運送業の許可

運送業許可の「流れ」と「費用」全手順|申請から緑ナンバー取得までのロードマップ【2026年版】

【結論】運送業許可の「流れ」と「費用」とは?

運送業許可(一般貨物自動車運送事業)の取得には、準備開始から緑ナンバー取得まで平均6〜8ヶ月の期間と、法定費用12万円に加え、事業規模に応じた1,000万〜2,000万円超の「所要資金(資本)」の証明が必要です。

これは単なる行政手続きではなく、開業前の資金ショートを防ぎ、確実に事業を軌道に乗せるための「経営ロードマップ」そのものです。

行政書士 小野馨
こんにちは!

行政書士歴20年・支援実績5000社超 行政書士の小野馨です。

今回は、運送会社を設立する起業家が最も頭を悩ませる【運送業許可の流れと費用】について、実務の裏側まで包み隠さずお話しします。

「運送業を始めたいが、いつまでに、いくら現金を用意すればいいのか?」

この問いに対する認識が甘いと、最悪の場合、許可が下りる数ヶ月前に運転資金が底をつき、事業計画が破綻してしまいます。

注意ポイント

なぜなら、運送業許可は「申請した瞬間」にお金がかかるのではなく、その数ヶ月前の「準備段階」で最大の資金が必要になるからです。

また、許可が下りるまでの半年間、営業所や車庫の家賃(空家賃)を払い続けるリスクも潜んでいます。

この記事では、インターネット上の表面的な手順書には書かれていない、「資金が発生する具体的なタイミング」と「無駄な出費を抑える実務テクニック」を、時系列で完全に可視化しました。

⚠️ 警告:資金計画の順序を一つでも間違えると、せっかく集めた「残高証明書」が無効になり、申請自体が却下される恐れがあります。2026年、最短かつ確実に緑ナンバーを取得したい方は必読です。

この記事でわかる4つのポイント

  • ✅ 申請から緑ナンバー取得までの全手順(6〜8ヶ月の実録)
  • ✅ 「法定費用(12万円)」と「所要資金(資本)」の決定的な違い
  • ✅ 審査を無駄に長引かせないための「残高証明書」提出ルール
  • ✅ 半年間の「空家賃」を最小限に抑える契約テクニック

運送業許可の「流れ」と「費用」の全体像|期間は6ヶ月・法定費用は12万円

まず、経営者が把握すべき全体像を提示します。

運送業許可(一般貨物自動車運送事業)の取得フローは一直線ではなく、「資金準備」と「物件確保」が先行し、その後に長い「審査期間」が続く流れになっています。

ポイント

具体的には、準備開始から営業開始まで平均6〜8ヶ月の期間がかかります。

費用は、国に納める登録免許税12万円に加え、事業を安定的に継続できるだけの所要資金(資本)の確保が許可要件として義務付けられています。

これから複雑な許可申請の流れを「3つのフェーズ」に分解し、それぞれの段階で「いつ、どのような形でお金が必要になるのか」を詳しく解説します。

全体像を俯瞰してみることで、無駄な手戻りをあらかじめ防ぎましょう。

それでは申請から開業までの具体的な「タイムライン(時系列)」と、多くの人が混同しやすい「費用の総枠(経費と資本の違い)」について解説します。

運送業許可 流れ チャート 期間 費用

運送業許可のチャート(この画像はAIで作成)

【全体像】申請から営業開始までのタイムライン

運送業許可の手続きは、書類を出して終わりではありません。

実務上は、大きく分けて以下の3つのフェーズ(段階)で進んでいきます。

この流れを頭に入れておかないと、資金繰り計画を立てることは不可能になります。

1. 準備フェーズ(1〜2ヶ月目)

最も実務的な負担が大きい時期です。

営業所休憩睡眠施設車庫の選定、車両(5台以上)の確保、そして資金調達を行います。

申請書を提出する時点で、これらの要件が「確定」していなければなりません。

2. 審査フェーズ(3〜6ヶ月目)

