役員法令試験で最初に確認すること
近畿の役員法令試験は、30問・50分・8割以上の正解が合格基準です。24問正解なら合格基準を満たすため、6問間違えても直ちに不合格ではありません。法人では許可後に事業へ専従する常勤役員、個人では申請者本人が受験します。参考資料の持込みはできず、当日配付される条文集を使用します。
「条文集があるなら、勉強しなくても調べればよいのでは」「どの役員が受ければよいのか」。役員法令試験の準備は、こうした受験条件の確認から始めます。試験は許可審査の一部ですが、合格だけで許可・開業が決まるわけではありません。資金、営業所・車庫、人員、車両の準備とも並行して進めましょう。全体から確認したい方は、運送業許可の要件と準備資料のガイドをご覧ください。
この記事では、近畿運輸局の2026年7月1日改正公示をもとに、日程・再試験・学習の進め方と、改善基準告示の数字を確認する方法を整理します。情報の確認基準日は2026年10月24日です。他地域の取扱や実際の受験日・会場は、その管轄の最新公示と届いた通知書で確認してください。
- 受験できる人と、運行管理者の資格試験との違い
- 隔月実施・再試験・欠席の扱いと開業予定への影響
- 改善基準告示の原則と特例を分ける学習表
- 条文を探す練習、50分の配分、当日の確認事項
運送業許可の役員法令試験とは|本人が受験する審査
近畿の法令試験は、貨物自動車運送事業法第6条第3号の許可基準に適合するかどうかを審査するために行われます。新規許可のほか、公示で対象とされる譲渡譲受・合併・分割・相続等の申請もあります。この記事は主に一般貨物の新規許可を検討する方に向けた説明です。
試験を一度で通過できれば再受験の準備は不要ですが、一発合格が法的な必須条件というわけではありません。近畿には再受験の機会があります。だからこそ、初回に向けて準備を進めながら、再受験が必要になった場合にも契約・採用・資金を見直せる予定にしておきます。
個人は申請者本人、法人は専従する常勤役員1名
| 確認項目 | 近畿の取扱・確認方法 |
|---|---|
| 個人申請 | 申請者本人が受験します。知識のある従業員や行政書士の代理受験はできません。 |
| 法人申請 | 許可・認可後に申請する事業へ専従する常勤役員が受験します。FAQでは役員登記されていることも示されています。代表者だけに限定されるわけではありません。 |
| 人数 | 1申請につき受験者は1名です。複数人で受けて合格者を選ぶ制度ではありません。 |
| 申請前の受験 | 近畿FAQでは申請前に先行して受験することはできないとされています。勉強は申請前から進められます。 |
| 本人確認 | 運転免許証、個人番号カード、パスポート等、本人を確認できる書面を試験開始前に提示します。 |
| 予定の変更 | FAQでは当日の受験者変更はできないとされています。体調不良や役員変更等があれば、通知書記載の担当へ早めに相談します。本人の判断で受験者を差し替えず、変更可否・必要資料・日程を確認します。 |
出典:近畿運輸局・法令試験実施公示(2026年7月改正)、近畿運輸局FAQ。他事業にも関わる役員を選ぶ場合は、専従・常勤の要件を実態に沿って確認してください。役員の兼任があるだけで直ちに法定の欠格事由になる、と決めつけるものではありません。
運行管理者試験とは、目的も受験者も異なる
役員法令試験は、申請する事業の経営者側の法令知識を確認する審査です。一方、運行管理者試験は運行管理者資格者証の取得に関わる別の制度です。役員法令試験に合格しても、それだけで運行管理者として選任できる資格を得るわけではありません。運行管理者資格者証を持つ役員であっても、今回の申請で法令試験を省略できると自己判断しないでください。
運行管理者・整備管理者の確保や兼務の確認は、運行管理者・整備管理者の確保と資格・選任の確認で整理しています。役員の受験準備と、開始前の管理体制づくりを別々の予定表にしておくと混同を防げます。
近畿の試験概要|30問・50分・24問以上正解
