資金計画書で確認すること
運送業許可の資金計画は、事業開始に必要な費用と、その資金をどう確保するかを、契約書・見積書等に基づいて整理するものです。近畿運輸局では「事業開始に要する資金及び調達方法」の様式例が示されています。収支の見通しとは区別し、管轄の最新様式を確認してください。
大切なのは、費目ごとの計上期間を間違えないこと、事業主負担の保険料や税・諸費用を漏らさないこと、申請後も必要な自己資金を確保することです。計算が合っていても、それだけで許可が保証されるわけではありません。
この記事は、近畿運輸局の一般貨物自動車運送事業の新規許可を例に、資料の集め方、計算例、残高証明の基準日、申請後の管理までを説明します。他地域や事業形態では管轄の公示・様式・指示を確認してください。
- 車両費・施設費・運転資金を、根拠資料から書き起こす方法
- 人件費・法定福利費・消費税の確認ポイント
- 所要資金の計算例と、自己資金・月々の支払いの照合
- 残高証明と法令試験、補正、運輸開始の準備を並行して管理する方法
許可要件の全体は運送業許可の要件ガイド、資金要件の全体像は運送業許可の資金要件を参照してください。本記事では、特に「数字をどの資料から拾い、どの期間で計算し、申請書と整合させるか」に重点を置きます。
1.運送業許可の資金計画書:所要資金・自己資金・収支計画を分ける
所要資金は、事業開始に必要な費用を審査基準に沿って計算した額です。自己資金は、その計画を裏付ける資金として確認されるものです。一方、売上・利益の予測や実際の入出金予定は、事業が続けられるかを確認するための収支計画・資金繰り計画として整理します。
例えば、利益が出る見込みでも、運賃の入金より先に給与・燃料代・リース料を払うなら、その間の資金が必要です。許可申請の計算期間と、実際の支払日が同じとは限らないため、両方の表を作ります。
近畿運輸局の許可審査基準(2025年8月改正)では、所要資金の見積りと調達の裏付けが適切で、所要資金に相当する額以上の自己資金を、申請日以降許可日まで常時確保することが求められています。
近畿運輸局の細部取扱い・様式例では、預貯金のほか、処分権者の判断により預貯金以外の流動資産を含められる場合も示されています。「自己資金は常に預金だけ」「貸借対照表の純資産なら全額使える」といずれかに決めつけず、資産の内容と確認方法を管轄へ相談してください。
不足が分かったときの対応
必要額を下回る計画のまま申請を進めないことが重要です。ただし、計算ミスが1円あれば直ちに一律の却下・不許可になる、といった説明は適切ではありません。誤りや変更が分かったら、根拠資料と再計算表を用意して担当窓口へ確認します。
2.書き始める前に集める資料と、計上期間の一覧
最初に事業計画の前提をそろえる
車両台数、車種、運ぶ貨物、運行区間、管理者・運転者等の人数、営業所・車庫の使い方を先に整理します。人員表が5人、給与の計算が4人、保険見積りが3台分という食い違いを防ぐためです。
- 営業所・車庫、車両、人員の一覧を作る。
- 購入・分割・リース・賃借・既存保有の別を記入する。
- 契約書・見積書の金額、対象期間、消費税、支払条件を確認する。
- 費目ごとの計算期間を当てはめ、申請様式の欄と対応付ける。
- 調達予定と支払い予定を月ごとの資金繰り表へ移す。
建設業等の既存事業がある場合は、共用する車両・施設・人員と、新たに増える費用を分けます。土地やダンプの適合は建設業との兼業に必要な要件、兼業時の採算・資産利用は既存資産を活用する際の確認も参照してください。
| 費目 | 近畿の公示を基にした計上の考え方 | 主な根拠資料 |
|---|---|---|
| 人件費・燃料費・油脂費・修繕費・その他の運転資金 | それぞれ6か月分。人件費は給与だけでなく手当・賞与・事業主負担等も確認 | 人員・給与計画、運行計画、燃料単価、修理等の見積り |
| 車両の一括購入 | 取得価格(消費税を含む) | 車両ごとの見積書・売買契約 |
| 車両の分割購入 | 頭金と1年分の割賦金 | 頭金、支払回数、月額が分かる契約・返済予定 |
| 車両リース | リース料の1年分 | リース契約・見積書。別途初期費用がある場合も確認 |