管轄の運輸支局へ申請書を提出した後、行政庁内での審査に入ります。

この期間を標準処理期間と呼び、法令上の目安は3〜5ヶ月です。

この間、申請者は「待ち」の状態になりますが、常勤役員は奇数月に実施される役員法令試験に合格しなければなりません。

3. 開業フェーズ(7〜8ヶ月目)

許可証の交付後、登録免許税の納付、運行管理者・整備管理者の選任届出、社会保険の加入などを経て、車検場で緑ナンバーを取り付けます。

最後に運輸開始届を提出して、初めて運賃を受け取る営業が可能になります。

ここで経営上最も注意すべき点は、「申請した日から許可が出るまで、一切の運送営業(有償運送)ができない」という事実です。

この約半年の無収入期間を耐えうる運転資金の確保が、事業を成功させる最初の一歩となります。

💡 行政書士の現場メモ(失敗回避の知恵)

「申請さえすれば、仮ナンバー等ですぐに走れる」と誤解されている方が稀にいらっしゃいますが、それは間違いです。

許可証が交付され、緑ナンバーが付くまでは、1円たりとも運賃を請求できません。

この期間のドライバー給与や地代家賃をどう工面するか、事前のシミュレーションが甘いと開業前に資金ショートします。

費用の総枠(出ていくお金と見せるお金の違い)

「運送業を始めるにはいくらかかりますか?」という質問に対し、私は必ず「『支払う経費』と『証明する資本』の2つに分けて考えてください」とお答えしています。

この2つを混同すると、事業計画は根本から破綻します。

実務上、準備すべきお金は以下の2種類に大別されます。

1. 支払う費用(イニシャルコスト)

これは、手続きの過程で実際に財布から出ていくお金です。

車両購入費を除けば、概ね50万円〜80万円程度で収まるケースが大半です。

  • 登録免許税:120,000円(国への納税・許可時)
  • 行政書士報酬:350,000円〜600,000円(相場)
  • 法定費用・実費:数千円〜数万円(車庫証明、印紙代、ナンバー代等)

2. 確保すべき資本(所要資金)

こちらが運送業許可の最大のハードルです。支払うわけではありませんが、「事業を安定的に継続できるだけの資金を持っていること」を、銀行の残高証明書で証明しなければなりません。

これを専門用語で「所要資金」と呼びます。具体的には、以下の費用を合算した金額以上の預金残高が必要です。

  • 人件費(役員・ドライバー等):6ヶ月分
  • 燃料費・油脂費:6ヶ月分
  • 車両修繕費:6ヶ月分
  • 車両費(リース料・割賦金):1年分
  • 保険料(自賠責・任意):1年分
  • 地代家賃(営業所・車庫):1年分

事業規模にもよりますが、最低車両台数の5台でスタートする場合でも、概算で1,000万円〜2,000万円規模の残高証明が必要になります。

つまり、手出しの現金(イニシャルコスト)が用意できても、この「所要資金(資本)」を銀行口座に準備できなければ、門前払いで申請すら受け付けてもらえないのが運送業許可の厳しい現実です。

【STEP 1】準備と資金計画の流れ|申請2ヶ月前の物件・車両確保

ここから具体的なアクションプランに入ります。

まずは申請書を提出する約2ヶ月前から始まる「準備フェーズ」です。

運送業許可の手続きの中で最も実務的な負担が重く、現金が動くのがこの期間です。

ポイント

なぜなら、行政庁に申請書を受理してもらうためには、申請日時点で営業所・車庫・車両(5台)のすべてについて「使用権原(使用できる権利)」が裏付けられていなければならないからです。

しかし、ここで焦って通常の賃貸借契約を結んでしまうと、許可が下りるまでの半年間、誰もいない事務所やトラックのために家賃・駐車場代を払い続ける「空家賃(からやちん)」が発生してしまいます。

