建設業許可実績多数な行政書士の小野馨です。
今回は、「建設業許可の要件とは?5つの基準や費用・2025年改正」というテーマでお話します。
- 元請けから『許可をとって』と言われたけれど、ウチの会社でもとれるのかな?
- 500万円の資金が必要って聞いたけど、通帳にないとダメ?
- 2025年の法改正で、ルールが変わるって本当?
と、いろいろ心配じゃないですか?
建設業許可の要件は、法律の専門用語が多くて本当にややこしいですよね。
ネットで調べても「結局、自分の場合はどうなの?」と迷ってしまう方がとても多いんです。
実は、建設業許可って「ヒト・モノ・カネ」に関する5つのハードルがあるんですね。
それを要件といいますが、要件ってポイントさえ押さえれば、決して怖いものではないんです。
この記事では、多くの申請手続きをサポートしている行政書士として、建設業許可の要件から費用の目安、そして2025年の最新改正情報まで、現場目線でわかりやすく解説します。
この記事を読むことで、許可取得への道筋がハッキリと見えてくるはずですよ。
それではいってみましょう!
- 建設業許可を取得するための「5つの要件」と具体的な証明方法
- 2025年の法改正による許可基準の変更点と対策
- 個人事業主や法人が許可を取る際の流れと費用相場
- 許可取得後のメリットや更新時に気をつけるべきポイント
建設業許可の要件をわかりやすく解説
建設業許可を取得するためには、建設業法で定められた「要件」をすべて満たす必要があります。
「なんとなく工事の実績がある」という状態だけでは、残念ながら許可は下りません。
具体的には、組織としての経営能力、技術力、そして資金力、さらには社会保険の加入状況などが厳格に審査されます。
ここでは、許可申請の核となる主要な要件について、一つひとつ噛み砕いて見ていきましょう。これらをクリアできるかが、許可取得の最初の分かれ道になりますよ。
経営業務の管理責任者や常勤役員等の基準
建設業の経営は、単にお金儲けができれば良いというものではありません。
長期にわたる工事の請負契約や、数百万、数千万という巨額の資金のやり取り、そして現場で働く職人さんの安全管理など、非常に重い責任が伴います。
今日会社を作って、明日からすぐに大規模な工事を請け負う、というのはリスクが高すぎるのです。
そのため、許可を受ける会社の経営陣(取締役など)には、「建設業の経営に関する一定の経験」が求められます。
これを以前は「経営業務の管理責任者(通称:経管・ケイカン)」と呼んでいましたが、令和2年(2020年)の改正により、現在は「常勤役員等(経営業務の管理責任者等)」という体制要件に再編されました。
基本的には、以下の経験が必要です。
経営経験の要件(原則)
建設業に関し、5年以上の経営業務の管理責任者としての経験があること
具体的には、法人の「取締役」や「執行役員」、あるいは個人事業主としての経験がトータルで5年以上あるかが問われます。
ここで最も注意したいのが、「建設業に関する経験」でなければならないという点です。
注意ポイント
つまり、飲食店やIT企業の経営経験が10年あっても、建設業の許可要件としては原則としてカウントされません。
そして、「建設業の経営の経験はあるけれど、どうやって証明すればいいの?」
そこを証明することが、実務上の最大の難関になるんです。
口頭で「やっていました」と言うだけでは役所は認めてくれません。
証明には、過去5年分(60ヶ月分)の確定申告書(決算書)、そしてその期間に行っていた工事の請負契約書や注文書、請求書などが大量に必要になります。