| 項目 | 現在の公示による内容 |
|---|---|
| 形式 | ○×方式および語群選択方式 |
| 問題数 | 30問 |
| 試験時間 | 50分 |
| 合格基準 | 出題数の8割以上。30問の場合は24問以上正解 |
| 実施間隔 | 隔月 |
| 初回の時期 | 原則として申請書を受理した月の翌月以降。実施予定日前に申請者へ通知 |
| 不合格時の再受験 | 翌々月に1回に限り再受験可能。再度通知されます。 |
| 資料 | 参考資料等の持込みは不可。関係法令の条文集を当日配付。書込み不可、終了後に回収 |
| 持参するもの | 通知書、本人確認書面、筆記用具。詳細は届いた通知で確認 |
50分を30問で割ると、平均は1問あたり1分40秒です。ただし、すべての問題に同じ時間を割り当てる必要はありません。すぐ判断できる問題と、条文の条件や例外を確かめる問題を分け、最後の確認時間も確保します。
「合格基準80%」と「受験者の合格率80%」は別の意味です。また、合格率が高い・低いという情報だけでは自分の準備状況は判断できません。この記事では根拠のない平均合格率や、特定の勉強法での合格保証は示しません。
試験日・会場は、通知書を見て予定に入れる
公示が定めるのは隔月実施と初回・再試験の基本的な時期です。「毎年必ずこの奇数月のこの日」「会場はいつも同じ」と記事の情報だけで予定を固定しないでください。近畿運輸局の法令試験案内と、自分の受験通知書で日時・受付時間・場所・問い合わせ先を確認します。
例えば初回をある月に受験して不合格となった場合、現在の近畿公示では翌々月に再受験します。これは試験日程の話であり、許可や開業が必ずちょうど2か月遅れるという計算ではありません。書類審査・補正・登録準備の状況も合わせて、開始予定を見直します。
- 通知が届いたら受験者の予定表に日時・場所・受付時間を登録する
- 会場までの経路と所要時間を調べ、遠方なら宿泊の必要性も検討する
- 本人確認書面の有効性、通知書、筆記用具を前日までにそろえる
- 日程や受験者に問題があれば、通知書の連絡先へ早めに相談する
欠席・遅刻は自己判断せず、事前に連絡する
現行公示の通知書様式では、受験者本人を確認できない場合や、試験開始後30分以上遅れた場合は受験できないことがあるとされています。30分以内なら遅れてよいという意味ではありません。受付時間に余裕を持って到着してください。
受験できない場合は事前の連絡が必要で、現行通知書様式には自己都合の場合は不合格となる旨が示されています。FAQにも欠席の扱いがありますが、病気・事故等を含む個別事情を自分で「必ず延期できる」「自動的に取下げ」と決めつけず、初回か再試験かを伝えて担当へ確認してください。
2回不合格の場合と、開業予定・費用への影響
再試験不合格の「却下」と、自らの「取下げ」は別
近畿の現行公示では、初回が合格基準に達しない場合、翌々月に1回再受験できます。再試験も合格点に達しない場合は却下処分とし、当該申請について取下げの願出があった場合はその限りではない、としています。
「却下または取下げ」と同じ意味でまとめない
却下は行政側の処分、取下げは申請者側の願出です。再試験に落ちるとどちらかを自動的に選ばれる、という説明ではありません。また、法令試験の不合格を、貨物自動車運送事業法第5条の刑罰等に関する欠格事由と同一視しないでください。
再申請を検討する場合は、必要な手続き、書類の再利用可否、契約・資格・残高証明等の時点を確認します。「すべての書類が無価値になる」「もう開業できない」とは限りませんが、古い資料をそのまま出せばよいとも限りません。
また、一般貨物の新規許可の登録免許税12万円は、許可に伴う税です。試験に不合格となるたび、または許可前に再申請するたびに12万円の税が当然に重ねて発生するという説明は適切ではありません。税額の根拠は関東運輸局の一般貨物の許可申請FAQ(問9)です。納付時期・方法は許可時の案内で確認します。手続きのやり直しに伴う取得実費や専門家報酬の扱いは、別途確認してください。