| 車両以外の固定資産 | 購入は取得方法に応じた額。借りる場合は敷金・権利金・保証金等を含む1年分の賃借料 | 施設売買・賃貸借契約、初期費用の明細 |
| 自賠責・任意保険 | それぞれ1年分 | 事業用車両・補償内容に合った見積書 |
| 車両関係の税等 | 自動車税・自動車重量税は公示上1年分。登録時点の適用制度・車両条件に照らして確認 | 車両見積書の税明細、登録担当等の案内 |
| 什器備品・登録免許税等 | 様式の該当欄へ。取得額・必要額を確認し、他項目との重複を除く | 備品見積り、納付案内、諸費用の明細 |
上表の期間は全国共通の一律表として使わないでください。特に近畿の施設賃借料を6か月と計算すると、公示の1年分との不一致が生じます。購入費をすべて月額×12で計算することもできません。
なお、近畿の掲載様式例には「その他」の費用を2か月分とする表記が残る一方、上記の公示では「その他」も6か月分です。最新公示を基に準備し、提出様式と計算欄の扱いを担当窓口へ確認してください。
計算の根拠を一緒に残す
明細表には「対象」「単価」「数量・人数」「期間」「金額」「資料番号」を設けます。見積書には作成日と有効期限を記録し、改訂した際は古い金額が計算表に残らないようにします。概算段階の数値は概算と分かるよう表示し、契約・見積りが確定したら差し替えて再集計してください。
費用をすでに支払った場合や、既存保有の資産を使用する場合は、契約・領収書・支払日・残債等を整理します。「支払済みだから必ずゼロ」「支払済みでも必ず全額をもう一度預金で用意」のどちらにも一律に当てはめず、所要資金と自己資金の取扱いを確認します。
3.人件費と法定福利費の書き方
人数・給与・手当・賞与を人員計画と一致させる
近畿の様式例には、役員報酬、運転者、運行管理者、整備管理者、事務員等の給与・手当、賞与の欄があります。基本給だけでなく、予定する時間外労働に伴う手当や通勤手当等を確認し、雇用条件と整合させます。
兼務する人については、人数や同じ給与を重複計上していないか確認します。その一方で、兼務を理由に実際に必要な給与や管理体制を抜かないでください。採用予定日、勤務、支払開始日も資金繰り表で管理します。
給与の計算例
月額35万円(例として諸手当込み)の運転者5人なら、35万円×5人×6か月=1,050万円です。これはこの5人の給与等だけの計算で、役員・別の管理者・事務員の報酬や給与、賞与、事業主負担分を含む総人件費とは限りません。
月額30万円の運転者5人なら給与等6か月分は900万円です。必要な法定福利費等は別途積み上げます。5人という人数も例であり、すべての事業計画に必要十分な人数を示すものではありません。
給与を計画上だけ下げて必要資金を小さく見せるのではなく、実際の雇用条件、最低賃金、時間外手当等を確認します。「地域平均より低ければ直ちに不許可」「役員報酬は必ず月20万~30万円」といった独自の最低額は設けません。役員報酬を含む具体的な設定は、税務・労務上の扱いとも整合させてください。
法定福利費は「給与の15%」で確定させない
健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険等について、対象者と事業主負担を確認します。料率、標準報酬、賞与、年齢、保険者、適用区分等で計算が変わるため、一律15%や16%を最終金額として使う方法は避けます。
| 確認する項目 | 資料と確認ポイント |
|---|---|
| 健康保険・介護保険 | 加入先の最新保険料表、対象者の標準報酬・賞与、介護保険の対象を確認 |
| 厚生年金保険 | 日本年金機構の保険料額表、標準報酬月額・標準賞与額、事業主負担を確認 |
| 子ども・子育て関係 | 子ども・子育て拠出金と、2026年4月開始の子ども・子育て支援金を混同せず、必要な事業主負担を確認 |
| 雇用保険 | 該当年度・事業区分・加入対象、事業主負担率を確認。「運送業だから常に高い」と推定しない |
| 労災保険 | 事業区分と適用料率、算定対象を確認。雇用保険と同じ率にはしない |
保険料の資料は、日本年金機構の保険料額表、協会けんぽの2026年度案内、厚生労働省の雇用保険料率等で確認します。個別の加入・算定は年金事務所、加入先、労働局、社会保険労務士等へ相談してください。