「昔の書類なんて捨ててしまった」というケースが一番困るので、過去の書類は倉庫の奥から引っ張り出してでも探しておいてくださいね。
また、この要件は「常勤」であることが必須です。
つまり、名義貸しのように名前だけの役員では認められません。
原則として本社に毎日通勤し、業務を行っている実態が必要です。
他社の代表取締役や国会議員などを兼任している場合は、常勤性が認められないケースが多いので注意が必要です。
2020年の改正で少し緩和されました
以前は「個人の経験」が絶対条件でしたが、現在は組織全体の体制で判断されるようになり、経営を補佐する人を置くことで許可が取れるケースも出てきました。
ただし、この「補佐経験」を使った申請は審査が非常に複雑になるため、ご自身で判断せずに専門家への相談をおすすめします。
(出典:国土交通省『経営業務の管理責任者要件の改正について』)
専任技術者に必要な資格や実務経験
経営のプロ(常勤役員等)の次は、「技術のプロ」が必要です。
それが「専任技術者(通称:専技・センギ)」です。
各営業所には、請け負う工事の種類(業種)に対応した技術者を、常勤で配置しなければなりません。
これは、「適正な請負契約を締結するための技術的な判断ができる人」を置くためのルールです。
専任技術者になるには、大きく分けて以下の3つのルートがあります。
- 国家資格を持っている(最強のルート)1級・2級施工管理技士、建築士、電気工事士、技能士などの資格です。これがあれば、実務経験の証明が不要(または大幅に短縮)になるため、審査が圧倒的にスムーズに進みます。原本の提示だけで済むので、書類作成の手間も最小限ですみます。
- 10年以上の実務経験がある(イバラの道)資格がなくても、その業種の工事に10年以上携わった経験があれば要件を満たせます。しかし、これが実務上は非常に大変です。「10年間、途切れることなくその業種の工事を行っていたこと」を、120ヶ月分の契約書や請求書をひっくり返して証明しなければならないからです。もし期間が重複していても短縮はできないため、2つの業種を実務経験で取ろうとすると「20年」の期間が必要になり、現実的ではありません。
- 指定学科卒業+実務経験(若手向け)工業高校や大学の建築学科、土木工学科などの「指定学科」を卒業していれば、必要な実務経験が短縮されます。高校卒業なら5年、大学卒業なら3年の実務経験でOKです。卒業証明書が必要になりますので、母校から取り寄せる必要があります。
また、専任技術者は「営業所に常駐している」ことが前提の役割です。
そのため、原則として現場に出て施工管理をする「主任技術者」や「監理技術者」とは兼任できません(※近接した現場などの特例を除く)。
「社長が一人で経営も技術も現場も全部やる」という一人親方の場合は、社長自身が専任技術者と現場技術者を兼ねることになりますが、その場合は現場に行ける範囲や条件に制限がかかることがあるので注意しましょう。
注意ポイント
「一般」と「特定」で要件が違います!
元請として多額の下請け発注(後述しますが4,500万円以上など)を行う「特定建設業許可」の場合、専任技術者のハードルが跳ね上がります。
原則として1級の国家資格(1級施工管理技士など)が必要です。
2級資格や実務経験だけでは、特定許可の専任技術者にはなれませんので、将来的に特定許可を目指すなら1級資格の取得は必須ですよ。
財産的基礎である500万円の残高証明書
建設工事はお金がかかります。材料費や外注費、人件費が先に出ていき、お客様からの入金はずっと後(数ヶ月先)になることが一般的ですよね。
もし手持ち資金がなくて、工事の途中で資金ショートしてしまったらどうなるでしょうか?
