井市の産業廃棄物処理業の許可申請案内では、申請者、役員、政令使用人等とともに、5%以上の主要株主・出資者を欠格要件の確認対象として示しています。
一方、法令上の「役員」に該当するかどうかは、株式の保有割合だけで機械的に判断するものではありません。
法律上の役員には、取締役などのほか、名称にかかわらず、取締役等と同等以上の支配力を有すると認められる人も含まれます。
環境省の行政処分指針でも、5%以上の株主・出資者は、こうした実質的な支配力を持つ役員に該当する可能性が高いと説明されています。
ただし、5%以上を保有しているという事実だけで、必ず法律上の役員に該当すると確定するわけではありません。
例えば、登記上は取締役ではなくても、会社の重要な経営判断へ強い影響力を持つ株主や相談役などは、実質的な支配力の確認が必要です。
反対に、株式の保有状況だけでは実際の経営への関与が分からない場合もあります。
確認するときは、次の点を分けて準備すると分かりやすくなります。
- 株式や出資持分をどれだけ保有しているか
- 取締役等を兼ねているか
- 実際に経営判断や業務執行へどのように関与しているか
- 申請先の手引きでは、誰についてどの資料を求めているか
つまり、「5%以上の株主でも取締役でなければ確認不要」と自己判断してはいけません。
まず申請実務上の確認対象者として把握し、そのうえで、実質的な支配力や法令上の役員該当性を整理することが重要です。
支店長や営業所長は確認対象になる?
支店長や営業所長については、「政令で定める使用人」に該当するかを確認します。
政令使用人には、本店・支店等の代表者のほか、継続的に業務を行う施設があり、廃棄物処理業に係る契約締結権限を持つ人を置く事務所・事業場等の代表者が含まれます。
そのため、役職名だけでは判断できません。
例えば、営業所長という肩書でも、どのような施設・事業所の代表者で、どのような権限を持っているのかによって確認の必要性が変わります。
また、契約締結権限を持っている従業員が、必ずしも政令使用人に該当するとは限りません。
支店や営業所がある会社では、組織図と、各拠点の代表者・契約締結権限を整理することから始めてください。
個人事業主の場合は?
個人事業主が申請する場合は、本人の欠格要件を確認します。
政令で定める使用人を置いている場合には、その人についても確認が必要です。
また、営業に関して成年者と同一の行為能力を持たない未成年者が申請する場合は、法定代理人に関する規定もあります。
法人と個人事業主では確認対象が異なるため、法人向けの役員確認をそのまま個人事業主へ当てはめないようにしてください。
3.前科・罰金刑・執行猶予があると産廃許可は取れない?
過去に刑事処分を受けたことがある場合、まず確認したいのは、どのような刑に処せられたのかという点です。
欠格要件では、大きく分けて次の2つを区別します。
- 拘禁刑以上の刑に処せられた場合
- 法律で定められた犯罪・法令違反について、罰金刑に処せられた場合
この違いを理解しないと、許可を取れる可能性があるのに諦めたり、反対に必要な確認をせず申請準備を進めたりすることがあります。
逮捕されたことや、不起訴になったことも欠格要件になる?
