掘削現場で記録を確認する作業者のイメージ。建設汚泥と建設発生土の違いを発生工程と排出時の状態から確認する記事の案内。

産業廃棄物許可の基礎知識

建設汚泥と建設発生土の違い|掘削・杭工事での判断基準と運搬許可

掘削工事や杭工事で土砂・泥状物が発生したとき、「これは普通の残土として運んでよいのか。それとも産業廃棄物の汚泥なのか」と迷うことがあります。運搬を依頼される事業者にとっては、分類の違いが必要な許可の違いにもつながります。

建設発生土は廃棄物処理法上の廃棄物には該当しません。一方、建設汚泥は産業廃棄物の「汚泥」に該当します。 ただし、湿っているから建設汚泥、杭工事から出たから必ず建設汚泥、と決まるわけではありません。

まずは、どの工法・工程から発生し、一体の施工システムから排出される時点でどのような状態だったかを整理することが大切です。そのうえで、誰がどこからどこへ運ぶのか、許可証の「汚泥」の取扱範囲に合うかを確認します。

この記事では、環境省・国土交通省の資料を基に、建設汚泥と建設発生土の違い、現場での分類の考え方、運搬前の確認事項を順番に説明します。

建設汚泥と建設発生土の違いとは?産業廃棄物になるのはどちら?

建設汚泥と建設発生土は何が違う?

二つの違いは、単に土が乾いているか、どろどろしているかではなく、廃棄物処理法上の取扱いにあります。

比較項目 建設発生土 建設汚泥
基本的な意味 建設工事から搬出される土砂 掘削工事などで生じる泥状の産業廃棄物
廃棄物処理法上の位置づけ 廃棄物に該当しない 産業廃棄物に該当する
産業廃棄物の許可品目 該当なし 「汚泥」
運搬時の確認 土砂搬出に関する別制度・搬出先条件など 産廃収集運搬業許可の要否、品目、事業の範囲など

国土交通省は、建設工事から生じる「建設副産物」の中で、建設発生土と建設廃棄物を区別しています。建設汚泥は建設廃棄物に含まれます。

ここで注意したいのは、建設工事から出るものがすべて産業廃棄物になるわけでも、掘削した土がすべて建設発生土になるわけでもないことです。工事の種類だけではなく、発生した物そのものを確認します。

産業廃棄物全体の種類を確認したい方は、産業廃棄物20種類の分類と判断方法も参考になります。また、建設業でよく使われる「8品目」には汚泥が含まれません。建設工事で取り扱う品目を整理する場合は、建設系8品目の一覧と8品目以外も確認する場合をご覧ください。

この区別は、国土交通省「建設副産物の定義」で確認できます。

「残土」「泥土」「汚泥」は同じ意味?

現場では「残土」「泥土」「汚泥」という言葉が使われますが、同じ意味ではありません。

  • 残土:工事で余った土などを指す際の一般的な呼び方です。「残土」と呼ばれていることだけで、法令上の分類が決まるわけではありません。
  • 泥土:国土交通省の発生土利用基準などで使われる、土の性状や利用適性に関係する用語です。
  • 汚泥:廃棄物処理法上の産業廃棄物の種類の一つです。建設汚泥はこの「汚泥」に該当します。

特に混同しやすいのが「泥土」と「汚泥」です。発生土を建設材料として利用するための土質区分と、産業廃棄物に該当するかどうかの判断は、目的が違います。

したがって、「泥土と呼ばれているから汚泥の許可が必要」「残土という名前だから産業廃棄物ではない」とは判断できません。現場での呼称ではなく、発生工程と排出時の状態を確認してください。

土質区分と利用基準については、国土交通省「発生土利用基準等」をご覧ください。

掘削工事・杭工事で出る土砂や泥状物はどう判断する?

発生した工法と泥状の状態を確認する

建設汚泥の判断に関して、環境省の「建設廃棄物処理指針(平成22年度版)」は、掘削工事に伴って排出される物のうち、含水率が高く、微細な粒子を含む泥状のものを建設汚泥として取り扱う考え方を示しています。

同指針では、泥状の状態について、標準仕様のダンプトラックに山積みできず、その上を人が歩けない状態と説明しています。また、土の強度を示すおおむねの目安として、コーン指数200kN/㎡以下、または一軸圧縮強度50kN/㎡以下という指標を示しています。

ただし、この数値だけで「超えていれば必ず土砂」「下回っていれば、工法に関係なくすべて汚泥」と決めるものではありません。判断するときには、次の点を合わせて確認します。