発注者は工事が止まって困りますし、下請け業者や資材屋さんは代金が回収できずに連鎖倒産の危機に陥ります。
そうしたリスクを防ぐため、許可行政庁は「少なくともこれくらいのお金(資金体力)は持っていてくださいね」という基準を設けています。
これが財産的基礎要件です。
一般建設業許可の場合は、以下のどちらかを満たす必要があります。
- 純資産500万円以上:直前の決算書の「純資産の部」の合計額が500万円以上あること。
- 500万円以上の資金調達能力:銀行の残高証明書で500万円以上を証明すること。
創業したばかりの会社や、直前の決算が赤字で純資産が500万円を割っている場合は、2つ目の「銀行残高証明書」を使う方法が一般的です。
複数の口座を持っている場合は、一時的に一つの口座に資金を集めて、合算で500万円以上あることを証明できれば大丈夫です。
ここで絶対に気をつけてほしいのが「証明書の有効期限」です。
多くの都道府県では、残高証明書の有効期限を「証明日(発行日ではない!)から1ヶ月以内」と定めています。
例えば、4月1日付けの残高証明書を取った場合、5月1日までに申請書を役所に受理してもらわなければなりません。
書類作成に手間取って1ヶ月を過ぎてしまうと、その証明書はただの紙切れになり、もう一度銀行で取り直し(手数料も再度かかります)になってしまいます。
残高証明書は、申請の準備がほぼ整った最後のタイミングで取得するのが鉄則ですよ。
注意ポイント
特定建設業許可の場合はもっと厳しいです
特定建設業許可の場合は、残高証明書では代用できません。「資本金2,000万円以上」「自己資本4,000万円以上」など、決算書の数字だけで厳格に審査されます。ごまかしがきかないので、財務体質の強化が必須となります。
社会保険加入や欠格要件のチェック
「うちは職人が嫌がるから社会保険には入っていないんだよね…」という社長さん、残念ながら今はそれでは許可が取れません。
令和2年(2020年)の建設業法改正以降、建設業許可の要件として「適切な社会保険への加入」が事実上の必須条件となりました。具体的には以下の3つです。
- 健康保険(協会けんぽ、または建設国保など)
- 厚生年金保険(法人、および従業員5人以上の個人事業所)
- 雇用保険(労働者を1人でも雇っている場合)
これらに未加入の事業所(法的に適用が除外される個人事業所などを除く)は、許可の新規取得はもちろん、5年ごとの更新もできません。
これは、法定福利費を適正に負担せずに安値受注を繰り返す業者を排除し、技能労働者の処遇改善を図るという国の方針によるものです。
また、「欠格要件」にも注意が必要です。
これは「そもそも許可を与えるにふさわしくない人」を排除するための規定です。
申請する法人の役員全員、個人事業主、支店長などが対象になります。
- 禁錮以上の刑を受けて、刑の執行が終わってから5年を経過していない者
- 建設業法違反などで罰金刑を受けて、5年を経過していない者
- 暴力団員、または暴力団員でなくなってから5年を経過していない者
- 破産手続き開始の決定を受けて復権を得ていない者
よくあるのが「昔、傷害事件で執行猶予がついた」「スピード違反等の交通違反で罰金刑になった」というケースです。交通違反の罰金刑であれば原則として建設業法の欠格要件には当たりませんが、罪名によっては対象になることもあります。
役員の中に一人でも該当者がいると、会社全体として許可が下りません。
「隠していればバレないだろう」と思っても、役所は警察等のデータベースと照会を行うため、必ず発覚します。
虚偽申請とみなされると、そこからさらに5年間許可が取れなくなるという重いペナルティもあるので、正直に申告することが大切です。
(出典:国土交通省『建設業許可制度の概要』)
建設業許可の営業所要件と独立性の確保
「営業所」といっても、単に登記上の住所があればいいわけではありません。
建設業許可における「営業所」とは、本店や支店などで、常時建設工事の請負契約を締結する権限を持つ事務所のことを指します。
実体として、以下の機能が備わっている必要があります。
- 請負契約の見積もり、入札、契約締結などの実務を行っていること
- 電話、机、パソコン、コピー機などの事務機器が備わっていること
- 看板や標識が出ていて、外部からそこが営業所だと認識できること
- 使用権原(所有している、または賃貸契約を結んでいる)があること
特に審査で厳しく見られるのが「独立性」です。例えば、自宅兼事務所(リビングの一角など)や、他の会社と同じフロアをシェアしているバーチャルオフィスやシェアオフィスの場合です。