逮捕されたことや、警察の捜査を受けたこと自体は、拘禁刑以上の刑や罰金刑に処せられたこととは異なります。
また、不起訴処分となった場合も、それだけで「刑に処せられた」という欠格事由に該当するわけではありません。
刑罰に関する欠格事由を確認する際には、逮捕や捜査の有無ではなく、実際に刑に処せられたか、その刑の種類や執行状況を確認します。
ただし、刑罰に関する欠格事由に該当しないことだけで、すべての欠格要件の確認が終わるわけではありません。
業務に関して不正または不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由が存在するかについては、別の規定による確認が必要になる場合があります。
そのため、過去に事件や違反があった場合は、逮捕・不起訴・刑罰の確定を混同せず、実際にどのような法的処分があったのかを整理してください。
拘禁刑以上の刑は、犯罪の種類だけでは判断しない
拘禁刑以上の刑に処せられた場合は、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過していないことが欠格事由になります。
ここでいう拘禁刑は、2025年6月1日に、従来の懲役・禁錮に代わって導入された刑罰です。
そのため、過去の判決に「懲役」「禁錮」と記載されている場合も、改正前の制度や経過措置を踏まえて確認する必要があります。
重要なのは、産業廃棄物に関する犯罪でなければ関係しない、というわけではないことです。
例えば、道路交通法違反でも、拘禁刑以上の刑に処せられた場合には欠格要件への該当が問題になります。
一方、罰金刑については対象となる犯罪が限定されています。
この2つを混同しないようにしてください。
罰金刑は、何の違反・犯罪だったかが重要
罰金刑を受けたことがあっても、それだけで必ず欠格要件に該当するわけではありません。
法律では、欠格事由に該当する罰金刑の対象が定められています。
代表的なものは、次のとおりです。
| 対象となる法令・犯罪 | 具体例 |
|---|---|
| 廃棄物処理法 | 同法の規定に違反した場合 |
| 浄化槽法 | 同法の規定に違反した場合 |
| 生活環境の保全を目的とする政令指定法令 | 水質汚濁防止法、大気汚染防止法など |
| 暴力団対策法の一定の規定 | 法律で定められた違反 |
| 刑法の指定された犯罪 | 傷害、暴行、脅迫、背任など |
| 暴力行為等処罰ニ関スル法律 | 同法に定められた犯罪 |
刑法については、傷害罪だけでなく、傷害現場助勢罪、暴行罪、凶器準備集合・結集罪、脅迫罪、背任罪なども対象に含まれます。
また、生活環境の保全を目的とする法令についても、すべての法律が対象になるわけではありません。対象法令は政令で指定されています。
したがって、過去に罰金刑を受けた場合は、「罰金を払ったことがある」という記憶だけで判断せず、適用された法令と罪名を確認することが出発点になります。
交通違反の反則金も欠格要件に関係する?
交通違反で納付する反則金と、刑罰としての罰金は異なります。
例えば、交通反則通告制度に基づいて反則金を納付した場合、その納付自体を刑事裁判による罰金刑と同じものとして扱うことはできません。
また、道路交通法違反で罰金刑を受けた場合も、その事実だけで、法律が列挙する罰金刑の欠格事由に該当すると決まるわけではありません。
ただし、ここには注意点があります。
交通違反であっても、拘禁刑以上の刑に処せられた場合は、別の欠格事由として確認が必要です。
さらに、廃棄物の運搬業務に関して過積載などの違反を繰り返している場合には、「業務に関し不正または不誠実な行為をするおそれ」が問題になることがあります。
つまり、「交通違反だから産廃許可には一切関係しない」と考えるのも正しくありません。
反則金なのか罰金刑なのか、拘禁刑以上の刑を受けたのか、業務に関連する違反なのかを分けてください。
反則金と刑事手続の違いは、警察庁の「交通反則通告制度の概要」でも確認できます。
5年間は、いつから数える?
欠格要件で「5年」という期間が出てきたとき、特に注意したいのが起算日です。
拘禁刑以上の刑や対象となる罰金刑について、法律が基準としているのは、刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日です。
例えば、次の3つは同じ日とは限りません。
- 違反行為があった日
- 判決が確定した日
- 刑の執行を終えた日
仮に、違反行為から5年以上経過していても、刑の執行終了からは5年を経過していない場合があります。
そのため、事件が何年前だったかという記憶だけでは判断できません。
まず、刑の内容と執行状況を確認し、法律上の起算日を特定する必要があります。
執行猶予が付いている場合は?
執行猶予についても、「刑務所に入っていないから欠格要件には関係しない」とは考えられません。
ここでは、刑の全部の執行猶予と刑の一部の執行猶予を区別します。
刑の全部の執行猶予が付いている場合、猶予期間中は欠格要件への該当が問題になります。
一方、執行猶予が取り消されずに期間を経過すると、刑法第27条により、原則として刑の言渡しの効力が失われます。
したがって、執行猶予の満了後について、機械的に「そこからさらに5年間待たなければならない」と説明することはできません。
ただし、猶予期間中にさらに犯した罪(罰金以上の刑に当たるもの)について起訴されている場合には、刑法第27条第2項による効力継続の特則があります。その場合でも、同条第3項第2号により、人の資格に関する法令の適用では刑の言渡しは効力を失っているものとみなされます。したがって、「別件で起訴されているから、満了後も以前の刑による欠格期間がそのまま続く」とは判断できません。猶予の取消しや別件の処分、業務に関する不正・不誠実のおそれなどは、別に確認します。刑法第27条の現行条文
また、刑の一部の執行猶予では扱いが異なります。
一部の執行猶予が取り消されずに期間を経過した場合でも、執行が猶予されなかった部分について、その執行を終えた日などから5年間の欠格期間が問題になります。
そのため、執行猶予付きの判決がある場合は、少なくとも次の事項を確認してください。
- 刑の全部の執行猶予か、一部の執行猶予か
- 執行猶予期間はいつからいつまでか
- 執行猶予が取り消されていないか
- 実際に刑が執行された部分があるか
- その後の刑事手続によって、刑の言渡しの効力に影響が生じていないか
これらを確認することで、単に「執行猶予だった」という情報よりも、許可取得への影響を具体的に判断しやすくなります。
刑罰の種類や執行猶予の取扱いについては、環境省の「刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う通知の一部改正について」でも説明されています。
4.以前の会社が許可を取り消された場合も欠格要件になる?