試用期間や短時間勤務という呼び方だけで加入対象外になるとは限りません。実際の労働条件に基づいて確認し、加入義務があるものを資金不足を理由に後回しにしない計画にします。
また、近畿の様式例には、法定福利費と別に「厚生福利費」として給与・手当・賞与の2%を見込む欄があります。この様式上の見込みを、社会保険料率と取り違えないようにしてください。
4.燃料・修繕・施設・車両・税の計算をそろえる
燃料費は走行計画から計算する
燃料費は「月間走行距離÷1L当たりの走行距離×1L当たり単価×6か月」で計算します。車種やルートで燃費が違う場合は車両別に計算して合計します。空車回送も含め、予定する運行と合う走行距離を使ってください。
例えば、全車両の月間走行距離を2万km、平均燃費を5km/L、燃料単価を150円/Lと仮定すると、20,000÷5×150×6=360万円です。これは計算の説明用で、現在の市場価格や適正燃費を示す数値ではありません。自社の見積り・運行実績等に置き換えます。
近畿の様式例では、油脂費は燃料費の3%を見込む欄があり、この例では10万8,000円です。修繕費は外注修繕、自家修繕・部品、タイヤ等の項目を確認し、点検予定や見積りから積み上げます。燃料費にタイヤ・オイル代をまとめたうえで別欄にも加える、といった二重計上を避けてください。
施設は契約の初期費用と1年分の賃料を確認する
営業所・車庫等を借りる場合は、月額だけでなく敷金・保証金等の明細も必要です。例えば合計月額15万円、初期費用60万円という仮定なら、15万円×12か月+60万円=240万円です。実際は契約の内訳と公示の計上対象を照合します。
家賃・共益費・初期費用のうち、すでに見積書の合計に含まれているものを重ねて加算しないでください。自己所有、親族所有、他事業との共用等は使用権原と費用負担の実態を整理し、独自にゼロ計上としないことが大切です。
車両費は購入方法ごとに分ける
- 一括購入:取得価格を確認。課税される取得費は消費税を含め、諸費用の明細と照合する。
- 分割購入:頭金と1年分の割賦金を計算。頭金と支払予定表の重複、ボーナス払い等の漏れを確認する。
- リース:1年分のリース料を計算。保険・税・整備が料金に含まれる契約では、別欄との重複を確認する。
- 既存保有・支払済み:車検証、契約、領収書、残債等をそろえ、申請計算への反映を担当窓口へ確認する。
保険は車両台数・用途・運転者・運ぶ貨物等を伝えた事業用の見積りを取り寄せます。近畿の細部取扱い・FAQにある任意保険の基準は原則として対人無制限、対物1事故200万円以上ですが、これは実際の損害に十分な補償額を一律に推奨するものではありません。貨物や危険物等のリスクに応じて補償を検討してください。
公示では、自動車税・自動車重量税はそれぞれ1年分を計上します。実際の税額は、車種・重量・登録時期・制度改正等で変わります。公示の費目と登録時点の制度を照合し、車両見積り中の税額をそのまま別欄にも二重計上しないようにします。例えば、2025年の公示に記載されている環境性能割は、2026年4月に廃止されています。兵庫県の2026年度税制改正案内等で取得時期に応じた扱いを確認し、現在は課税されない税を一律に加算しないでください。登録免許税は、一般貨物の新規許可では関東運輸局の一般貨物の許可申請FAQ(問9)に12万円と示されています。他の税と区別して様式の欄と納付予定を管理します。
消費税は全項目に一律10%を足さない
近畿の公示は、一括購入の取得価格について消費税を含むことを明記しています。見積書が税抜表示の場合は、課税対象・税額・税込の支払総額を確認し、様式へ転記します。給与、保険料、税金、土地関係の支払い等へ機械的に1.1倍を掛けることはできません。
例えば、税抜1,500万円の課税対象となる車両本体を5台、消費税10%の前提で一括購入するなら、車両本体だけで税抜7,500万円、税込8,250万円です。差額750万円を落とさないようにします。ただし、これだけで事業全体の必要資金を計算したことにはなりません。