待機費用の例:月140万円なら2か月で280万円。ただし仮定です
許可待ちの間に、家賃・リース料・給与等が発生する場合があります。次の表は費用の仮定を置いた計算例であり、近畿の平均相場でも、全員がこの費用を負担するという意味でもありません。管理者を必ず別々に2名採用するという基準でもありません。契約と採用の状況に応じて、自社の数字へ置き換えてください。
| 仮に発生している費用 | 仮定の月額 |
|---|---|
| 営業所・休憩施設の賃料 | 15万円 |
| 車庫賃料(5台分) | 10万円 |
| 車両リース料(5台分) | 50万円 |
| 採用済みの管理担当者等の給与(2名分の仮定) | 50万円 |
| 事業主負担の保険料・税等の月額換算(上記と重複しない仮定) | 15万円 |
| 合計 | 140万円 |
これらすべての支払いが追加で2か月続くなら、140万円×2か月=280万円です。ただし、初回不合格だけでこの金額の損失が確定するわけではありません。試験と審査の日程、契約変更の可否、支払いが始まっている範囲によって変わります。敷金や車両等の資産、実際の支出、予定売上・利益の減少も区別して考えます。
対策は「全部先に買う」「許可まで何も準備しない」の二択ではありません。管理者等の確保予定が認められる場面と、開始前に実際の確保・届出を終える場面を分け、賃料・納車・入社の開始日を確認します。申請準備・補正対応と審査中の費用の管理も参考にしてください。
出題範囲を確認し、勉強する順序を決める
2026年7月公示の出題範囲は13法令等
出題は、試験実施日に施行されている法令等の内容から行われます。改正法が成立しただけなのか、試験日時点で施行されているのかを分けてください。古い過去問の解答や古い条文集だけで、現在の答えを決めないことが重要です。
| 分野 | 公示に掲げられる法令等 | 学習時に整理する内容の例 |
|---|---|---|
| 貨物運送の制度・安全管理 | ①貨物自動車運送事業法 ②同施行規則 ③貨物自動車運送事業輸送安全規則 |
許可・事業計画、管理体制、運転者、点呼、指導監督等を対応づける。 |
| 報告 | ④貨物自動車運送事業報告規則 ⑤自動車事故報告規則 |
何の報告を、誰が、いつまでにするか。報告書の種類を混同しない。 |
| 運送・車両・交通 | ⑥道路運送法 ⑦道路運送車両法 ⑧道路交通法 |
事業区分、検査・点検、運転・交通上の義務等。 |
| 労働・安全衛生 | ⑨労働基準法 ⑩自動車運転者の労働時間等の改善のための基準 ⑪労働安全衛生法 |
労働時間と拘束時間の違い、休憩と休息、健康管理等。 |
| 公正な取引 | ⑫私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 ⑬製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律 |
取引上の禁止行為、対象となる取引・当事者等。旧称だけで学習範囲を判断しない。 |
公示は「この分野が最も高配点」「独占禁止法等から必ず1~2問」といった出題比率を保証していません。重点を決める場合も、範囲外と自己判断してほかの分野を捨てないでください。
学習の5段階:問題を解き、条文で確かめ、時間を測る
| 段階 | 取り組むこと | 終えたかどうかの確認 |
|---|---|---|
| 1.最新資料をそろえる | 公示、通知、公式の公表問題・解答、現行の法令資料を確認する | どの地域・時点の資料か分かる。 |
| 2.一度解いて弱点を知る | 最初は時間を記録しながら解き、分からない理由をメモする | 知識不足、条文の場所不明、問題文の読み違いを分けられる。 |
| 3.根拠を探す | 誤答の根拠条文を確認し、原則・条件・例外を整理する | 正解記号だけでなく、なぜそうなるか説明できる。 |