居住スペースや他社のエリアとは明確に区分けされており、入口から別になっているか、固定式のパーテーション(高さ170cm以上など)でしっかりと区切られている必要があります。「生活感丸出しのリビングで、家族がテレビを見ている横で仕事をする」といった環境や、「他社の社員と机が混在している状態」では、営業所として認められない可能性が高いです。
申請時には、営業所の外観、入口、看板、内部の執務スペースなどの写真を撮影して提出します。
もし独立性に不安がある場合は、申請前にレイアウトを変更したり、間仕切りを設置したりといった対策が必要です。
賃貸マンションの場合、「事務所使用可」の契約になっているかも確認されますので、賃貸借契約書の内容も事前にチェックしておきましょう。
建設業許可取得のメリットとデメリット
許可を取ることはゴールではなく、事業拡大のための手段です。良い面もあれば、当然ながら負担になる面もあります。
要件と共にまず、メリットとデメリットを知って置いてください。
これらを天秤にかけて、取得のタイミングを判断しましょう。
メリット
- 500万円以上の大きな工事を受注できる:これが最大のメリットです。コンプライアンス重視の元請けから「許可がないと発注できない」と言われる機会損失を防げます。
- 社会的信用が上がる:銀行融資の審査や、新規取引先との口座開設で有利になります。「許可業者=国のお墨付きがあるちゃんとした会社」という証明になります。
- 公共工事への道が開ける:許可がないと、公共工事の入札参加資格を得ることはできません。
デメリット
- 維持コストがかかる:5年ごとの更新手数料(5万円)や、毎年の決算変更届の作成費用(行政書士に頼むと3〜5万円程度)などのランニングコストがかかります。
- 事務負担が増える:役員が変わった、住所が変わった、資本金が変わった等の変更事項があれば、すぐに役所に届け出なければなりません。
- コンプライアンスが厳しくなる:建設業法の規制対象となるため、立ち入り検査や行政処分のリスクが生じます。法令遵守の意識を高く持つ必要があります。
建設業許可の要件の他に知っておくべきことや2025年改正
要件が大体わかったら、その他に知っておいてほしいことですね。
やはり気になる建設業許可の「種類」や「お金」と「法改正」の話です。許可を取るにはいくらかかるのか、そして目前に迫った2025年の改正で何が変わるのか。
これを知らないと、思わぬ損をしたり、事業計画が狂ったりするかもしれません。
ここでは、費用の相場観や、最新のルール変更、そして許可取得のメリット・デメリットについて深掘りしていきます。
建設業許可の29業種と種類の選び方
「建設業許可を取りたい」と言っても、ひとつの許可ですべての工事ができるわけではありません。建設業許可は、工事の内容によって29の業種に細かく分かれています。
「土木工事業の許可」「内装仕上工事業の許可」といった形で、自社が行う工事に合わせて必要な業種を取得する仕組みです。
大きく分けると「一式工事(2種)」と「専門工事(27種)」になります。
| 分類 | 業種名(例) | 特徴・注意点 |
|---|---|---|
| 一式工事 | 土木一式、建築一式 | 元請として大規模な工事全体をマネジメントする許可です。
※最大の誤解ポイント:「建築一式があれば、内装も塗装も何でもできる」わけではありません。一式許可はあくまで総合的な企画・指導を行うためのもので、500万円以上の専門工事を単独で請け負うには、それぞれの専門業種の許可が必要です。 |
| 専門工事 | 大工、左官、電気、内装、塗装、解体など | 各専門分野の工事を施工するための許可です。
実務では、こちらを取得するケースが大半です。自社のメイン工事がどれに当てはまるか、慎重に選ぶ必要があります。 |
例えば、リフォーム工事をメインに行っている会社の場合、「建築一式工事」が必要なのか、「内装仕上工事業」が必要なのか、判断に迷うことがあると思います。
原則として、大規模な増改築や新築を伴わない内装リフォームであれば「内装仕上工事業」になります。一方で、基礎や柱に関わる大規模な改修を含む場合は「建築一式」になる可能性があります。
また、将来的に事業を拡大したい場合、最初に複数の業種をまとめて取っておくのも一つの手です。
後から業種を追加するには「業種追加申請」という手続きが必要で、また手数料(5万円)と手間がかかるからです。