ここでは、こうした無駄な出費を極限まで抑えつつ、行政の要件を完璧に満たすための実務テクニックを解説します。

それでは次に、失敗が許されない「物件・車両の契約タイミング」と、許可の命運を握る「残高証明書の取得ルール」について、時系列順に見ていきましょう。

運送業許可 準備 物件 車両 資金

物件・車両の確保と「空家賃」を防ぐ契約テクニック

許可申請から取得までの約半年間、売上が立たないにもかかわらず、営業所や車庫の家賃(固定費)だけが出ていく状態は、経営にとって「出血」そのものです。

例えば、家賃15万円の物件と月3万円の車庫(5台分)を普通に借りてしまうと、半年で約180万円もの現金がドブに捨てられることになります。

行政書士として私がクライアントに指導している、この「空家賃」を合法的に回避し、かつ運輸局の審査をクリアするための契約テクニックを公開します。

1. 営業所・車庫:「停止条件付契約」の活用

運輸局が求めているのは、申請日時点でその物件を「確実に使用できる権利(使用権原)」を持っていることです。

必ずしも「すでに家賃を払っていること」「入居済みであること」は求めていません。

そこで有効なのが、賃貸借契約書の特約事項に以下の文言を盛り込む「停止条件付契約」です。

【特約条項の例】

本契約は、借主が一般貨物自動車運送事業の許可を取得した日(または許可取得が見込まれる日)をもって効力を生じるものとする。

賃料の発生も同日より開始する。

この条項を入れることで、契約自体は締結(=使用権原の確保)しつつ、実際の家賃支払いは「許可が出てから」に後ろ倒しすることが可能になります。

オーナー(貸主)側への説得が必要ですが、手付金を入れる等の交渉で承諾を得られるケースは多々あります。

また、正規の賃貸借契約書を作る前の段階として、貸主から「使用承諾書」のみに署名捺印をもらい、それを申請書類として提出する方法も、多くの運輸支局で認められています。

2. 車両(5台):購入・リースの「発注タイミング」

運送業許可には最低5台のトラックが必要です。

しかし、半年前に5台すべてを納車させてしまうと、駐車場代と車両維持費、そして車両価格の支払い(またはリース料)が一気に発生します。

ここでも「契約の証明」と「納車・支払い」を切り離して考えます。

  • 新車・中古車購入の場合:「売買契約書」は申請前に締結しますが、納車日と残代金の決済日は「許可取得後」とする旨をディーラーと取り決めます。申請には契約書の写しがあれば足ります。
  • リースの場合:「リース契約書」または「リース審査可決証明書(引受承諾書)」を用意します。リース開始日(起算日)を許可予定月に設定できるか、リース会社との調整が必須です。

3. 【絶対NG】契約してはいけない「魔のエリア」

契約テクニック以前の問題として、絶対に手を出してはいけない物件があります。

それが「市街化調整区域」にある建物です。

都市計画法上の「市街化調整区域」は、原則として商業活動(営業所の設置)が禁止されています。

どんなに良い物件でも、ここを営業所として申請した瞬間に不許可が確定します。

不動産屋の「事務所として使えますよ」という言葉を鵜呑みにせず、必ず役所の都市計画課で「用途地域」を確認してください。

また、車庫については、出入り口の「前面道路幅員」が車両制限令の基準(原則6.0m〜6.5m以上など)を満たしていることを証明する「幅員証明書」が取れるかどうかも、契約前の必須チェック項目です。

💡 行政書士の現場メモ(失敗回避の知恵)