| 4.条文を引く練習をする | 問題のキーワードから法令名、目次、条番号へ進む | ページの厚みではなく、根拠の構造をたどれる。 |
| 5.50分で通して解く | 持込資料を使わない想定で解き、見直しまで行う | 正答数と時間を記録し、苦手な分野を再確認できる。 |
学習時間を一律に何時間と決める必要はありません。経営・労務・運行管理の経験や、初めて読む法令の多さによって必要な準備は異なります。短い時間でも定期的に取り組み、受験直前だけに詰め込まない予定にしましょう。
改善基準告示は、原則の数字と特例の条件をセットで覚える
拘束時間・労働時間・休息期間を区別する
改善基準告示は、トラック運転者等の長時間労働や過重労働を防ぐため、拘束時間・休息期間等を定めています。トラックについては2024年4月から改正後の基準が適用されています。ここでは学習用に主な項目を整理します。実際の勤務計画では適用条件を含む全文・通達・Q&Aを確認してください。
- 拘束時間:使用者に拘束される時間で、労働時間と休憩時間を合わせたもの
- 労働時間:運転だけではなく、指揮命令下の荷役や待機等も含め、実態に応じて判断するもの
- 休息期間:勤務終了後から次の始業まで、使用者の拘束を受けない期間。勤務途中の休憩とは別
改善基準告示の拘束時間の上限と、36協定・労働基準法の時間外労働の上限は別に確認します。「年3,300時間以内なら時間外労働も自由」という意味ではありません。関連する運送業の36協定・時間外労働の上限の確認も合わせてお読みください。
基本の数値表|単独の数字だけで○×を決めない
| 項目 | 原則・基本 | 延長等を確認するときの注意 |
|---|---|---|
| 1年の拘束時間 | 3,300時間以内 | 労使協定による延長は3,400時間以内。月の延長条件も同時に満たす必要があります。 |
| 1か月の拘束時間 | 284時間以内 | 労使協定により310時間以内、年6か月まで。284時間超は連続3か月まで。1か月の時間外・休日労働を100時間未満とするよう努める条件も確認。 |
| 1日の拘束時間 | 13時間以内を基本とし、延長する場合の最大は15時間 | 1日は始業時刻から24時間。長距離等の特例は別途条件を確認。14時間超の回数はできるだけ少なくするよう努めます。 |
| 1日の休息期間 | 継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、9時間を下回らない | 一定の長距離運送等の特例があるため、「8時間」という数字だけで必ず誤りとは判断できません。 |
| 運転時間 | 2日平均で1日9時間以内、2週平均で1週44時間以内 | 拘束時間とは別の上限。対象期間と平均の計算を確認します。 |
| 連続運転時間 | 原則4時間以内。運転の中断は1回おおむね10分以上、合計30分以上 | 中断は原則として休憩。駐停車できないためやむを得ない場合の延長等には条件があります。 |
出典:厚生労働省「トラック運転者の改善基準告示」パンフレット、厚生労働省の改善基準告示・Q&A。旧基準の数値を現在の原則として答えないことと、現在もある特例を見落とさないことの両方が必要です。
「おおむね10分以上」は、10分未満の中断が3回以上連続しないこと等を意味します。「10分に1秒でも足りなければ一切数えない」という説明では正確ではありません。また、SA・PA等に駐車・停車できず、やむを得ず連続運転が4時間を超える場合には、30分まで延長できる扱いがあります。いつでも4時間30分運転できるという意味ではなく、理由と条件を確認してください。
長距離・分割休息・2人乗務・フェリーの特例を整理する
| 特例 | 先に確認する条件 | 数字・計算上の注意 |
|---|---|---|
| 宿泊を伴う長距離貨物運送 | 1週の運行がすべて長距離貨物運送(1運行450km以上)で、その運行中の休息期間が住所地以外であること等 | 週2回まで最大拘束16時間・継続休息8時間以上の扱い。いずれかの休息が9時間未満なら、運行終了後は継続12時間以上の休息が必要。450km走るだけでは足りません。 |
