運送業の許可

運送業許可が必要な業種・不要なケース|建設・産廃・配送・介護の確認手順

結論:業種名だけでは運送業許可の要否は決まりません

「誰の需要に応じて」「何を・誰を」「どの車両で」「何の対価を受け取り」「どの事業の一環として運ぶか」を確認します。貨物の許可・届出、旅客の許可・登録、廃棄物処理の許可は別の制度です。自家輸送や本来の業務に付随する運送など、許可が不要となる場合もあります。


行政書士 小野馨
建設資材の運搬、産業廃棄物の収集運搬、バイク便、介護送迎、運転代行では、確認する法律と手続きが違います。契約や請求書の名称だけでなく、実際の業務を分けて整理しましょう。

「自社のトラックだから許可はいらない」「運賃ではなく手数料なら大丈夫」。どちらも、それだけでは結論を出せません。一方、白ナンバーで荷物を運ぶことがすべて違法というわけでもありません。

この記事では、2026年の国土交通省の取扱いも踏まえ、建設・産廃・デリバリー・介護・代行の具体例を整理します。名目を変えて規制を避ける方法ではなく、必要な手続きを見極め、適法な運送方法を選ぶための確認手順です。個別の要否は、契約書・業務フロー・車両資料を示して管轄の運輸支局等へ確認してください。

運送業許可が必要な業種・不要な業種を分ける確認手順

貨物は「他人の需要・有償・自動車による運送事業」が基本

貨物自動車運送事業法は、他人の需要に応じ、有償で、自動車を使って貨物を運送する事業を規制しています。一般貨物、特定貨物、貨物軽自動車運送事業で、許可か届出かが異なります。荷物の所有権だけを見て「他人の荷物だから必要」「自社名義だから不要」と機械的に決めるものではありません。

確認順序 確認する内容 用意する資料
1.荷物か、人か 貨物と旅客を分ける。廃棄物には処理法上の確認も必要 運ぶ物・利用者・目的を説明した業務フロー
2.誰の業務か 依頼者、販売・製造・工事・処理の担当者、運転者との関係 売買・工事・運送・処理委託契約、雇用関係の資料
3.何に対する支払いか 運送の対価なのか、本来の販売・工事等の対価なのか 見積書、請求書、料金表、金額の算定方法
4.何で運ぶか 普通・小型トラック、軽自動車、二輪、原付等の区分 車検証等、排気量・定格出力、用途・使用者
5.必要な手続きと開始時点 許可・登録・届出の別、事業用車両の手続き、管理・保険の準備 既存の許可証等、営業所・車庫・人員の計画

自社製品の納品や自社工事用の資材搬入など、適法な自家輸送はあります。また国土交通省は、販売・製造・修理等と密接に結びつき、その業務の中に含まれて独立性を持たない運送では、貨物の許可が不要となる場合を示しています。個々の運送を事業の実態と合わせて判断することが重要です。出典:国土交通省・トラック適正化二法と自家輸送の取扱い。

請求名目を変えても、利益が出なくても、それだけで「無償」にはならない

配送手数料、現場応援費、荷役作業料、配送協力金、現場管理費、諸経費などの名称にしても、実態が運送の対価なら、名前を変えただけで許可・届出が不要になるわけではありません。距離・重量・個数・時間などによる計算は、取引の実態を説明する資料になりますが、一つの算定方法だけで自動的に違法と決まるものでもありません。

「有償」は黒字・利益が出ていることと同じ意味ではありません。赤字で引き受ける運送や原価相当額だけを請求する運送でも、運送サービスの対価であれば有償性の確認が必要です。「ガソリン代と高速代だけなら貨物は必ず無許可でよい」という一般的な扱いはできません。

