マニフェスト

電子マニフェストは義務?対象事業者・50トン基準・例外をわかりやすく解説

「電子マニフェストはもう義務化されているの?」
「うちの会社も紙マニフェストを使えなくなる?」
「50トン以上が対象と聞いたけれど、何を50トン数えるの?」

電子マニフェストは、すべての事業者に一律で義務付けられているわけではありません。

2020年4月1日から一部の事業者について電子マニフェストの使用が義務化されていますが、対象になるかどうかは「会社が産業廃棄物をたくさん出しているか」だけでは判断できません。

基本的には、次の条件を順番に確認します。

確認すること 主なポイント
対象単位 原則としてどの事業場について判定するか
廃棄物の種類 PCB廃棄物を除く特別管理産業廃棄物か
基準年度 前々年度の実績か
発生量 対象となる特別管理産業廃棄物が50トン以上か
処理委託 対象廃棄物の運搬または処分を他人に委託するか

環境省は、前々年度の特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物を除く)の発生量が50トン以上の事業場から、その特別管理産業廃棄物の処理を委託する場合を電子マニフェスト使用義務の対象としています。

環境省

したがってこの記事では、「義務化されたかどうか」だけでなく、自社が義務対象なのかを確認するために何を見ればよいのかを順番に整理します。

電子マニフェストの義務対象か確認する5つのポイント

1.原則として会社全体ではなく「事業場」を確認する

まず確認したいのが、50トンの判定単位です。

電子マニフェスト使用義務の対象になるかどうかは、原則として事業場ごとに判断します。

同じ会社が複数の工場を運営しているからといって、すべての工場の発生量を機械的に合算して、

「会社全体で50トンを超えたから電子マニフェストが義務」

と判断するものではありません。環境省

まず、自社のどの工場・事業所が判定対象となる「事業場」なのかを整理しましょう。

建設業などは作業現場を合算する場合がある

建設業等は少し考え方が異なります。

環境省は、建設業等について、都道府県等の区域内にある作業現場を合わせて判断し、その区域内の作業現場を総括的に管理する支店等ごとに処理計画を作成する取扱いを示しています。

電子マニフェスト使用義務についても、当該区域内の作業現場の排出量を合算して判断します。環境省

したがって、

「この工事現場だけなら50トン未満だから対象外」

とは限りません。

2.対象は特別管理産業廃棄物。ただしPCB廃棄物は除く

次に確認するのが、廃棄物の種類です。

義務化の対象となる基準は、特別管理産業廃棄物です。ただし、PCB廃棄物は除かれます。環境省

ここで注意したいのは、

「義務対象の事業場になったら、その事業場から出るすべての産業廃棄物を電子マニフェストにしなければならない」

というわけではないことです。

環境省は、義務対象となる事業場であっても、いわゆる普通産廃やPCB廃棄物の処理を委託する場合については、この一部義務化による電子マニフェスト使用義務の対象ではなく、紙マニフェストの使用も可能としています。環境省