過去に、「家賃が安いから」と市街化調整区域のプレハブを契約してしまったお客様がいらっしゃいました。

私が調査した結果、営業所として認可されないことが判明し、契約時の敷金・礼金、仲介手数料の計80万円が無駄になった事例があります。

契約書にハンコを押す前に、必ず場所の要件診断を行ってください。

🔍 さらに詳しく知りたい方へ

営業所・車庫の要件調査や、市街化調整区域の見分け方については、以下の記事で図解付きで解説しています。

運送業の営業所・車庫の要件と市街化調整区域の調査法 >

【絶対厳守】残高証明書の取得タイミングと「所要資金」

運送業許可の準備において、物件や車両の確保と並んで最優先すべきなのが「資金の確保」です。

しかし、単にお金を持っていれば良いわけではありません。「いつ、どの時点で、いくら持っているか」というタイミングが、合否のすべてを握っています。

このルールを知らずに、「とりあえず申請してからお金を集めよう」と考えたり、「一時的に借りてくればいい」と安易に判断したりすると、100%不許可になります。

1. 「申請日時点」の残高証明書がすべて

運送業許可申請では、申請書を提出する日(受付日)において、所要資金の全額が銀行預金として確保されていることを証明しなければなりません。

具体的には、銀行が発行する「残高証明書」を提出します。ここで最も重要なのは、残高証明書の「証明基準日」が「申請日」と一致(または申請日を含む期間)していなければならないという点です。

  • NG例:申請日が4月1日なのに、残高証明書の日付が3月25日になっている。
  • OK例:申請日が4月1日で、残高証明書の証明日も4月1日(または申請と同時に記帳した通帳コピーを提示し、後日正式な証明書を追完)。

つまり、申請を行うその日には、確実に口座に現金が入っていなければなりません。

「明日入金される予定です」という言い訳は一切通用しません。

2. 「所要資金」の計算方法と目安

では、具体的にいくら入っていれば良いのでしょうか。これは一律ではなく、事業計画に基づいて算出される「所要資金」の額以上である必要があります。

所要資金は、以下の項目を一つひとつ積み上げて計算します(国土交通省の公示基準に基づく)。

  • 人件費:役員報酬・ドライバー給与・法定福利費等の6ヶ月分
  • 燃料油脂費:走行距離予測に基づくガソリン代等の6ヶ月分
  • 修繕費:車検代・点検費用の6ヶ月分
  • 車両費:購入代金全額、またはリース料・割賦金の1年分
  • 施設費:営業所・車庫の家賃・敷金の1年分
  • 保険料:賠償責任保険等の1年分
  • その他:登録免許税、什器備品費など

車両価格や家賃にもよりますが、トラック5台で開業する場合、これらの合計額は概ね1,000万円〜2,000万円になります。

この金額が「所要資金」として確定し、申請日にはこれ以上の額が口座になければなりません。

3. 「見せ金」はなぜバレるのか?

「申請の日だけ友人からお金を借りて、翌日に返せばいいのでは?」と考える方がいますが、これは「見せ金」と呼ばれ、厳しく禁止されています。

行政庁は「事業を継続できる安定した基盤」を審査しています。

そのため、多くの運輸支局では、申請時だけでなく、許可が下りる直前(申請から約3〜4ヶ月後)にも、もう一度残高証明書の提出を求めます。

もし最初の申請直後に資金が引き出されて口座が空っぽになっていれば、「見せ金だった」と判断され、許可は下りません。

銀行融資を受ける場合は「融資証明書」で代用可能ですが、知人からの短期借入などは認められないリスクが高いため注意が必要です。

💡 行政書士の現場メモ(失敗回避の知恵)

以前、ご自身で申請された方から「補正指示が来て困っている」と相談を受けました。

拝見すると、申請日には資金が足りておらず、その翌日に大金が入金されていました。

「1日くらい遅れても大丈夫だろう」と思われたそうですが、役所の審査は書類主義です。

たった1日のズレでも要件不備となり、その申請は取り下げ(最初からやり直し)せざるを得ませんでした。

日付の管理は秒単位で行う覚悟が必要です。

🔍 自分の会社はいくら必要?