  1. 工法:地山を通常掘削したのか、泥水を用いた掘削なのか、杭工事のどの方法なのか。
  2. 工程:どの工程から出てきた物か。水と土砂を分ける設備が施工システムに含まれているか。
  3. 状態:排出時に泥状・流動性を示すか。積載時は非泥状でも、運搬中の練り返しで泥状にならないか。
  4. 必要な資料:工法図、分離設備の工程、発生物の状態が分かる写真や試験結果など。

指針では、直径74マイクロメートルを超える粒子をおおむね95%以上含む掘削物について、ずり分離等によって泥状・流動性がなくなり、生活環境保全上の支障がない場合に、土砂として扱えることも示しています。粒径の数値だけを切り出さず、分離後の状態などの条件と一緒に捉える必要があります。

分類はいつの状態で判断する?脱水・固化した場合も注意

土砂か建設汚泥かの判断は、原則として掘削工事に伴って排出される時点で行います。 ただし、水を利用して地山を掘削する工法では、発生した掘削物を元の土砂と水に分離する工程までを、一体の掘削工事として捉えます。そのため、地中から掘り出した瞬間の見た目だけで決めるわけではありません。

例えば泥水を使う工法では、掘削物が施工システム内で分級され、土砂と廃棄泥水などに分かれる場合があります。どこまでが一体の施工システムで、どこから外部へ排出されるのかを確認することが必要です。

一方、すでに建設汚泥として排出された物を、その後に脱水・固化・乾燥した場合は別の問題です。固くなった、運べる状態になったという理由だけで、当然に建設発生土や非廃棄物へ変わるわけではありません。

環境省は、こうした「建設汚泥処理物」について、物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無、占有者の意思を総合的に勘案して、廃棄物該当性を判断する指針を示しています。原則として、収集運搬などの規制対象行為ごとに、その行為に着手する時点で判断します。

つまり、確認すべき時点は二つあります。

  • 最初の分類:一体の掘削施工システムから排出されるとき、土砂か汚泥か。
  • 処理後の取扱い:建設汚泥に中間処理をした物が、運搬などの段階でなお廃棄物に該当するか。

再生利用する予定があるだけ、有償で譲渡する契約があるだけでは、必ず非廃棄物になるとはいえません。処理済みの物を運ぶ場合は、処理前の分類に加え、処理内容、利用先、取引・利用の実態を確認してください。

処理後の判断については、環境省「建設汚泥処理物の廃棄物該当性の判断指針について」をご覧ください。

杭工事・泥水を使う掘削・通常の掘削などの具体例

同じ「掘削」「杭工事」でも、発生するものは一種類とは限りません。環境省指針の代表的な工法例を、運搬前に見るべき点とともに整理すると次のようになります。

工法・状況 分類を考える際のポイント
通常の地山掘削 地山の掘削により生じた土砂が基本。ただし現場で発生した別の泥状物と混同しない
泥水シールド・リバースサーキュレーション 一体の施工システム内で分級された土砂と、廃棄泥水・余剰泥水等を分けて確認する
泥土圧シールド システムから排出された物が泥状か、非泥状かを確認する
アースドリル工法 使用後の安定液・廃棄泥水と、掘削土砂を区別し、泥状の状態も確認する
SMW工法等 セメントミルクと土砂の混合物など、排出物の状態によって汚泥以外の廃棄物区分も関係する

例えば、同じ杭工事であっても、安定液の廃液と掘削して取り出した土砂をひとまとめに「杭工事の汚泥」と呼んでしまうと、適切な分類ができません。逆に、工事関係者が「残土」と呼んでいるだけで、泥状の排出物を土砂扱いすることも避けるべきです。

また、SMW工法等に関する環境省の図示例には、汚泥だけでなく「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」に関係する区分も示されています。すべての発生物が「建設発生土か建設汚泥か」の二択になるわけではありません。

分類に迷う場合は、物の名称より先に、施工会社から工法・発生工程・一体の施工システムの範囲・排出物の状態が分かる情報を集めましょう。

工法別の区分は、環境省「建設廃棄物処理指針(平成22年度版)」2.3(7)・工法別の図で確認できます。

建設汚泥を運搬するには産廃収集運搬業許可が必要?