過去に産業廃棄物処理業の許可を取り消された場合、その取消歴が新たな許可申請に関係することがあります。
ただし、以前の会社が許可を取り消されたという事実だけで、そこに在籍していた全員が欠格要件に該当するわけではありません。
確認が必要なのは、取消処分の理由、根拠条項、当時の役員等の立場、関係する日付です。
許可取消しから5年間という基準
法律で定められた一定の許可取消処分を受けた場合は、その取消しの日から5年間、欠格事由に該当します。
ただし、過去の許可取消しがすべて同じ扱いになるわけではありません。
例えば、廃棄物処理法第14条の3の2第1項に基づく取消処分についても、第4号に係る部分は、過去の取消歴に関する欠格事由の対象から除かれています。
そのため、過去に取消処分を受けた場合は、取消通知書などから、どの法律・条項に基づく処分だったのかを確認する必要があります。
また、取消歴に関する欠格事由の対象から除かれていても、取消しの原因になった本人の刑事処分などが、別の欠格事由に該当することがあります。
取消処分の種類と、その原因となった事情は分けて確認してください。
取消処分を受けた法人の役員だった場合
法人が一定の許可取消処分を受けた場合、当時の役員にも欠格要件が関係することがあります。
ここで重要なのが、取消処分に係る聴聞通知があった日前60日以内という期間です。
一定の取消処分については、この期間内に当該法人の役員だった人も、取消日から5年間の欠格事由の対象に含まれます。
例えば、過去に役員として勤務していた会社が許可を取り消された場合、次のような情報を確認します。
- どの許可が取り消されたのか
- 取消処分の理由・根拠条項は何か
- 聴聞通知があった日はいつか
- 自分が役員だった期間はいつからいつまでか
- 実際の取消処分日はいつか
注意したいのは、「取消日の60日前」ではなく、「聴聞通知があった日前60日以内」が基準になる場合があることです。
この違いによって、過去の役員歴が関係するかどうかの判断が変わる可能性があります。
また、法人が欠格事由に該当したことに伴う一定の取消処分については、別法人への影響が連鎖し続けないようにするための除外規定もあります。
過去の会社の許可取消歴が気になる場合は、役員だったという事実だけで結論を出さず、処分の根拠と在任時期を照合してください。
会社が廃業した場合も欠格要件になる?
事業を廃止しただけで、必ず欠格要件に該当するわけではありません。
問題になるのは、一定の許可取消しに向けた聴聞通知があった後、処分が行われるまでなどの法律で定められた期間に、事業全部の廃止届を提出した場合です。
このような場合、廃止届の日から5年間の欠格期間が問題になることがあります。
ただし、法律には、事業の廃止について相当の理由がある場合を除く規定があります。
そのため、廃業した会社について確認するときは、単に廃業日を調べるだけでは不十分です。
許可取消しに向けた手続が始まっていたか、その通知がいつあったか、廃止届を提出した理由は何かを整理する必要があります。
さらに、一定の取消手続中に事業全部の廃止届を提出した法人については、以前の役員や政令使用人にも欠格要件が関係することがあります。
具体的には、法定の条件に該当する廃止届について、聴聞通知があった日前60日以内に、その法人の役員または政令で定める使用人であった人は、廃止届の日から5年を経過していない場合、欠格事由に該当します。
個人事業主による一定の事業全部の廃止届についても、その政令使用人だった人に関係する規定があります。
ただし、ここでも事業の廃止について相当の理由がある場合など、法定の条件・例外を確認する必要があります。
つまり、過去の会社が廃業した場合には、次の点を整理します。
- 許可取消しに向けた聴聞通知があったか
- 通知があった日はいつか
- 事業全部の廃止届を提出した日はいつか
- その人が役員・政令使用人だった期間はいつか
- 事業廃止について相当の理由があるか
単なる廃業歴と、取消手続中の事業廃止は区別してください。
また、一定の許可取消処分を受けた法人の元役員については「取消日から5年間」が問題になるのに対し、取消手続中の事業廃止に関係する元役員等については「廃止届の日から5年間」が問題になります。
この起算日の違いも重要です。
詳しい法定条件は、廃棄物処理法第7条第5項第4号ヘ・トで確認できます。
役員を辞任していれば大丈夫?