旅客については、許可・登録を要しない謝礼や実費負担を定めたガイドラインがありますが、後述する旅客の条件を、そのまま他人の貨物の有償運送へ転用しないでください。

相談例:元請から「運賃を現場管理費に変えて」と言われた場合

元の業務内容、運ぶ物、作業と運送の担当、計算根拠を残し、項目名ではなく実際の契約を確認します。運送の対価を別名にするだけでは解決しません。運ぶ側だけでなく、違法な運送へ委託する側にも規制があるため、双方で適法な方法を選びましょう。

ブロック代1,000円と配送相当100円の例

販売店が自ら販売するブロックを届けるケースを考えます。1個1,000円の商品に配送コストを見込んで1,100円とするか、内訳として商品1,000円と配送相当100円を示すかという請求書の表記だけで、前者を適法・後者を違法と分けることはできません。

販売の実態、運送が本来の販売業務に含まれるか、誰が運送を行うか、独立した運送を受託しているのかなどを確認します。逆に、本当は他人の貨物を運ぶ事業なのに、形式だけ商品売買に置き換えてよいという説明でもありません。自社販売・製造・修理に伴う運送と、他社から引き受ける運送を区分して相談してください。

建設・産廃業:行きの資材と帰りの廃棄物を別々に判定する

砂利・木材・足場材・重機を現場へ運び、帰りにコンクリート片・木くず・廃プラスチック等を運ぶ計画は、往路と復路で契約内容も法的な確認事項も変わります。「建設業だから全部不要」「両方の許可があれば何でも運べる」とは考えないでください。

資材・残土・リース機械:工事に付随する運送と、運搬だけの受託

国土交通省は2026年2月10日の事務連絡と3月31日のQ&Aで、自家用ダンプカー等の取扱いを整理しています。自ら所有する貨物を自ら運ぶ場合のほか、他者が所有する物でも、自らの建設工事等と密接不可分の付随業務を、同一の者が一貫して行い、運送行為への対価としての有償性がない場合には、許可が不要となることがあります。

業務の例 判断のポイント
自社が購入した資材・製品を、自社従業員が運ぶ 自家輸送として許可不要となる場合。車両が自社所有かリースかだけで結論は変わらない
自社が施工する工事に必要な他社資材・リース機械や、そこで生じる残土を運ぶ 工事と一体の業務か、同じ事業者が行うか、運送の対価としての有償性がないかを確認。所有権だけで判定しない
工事は行わず、他社の資材・重機・残土の運搬だけを有償で請け負う 貨物の運送事業に該当する場合は、車両・事業区分に応じた許可又は届出が必要
個人所有の白ナンバーダンプを持ち込む運転者を使う 真に雇用された従業員による自家輸送なのか、独立した運送受託なのかを実態で確認。雇用契約の名称だけでは判断しない
親会社・子会社の間で運ぶ 別法人間の他人の需要に応じた有償運送なら許可の検討が必要。100%子会社であることだけでは免除されない

雇用関係は、労働契約・労働条件通知書、給与、必要な社会保険等、指揮命令の実態などを合わせて判断します。持込車両を使うなら業務上の使用契約等も確認します。許可を避けるためだけの名目的な雇用ではなく、労働者性や労務手続きは労働局・労働基準監督署等にも照会してください。

出典:自家用ダンプカーの取扱い(2026年2月10日)、建設事業Q&A、資材・骨材関連事業Q&A。許可が不要な自家輸送でも、運転業務に主として従事する労働者の改善基準告示等がなくなるわけではありません。

廃棄物も「価値がないから貨物法の対象外」とは限らない

2026年3月16日の国土交通省の事務連絡は、廃棄物の運送について次のように区分しています。

  • 包括的な委託等契約に基づき、収集又は処分と運搬を一体的に行う:廃棄物処理の生業に付随する運送として、貨物自動車運送事業法の許可等を要しない場合があります。
  • 収集又は処分を伴わず、廃棄物の運搬だけを行う:他人の需要に応じた有償の運送事業として、貨物の許可等が必要になります。