ただし、業種ごとに専任技術者の要件(資格や実務経験)を満たす必要がありますので、持っている資格や経験でカバーできる範囲をしっかり確認して戦略を立てましょう。
知事許可と大臣許可の違いや区分
「県外の現場に行きたいから大臣許可が必要ですか?」
これも非常によくある質問ですが、答えは「いいえ、知事許可でも全国どこでも施工可能です」。
許可の区分(知事か大臣か)は、現場の場所ではなく、「営業所をどこに置くか」だけで決まります。
- 都道府県知事許可:一つの都道府県内のみに営業所がある場合。(例:東京都内に本店、立川に支店がある場合 → 東京都知事許可)
- 国土交通大臣許可:二つ以上の都道府県にまたがって営業所がある場合。(例:東京都に本店、神奈川県に支店がある場合 → 大臣許可)
参考
例えば、東京都知事許可を持っていれば、北海道でも沖縄でも、全国どこの現場の工事でも施工できます。営業所(契約行為を行う場所)が都内にあれば問題ありません。
大臣許可になると、申請手数料が高くなる(9万円→15万円)だけでなく、審査期間も長くなり(知事は約1ヶ月、大臣は約3〜4ヶ月)、更新手続きの手間も増えます。
「とりあえずカッコいいから大臣許可」というのはおすすめしません。
他県に本格的な支店を出して契約業務を行う必要がない限り、まずは知事許可で十分スタートできますよ。
こちらで詳しく知事許可や大臣許可についてお伝えしています。準備中
ぜひ、ご覧ください。
2025年改正による許可要件の緩和と変更点
建設業界はいま、資材価格の高騰や深刻な人手不足、そして「2024年問題(残業規制)」といった課題に対応するため、法律が大きく変わろうとしています。
特に2025年(令和7年)の改正建設業法は、実務に直結する内容なので要チェックです。
大きな変更点のひとつが、「特定建設業許可」が必要になる金額ラインの引き上げです。
これは、近年の工事費上昇に対応するための実質的な規制緩和です。
- 改正前:元請としての下請発注額の合計が4,500万円以上(建築一式は7,000万円以上)
- 改正後(予定):元請としての下請発注額の合計が5,000万円以上(建築一式は8,000万円以上)
これまで「発注額が4,600万円になりそうだから、厳しい特定許可を取らなきゃいけないのか…」と悩んでいた業者さんが、改正後は一般建設業許可のままで施工できるケースが増えます。
これにより、特定許可の厳しい財産要件や技術者要件をクリアしなくても良くなるため、中小企業にとっては追い風と言えるでしょう。
また、新たに「標準労務費」の勧告制度も始まります。
国が「このくらいの賃金は払ってくださいね」という基準を示し、それを著しく下回る見積もりや契約を禁止するものです。
これにより、無理なダンピング受注(安値受注)が難しくなり、適正な価格での競争が求められるようになります。
これは下請け業者や職人さんを守るための重要な改正です。
(出典:国土交通省『建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律について』)
個人事業主が許可を取る流れと法人化
「個人事業主だと許可は取れませんか?法人化しないとダメですか?」という質問もいただきますが、個人事業主のままでも問題なく建設業許可は取得できます。
要件は法人とほぼ同じです。
証明書類として、法人の決算書の代わりに「確定申告書」を使い、法人の登記簿謄本の代わりに「代表者の身分証明書」などを使います。資金要件も、個人の通帳の「預金残高証明書」で証明します。
流れとしては以下のようになります。
- 要件の診断(5年の経験、資格、500万円の資金など)
- 書類の収集(納税証明書、身分証明書、登記されていないことの証明書など)
- 申請書の作成・提出
- 審査(約1ヶ月〜1.5ヶ月)
- 許可通知書の交付
ただし、一つだけ注意点があります。
許可を取った後に「やっぱり法人化(法人成り)したい」となった場合、個人の許可は法人に自動的には引き継げません。
原則として、個人の許可を一度廃業し、法人として新規で許可を取り直す(認可申請による承継制度もありますが、手続きは非常に煩雑です)ことになります。
もし近いうちに法人化を考えているなら、先に法人化してから許可を取るほうが、費用も手間も二度手間にならず、スムーズに事業を展開できますよ。
建設業許可と相乗効果のある取り組み
せっかく苦労して建設業許可を取るなら、それを最大限に活かして会社の成長につなげたいですよね。