辞任したという事実だけで、欠格要件への影響がなくなるとは限りません。
例えば、許可を受けている法人の役員が欠格要件に該当した場合、その後に役員を辞任したからといって、すでに生じた法人の欠格該当や許可取消原因が当然になくなるわけではありません。
また、過去の会社の取消処分が関係する場合には、辞任時期と聴聞通知日などの関係を確認する必要があります。
一方、新たに許可を申請する会社については、その人が現在どのような立場にあるのか、登記上の役員でなくても実質的な支配力を持っていないか、といった点も関係します。
そのため、
「以前の会社を辞めている」
「今は別の会社で働いている」
「現在の会社では役員になっていない」
という事情だけで判断せず、過去の処分との関係と、現在の会社での立場を分けて確認してください。
許可取消歴と役員等の関係については、環境省の「行政処分の指針」に詳しい考え方が示されています。
5.破産・復権・心身の状態・暴力団関係なども確認する
欠格要件は、刑事処分や許可取消歴だけではありません。
申請者等の現在の状態や、事業を適正に行えるかに関係する事情についても確認が必要です。
過去に破産したことがある場合
破産については、破産手続開始の決定を受け、復権を得ていないことが欠格事由になります。
つまり、過去に破産したという事実だけで、永久に産業廃棄物収集運搬業の許可を取れなくなるわけではありません。
復権とは、破産によって生じた資格制限などが解消されることです。
破産法では、免責許可決定が確定した場合など、復権に至る事由が定められています。
また、一定の条件のもとで、裁判所による復権の決定が行われる仕組みもあります。
そのため、破産歴がある場合には、次の点を確認してください。
- 破産手続開始の決定を受けたか
- 免責許可決定など、その後の手続がどうなっているか
- 必要な決定が確定しているか
- 現在、法律上の復権を得ているか
「破産してから5年間は許可を取れない」という一律の基準ではありません。
現在も復権を得ていない状態なのかどうかが重要です。
また、以前勤めていた会社や、自分が役員を務めていた会社が破産したことと、申請者本人が破産手続開始の決定を受けたことは別の問題です。
例えば、過去に役員だった会社が経営破綻したとしても、それだけで本人が「破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない者」に該当するわけではありません。
会社に起きた事情と、現在の申請者・確認対象者本人に起きた事情を区別してください。
なお、赤字決算、債務超過、借入金があることは、それだけでこの破産・復権に関する欠格事由へ該当することを意味しません。
これらの財務状態が許可審査にどう影響するかは、欠格要件とは別の「経理的基礎」の問題です。
成年被後見人・被保佐人は欠格要件になる?
成年被後見人・被保佐人であることだけを理由に、一律に欠格要件へ該当すると判断することはできません。
以前は成年被後見人等について一律の欠格規定がありましたが、2019年12月14日施行の改正によって見直されました。
現在は、精神の機能の障害によって、廃棄物処理業務に必要な認知、判断、意思疎通を適切に行うことができない状態に該当するかが問題になります。
そのため、成年後見制度を利用しているかどうかや、特定の診断名だけで判断するのではありません。
本人の状態が法令上の基準に当たるかを確認する必要があります。
この制度改正については、神奈川県の「令和元年廃棄物処理法等改正(欠格要件の見直し)について」でも説明されています。
暴力団員等との関係
産業廃棄物収集運搬業許可では、暴力団員である場合や、暴力団員でなくなった日から5年を経過していない場合も欠格事由となります。
また、申請者本人が暴力団員等に該当しなくても、暴力団員等が事業活動を支配している場合は、欠格要件に関係します。
したがって、役員名簿上に暴力団員等がいないという確認だけで、すべての問題が解消されるわけではありません。
実際の経営支配関係も問題になります。
ただし、単なるうわさや、具体的な事実関係が明らかでない交友関係だけを根拠に、欠格要件への該当を断定することはできません。
確認が必要な事情がある場合は、本人の該当状況と、事業活動への具体的な関与・支配関係を分けて整理してください。
不正または不誠実な行為のおそれ
刑事処分や許可取消歴などの明確な欠格事由に該当しなくても、確認が必要な場合があります。
それが、業務に関して不正または不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある場合です。
例えば、廃棄物処理に関係する違反を繰り返している場合や、業務に関係する他法令違反がある場合などには、その内容によって問題になることがあります。
環境省の行政処分指針でも、具体的な違反状況や業務との関係などを踏まえた判断の考え方が示されています。
そのため、刑罰や取消歴について形式的な条件に当てはまらないからといって、それだけであらゆる欠格要件の確認が終わるわけではありません。
一方、過去に一度違反したことがある、行政指導を受けたことがあるといった事実だけで、必ず欠格要件に該当するとも説明できません。
重要なのは、違反の内容、業務との関係、繰り返しの有無など、判断に必要な具体的事情です。
6.自社が欠格要件に該当しないか、申請前にどう確認する?