「収集運搬業許可を持っている」という肩書きだけでなく、発注者との契約と実際の作業内容を照合します。貨物側の許可が不要となることと、廃棄物処理法に基づく許可・処理基準・委託契約・マニフェスト等への対応は別です。

根拠:貨物自動車運送事業法における廃棄物の運送の取扱い(2026年3月16日)。

建設廃棄物の元請責任と、下請運搬の限定的な例外

建設工事に伴う廃棄物では、廃棄物処理法第21条の3に基づき、原則として元請が排出事業者となります。下請が「自分の作業で出たから自社のごみ」として自由に持ち帰れるわけではなく、通常は必要な収集運搬業の許可等を確認します。

ただし、省令で定める廃棄物について、書面による請負契約に基づき下請が自ら運搬する場合の限定的な特例があります。例えば、対象となる小規模な維持修繕・瑕疵補修等の工事、1回当たり1㎥以下、運搬先の地域・使用権限、途中保管をしないことなど、複数の条件をすべて確認します。工事金額が小さい、あるいは少量であるという一点だけでは使えません。

具体的な条件と携行書類は名古屋市「下請負人が自ら行う廃棄物の運搬」などの行政資料を参照し、実際の排出地・運搬先の廃棄物担当へ確認してください。貨物の許可要否も、別に整理する必要があります。

ダブルライセンスは「必要な業務範囲を広げる選択肢」

独立して他社資材を有償運送し、さらに他人の産業廃棄物の収集運搬も行う計画なら、貨物と産廃の両制度への対応が必要になる場合があります。往路・復路を活用して空車走行を減らす経営上の検討は有益ですが、すべての建設業者に二つの許可を求める制度ではありません。

往路・復路の計画例 確認する制度 経営判断で見ること
往路:他社資材・重機の運搬のみを有償受託 一般貨物・特定貨物・軽貨物等の区分 運賃、積載・車両条件、荷主の需要、必要な管理体制
復路:他人の産廃の収集運搬を受託 産廃の種類・区域・許可範囲・委託関係。貨物側は収集等との一体性も確認 処理先、マニフェスト等、車両汚損・混載防止、作業時間
復路:売却するスクラップ等を運ぶ 有価物か廃棄物かの実態と、誰の需要に応じた運送か 取引価格だけでなく、物の性状・取引・排出状況等を確認

両方の許可があっても、品目・区域・車両・契約等の条件を外れた業務が適法になるわけではありません。スクラップを「売れるから必ず廃棄物ではない」と決めつけることも避けましょう。岡崎市の廃棄物該当性の説明も、性状・排出状況・取引価値等による総合判断を案内しています。許可取得が必ず高収益や大手の優先発注につながるとはいえず、追加費用と実際の受注見込みを比較します。

軽貨物・バイク便:125cc、電動車、黒ナンバーを分けて確認

Uber EatsやAmazon Flexなどの配送サービスを利用する場合でも、プラットフォームへの登録と法令上の手続きは別です。採用できる車両やサービス条件は各事業者の現行案内で確認し、実際に使う車両に合った届出・保険を準備しましょう。

実際に使う車両 貨物運送事業の手続きの基本 注意点
自転車・道路運送車両法上の原動機付自転車 同法上の「自動車」ではないため、貨物軽自動車運送事業の届出対象とは別 交通ルール、免許、標識、自賠責等の要否は車種ごとに別途確認
内燃機関の通常の二輪で125ccを超えるもの 他人の需要に応じた有償の貨物運送事業なら、貨物軽自動車運送事業の届出 150ccや250ccを使う場合も対象。事業用の車両手続きを行う
電動二輪 排気量ではなく定格出力等による車両区分を確認 通常の二輪の原付は定格出力1.00kW以下が境界。最高出力の表示だけで判定しない
軽バン・軽トラック・使用可能な軽乗用車 他人の需要に応じた有償の貨物運送事業なら、経営届出と事業用の黒ナンバー等の手続き 自家輸送まで一律に黒ナンバーが必要という意味ではない