つまり、

「義務対象になる事業場」

と、

「その事業場から出るどの廃棄物について電子マニフェストが義務になるのか」

は分けて考える必要があります。

3.「50トン以上」は対象となる特別管理産業廃棄物の発生量

義務化で最も目につく数字が50トン以上です。

この50トンは、会社から出るすべての産業廃棄物を合計した量ではありません。

確認するのは、PCB廃棄物を除く対象となる特別管理産業廃棄物の発生量です。基準は「50トン以上」なので、50トンちょうども含まれます。環境省

たとえば説明用に、

  • 普通の産業廃棄物:100トン
  • 対象となる特別管理産業廃棄物:30トン

だったとします。

この場合、「合計130トンだから50トン以上」とは判断しません。

この義務化の判定で確認するのは、対象となる特別管理産業廃棄物の量です。

また、制度上は**「発生量」**を基準としている点にも注意が必要です。

単純に「処理業者へ搬出した量」と置き換えて判断するのではなく、多量排出事業者の特別管理産業廃棄物処理計画との関係を踏まえて確認します。環境省

4.判断するのは「今年」ではなく前々年度の発生量

年度も間違えやすいポイントです。

電子マニフェスト使用義務の対象かどうかは、当該年度の前々年度の発生量を基準に判断します。環境省

たとえば、2026年度について義務対象か確認する場合は、2024年度の対象発生量が判断材料になります。

したがって、

「今年初めて50トンを超えたから、明日から電子マニフェストを使わなければならない」

という仕組みではありません。

環境省は、義務対象になるかどうかは年度ごとに判断すると説明しています。

50トン未満となった年度の翌々年度は義務対象から外れ、その後再び50トン以上になれば、その翌々年度には再び義務対象になります。環境省

対象になる可能性がある事業者は、毎年度の発生量を継続して把握することが重要です。

5.対象廃棄物の運搬または処分を他人へ委託する場合に義務が関係する

もう一つ重要なのが「委託」です。

電子マニフェスト使用義務は、対象となる特別管理産業廃棄物について、運搬または処分を他人に委託する場合に関係します。環境省

したがって、義務対象を確認するときは、

対象となる事業場
+ 対象となる特別管理産業廃棄物
+ 前々年度50トン以上
+ 他人への処理委託

という条件を組み合わせて考える必要があります。

逆に、運搬・処分とも他人へ委託しないケースについて、この規定による電子マニフェスト使用義務がそのまま生じるわけではありません。

義務対象でも紙マニフェストを使える場合はある

義務対象だからといって、どのような状況でも紙マニフェストが絶対に認められないわけではありません。

法令では、電子マニフェストによる登録が困難な一定の場合について例外が設けられています。環境省

通信障害・停電・災害などで利用できない場合

たとえば、

  • 通信回線の故障
  • 長時間の停電
  • 天災などのやむを得ない事情

により電子マニフェストの登録が困難になった場合です。

このような場合、復旧を待って後日電子登録するのではなく、環境省は速やかに紙マニフェストを交付し、その理由と紙マニフェストを使用する旨を備考・通信欄へ記載するよう案内しています。環境省

復旧後の新たな処理委託については、通常の電子マニフェスト運用へ戻ります。

電子マニフェスト対応業者への委託が困難な場合

電子マニフェストに対応する処理業者への委託が困難な場合も、例外に該当する可能性があります。

たとえば、電子マニフェストに対応した処理業者が著しく遠方にしか存在しない場合などは、個別事情によって「電子対応業者への委託が困難」と認められる可能性があります。環境省

ただし、

「いつもお願いしている業者がJWNETに加入していない」

という理由だけで紙マニフェストを使えるわけではありません。

環境省は、同じ処理ができる電子マニフェスト対応業者が存在するのであれば、従来の委託先が未対応というだけでは例外には当たらないと説明しています。環境省

例外規定は自己判断で広く解釈しないことが重要です。

義務対象なのに電子マニフェストを使わないとどうなる?

電子マニフェスト使用義務は、単なる推奨ではありません。

電子マニフェスト使用義務者が、法令上認められている「登録することが困難な場合」に該当しないにもかかわらず紙マニフェストを交付した場合は、廃棄物処理法第12条の6による勧告・命令等の対象となり得ます。 環境省

制度上は、

勧告
→ 勧告に従わない場合の公表
→ なお正当な理由なく必要な措置を取らない場合の命令

という仕組みがあります。環境省

さらに、管理票制度違反に関する命令に違反した場合には、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象となります。公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター

したがって、

「義務対象なのに紙マニフェストを1回使ったら、直ちに刑事罰になる」

と単純化するのは正確ではありません。

大切なのは罰則を恐れることではなく、まず自社が本当に義務対象なのかを正確に確認することです。

義務対象になったら何を準備する?

自社が電子マニフェスト使用義務の対象と分かったら、次は実際に電子マニフェストを利用できる体制を整えます。

一般的に、収集運搬と処分の両方を他社へ委託して電子マニフェストを利用する場合は、排出事業者と委託先の収集運搬業者・処分業者がJWNETを利用できる状態にしておく必要があります。 JWNETも通常の委託処理について、この3者が加入する仕組みを案内しています。公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター

一方で、自社が運搬する自己運搬や、自社で処分する自己処分については、JWNETに別の登録方法が用意されています。公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター

そのため、「必ず3社が加入する」と一律に考えるのではなく、自社の委託・処理形態に応じて必要な関係者を確認することが重要です。

導入段階では、まず次の順で整理すると分かりやすいでしょう。

  1. 自社がどの処理を委託するのか整理する
  2. 委託する収集運搬業者・処分業者のJWNET対応状況を確認する
  3. 自社のJWNET利用環境を整える
  4. 社内で登録・確認を担当する人を決める
  5. 登録期限や実際の操作方法を確認する

つまり、最初に「JWNETへ申し込む」のではなく、自社の処理フローを整理してから必要な加入・設定を確認する方が手戻りを防ぎやすくなります。

自社が義務対象か分からないときは、何を整理すればいい?