許可とセットで取り組むと、非常に効果的な制度がいくつかあります。
- 経営事項審査(経審・ケイシン)公共工事の入札に参加したい場合、建設業許可の次に受けるのがこの審査です。会社の規模、財務状況、技術力などを点数化して評価されます。この点数によって、入札できる工事のランクが決まります。
- 建設キャリアアップシステム(CCUS)技能者一人ひとりの資格や就業履歴をICカードに登録するシステムです。これを導入することで、現場の入退場管理が楽になるだけでなく、経審の加点対象にもなります。また、「うちはちゃんと技術者を大切にしている会社だ」というアピールになり、若手人材の採用にも効果的です。
- 補助金の活用「事業再構築補助金」や「ものづくり補助金」など、国の補助金の中には、建設業許可を持っていることや、給与支給総額を増やすことなどが申請要件や加点事由になっているものがあります。許可業者としての信用力を活かして、設備投資のための資金を獲得しましょう。
更新申請や決算変更届の提出期限
許可を取った後、「やったー!これでずっと安泰だ」と思って放置していると、大変なことになります。
絶対に忘れてはいけない定期的な手続きが2つあります。
- 決算変更届(事業年度終了届):毎年提出毎年の決算終了後、4ヶ月以内に都道府県知事(または大臣)に提出します。「この1年でどんな工事をいくらやりました」「財務状況はこうなりました」という報告書です。税務署への確定申告とは別物ですので注意してください。これを毎年提出していないと、5年後の更新が受け付けられない場合があります。
- 更新申請:5年ごとに提出建設業許可の有効期限は5年間です。期限が切れる30日前までに更新手続きを完了させないと、許可は失効してしまいます。「うっかり忘れて許可が消えた…」となると、また新規で取り直し(費用も時間も倍増)です。特に更新時期のお知らせは役所から来ない場合もあるので、自社でしっかりスケジュール管理をする必要があります。
建設業許可取得にかかる費用や行政書士報酬
建設業許可を取るためには、「役所に支払う法定費用」と、書類作成を専門家に依頼する場合の「行政書士報酬」がかかります。
法定費用(必ずかかるお金)
- 知事許可(新規):90,000円(申請手数料)※現金または都道府県の証紙で納付します。許可が下りなくても返金されません。
- 大臣許可(新規):150,000円(登録免許税)※収入印紙等で納付します。
これに加え、行政書士に依頼する場合は報酬が発生します。
事務所によって異なりますが、相場としては新規の一般許可(知事)で10万円〜15万円程度が一般的です。
特定許可や大臣許可、あるいは実務経験の証明が難しい案件(10年分の請求書整理など)の場合は、20万円〜30万円前後になることもあります。
「高いなぁ、自分でやろうかな」と思われる方もいるかもしれません。
もちろん、ご自身で申請することも可能です。
しかし、建設業許可の申請書類は、手引きだけでも100ページ近くあり、作成する書類は厚さ数センチにもなります。
平日の日中に何度も役所の窓口に通い、細かい訂正を繰り返す時間と労力を考えると、本業で稼いだほうがトータルではプラスになるケースがほとんどです。
スピードと確実性を買うという意味で、専門家への依頼を検討してみてください。
建設業許可の要件まとめ
長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございます。
建設業許可の要件は、一見複雑に見えますが、整理すると以下の4本柱に集約されます。
- 経営経験(常勤役員等の5年経験)
- 技術力(専任技術者の資格や10年経験)
- お金(500万円の資金調達能力)
- 誠実さ・保険(欠格要件なし、社会保険加入)
特に「実務経験の証明書類が揃うか」や「2025年改正で自社がどう影響を受けるか」といった点は、会社の状況によって判断が難しい部分も多いです。
「自分の経歴で要件を満たせるかな?」「どの書類が必要なんだろう?」と少しでも不安に思ったら、自己判断で諦めずに、まずは建設業専門の行政書士に相談してみてください。
建設業許可という「信頼のパスポート」を手に入れて、より大きな仕事、より信頼される会社へとステップアップしていきましょう!
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建設業許可についてさらに詳しく知りたい方は、「建設業許可の教科書(トップページ)」から、業種別の解説や許可の基礎知識をご覧ください。