ここまでの説明を読んで、自社に関係する事情が分かってきたら、次は実際の確認です。
欠格要件は、「該当する人はいないはず」と考えるだけでなく、確認対象と事実関係を整理することが大切です。
特に法人の場合は、申請担当者が役員全員の過去の処分歴などを把握しているとは限りません。
次の順番で確認すると、何が分かっていて、何が不足しているのかを整理できます。
① 確認対象者を洗い出す
まず、申請者の形態に応じて、確認対象者を整理します。
法人であれば、登記上の役員に加え、実質的な支配力を持つ人や政令使用人に該当する人がいないかを確認します。
株主・出資者については、申請書類上の記載対象も確認してください。
個人事業主であれば、本人と政令使用人等について整理します。
② 気になる事情の内容を確認する
確認対象者について、欠格要件に関係する事情がないかを確認します。
例えば、過去に刑事処分を受けている場合には、
「何年か前に罰金を払った」
という情報だけで終わらせないことが重要です。
何の法律・罪による処分だったのか、刑の種類は何だったのかを確認します。
許可取消歴がある場合には、取消処分の理由や根拠条項を確認します。
破産歴がある場合には、復権の有無を確認します。
③ 判断に必要な日付を確認する
次に、法律上の期間を判断するための日付を整理します。
| 気になる事情 | 主に確認する日付 |
|---|---|
| 拘禁刑以上の刑・対象となる罰金刑 | 刑の執行を終えた日、執行を受けることがなくなった日 |
| 執行猶予 | 判決内容、猶予期間、取消し・満了等の経過 |
| 許可取消歴 | 取消処分日、聴聞通知日 |
| 取消手続中の事業廃止 | 聴聞通知日、廃止届の提出日 |
| 過去の法人の役員歴 | 就任日・退任日、聴聞通知日等との前後関係 |
| 破産・復権 | 破産手続開始、免責許可決定等の確定、復権に関する日付 |
| 暴力団員等 | 該当状況、離脱した場合はその日付 |
この表は確認事項を整理するためのものです。
すべての事情について、記載した日付だけで自動的に結論が決まるわけではありません。 処分の内容、例外、本人と法人との関係なども併せて確認します。
④ 資料で確認できることと、まだ分からないことを分ける
日付や処分内容は、記憶だけでは正確に分からない場合があります。
そのため、手元にある判決関係の資料、許可取消処分の通知、破産・免責等に関する資料など、事情に応じて確認できる資料を整理してください。
ただし、これらは自社の事実関係を確認するための資料の例であり、すべてを産廃許可の申請時に提出するという意味ではありません。
申請書類として何を提出するかは、申請先の手引きで別途確認します。
また、欠格要件については、申請時の誓約書や証明書だけですべての事情を判断できるわけではありません。
刑事処分の有無について行政庁が関係行政機関に照会する仕組みもあります。
社内で確認できたことと、行政庁による審査・確認を混同しないことが重要です。
確認結果を整理する際は、次の4項目に分けると、何が不足しているのかを把握しやすくなります。
| 整理する項目 | 記録する内容 |
|---|---|
| 対象者と立場 | 誰の事情か。現在・過去の役職や関係 |
| 具体的な事情 | 刑罰の種類、罪名、許可取消しの根拠条項など |
| 関係する日付 | 執行終了日、聴聞通知日、取消日、復権に関する日付など |
| 確認できた資料・不足情報 | 何を資料で確認でき、何がまだ分からないか |
これは申請書類ではなく、確認のための整理方法です。
例えば、過去の法人の取消歴について、取消処分日は分かっていても、聴聞通知日や当時の役員の在任期間が不明であれば、そこが次に確認する情報になります。
このように整理すると、同じ事情について何度も調べ直したり、必要な情報が不足したまま結論を出したりすることを防ぎやすくなります。
⑤ 確認結果から次の行動を決める
ここまで整理できれば、自社の状況に応じて次の行動を選びやすくなります。
| 確認結果 | 次の行動 |
|---|---|