二輪のナンバープレートは、排気量等の車両区分によって形・表示が異なります。「バイクの事業用は全部、緑地のプレート」といった色だけの判定は避け、使用する車両について管轄へ確認します。125cc以下の原付も、すべて白色の市町村標識というわけではありません。

2025年の新基準原付では、50cc超125cc以下・最高出力4.0kW以下に制御された二輪が第一種原付に追加されています。これは運転免許・車両区分の見直しであって、125ccのバイクなら何でも原付免許で運転できるという意味ではありません。電動車の定格出力とも混同しないでください。根拠:国土交通省・一般原動機付自転車の区分、近畿運輸局・貨物軽自動車運送事業の案内。

軽乗用車も使えるが、届出と積載の確認は必要

2022年10月27日から、軽乗用車も貨物軽自動車運送事業に使用できる扱いとなりました。軽貨物車だけに限られませんが、事業開始の届出と黒ナンバーへの手続きは必要です。荷物の重さ・乗車人数等を確認し、軽貨物車と同じ積載量が認められると思い込まないようにしましょう。

国土交通省の軽乗用車の使用に関する資料で確認できます。使用できることと、どの配送サービスでもその車種を登録できることは別です。

2025年4月からの安全管理と、車両変更の確認

軽貨物では、2025年4月から安全管理者の選任・講習等の安全対策が強化されています。2025年4月以降の新規事業者は、事業開始前の必要な対応を確認してください。従前の事業者には一部経過措置があり、バイク便事業者には貨物軽自動車安全管理者の選任義務がないなど、すべての義務を一律には扱いません。

出典:四国運輸局・貨物軽自動車安全管理者。届出だけで安全管理や記録が不要になるわけではありません。

車両変更の確認例

125ccの原付から友人の250ccバイクへ替えて配達するなら、排気量だけでなく、事業の届出、車両の使用権限、事業用手続き、サービス側の登録、免許、保険を使用前に確認します。借りた車両ならそのまま代用できるとは限りません。事故時の修理費を仮に50万円と見積もる場合でも、誰がどこまで負担するかは責任関係と保険契約によります。

介護・福祉送迎は4条・43条・78条を混同しない

人を運ぶ業務は、貨物自動車運送事業法ではなく、主に道路運送法で確認します。一般貨物や軽貨物の手続きだけで有償の旅客送迎ができるわけではありません。介護サービスの指定、旅客の許可・登録、運転免許も、それぞれ別に確認します。

介護タクシー・特定旅客・訪問介護員の有償運送の比較

制度 対象・位置づけ 車両・運転者等の確認
道路運送法4条:一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送限定等) 許可された業務の範囲で要介護者等を輸送。自施設の利用者以外からの依頼も対象になり得る 事業用車両、二種免許、営業所・車庫・休憩施設・管理体制・損害賠償能力等を確認。対象旅客や営業区域の制限あり
道路運送法43条:特定旅客自動車運送事業 特定の者の需要に応じ、一定範囲の旅客を輸送する許可 需要者、旅客の範囲、路線又は営業区域、事業用車両、二種免許等の要件を確認。不特定多数の注文を自由に引き受ける制度ではない
道路運送法78条3号:訪問介護員等による自家用車の有償運送 訪問介護事業所等の指定を受けた運送事業者との契約に基づく、いわゆる「ぶら下がり」型の許可 訪問介護員等の使用権原がある自家用車。ケアプラン等、運送事業者との管理関係、免許・講習等の条件を確認
道路運送法78条2号・79条:福祉有償運送等 市町村・NPO等が行う自家用有償旅客運送の登録制度 運送主体、地域の協議、対象旅客、運転者・安全管理等の要件あり。上の「ぶら下がり」許可とは別