他者から委託を受けて運搬する場合と、自己運搬の場合

建設汚泥を他者から委託されて収集運搬する事業者には、原則として産業廃棄物収集運搬業許可が必要です。 一方、排出事業者が自ら運搬する場合には、収集運搬業許可を要しないのが原則です。ただし、許可不要でも産業廃棄物の運搬基準などの義務がなくなるわけではありません。

建設工事では、ここに大切な注意点があります。廃棄物処理法第21条の3により、建設工事に伴って生じた廃棄物については、原則として元請業者が排出事業者となります。

そのため、実際に掘削や杭工事を行った下請業者が、自社のトラックで運ぶからといって、当然に「排出事業者自身の自己運搬」になるわけではありません。下請業者による運搬には、原則として適切な許可と委託関係の確認が必要です。

なお、法第21条の3第3項には、一定の維持修繕工事等に関する下請業者の運搬の例外がありますが、工事内容、請負金額、運搬量、運搬先など複数の条件があります。「下請でも運べる例外がある」とだけ聞いて、個別の運搬に当てはめないでください。

まず、契約関係と運搬主体を整理し、誰が法律上の排出事業者で、誰が運搬を担当するのかを確認することが出発点です。

「汚泥」の許可品目と、許可証の事業の範囲を確認する

建設汚泥が産業廃棄物に該当し、業として収集運搬する場合、確認する基本の許可品目は「汚泥」です。

ただし、許可証に「汚泥」と記載されていることだけで、すべての建設汚泥を運搬できるとは限りません。許可された事業の範囲には、取り扱う産業廃棄物の種類のほか、積替え保管の有無や、汚泥の性状・含水率等に関する限定が付いている場合があります。

運搬を受ける前に、少なくとも次を照らし合わせましょう。

  • 品目:許可証の取り扱う産業廃棄物の種類に「汚泥」が含まれるか。
  • 限定:無機性・含水率等、汚泥の性状に関する限定事項がないか。
  • 運搬方法:実際の運搬が、許可されている積替え保管の有無と一致するか。
  • 運搬区域:積込み場所と積卸し場所について、必要な許可を備えているか。
  • 現物の性状:運搬予定の物が、その許可範囲と運搬設備で扱えるものか。

すでに許可を持っていても、今回の廃棄物が許可された事業範囲に含まれていなければ、範囲の拡大について変更許可が必要となる場合があります。許可品目だけを追加すればよいと自己判断せず、現行許可証と申請先の案内を確認してください。

また、品目と許可範囲の確認に加えて、泥状物の流出を防げる車両・容器が必要です。運搬設備を検討する場合は、産業廃棄物収集運搬業許可の車両・運搬容器の確認ポイントも確認してください。

なお、建設発生土に当たる場合には、その土砂自体の運搬について産業廃棄物収集運搬業許可は必要ありません。ただし、一定の工事では建設発生土の搬出先確認や再生資源利用促進計画等が関係し、搬出先の盛土規制法・条例等を確認する場合もあります。「産廃の許可がいらない」ことと「どこにでも自由に運べる」ことは別です。

より広く許可品目を整理したい場合は、産業廃棄物収集運搬業許可の品目と必要品目の確認方法をご覧ください。これから申請する場合には、運搬する品目・数量・車両・運搬先を整理するための産業廃棄物収集運搬業許可の事業計画と申請準備も役立ちます。

分類に迷う場合、排出事業者・申請先へ何を確認する?

建設汚泥か建設発生土か分からないまま、運搬の受託可否を決めないようにしましょう。工事名だけを問い合わせても、判断に必要な情報が足りないことがあります。

次の表は、排出事業者や所管行政庁に確認する前に整理しておくと役立つ項目です。法定様式ではなく、現場の情報を整理するための点検表です。

確認すること 整理しておく情報
工事と工法 土木・基礎・杭工事等の種類、具体的な掘削工法
発生工程 どの工程・設備から出た物か。一体の施工システムの範囲
排出時の状態 泥状・流動性、積載時や運搬中の性状、必要に応じた試験結果
分離・処理 分級、脱水、固化、乾燥等をどこで、いつ行ったか
発生物の分類 建設発生土、建設汚泥、その他の廃棄物の可能性
運搬主体 元請・下請・運搬受託者のどれに当たるか
運搬経路 積込み場所、積卸し場所、積替え保管の有無
現在の許可 「汚泥」の有無、事業の範囲、限定事項

確認する順番も大切です。 まず排出事業者・施工関係者から工法、工程、発生物の状態を確認します。その情報と許可証の写しなどをそろえたうえで、分類や運搬の取扱いに疑義が残る部分を所管行政庁へ具体的に問い合わせると、何を判断してほしいのかを伝えやすくなります。

まとめると、建設汚泥と建設発生土を見分ける入口は「工事名」でも「泥という呼び方」でもなく、発生工程と排出時の状態です。 建設汚泥と分かったら、次は誰が運搬するか、許可証の「汚泥」と事業の範囲が合うかを確認してください。これで、分類と許可の二つの問題を分けて、次の行動へ進めます。

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