土地の貸付けと駐車場施設の利用などでは消費税の扱いが異なることがあります。国税庁「駐車場の使用料など」も確認し、契約の内容に沿った税区分は税理士等へ相談してください。税務上の経理方式と許可申請の記載方法を混同せず、端数処理も根拠資料・様式の指示と合わせます。
5.所要資金の計算例と、転記前のチェック
以下は費目の積み上げを示すための仮定例です。料金相場・全国一律の最低額・許可される金額を示すものではありません。すべて万円単位で、各欄は例示した契約・見積り・計算に基づくものとします。
| 費目 | この例の前提・計算 | 金額(万円) |
|---|---|---|
| 役員報酬・給与・手当等 | 給与・手当月額170万円+役員報酬月額20万円、合計190万円×6か月。賞与予定なし | 1,140 |
| 法定福利費 | 対象者・加入条件を確認して計算した額を、例として183万円と仮定 | 183 |
| 厚生福利費 | 給与・手当170万円×6か月×様式例の2%。役員報酬はこの欄の算定対象に含めない | 20.4 |
| 車両リース料 | 全車両合計月額25万円×12か月。別途初期費用なしと仮定 | 300 |
| 施設賃借料等 | 月額15万円×12か月+初期費用60万円 | 240 |
| 燃料費 | 月間総走行2万km÷5km/L×150円/L×6か月 | 360 |
| 油脂費 | 燃料費360万円×3% | 10.8 |
| 修繕費(タイヤ等を除く) | 月額15万円×6か月と仮定 | 90 |
| タイヤ等 | 月額10万円×6か月と仮定 | 60 |
| その他の運転資金 | 通信・光熱費等を月額10万円×6か月と仮定 | 60 |
| 什器備品 | 取得額の合計を仮定 | 30 |
| 自賠責・任意保険 | 全車両の1年分合計を仮定 | 150 |
| 車両関係の税等 | 自動車税・自動車重量税の1年分合計を仮定(環境性能割は含めない) | 40 |
| 登録免許税 | 一般貨物の新規許可の例 | 12 |
| この仮定による合計 | 2,696.2 | |
上表では、給与・手当と役員報酬を分け、厚生福利費の計算対象を明示しています。役員報酬20万円も説明用の設定で、法定の最低額や推奨額ではありません。法定福利費183万円は法定の一律率を掛けたものではなく、説明用の設定額です。
合計は2,696万2,000円です。仮に確認対象となる自己資金が3,000万円なら、単純差額は303万8,000円です。ただし、この差額をすべて自由に使ってよいという意味ではありません。未計上の費用、申請前後の支払い、見積りの変更を確認し、必要資金を確保できるか検証します。
提出前の照合チェックリスト
- 申請主体・営業所・車両・人数が、計画書と契約・見積書で一致しているか。
- 6か月・1年・取得全額の区分を取り違えていないか。
- 給与に法定福利費を含めたあと、別欄にも同額を重複加算していないか。
- 施設の敷金・保証金等、車両の頭金・割賦金・初期費用が整理されているか。
- 保険・税・整備を含むリース料と各費目の二重計上がないか。
- 税込・税抜・課税対象外等を明細で確認したか。
- 円・千円・万円の単位、小計・総計、転記、端数処理が合っているか。
- 資料更新に合わせて全体を再計算し、旧版と新版を区別したか。
金額を合わせるために人数・単価・費用を根拠なく減らさないでください。調達方法や計画を見直す場合は、実際の契約・運行体制も変更できるか確認してから計算し直します。
6.残高証明は「基準日」と「発行・提出日」を区別する
近畿運輸局のFAQ(問8・9)では、残高証明の対象は「申請日現在」と「運輸局が指示する任意の日」とされ、申請段階での添付は不要、通帳のコピーは不要と案内されています。申請日に証明書を発行して添付しなければならない、という説明とは異なります。
| 段階 | 確認すること |
|---|---|
| 申請前 | 証明する名義・口座・残高の基準日、金融機関の発行日数、提出方法を確認する |
| 申請時 | 申請日現在の資金を確保する。郵送では発送日ではなく到着日が受付日となる点も確認する |
| 審査中 | 運輸局が指定した日の残高証明等を、指示に従って準備する。指定日や提出時期を自己判断で決めない |