所要資金の計算は非常に複雑で、計算ミスがあると資金不足とみなされます。

以下の記事で、Excelを使った正確なシミュレーション方法と、資金調達のポイントを解説しています。

100%許可が下りる「所要資金」の計算と資金調達の裏ワザ >

【STEP 2】申請から許可までの流れ|標準処理期間と審査対策

資金と物件の裏付けが完了し、膨大な申請書類(正本・副本)を作成したら、いよいよ管轄の運輸支局へ提出します。

しかし、窓口で書類が受理されたからといって、すぐに安心できるわけではありません。

ここからのフェーズは「自分との戦い(準備)」から「行政および時間との戦い」にシフトします。

書類が受理されると、行政庁内部での審査期間である「標準処理期間」のカウントダウンが始まります。

この期間中、申請者は単に待っているだけではありません。

行政官からの細かい事実確認や追加書類の要求(補正)に即座に対応し、かつ、常勤役員は法令試験に一発で合格しなければなりません。

それでは、次に審査を最短で通過し、スケジュールを遅延させないための過ごし方を解説します。

次に解説するトピック

審査にかかる「標準処理期間の目安」と、許可を遅らせる二大要因である「補正指示」および「役員法令試験」への対策について掘り下げます。

運送業許可 審査期間 役員法令試験

標準処理期間と補正対応(審査待ちの過ごし方)

申請書が無事に受理されると、行政庁側での審査がスタートします。この審査にかかる時間の目安を「標準処理期間」と呼びます。

一般貨物自動車運送事業の場合、各運輸局が公表している標準処理期間は概ね3ヶ月〜5ヶ月です。

例えば、関東運輸局管内であれば「3〜4ヶ月」、近畿運輸局であれば「3〜5ヶ月」といったように、地域によって若干の差がありますが、平均して4ヶ月程度は見込んでおくのが安全です。

「補正」が入ると審査時計は止まる

ここで最も注意すべきなのが、「標準処理期間には、補正に要する日数は含まれない」という行政手続上のルールです。

「補正」とは、提出した書類に記載ミスや添付漏れ、整合性の不備があった場合に、行政官から修正や追加提出を求められることです。

この補正指示を受けてから、修正した書類を再提出するまでの期間は、標準処理期間のカウントから除外(ストップ)されます。

つまり、補正対応に1ヶ月かかってしまえば、許可予定日もそのまま1ヶ月後ろにズレ込みます。

行政書士に依頼せず、ご自身で申請された場合、この補正のやり取りだけで数ヶ月を浪費し、半年経っても許可が下りないというケースが後を絶ちません。

この期間にやるべきこと・発生する費用

審査期間中は、単に待機するだけでなく、以下の準備を進める重要な期間です。

  • 役員法令試験の勉強:(後述しますが、最優先事項です)
  • 採用活動の本格化:許可後すぐに選任できるよう、運行管理者やドライバーの内定を固めます。
  • 行政書士報酬の支払い:専門家に依頼している場合、申請受理のタイミングで「着手金(報酬の半金など)」の請求が発生するのが一般的です。資金計画に組み込んでおきましょう。

💡 行政書士の現場メモ(失敗回避の知恵)

補正指示の内容は、「住所の『一丁目』を『1丁目』に直せ」といった軽微なものから、「車庫の前面道路の幅員証明を取り直せ」といった深刻なものまで様々です。

特に、連絡がつきにくい、あるいは対応が遅い申請者は、審査官からの心証を悪くし、より厳格に審査される傾向があります。

補正指示には「即日対応」が鉄則です。

役員法令試験の不合格は「2ヶ月の遅延」を意味する

書類審査が順調に進んでいても、許可が下りないケースがあります。

その最大の原因が、申請した会社の常勤役員が受験する「役員法令試験」への不合格です。

これは形式的な儀式ではありません。労働基準法や貨物自動車運送事業法など全30問が出題され、8割以上(24問以上)正解しなければ容赦なく落とされる、本格的な試験です。