4条の福祉輸送限定許可を得ても、「誰でも、どこへでも」無制限に運べるわけではありません。対象となる旅客や、原則として発地・着地のいずれかが営業区域内であることなどを確認します。43条は「基準が緩いから簡単」という選び方ではなく、需要者と旅客の範囲に合うかを先に確認します。

78条全体を「ぶら下がり許可」と呼ぶのも正確ではありません。同条には複数の類型があります。訪問介護員等の78条3号の取扱いはその一つで、4条・43条の許可を受けた運送事業者等との契約・管理関係や、介護サービスと一体の運送であることなどを確認します。単に「緑ナンバー車が不足したら誰でも白ナンバーを追加できる」という制度ではありません。

事業用の普通・小型自動車は緑ナンバー、事業用の軽自動車は黒ナンバーが基本ですが、ナンバーの色だけで福祉輸送の許可範囲を確認できるわけではありません。道路交通法第86条による運転免許の確認も必要です。

普通一種免許でも一定の要件を満たして可能な仕組みと、二種免許が必要な旅客運送を分けます。講習・運転歴等の要件を省いて「一種免許で可」とだけ案内しないことが大切です。

出典:道路運送法、中部運輸局・介護タクシーをはじめるには、北海道運輸局・自家用有償旅客運送。実際の許可・登録基準は事業地の管轄資料で確認します。

謝礼を受け取ったら必ず違法、とは限らない

国土交通省の「許可又は登録を要しない運送に関するガイドライン」は2026年6月5日に改正されています。旅客について、提供者が支払いを求めず、利用者が自発的に渡す社会通念上常識的な謝礼などは、運送の対価ではないとされる場合があります。

一方、料金表を定めて徴収する、謝礼を強く求める、金額によって利用者を選別するなど、実質的に運賃を求める行為を「お礼」という名前だけで適法化するものではありません。

無償の運送で受け取れる実費についても、燃料費・道路通行料だけでなく、駐車料金、一定の保険料、当該運送のために発生するレンタカー代等がガイドラインに整理されています。通常の自賠責・任意保険料をそのまま含められるわけではなく、項目ごとの条件を確認します。

宿泊・介護等の本来のサービスに付随する送迎も、運送に特定した対価の有無等によって判断されます。「介護料金をもらうから送迎は全部有償」「無料と書けば全部不要」のどちらでもありません。根拠は許可又は登録を要しない運送のガイドライン(2026年6月5日改正)です。これらは旅客の整理であり、貨物へ一律に流用しないでください。

運転代行の随伴車に利用者を乗せない

運転代行は、飲酒等により運転できない利用者に代わって、その人の車を運転する業務です。公安委員会の認定等が必要であり、タクシーの許可とは別です。顧客の車を運転する運転者の二種免許や損害賠償措置なども確認します。

随伴車は代行業務のための車両であり、代行の認定だけで利用者を送迎する車にできるわけではありません。「顧客車が定員オーバーなので1人だけ」「駐車場まで少しだけ」という依頼でも、代行サービスとして随伴車に乗せて運ぶことは行わず、利用者の人数・乗車場所を事前に確認します。必要なら別途適法なタクシー等を手配する方法を検討してください。

兵庫県の自動車運転代行業者向け案内では、利用料金や、随伴用自動車に利用者が乗れないことなどを事前に説明する義務が示されています。従業員が現場で断りづらくならないよう、予約時の案内と説明書面にも反映しましょう。

違反の法的評価や処分・罰則は具体的な行為により異なります。「乗せた瞬間に必ず逮捕・認定取消し・廃業」と一律に断定するのではなく、業務として禁止される行為をしない運用を整えることが重要です。

無許可・無届営業の罰則と、保険・取引のリスクを区別する

貨物・軽貨物・旅客では罰則の条文が違う

無許可・無届の事業には刑事罰が設けられています。現行法の刑名は「拘禁刑」です。次の表は主な違反の法定刑であり、個別事件で必ずこの上限の刑になる、必ず逮捕されるという意味ではありません。