| 許可まで | 必要な自己資金の確保と入出金予定を継続して確認する。大きな支払い・計画変更は事前に相談する |
細部取扱いは「申請日時点及び処分までの適宜の時点」での確認を示しています。確認が必ず法令試験の後になる、決まった2回だけ乗り切ればよい、という予定にはしません。「発行後7日以内なら全国で使える」という一般化も避けます。
名義は申請主体と整合させます。近畿FAQは、法人を設立しようとする者として申請する場合、定款に記載された設立発起人の残高証明書について案内しています。設立済法人・個人・設立予定では、必要資料を混同せず担当窓口へ確認してください。
支払い予定と資金確保を両立させる
資金を一切減らしてはいけないという意味ではなく、必要額を確保できる計画が必要です。例えば自己資金3,000万円、所要資金2,696万2,000円という仮定で、追加支出400万円が発生すれば、単純な預金残高は2,600万円となります。支出の内容と所要資金への反映、他の資金の確認をせずに、そのままで足りるとは判断できません。
車両代や保証金等を払う前には、支払予定日、支払額、契約書・領収書、支払後残高、計算表への反映を一組にして確認します。既存事業の仕入れ・給与・税金の支払いも含め、同じ資金を別用途へ二重に充てる計画にしないでください。
融資や親族からの借入は、借入先、実行条件・時期、返済期限、資金の帰属と使用可能性を整理します。融資の内定・予約と実行済みの入金は別なので、内諾額をそのまま自己資金に足さず、実行条件と許可上の扱いを確認します。「借りたお金なら必ず認められる」「借用書があればそれだけでよい」とは断定できません。契約や振込の記録を残し、許可上の取扱いは運輸局、税務・会計は税理士等に確認します。
証明の日だけ入金して直ちに返すなど、事業で使用できない資金を使って見かけの残高を整えることは避けてください。通帳コピーの提出が不要という案内は、実体のない資金調達を認める意味ではありません。
7.法令試験・補正・登録準備と支払日を並行管理する
資金計画ができても、土地・車両・人員等の他の要件や法令試験への対応が残ります。近畿FAQでは申請前に法令試験だけを先に受けることはできないと案内されています。受験する者の資格、試験日、手続きは最新の実施案内に従います。受験対象・再試験・学習の進め方は、運送業許可の役員法令試験で確認してください。
「申請の何か月後に必ず試験」「6か月目に必ず許可」と固定せず、次の管理表で準備します。標準処理期間と実際の準備・補正期間の違いは許可の標準処理期間、資金や契約の順番は許可までの準備と期間で確認してください。
| 工程 | 資金・資料の管理 | 同時に進めること |
|---|---|---|
| 申請準備 | 所要資金計算、契約・見積りの照合、調達条件の確認 | 土地・車両・人員の適合確認、法令学習 |
| 申請・受理 | 申請日現在の資金確保、提出版の控え保存 | 受付・試験案内の確認 |
| 審査・試験・補正 | 指定残高の証明、変更費用の再計算、回答資料管理 | 試験受験、追加照会への対応 |
| 許可後・開始前 | 登録免許税、保険・登録等の支払い確認 | 車両登録、管理者選任、加入義務がある保険等、運輸開始前確認 |
| 運輸開始後 | 入金予定と給与・燃料・整備等の支払いを照合 | 点呼・教育・点検・帳票管理を実施 |
補正がある場合、その期間や必要資料によって予定は変わります。「修正1回につき必ず1か月」「再審査は必ず2週間以上」とは限りません。指摘事項を一覧化し、再取得する資料と変更が及ぶ計算欄を整理して回答します。依頼先があっても、許可時期や補正なしを保証できるものではありません。
予定より開始が遅れた場合に備え、家賃・リース料・雇用開始後の人件費等、売上がなくても出る費用を確認します。例えば月の固定的な支払いが60万円なら、1か月の遅れに60万円の支払いが続くという単純計算です。これは行政書士報酬との優劣を決める数字ではなく、自社の契約日・採用日を判断するための材料です。
8.許可後は計画と実績を見直す
社会保険等の加入・納付を予算と実務に反映する
加入義務がある社会保険・労働保険は、許可条件と関係法令に従って手続きを行います。給与が変わった、人数が増えた、保険料率が改定された場合は予算も更新します。計上した費用を実際には支払わない前提で採算を合わせることはできません。