条件を読んでも、自社が対象か判断しにくい場合があります。

その場合は、次の情報を整理しておくと確認しやすくなります。

整理する情報 確認する内容
対象事業場 どの工場・事業所・現場について判断するのか
廃棄物の種類 特別管理産業廃棄物か、PCB廃棄物か
基準年度 前々年度の実績はどうなっているか
発生量 対象となる特別管理産業廃棄物が50トン以上か
委託内容 運搬・処分のどの部分を他人へ委託するのか
例外事情 電子マニフェストを利用できない事情があるか

環境省自身も、電子マニフェスト使用義務に関するQ&Aは一般的な考え方を示したものであり、個別具体的な判断については所在地の都道府県等へ相談するよう案内しています。環境省

そのため、

「うちの会社は対象ですか?」

とだけ確認するのではなく、

事業場
+ 廃棄物の種類
+ 前々年度の発生量
+ 委託内容

を整理したうえで問い合わせると、自社の状況を説明しやすくなります。

電子マニフェスト義務化についてよくある質問

50トンちょうどでも義務対象になりますか?

はい。

基準は50トン以上なので、50トンちょうども含まれます。

ただし、普通産業廃棄物まで含めた会社全体の廃棄物量ではなく、対象となる特別管理産業廃棄物について確認します。環境省

会社全体で50トン以上なら義務ですか?

原則として会社全体ではなく、対象となる事業場ごとに確認します。

ただし、建設業等では都道府県等の区域内にある作業現場の排出量を合算して判断する取扱いがあります。環境省

普通の産業廃棄物も電子マニフェストにしなければいけませんか?

この一部義務化によって一律に必要になるわけではありません。

義務対象となる事業場であっても、普通産業廃棄物の処理委託について、この一部義務化による電子マニフェスト使用義務が生じるわけではありません。環境省

PCB廃棄物は50トン基準に含まれますか?

今回の電子マニフェスト使用義務では、PCB廃棄物は対象から除かれています。環境省

今年50トンを超えたら、すぐ電子マニフェストが義務になりますか?

いいえ。

義務対象かどうかは前々年度の発生量を基準として年度ごとに判断します。環境省

いつもの処理業者がJWNET未加入なら紙マニフェストでよいですか?

それだけで例外になるとは限りません。

同様の処理ができる電子マニフェスト対応業者が存在する場合には、従来の委託先が未加入という理由だけでは「電子対応業者への委託が困難な場合」には該当しないと環境省は説明しています。環境省

自己運搬する場合も収集運搬業者のJWNET加入が必要ですか?

自社で運搬する場合には、JWNETで自己運搬として登録する方法があります。

自己運搬の場合は、通常の委託運搬とは異なる運用になるため、自社の処理形態に応じた登録方法を確認してください。公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター

まとめ|「50トン」だけで判断せず、自社の条件を順番に確認する

電子マニフェストは、すべての事業者に一律で義務付けられているわけではありません。

自社が義務対象か判断するときは、

事業場
→ 廃棄物の種類
→ 前々年度の発生量
→ 50トン以上か
→ 処理委託の内容

という順番で整理すると分かりやすくなります。

そして、電子マニフェストによる登録が困難な一定の場合には、紙マニフェストを使用できる例外もあります。

特に避けたいのは、

「会社全体で産廃を50トン以上出しているから電子マニフェストが義務」

と単純に判断することです。

事業場、対象廃棄物、基準年度、発生量、委託内容によって結論は変わります。

条件を整理しても判断できない場合は、事業場所在地を管轄する都道府県等へ確認してください。

義務対象だと分かった場合は、その次に自社の処理フロー、委託先のJWNET対応状況、加入・設定、登録期限、具体的な使い方を確認していけば、実際の電子マニフェスト運用へ進めます。

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