不合格=開業が2ヶ月遅れるメカニズム

この試験は、原則として「奇数月(1月、3月、5月...)」にしか実施されません(※管轄により異なる場合があります)。

もし、7月の試験で不合格になったとしましょう。

次の再試験は9月になります。

許可証は「法令試験の合格後」でなければ交付されないため、試験に落ちた瞬間に、開業予定日が自動的に2ヶ月後ろ倒しになることが確定します。

準備段階でどれほど急いで書類を作っても、ここで躓けば全ての努力が水の泡となります。

その2ヶ月間も、事務所や車庫の家賃、雇用予定者への給与(待機手当等)などの固定費は発生し続けます。

「2回落ちたら廃車」の厳しいルール

さらに恐ろしいのは、多くの運輸局で採用されている「2回ルール(申請取り下げ)」です。

初回の試験で不合格となり、続く2回目の再試験でも不合格となった場合、その申請は「取り下げ(却下)」扱いとなるのが一般的です。

つまり、数ヶ月かけて審査を受けてきた申請自体が「無かったこと」になり、また一から申請手数料を払い、書類を作り直して再申請しなければなりません。

こうなると、期間のロスは2ヶ月どころか半年以上に及び、資金繰りがショートして事業断念に追い込まれるケースすらあります。

誰が受けるべきか?

受験できるのは、申請時に登録した「常勤の役員(取締役など)」1名のみです。

運行管理者資格を持つ従業員や、非常勤の役員では受験できません。

社長ご自身が多忙で勉強時間が取れない場合は、別の専任役員を登記し、その方に受験してもらうなどの戦略的配置も必要になります。

💡 行政書士の現場メモ(失敗回避の知恵)

この試験は「条文集(六法など)の持ち込み」が認められていますが、これに油断して勉強せずに挑む方が後を絶ちません。

しかし、制限時間は50分しかなく、その場で条文を探している時間は全くありません。

「持ち込み可だから大丈夫」は最大の罠です。

過去問を反復し、条文を引かずに即答できるレベルまで仕上げておくことが、最短開業の鉄則です。

🔍 一発合格するための勉強法

試験に出るポイントは決まっています。審査を止めないための具体的な対策と、合格率の高い運輸局の傾向については、以下の記事で解説しています。

運送業許可の標準処理期間と審査を止めない法令試験対策 >

【STEP 3】許可後の流れと費用|登録免許税の納付から緑ナンバー取得まで

長い審査期間と法令試験を突破し、ついに運輸局から「許可」の連絡が入ります。しかし、ここで安心してはいけません。実務的な観点で申し上げますと、許可の連絡があっても、まだトラックで1円も稼ぐことはできません。

許可証が交付されてから、実際に車体に「緑ナンバー」を取り付けて営業を開始するまでには、さらに約1ヶ月の実務手続きが必要です。この期間には、「登録免許税(12万円)」の納付や、「社会保険・労働保険」への加入など、期限が定められた法的義務が集中します。

この最後の詰めを誤ると、最悪の場合、許可自体が取り消し(失効)となるリスクすらあります。この章では、許可証を受け取ってから開業初日を迎えるまでの「ラストワンマイル」の手順を解説します。

次に解説するトピック

絶対に遅れてはならない「登録免許税の納付期限」と、車検場での「緑ナンバー取付フロー」について、順を追って見ていきましょう。

📷 画像挿入指示

推奨画像: [許可後の3大タスク(納税・保険・ナンバー変更)を描いたゴールへのステップ図]

生成用プロンプト: [Step-by-step illustration after permit approval: 1. Tax payment (120,000 yen), 2. Social insurance enrollment, 3. Attaching green license plate. Concept of crossing the finish line. Style: Professional minimalist flat illustration, reliable corporate blue and white color scheme.]