巡回指導・監査への対応では、加入状況や安全管理等を実態に即して確認します。資金計画と実績の差があれば直ちに処分される、社会保険未加入なら自動的に特定の総合評価になる、という説明は避け、問題の内容に応じて改善します。
運賃の収入と、回収までの時間を確認する
人件費・燃料・整備等の原価を把握し、予定する運賃で必要な費用を賄えるか試算します。運賃だけでなく荷待ち・荷役等の条件、請求締日、支払日、立替金の扱いも整理してください。公表される運賃関係の資料を参照する場合は、その制度の適用時期と位置付けを確認します。
原価表は荷主との条件協議に使えますが、値上げや売上増を保証するものではありません。取引が増えたときほど、燃料等の先払いと運賃入金の間隔が広がらないか確認します。
月次で予実差を見て、資金繰り表を更新する
毎月、売上、入金、給与・保険料、燃料、修繕、リース料等について予定と実績を比べます。燃料単価・走行距離・修理・入金遅延のどれが差の原因か分けて、次月以降の見込みを修正します。安全確保に必要な点検や教育を削って帳尻を合わせないようにしてください。
9.自分で作る場合と、行政書士へ依頼する場合
自分で申請書を作成することもできます。依頼するかどうかは、基準の確認や資料収集に使える時間、計画の複雑さ、支援が必要な範囲で判断します。
| 比較する点 | 自分で作成する場合 | 行政書士へ依頼する場合 |
|---|---|---|
| 資料と基準 | 管轄の公示・様式を確認し、自ら契約等と照合する | 資料整理、基準との照合、未確認事項の相談を依頼できる |
| 計算・作成 | 費目・期間・税区分・小計等を自ら確認する | 依頼範囲に応じ、申請書作成・根拠資料との整合確認を受ける |
| 照会・補正 | 担当窓口の指示を整理し、回答・修正する | 事前相談や補正対応の支援を依頼できる |
| 事業者自身の役割 | 資金確保・契約・人員・試験等を自ら管理する | 依頼しても、資金確保や事実の説明、経営判断、本人が受ける試験等は必要 |
| 費用と結果 | 専門家報酬は不要でも、法定費用・資料取得費等は発生する | 報酬・実費と支援範囲を見積りで確認。許可・無補正・時期は保証されない |
「自力なら必ず失敗」「依頼すれば印鑑だけ」「再申請のハードルが必ず上がる」といった比較ではなく、自社に必要な確認と役割分担を決めます。税務・会計の個別判断は税理士、労務・社会保険は社会保険労務士等との連携が必要になる場合があります。
よくある質問
人件費と家賃はどちらも6か月分ですか?
近畿の公示では、人件費等の運転資金は6か月分、施設を借りる場合の賃借料は敷金・保証金等を含む1年分です。同じ期間でまとめず、費目ごとに確認します。
残高証明は申請日に発行して添付するのですか?
近畿FAQは、申請日現在と指示する任意の日を残高の対象日とし、申請段階での添付は不要と案内しています。基準日・発行日・提出日を区別し、担当窓口と金融機関へ確認してください。
親族から借りた資金は認められますか?
借入という名称だけで可否は決められません。契約、実行状況、資金の帰属、使用可能性、返済条件を整理し、管轄へ確認します。証明日だけ残高を整える実体のない資金調達は避けてください。
いくらあれば必ず許可されますか?
一律の金額ではありません。事業計画から必要額を計算し、資金以外の許可要件も満たす必要があります。本記事の計算例も許可を保証する最低額ではありません。
資金計画の相談前に用意するもの
- 予定する運送内容、車両・営業所・車庫・人員の一覧
- 車両購入・リース、施設賃借、保険等の見積書・契約書
- 給与・手当・賞与、社会保険等の対象と算定の資料
- 走行距離・燃費・燃料単価・整備の見込み
- 自己資金の状況、調達条件、既存事業も含めた入出金予定
- 既に支払った費用の証拠と、今後の支払予定日
当事務所では、資料をもとに許可要件と未確認事項を整理し、役所への事前相談、申請書類の作成・提出、補正対応を支援します。数字が確定していない段階でも、分かっている金額と、これから確認する項目を分けてご相談ください。