| 分割休息 | 業務の必要上、勤務終了後の継続した所定の休息確保が困難な場合。一定期間(1か月程度)の全勤務回数の2分の1が限度 | 1回継続3時間以上。2分割は計10時間以上、3分割は計12時間以上。3分割の日が連続しないよう努める。 |
| 2人乗務 | 同時に1台へ2人以上乗務し、身体を伸ばして休息できる設備がある場合 | 最大拘束20時間・休息4時間までの特例。さらに所定のベッド設備や運行後の休息、仮眠を満たす場合には24時間・28時間の扱いがあります。 |
| フェリー | 乗船時間を原則として休息期間と扱う場合の条件を確認 | 必要な休息から乗船中の休息を差し引けますが、減算後の下限等があります。「乗船した分だけ自由に差し引く」とは考えません。 |
長距離運送の休息短縮は、単に「足りない1時間をあとで足す」ルールではありません。条件を満たして8時間の休息を使い、その運行の休息のいずれかが9時間を下回る場合は、運行終了後に継続12時間以上の休息を与える点まで確認します。
2人乗務で最大拘束24時間とする扱いには、長さ198cm以上・幅80cm以上の連続した平面で、衝撃を緩和するクッション材等を備えるベッド等と、運行終了後の継続11時間以上の休息などが必要です。さらにその設備で8時間以上の仮眠を与える場合、28時間までの扱いがあります。20・24・28の数字だけを並べず、どの条件でどこまで認めるのかを区別してください。
フェリーでは、減算後の休息期間が、下船から勤務終了までの時間の2分の1を下回らないという条件があります(2人乗務の場合を除く)。また、乗船時間が8時間を超える場合は原則として下船から次の勤務が始まり、2人乗務・隔日勤務には別の時間基準があります。通常の休息からの減算と、勤務の切替えを分けて条文で確認します。
計算練習は「条件→時間軸→計算→再確認」の順に
例えば分割休息を使う条件を満たすとして、3時間+7時間なら合計10時間で、各回3時間以上という2分割の時間条件を満たします。一方、3時間+3時間+3時間は合計9時間なので、3分割で必要な合計12時間を満たしません。4時間+4時間+4時間なら時間条件は満たしますが、回数の上限や3分割が連続しないよう努めること等の確認は別に残ります。
月と年の拘束時間も、別々に上限を守る必要があります。310時間×6か月+284時間×6か月=3,564時間であり、各月の延長枠だけを満たしても年間3,400時間以内には収まりません。毎月の数字だけでなく、年間合計も計算する練習をしてください。
- まず問題文が通常勤務か、長距離・分割等の特例かを判断する
- 始業・終業・運転・休憩・休息を時刻の順に書き出す
- 対象期間、連続時間、合計時間、回数制限をそれぞれ確認する
- 「以上」「以内」「超える」「未満」と、努力義務かどうかを読み分ける
- 条文のただし書きと通達・公式Q&Aの条件を照合する
特例を使った計画でも、労働時間・運転時間・休息等を総合して確認する必要があります。この表だけで実際の勤務が適法と判定したり、勉強をすれば将来の行政処分リスクがなくなると考えたりしないでください。実務の疑問は、労働基準監督署等の担当窓口や専門家にも確認します。
条文集の使い方|厚みではなく、法令名・目次・条番号で探す
当日配付の条文集と、事前の学習資料を区別する
近畿の公示は参考資料等の持込みを認めていません。当日配付される条文集には書込みができず、試験後に回収されます。自分で付箋・書込みをした教材をそのまま持ち込めると考えないでください。その他の取扱も、通知書と試験係員の指示に従います。
練習では、現行法令や公式資料で根拠の場所を探します。当日の条文集のページ数、文字の大きさ、印刷形式、厚みが練習用と同じとは限りません。「冒頭3ミリに貨物法」「最後には必ずこの法律」という固定した位置の暗記だけに頼る方法は避けましょう。
検索の練習は4段階で行う
| 段階 | 例・考え方 |
