運送業許可の基礎知識

運送業の2024年問題と人手不足、どう生き残る?「健康経営」が採用の切り札になる理由

 運送業の2024年問題と人手不足

こんにちは。

建設業と運送業の許可取得、そして「健康経営」の認定サポートに特化した行政書士の小野馨です。

私は日々、多くの運送会社や建設会社の設立・許可取得をお手伝いしています。
その中で、許可証をお渡しする際、多くの社長様が浮かない顔でこう仰るのが気になっていました。

「先生、許可は取れたけど…肝心のドライバーが全然集まらないんだよ」
「求人を出しても来るのは高齢者ばかり。健康面が不安で採用できない」
「若手が入っても、親や奥さんに反対されたと言ってすぐに辞めてしまう」

ハッキリ申し上げます。
これからの運送業界・建設業界は、ただ「許可(緑ナンバー)」を持っているだけでは生き残れません。

2024年問題、少子高齢化、そして労働者の意識変化。
この激動の時代において、「ドライバーから選ばれる会社」にならなければ、トラックは動かず、黒字倒産してしまう未来がすぐそこまで来ています。

そこで今回は、私が許可取得とセットで必ずご提案している最強の生存戦略、「健康経営(健康経営優良法人)」について解説します。
これは単なる福利厚生ではありません。「採用」と「金利」と「リスク回避」に直結する、実利的な経営投資です。

この記事でわかること

  • 2024年問題の本質は「残業規制」ではなく「選別淘汰」である理由
  • なぜ「健康経営」に取り組むと、若手や経験者が集まるのか?
  • 突然死や重大事故を防ぐためのSAS(睡眠時無呼吸症候群)対策
  • 融资金利優遇公共工事加点など、経営上の具体的な金銭メリット

1. 「2024年問題」の正体は、残業規制ではなく「採用難」

物流業界を騒がせている「2024年問題」。
多くのニュースでは「残業ができなくなって売上が下がる」「荷物が運べなくなる」という点ばかり注目されています。

しかし、中小運送会社の経営者にとって、本当の恐怖はそこではありません。
本当の恐怖は、「労働環境が悪い会社から、ドライバーが逃げ出す」ことです。

「稼げる会社」から「死なない会社」へ

かつてのドライバーは、「寝ずに走ってでも稼ぎたい」という人が主流でした。
しかし今の求職者、特に20代〜30代の若手層の価値観は劇的に変化しています。

  • 「給料はそこそこでいいから、休みが欲しい」
  • 「体を壊してまで働きたくない」
  • 「長く安心して働ける会社に勤めたい」

さらに影響力が大きいのが、求職者の配偶者(奥様)の存在です。
運送業や建設業は「3K(きつい・汚い・危険)」のイメージが強く、夫が就職しようとすると、奥様が「そんな危ない会社はやめて!」とブロックする(いわゆる嫁ブロック)ケースが非常に多いのです。

この「嫁ブロック」を突破し、選ばれる会社になるための唯一のパスポート。
それが、国がホワイト企業であることを証明する「健康経営優良法人」の認定です。

2. 運送・建設業が「健康経営」に取り組む3つの実利

「健康経営」とは、従業員の健康管理を「コスト」ではなく、将来の収益を生むための「投資」と捉える経営手法です。
経済産業省が主導するこの認定を取ることで、御社には具体的な3つの実利が生まれます。

メリット①:求人応募数が劇的に変わる(採用ブランディング)

認定を取得すると、ハローワークの求人票や自社サイト、名刺、トラックの車体に「健康経営優良法人 認定企業」のロゴマークを使用することができます。

これは、「国が認めた、社員の体を大切にする会社」という強力な証明書です。
求職者やその家族は、このマークを見て「ああ、この会社なら過労死させられることはないな」「ちゃんと管理されている会社なんだな」と直感的に安心します。

【実例】応募ゼロからの逆転

私がサポートしたある運送会社様(トラック10台規模)は、半年間求人を出しても応募がゼロでした。
しかし、健康経営の認定を取得し、求人票に「健康経営認定企業」「SAS検査全額会社負担」「24時間健康相談窓口あり」と追記したところ、その翌月に30代の経験者を含む3名の応募があり、即採用に繋がりました。

メリット②:重大事故のリスクヘッジ(SAS・脳疾患対策)