Alt属性: [運送業許可 許可後 登録免許税 緑ナンバー][Professional minimalist flat illustration]

許可証交付と「登録免許税」の納付期限

許可の連絡を受けると、指定された日時に管轄の運輸支局へ出頭し、「許可証交付式」に出席します。ここで初めて、正式な運送業の許可証(許可書)を手渡されます。

この際、同時に渡されるのが「登録免許税(120,000円)」の納付書です。これは国に納める税金であり、原則として許可日から1ヶ月以内に、銀行や郵便局の窓口で現金納付しなければなりません。

ここで最も重要なのは、納付した後に受け取る「領収証書」を、速やかに運輸支局へ提出(郵送または持参)することです。銀行で支払っただけでは、運輸局側は納税の事実を確認できません。この領収証書の提出をもって、初めて法的に許可の効力が確定します。

もし期限内に納税と提出を行わない場合、最悪のケースとして許可の取り消し処分対象となります。開業準備で現金が出ていく時期ですが、この12万円だけは絶対に使い込まず、別枠で確保しておいてください。

社会保険加入と緑ナンバー取付(運輸開始届)

登録免許税の納付と並行して、いよいよトラックを「緑ナンバー」に変える手続きに入ります。しかし、いきなり車検場に行ってもナンバーは交換してくれません。

運輸支局から「事業用自動車等連絡書(以下、連絡書)」という書類を発行してもらう必要があり、その発行条件として、以下の手続きを完了させなければならないからです。

1. 必須となる事前手続き(社会保険・選任・運賃)

許可後、速やかに以下の3つの手続きを行います。

  • 運行管理者・整備管理者の選任届出:確保していた有資格者を正式に選任し、運輸支局へ届け出ます。
  • 運賃料金設定届出:「いくらで荷物を運ぶか」という運賃表を提出します。
  • 社会保険・労働保険の加入:ここが最重要です。現在は法令遵守の観点から、許可取得後の社会保険加入が厳格にチェックされます。年金事務所やハロローワークで手続きを行い、その「加入控え(写し)」を用意します。

これらの届出が完了すると、運輸支局の輸送担当窓口で「連絡書」に経由印(ハンコ)を押してもらえます。

このハンコ付きの連絡書こそが、緑ナンバー取得へのパスポートです。

2. 車検場での緑ナンバー取付(費用発生)

「事業用自動車連絡書」「車検証(書き換え前)」を持って、管轄の自動車検査登録事務所(車検場)へ向かいます。

ここで、現在の白ナンバーをドライバーを使って取り外し、返納します。その後、書類審査を経て新しい「緑ナンバー」と「事業用の車検証」が交付されます。

ナンバープレート代(約1,500円〜/枚)や、場合によっては自動車税・環境性能割の精算費用を支払い、係員に後部ナンバーの「封印」をしてもらえば、車両の手続きは完了です。

3. 最終ゴール:運輸開始届の提出

緑ナンバーが付いたからといって、勝手に営業を始めてはいけません。最後に「運輸開始届」を運輸支局へ提出します。

これは「本日より運送事業を開始しました」という宣言であり、許可から原則1年以内に提出しなければなりません。

この届出が受理された瞬間が、名実ともに運送会社の開業日となります。

💡 行政書士の現場メモ(失敗回避の知恵)

車検場での手続きでよくあるトラブルが、「車検切れ」の見落としです。

許可申請中に車両を遊ばせていたため、いざ緑ナンバーに変えようとしたら車検が切れていた、というケースです。

この場合、ナンバー変更(番号変更)だけでなく、中古新規登録(車検の取り直し)が必要になり、重量税などの法定費用が数万円単位で追加発生します。

車両の状態管理は最後まで気を抜かないでください。

行政書士報酬の費用相場|プロに依頼するメリットと選び方

運送業許可申請は、ご自身で行うことも法的には可能です。

しかし、ここまで解説してきた「1円単位の資金管理」や「半年間に及ぶスケジュール調整」を、日常の配送業務や会社設立準備と並行して、ミスなく完遂するのは至難の業と言わざるを得ません。