|---|---|
| 1.問題の主題を決める | 点呼なら安全管理、定期点検なら車両、拘束時間なら改善基準告示など、まず分野を特定する。 |
| 2.法令を選ぶ | 貨物法本体だけにすべての義務が書かれているとは限りません。輸送安全規則、報告規則等を使い分ける。 |
| 3.目次・条番号へ進む | 見出しとキーワードを頼りに関連条文を探す。数字の記憶だけでなく根拠の所在を確認する。 |
| 4.前後と例外を読む | 主語、対象、期限の起算点、ただし書き、別表や他条への参照を確認して答える。 |
例えば点呼の問題なら、「誰が行うのか」「いつか」「何を確認・記録するのか」に分けます。条文を開いたら最初の一文だけで答えず、対象や例外まで見ます。見つける速さだけでなく、問題の条件に合う規定を選べることが大切です。
短時間で探す練習は有用ですが、5秒以内に開くことが公式の合格条件ではありません。最初は目次を使って正確に探し、繰り返す中で時間を短くします。正答できた問題でも、根拠を説明できないものは復習対象にしてください。
基本数値の復習例|期限・対象・起算点も一緒に
| 項目 | 数字と合わせて覚える点 |
|---|---|
| 事業報告書 | 一般貨物の事業報告書は、毎事業年度の経過後100日以内。何の日から数えるかを確認。 |
| 事業実績報告書 | 毎年7月10日まで。対象となる年度と、事業報告書との違いを確認。 |
| 定期点検 | 事業用トラック等は3か月ごとの定期点検が基本。12か月点検の項目や車検・日常点検との違いも確認。 |
| 欠格事由 | 刑に関する現行法の項目は、1年以上の拘禁刑と執行終了等から5年という条件。単に「刑を受けてから5年」では不正確。 |
| 改善基準告示 | 原則の時間だけでなく、適用対象・延長条件・回数制限・休息条件を一緒に整理。 |
期限の確認には近畿運輸局の一般貨物・報告書提出案内、点検は国土交通省の点検整備の種類、欠格事由は貨物自動車運送事業法第5条で確認できます。旧刑の経過措置や執行猶予等の個別判断は、短い暗記表だけで結論を出さないでください。
50分の時間配分|まず全体を見て、検索と見直しの時間を残す
「知識で解く時間」と「条文を調べる時間」を分ける考え方は、練習方法の一つとして使えます。ただし、「最初の15分は絶対に条文集を開かない」「知識問題が必ず15問ある」という公式ルールではありません。実際の問題と自分の得意分野に合わせて調整します。
| 時間の配分例 | すること | 注意点 |
|---|---|---|
| 最初の15分 | 全体を見渡し、確信を持って答えられる問題から解く | 難しい1問に長くとどまらず、後で確認する問題を把握する。記入方法は当日の指示に従う。 |
| 次の30分 | 根拠の確認が必要な問題を条文集で調べて解く | 例外・主語・数字の起算点を確認。時間がかかりすぎる場合は残り問題との配分を見直す。 |
| 最後の5分 | 解答漏れ、解答欄のずれ、○×の取り違え等を見直す | 24問という合格点を意識しつつ、解ける問題を残していないか確認。 |
「前半15分・後半35分」という配分を使うなら、後半35分の中に検索30分と見直し5分を含める方法があります。これは15分+30分+5分=50分という練習用の例です。仮に最初の15分で15問を解けたなら、次の30分を残り15問へ使う平均は1問2分で、最後の5分を見直しに残せます。必ず15問をその速さで解けるという意味ではありません。模擬練習で記録し、初回の読み取りに時間がかかるなら配分を調整してください。
50分すべてを「15分+35分」の解答に使いながら、さらに5分の見直しが自然に生まれるとは計算できません。見直しをしたいなら最初から枠を確保します。また、調べる必要のない問題まで毎回条文を探すことと、曖昧なのに記憶だけで答えることの両方を避けましょう。
誤答ノートは、間違えた理由を短く残す
- 知識不足:数字・定義を知らなかった → 根拠とセットで整理する