| 確認対象者について、欠格事由に該当する事情が見当たらない | 他の許可要件と申請準備を進める |
| 気になる事情があるが、処分の内容や日付が分からない | 関係資料を確認し、不足する事実を整理する |
| 法定の期間を経過している可能性がある | 正しい起算日、期間の経過、他の欠格事由の有無を確認する |
| 過去の取消歴や実質的支配関係など、複数の条件が関係する | 事実関係を整理したうえで、申請先や専門家へ個別確認する |
| 現在、欠格事由に該当することが確認できた | 現時点では許可を受けられないことを踏まえ、該当事由が解消される条件や時期を確認する |
特に、過去の刑事処分や役員歴について個別確認を行う場合には、「許可を取れますか」とだけ尋ねるより、誰の、どのような事情で、いつの出来事なのかを整理して伝えることが重要です。
また、役員の辞任や会社の組織変更などを検討する場合も、それによって当然に欠格要件の問題が解消するとは考えないでください。
まず、現在どの欠格事由に該当する可能性があるのか、その理由を明らかにすることが先です。
7.許可取得後に欠格要件へ該当した場合はどうなる?
ここまでは、新規に産業廃棄物収集運搬業許可を取得する場合を中心に説明しました。
一方、すでに許可を受けている事業者についても、欠格要件は重要です。
許可取得後に欠格要件へ該当した場合には、許可取消しや届出義務の問題が生じます。
例えば、法人の役員が新たに欠格要件に該当した場合、その法人の許可にも影響することがあります。
この場合、次回の許可更新まで何も確認しなくてよいわけではありません。
欠格要件該当届には期限がある
許可取得後に法定の対象事由に該当した場合には、欠格要件該当届の提出が必要です。
一定の欠格事由については、該当した日から2週間以内の届出が求められます。
一方、精神の機能の障害により、廃棄物処理業務の継続が著しく困難となった場合に関係する届出については、別に「遅滞なく」行う取扱いが定められています。
したがって、欠格要件に関する届出をすべて同じ期限で説明することはできません。
すでに許可を持っている会社で、役員等に気になる事情が生じた場合は、届出の対象事由と期限を早めに確認してください。
具体的な届出の対象や取扱いは、佐賀県の「欠格要件に該当したら」でも確認できます。実際の提出先や提出方法は、自社の許可を受けている自治体の案内に従ってください。
また、通常の役員変更届と、欠格要件への該当による届出は、同じ手続ではありません。
役員の交代などがあった場合でも、欠格要件に関する問題があるときは、通常の変更届とは別に必要な対応を確認してください。
まとめ|欠格要件は「誰の・どの事情を・いつ」で確認する
産業廃棄物収集運搬業許可では、申請者や一定の関係者が欠格要件に該当している場合、許可を受けることができません。
ただし、過去に違反、罰金、破産、許可取消しなどの事情があっても、必ず欠格要件に該当するとは限りません。
重要なのは、次の3点です。
誰について確認するか。
法人自身、代表者、役員、実質的な支配力を持つ人、政令使用人など、法律上の対象範囲を確認します。
どのような事情があるか。
刑罰の種類、対象となる法令違反、許可取消処分の理由、復権の有無などを整理します。
いつの事情か。
法律上の起算日と期間を確認します。5年間の欠格期間が定められている場合も、すべて同じ日から数えるわけではありません。
この3点を整理すれば、自社で確認できることと、さらに資料や個別の判断が必要なことが見えてきます。
特に、過去の刑事処分や許可取消歴が気になる場合は、曖昧な記憶だけで「許可は無理だ」と決めたり、反対に「もう何年も経っているから大丈夫」と考えたりしないことが大切です。
まずは、確認対象者と具体的な事情、関係する日付を整理してください。
欠格要件について確認できたら、車両・運搬容器、知識・技能、経理的基礎、事業計画など、ほかの許可条件も確認していきましょう。
申請前に確認する事項の全体像は、産業廃棄物収集運搬業許可の5要件でまとめています。