多くの経営者が決して安くはない報酬を払って行政書士へ依頼するのは、単に面倒だからではありません。

プロを入れることで「許可までの期間を最短化し、空家賃や機会損失といった『見えない巨額コスト』を防ぐため」です。

この章では、行政書士に依頼した場合の適正な報酬相場と、目先の価格だけで選んで後悔しないための「専門家選びの基準」について解説します。

経営判断の材料としてお役立てください。

次に解説するトピック

市場の「報酬相場(35万〜60万円)」の内訳と、格安業者が抱える「サービス範囲の落とし穴」について掘り下げます。

運送業許可 行政書士報酬 費用対効果

報酬相場と「安さ」で選ぶリスク

行政書士に依頼する場合の報酬額は、事務所によって大きく異なりますが、市場の適正相場は概ね35万円〜60万円(税別)の範囲内です。

「なぜこんなに幅があるのか?」と疑問に思うかもしれません。

その理由は、単純な価格競争ではなく、提供される「業務範囲(サポートの中身)」が決定的に異なるからです。

「格安」の裏にあるカラクリ

インターネット上には「報酬20万円!」と謳う格安事務所も存在します。

しかし、契約前に以下の点を確認しないと、トータルコストで損をする可能性が高いです。

  • 許可後の手続きは含まれているか?許可申請までは安くても、許可後の「登録免許税納付」「運賃設定届出」「運輸開始届」が別料金(オプション)になっているケースがあります。これらを追加すると、結局相場以上の金額になることがあります。
  • 資金計画のコンサルティングはあるか?単に「言われた数字を書類にするだけ」の代行屋では、資金要件の複雑な計算に対応できません。結果として、補正指示の嵐になり、審査期間が数ヶ月延びる(=開業が遅れて家賃負担が増える)リスクがあります。

プロを選ぶ「3つの質問」

後悔しないために、問い合わせ時には以下の3点を質問してください。

  1. 「見積もり金額には、許可後の運輸開始届まで含まれていますか?」
  2. 「役員法令試験の対策テキストや過去問はもらえますか?」
  3. 「もし不許可になった場合、全額返金保証はありますか?」

運送業許可は、許可証をもらうことがゴールではありません。

緑ナンバーを付けて事業を開始することがゴールです。

目先の数万円の差よりも、「最短で確実にゴールまで伴走してくれるか」という視点でパートナーを選んでください。

💡 行政書士の現場メモ(失敗回避の知恵)

運送業は専門性が非常に高い分野です。

「会社設立」や「ビザ申請」をメインにしている行政書士に依頼してしまい、用語が通じず、補正対応で立ち往生したという相談をよく受けます。

ホームページの実績を見て、「運送業専門」あるいは「運送業の支援実績が豊富」な事務所を選ぶことが、結果として一番のコストダウンになります。

⚠️ 【警告】自己判断のリスクと「見えないコスト」

「自分でやれば無料」は間違いです。

慣れない書類作成に費やす数百時間、補正による開業の遅れ、そして空家賃の発生を考えれば、専門家への報酬は十分に回収できる投資です。

経営者は「作業」ではなく「経営」に時間を割いてください。

まとめ|「資金」と「時間」を制する者が運送業を制する

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

運送業許可の「流れ」と「費用」について、実務の最前線から解説してきました。最後に、重要なポイントをもう一度整理します。

  • 期間:準備から緑ナンバーまで平均6〜8ヶ月
  • 費用:法定費用12万円に加え、1,000万円超の所要資金(資本)の証明が必須。
  • 最大のリスク:「残高証明書のタイミング」と「役員法令試験」での失敗は、即座に事業計画の破綻(数ヶ月の遅延)を招く。
  • 実務の鉄則:「空家賃」を払わない契約交渉と、許可後の「1ヶ月以内の手続き」が勝負。

運送業の開業準備は、パズルのようなものです。

資金、人、場所、車両、そしてタイミング。

これら全てのピースが、申請日という一点で完璧に噛み合わなければなりません。

もし、ご自身の資金計画や物件選びに少しでも不安があるなら、契約書にハンコを押す前に一度ご相談ください。

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