運送業経営における最大のリスクは「事故」です。
特に恐ろしいのが、運転中にドライバーが意識を失って突っ込む「健康起因事故」です。

国土交通省のデータによると、健康起因事故の死者数は年々増加傾向にあり、その主な原因は「心疾患」「脳疾患」、そしてその背景にある「SAS(睡眠時無呼吸症候群)」です。
ドライバーの高齢化が進む中、高血圧や肥満を放置することは、走る時限爆弾を抱えているようなものです。

健康経営の一環として、定期的なスクリーニング検査(SAS検査や血圧測定)を導入することで、これらの兆候を早期に発見できます。
「ドライバーが事故を起こして会社が潰れた」という最悪の事態を未然に防ぐことは、社長自身の人生を守ることでもあります。

メリット③:金利優遇と公共工事の加点

実は、金融機関も「従業員の健康を大切にする会社は潰れにくい」と評価しています。
多くの地方銀行や信用金庫が、健康経営優良法人の認定企業に対して「融資金利の優遇」を行っています。

運送業は車両購入などで数千万円単位の借入を行うビジネスです。金利が0.1%下がるだけでも、支払総額では数百万円のコスト削減になります。

また、自治体によっては、建設業や運送業の入札参加資格審査において加点対象となるケースも増えています。
つまり、健康経営は「守り」だけでなく、「攻め(コスト削減・売上アップ)」にも効くのです。

3. 建設・運送業における具体的な取り組み例

「健康経営なんて、大企業がやるものでしょ?ウチみたいな中小零細には無理だよ」
そう思われるかもしれません。しかし、実は中小企業こそ認定が取りやすい仕組みになっています。

高価なジムを作ったりする必要はありません。現場の実情に合わせた、地に足の着いた取り組みで十分認定は可能です。

取り組み項目 建設・運送業での実践例
① 定期検診の受診率100% 夜間ドライバーも受診しやすい予約体制の整備。
再検査が必要な社員への受診勧奨(声掛け)。
② 職場の食生活改善 休憩所に血圧を下げるトクホ飲料を設置。
野菜ジュースの支給。
③ 運動機会の増進 乗務前点呼時のラジオ体操実施。
腰痛予防ストレッチの講習会開催。
④ 過重労働対策 デジタコを活用した労働時間管理の徹底。
ノー残業デーの設定。
⑤ メンタルヘルスケア ストレスチェックの実施。
相談窓口の設置。

これらは、運送業の「巡回指導」で求められる項目とも重複しています。
つまり、巡回指導対策をしっかり行うことが、そのまま健康経営の認定にも繋がるのです。これをやらない手はありません。

4. 当事務所が選ばれる理由:「許可」と「健康」のワンストップ・サポート

一般的な行政書士は、「運送業の許可を取って終わり」です。
社会保険労務士の先生は、健康診断の手続きはしてくれますが、運送業の現場(点呼や運行管理)までは詳しくないことが多いです。

私は、「建設・運送業許可の専門家」としての知見と、「健康経営」のノウハウを融合させ、御社に伴走します。

小野行政書士事務所の
「最強の開業支援パッケージ」

STEP 1:運送業許可(緑ナンバー)の取得
要件診断、書類作成、許可取得までを最短ルートでサポート。
STEP 2:巡回指導対策 & 健康経営の体制整備
許可後の巡回指導(監査)を見据え、帳票類や就業規則、健康診断のフローを整備します。これがそのまま健康経営の申請準備になります。
STEP 3:健康経営優良法人の申請・認定
申請手続きを代行し、晴れて「ホワイト企業」の称号を獲得。求人票やトラックに認定マークを貼り出します。

これにより、緑ナンバーが付いたその日から「健康経営認定企業」として求人を出し、採用のスタートダッシュを切ることができます。
これは、単なる代書屋にはできない、経営コンサルティング視点を持った当事務所だけの強みです。

まとめ:10年後も生き残る「強い運送会社」を作るために

「とりあえず許可だけ取れればいい」
「ドライバーは使い捨てだ」

残念ながら、そのような考えの会社は、今の時代、許可を取っても1年も持ちません。
SNSで悪評が広まり、誰も応募してこなくなり、やがて行政処分を受けて市場から退場することになります。

これから運送業や建設業で成功するためには、「法令遵守(コンプライアンス)」と「健康管理(ヘルスケア)」の両輪が必要です。

もしあなたが、
「長く続く、強い運送会社を作りたい」
「社員とその家族に誇れる会社にしたい」

そう本気でお考えなら、ぜひ当事務所にご相談ください。
面倒な書類作成や制度申請は私に任せて、社長は「人が集まる魅力的な会社作り」と「本業の営業」に専念してください。

建設業と運送業の未来を、一緒に作っていきましょう。


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