主な違反 根拠 法定刑
一般貨物自動車運送事業の無許可経営 貨物自動車運送事業法3条・70条 3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金、又は併科
特定貨物自動車運送事業の無許可経営 同法35条・71条 1年以下の拘禁刑又は150万円以下の罰金、又は併科
貨物軽自動車運送事業の無届経営 同法36条・75条 100万円以下の罰金
一般旅客自動車運送事業の無許可経営 道路運送法4条・96条 3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金、又は併科
道路運送法78条違反、特定旅客の無許可経営など 道路運送法97条 1年以下の拘禁刑又は150万円以下の罰金、又は併科

法人等にも罰金を科す両罰規定があります。貨物・旅客の許可、軽貨物の届出を区別し、すべてを「無許可で3年・300万円」とまとめないでください。根拠:貨物自動車運送事業法、道路運送法。

保険が自動的に全額不払いになるとは限らないが、用途を正しく伝える

許可の要否と、事故時の保険金支払いは別の確認事項です。保険は、商品・約款、契約した使用目的や用途車種、運転者の条件、事故の内容、告知・通知の状況等によって扱いが変わります。白ナンバーであることや有償運送であることだけで、すべての保険が一律に支払われないとは断定できません。

契約時に必要事項を正確に告げ、業務内容・使用目的・車両・運転者等が変わるときは、保険会社や代理店へ変更内容を伝えて確認します。告知・通知義務に反すれば、契約解除や支払いに影響する場合があります。日本損害保険協会の自動車保険Q&Aも参考になりますが、最終的には加入契約で確認してください。

確認する補償 確認しておきたいこと
対人・対物 業務利用・有償運送の実態が契約に反映されているか、限度額、対象運転者
運ぶ荷物・預かった車両 自動車の対物賠償だけで足りるか、受託貨物・預かり物の補償や別の保険が必要か
借用車両・代車 使用権限、契約の対象車両、持主の保険だけで足りるか
免責金額・対象外事項 自己負担額、補償されない損害、事故時の連絡方法

損害額の仮定例:積載車で運んでいた他人の車が損傷し、第三者にもけがを負わせたとします。合計の損害が仮に1億円、又は治療費・修理費等で3,000万円となるケースを検討するなら、「相手への責任」「預かった車の損害」「保険対象」「限度額・免責」を分けて確認します。この数字は実在の相談事例や確定賠償額ではありません。

不足する補償が事業の資金繰りを圧迫する可能性はありますが、会社の債務を経営者個人が当然に全額負うわけでも、事故時に即時全額支払い・倒産と決まるわけでもありません。個人の責任、保証、役員としての責任等が問題になる場合は弁護士等に相談します。必要な許可・届出と適切な保険の両方を整えることが重要です。

2026年4月からは違法な白トラへ委託する荷主等にも規制

2026年4月1日から、違法な白トラへの運送委託は、荷主等も新たに処罰の対象となっています。貨物自動車運送事業法65条の2・75条には、無許可・無届の貨物運送事業者に運送を委託することの禁止と100万円以下の罰金が規定されています。

これは、従来適法だった自家輸送や本来の生業に付随する運送まで、新たに一律違法にしたものではありません。白いプレートだけで判断せず、委託先の事業・車両と、今回の業務に必要な許可・届出を確認してください。根拠は国土交通省の2026年4月施行内容です。

トラック・物流Gメンによる是正指導、運送事業者への監査・行政処分、警察等による刑事手続き、取引先の契約上の判断は、それぞれ別の仕組みです。社名公表や取引解除がすべてのケースで自動的に起きると説明することはできません。