- 検索不足:法令や条文が見つからなかった → 目次からたどり直す
- 条件の見落とし:原則と例外を取り違えた → 適用条件を横に書く
- 読み違い:「以上」と「超える」、「できる」と「しなければならない」を混同した → 問題文の主語・述語も確認する
- 時間不足:前半に時間を使いすぎた → 解く順序と見直し時間を試す
同じ問題の正解記号を覚えるだけでなく、条件を一つ変えたら答えが変わるか考えてみます。例えば「450km以上の運送」だけで長距離特例を使えるのか、1週間の全運行や休息場所の条件が加わったらどうか、という確認です。
試験対策と並行して、許可申請の書類・計画も点検する
法令試験に合格しても、資金・施設・車両・管理体制等の確認は残ります。法人であれば、定款・登記事項の事業目的と申請する事業の整合性も確認します。ただし、定款に特定の文言が一字一句なければ必ず受理されない、試験に落ちると定款を作り直す必要がある、という説明はしません。必要な記載や変更手続きは、現在の資料を示して確認してください。
物件の法令適合は、実際に営業所・車庫等として使う場所と計画を調べます。本店所在地が市街化調整区域にあるというだけで、会社全体が当然に許可を受けられないと考えるものではありません。資金・営業所・車庫・人員・車両を一緒に確認する手順は、運送業許可の要件と確認資料をご覧ください。
近畿の一般貨物の新規許可の標準処理期間は3~5か月ですが、補正等の時間や申請前後の準備をすべて含む開業期限ではありません。試験日程と書類の進み具合を分けて管理します。期間の仕組みは運送業許可の標準処理期間と開業までの準備で説明しています。
自分で進める部分と、相談・依頼する部分を分ける
本人が学び受験する部分は、行政書士に依頼しても代わってもらえません。一方、役所への事前相談、資料整理、申請書類の作成・提出、補正対応は、許可申請の支援として相談できます。学習教材の提供や合格保証があると決めつけず、具体的な支援範囲を確認してください。
自分で申請する場合も、資料取得費・移動・作業時間はかかります。依頼する場合は業務範囲と見積りを比較します。「自分で行えば必ず高くつく」「専門家に頼めば最短で合格する」という二者択一ではなく、自社の準備状況に合わせて判断しましょう。
よくある質問
法令試験で6問間違えたら不合格ですか?
30問中24問以上正解で8割に達します。6問の誤りでも残り24問が正解なら合格基準を満たします。ただし、初めから6問を捨てるのではなく、確認できる問題を丁寧に解いてください。
条文集や自分のノートを持ち込めますか?
近畿では参考資料等の持込みはできません。当日配付の条文集を使えますが、書込みは禁止で、終了後に回収されます。自分の付箋付き教材を使える試験ではありません。
2回不合格なら、自動的に取下げになりますか?
現行公示は再試験不合格を却下処分とし、取下げの願出があった場合は例外としています。却下と申請者による取下げを区別し、再申請等の手続きは担当へ確認します。欠席についても通知書の取扱と個別事情を確認してください。
昔の過去問や2024年改正の記事だけで勉強できますか?
傾向を知るために古い問題を使うことはできますが、答えは試験実施日に施行されている法令で確認します。2026年公示では取引関係法令の名称も更新されています。改善基準告示についても、原則だけでなく現在の特例条件を学んでください。
受験と申請準備の見通しを、無料相談で整理できます
受験予定者、申請状況、希望する開始日、営業所・車庫・車両・人員の準備状況を整理しておくと、相談が進めやすくなります。通知書が届いている場合は試験日程も確認し、申請書類や契約の準備と並行して進める段取りを考えましょう。
運送業許可の無料相談
当事務所では、運送業許可について、役所への事前相談、資料整理、申請書類の作成・提出、補正対応をご相談いただけます。運送業許可の無料相談はこちらから、現在の準備状況と確認したいことをお知らせください。受験は対象者本人が行い、試験合格や許可時期を保証するものではありません。