荷主・元請へ提示できる資料を整理する

  • 必要な許可証・届出関係の控え、対象事業の範囲。
  • 実際の使用車両の車検証等、車両の使用権限・事業用手続き。
  • 保険証券と、実際の業務に対する補償内容の確認。
  • 運ぶ物、往路・復路、請負作業と運送の分担が分かる契約・業務フロー。
  • 自家輸送等として行う場合は、その判断に必要な資料と管轄への確認内容。

取引先が契約上求める資料と法定の義務は区別します。適法な自家輸送を行っている事業者まで、許可証がないことだけで違法・信用がないと扱うことはできません。一方、許可が必要な業務を新たに受けるなら、受注日から逆算して準備しましょう。

取引先から「来月までに許可関係資料を」と言われた場合

まず、その業務にどの手続きが必要かを確認します。一般貨物の新規許可なら、近畿の標準処理期間は原則3~5か月で、進達・補正・事前準備も考慮します。軽貨物の届出と同じ日程ではありません。必要な手続きが完了するまでの適法な委託先や業務分担を検討し、申請中だから運んでよいとは判断しないでください。

新規許可の計画は運送業許可の要件、日程は標準処理期間の確認を参照してください。資料整理にかかる社内時間・実費と、外部へ依頼する報酬・範囲を比較し、「書類が必ず数百枚」「一か所の不備で必ず数か月遅れる」といった決めつけで判断しないことが大切です。

許可が必要か迷ったときの相談資料と進め方

  1. 業務を一件ずつ分ける:行きの資材、帰りの廃棄物、介護サービス、送迎などを別行に書く。
  2. 契約とお金の流れを図にする:誰が誰へ何を依頼し、何の費用を支払うかを明らかにする。
  3. 車両・運転者を特定する:所有者・使用者、排気量・定格出力、免許、雇用・委託関係を整理する。
  4. 制度ごとの窓口に確認する:貨物・旅客は管轄運輸支局等、廃棄物は自治体の廃棄物担当、代行は警察等、保険は加入先へ。
  5. 手続き完了と開始条件を確認する:許可・届出のほか、車両・安全管理・保険・委託契約を整えてから対象業務を開始する。

過去の業務に違反の疑いがある場合は、帳簿や請求書を実態と違う内容へ書き換えず、資料を保管して相談してください。紛争や刑事責任の判断・交渉は、弁護士等へ相談する領域です。

運送業の手続きに関する無料相談

業務内容、使用車両、依頼者との契約、費用の請求方法をお知らせください。役所への事前相談、資料整理、申請書類の作成・提出、補正対応についてご相談いただけます。必要な手続きや対応範囲を確認し、費用は依頼前にご確認ください。許可取得や最短日程を保証するものではありません。

運送業の無料相談はこちら

運送業許可が必要な業種のよくある質問

運賃を取らなければ、白ナンバーで他人の荷物を運んでも大丈夫ですか?

運賃という名称を使わないことや、利益が出ないことだけでは判断できません。運送に対する対価と事業の実態を確認します。旅客の実費・謝礼のガイドラインを、貨物へそのまま流用することもできません。自家輸送や生業に付随する運送に当たるかを含め、契約等を示して管轄へ確認してください。

建設業で「資材運搬費」を請求するには、どのような許可が必要ですか?

他社の需要に応じて運搬だけを有償で行う事業なら、車両・事業区分に応じた一般貨物等の許可又は軽貨物の届出を確認します。一方、自らの建設工事や販売等に付随する運送には許可不要となる場合もあります。請求書の項目名や貨物の所有権だけで決めず、誰が工事・販売と運送を行い、何の対価を受け取るかを確認します。

125cc超のバイクで出前を運ぶのに、特別な手続きは必要ですか?

内燃機関の通常の二輪で125ccを超える車両を使い、他人の需要に応じて有償の貨物運送事業を行う場合は、貨物軽自動車運送事業の届出と事業用車両の手続きが必要です。原付の区分、電動二輪の定格出力、免許、保険、配送サービス側の登録も確認してください。

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