【結論】ドローン物流とは?
ドローン物流とは、航空法上の「レベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)」を活用し、過疎地や都市部上空で荷物を配送する次世代の輸送インフラです。
従来の「緑ナンバー(貨物運送許可)」は不要ですが、代わりに第一種機体認証や一等操縦士など、航空法に基づく極めて厳格な安全体制と、荷主を守る契約(運送約款)が求められます。

電子定款実績5000件 行政書士の小野馨です。
今回は【運送会社向け・ドローン物流の法務】についてお話します。
「2024年問題でドライバーが足りない。ドローン配送で新しい収益源を作れないか?」
多くの運送会社様から、このようなご相談が急増しています。
しかし、ネット上の情報は「趣味の飛ばし方」ばかりで、「事業として荷物を運ぶ責任」や「トラック運送業との法律の違い」を解説したものは皆無です。
結論から言えば、ドローンに緑ナンバーは不要ですが、「航空法レベル4」という、ある意味で緑ナンバー以上に厳しい安全基準をクリアしなければ、事業化は不可能です。
この記事では、5000社以上の許認可を支援してきた行政書士が、ドローン物流への参入障壁、リスク、そして勝機を「経営者の視点」で徹底解説します。
⚠️ 【警告】「空は自由だ」と勘違いして、きちんとした運送約款(契約書)なしに荷物を運ぶと、たった一度の落下事故で会社が吹き飛びます。賠償リスクを甘く見ないでください。
この記事でわかる4つのポイント
- ✅ 貨物自動車運送事業法(陸)と航空法(空)の決定的違い
- ✅ ドローン配送に「緑ナンバー」が不要な法的根拠
- ✅ 事業化必須の3要素(機体認証・一等資格・運航管理)
- ✅ 陸送×空送ハイブリッド時の「白ナンバー」の落とし穴
運送業許可の全体像は「運送業許可の教科書」をご覧ください!
軽貨物運送業(黒ナンバー)とは? 2026年の最新
【経営判断】トラック物流とドローン物流の「決定的違い」
結論から申し上げます。
トラック運送とドローン運送は、ビジネスの目的こそ「物を運ぶ」点で一致していますが、適用される法律、リスクの所在、そして許可の概念は「水と油」ほど異なります。
ポイント
トラック運送業は「貨物自動車運送事業法」に基づき、公道における輸送の安全と秩序を守るための規制です。対してドローン物流は「航空法」に基づき、空域の安全を確保するための規制です。
経営者がまず理解すべきは、「トラックの実績があっても、ドローンの参入障壁は下がらない」という冷徹な事実です。
むしろ、既存の常識(点呼や運行管理)を一度リセットし、航空法という全く新しいルールブックをインストールする必要があります。
ここでは、経営判断に必要な「法的区分」と「コスト感」を比較解説します。
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推奨画像: トラック(陸)とドローン(空)の比較図解。左側にトラックと「貨物自動車運送事業法」、右側にドローンと「航空法」を配置し、中央に境界線があるイラスト。
生成用プロンプト: A split-screen comparison illustration. Left side: A green delivery truck on a road, icon of a document labeled 'Cargo Law'. Right side: A logistics drone flying in the sky, carrying a parcel, icon of a document labeled 'Aviation Law'. Style: Professional minimalist flat illustration, reliable corporate blue and white color scheme, trustworthy business atmosphere.
Alt属性: トラック運送とドローン物流の法律の違い 貨物自動車運送事業法と航空法
法的区分:貨物自動車運送事業法(陸)vs 航空法(空)
運送会社にとって「運賃をもらって物を運ぶ=許可が必要」というのは絶対の常識でしょう。
しかし、ドローン物流においてはこの常識が通用しません。なぜなら、根拠となる法律の「守備範囲」が異なるからです。
まず、トラック運送業を規制する貨物自動車運送事業法第2条では、事業の定義を「他人の需要に応じ、自動車を使用して貨物を運送する事業」と定めています。
ここでのポイントは「自動車」です。
注意ポイント
ドローン(無人航空機)は道路運送車両法上の「自動車」には該当しないため、そもそもこの法律の対象外となります。
一方、ドローンを規制する航空法は、商売か否か(運賃を貰うか否か)を問わず、「空の安全」のみを規制しています。
つまり、トラックは「商売をするための許可(緑ナンバー)」が必要ですが、ドローンは「危険な飛び方をするための許可(特定飛行の承認)」が必要という構造です。
極端な話をすれば、トラックで無許可営業をすれば「白トラ行為」として逮捕されますが、ドローンで運賃をもらって荷物を運ぶこと自体には、営業許可という概念が存在しません(※もちろん、飛行許可がなければ航空法違反で処罰されます)。
この「参入障壁の質のズレ」を正しく認識することが、事業計画の第一歩です。
💡 行政書士の現場メモ(縦割り行政の罠)
よくある勘違いが「うちは緑ナンバーを持っている優良事業者だから、ドローンの許可も有利になるだろう」というものです。
残念ながら、全く考慮されません。
トラックの管轄は「地方運輸局の自動車交通部」、ドローンの管轄は「国土交通省航空局(および海事・航空部)」と、窓口が完全に異なります。「陸の優等生」であっても、空の世界では「実績ゼロの新人」として、極めて厳しい安全審査を一から受ける必要があります。
参入障壁:許可取得までの期間とイニシャルコスト比較
「ドローンならトラックを買うより安く済むだろう」という目算で相談に来られる経営者様も多いですが、レベル4飛行(有人地帯での配送)を目指す場合、その認識は修正が必要です。
初期投資の性質が全く異なるからです。
一般貨物自動車運送事業(緑ナンバー)の最大の障壁は「資金要件」です。
車両5台以上の確保、営業所・休憩施設の賃料、そして数ヶ月分の人件費を含む「開始資金(通常1,500万円〜)」の銀行残高証明が必須となります。審査期間は申請から約3〜5ヶ月(役員法令試験含む)が標準です。
対して、ドローン物流(レベル4)の最大の障壁は「機体性能と証明」です。
資金要件(残高証明)のような明文化された基準はありませんが、第一種機体認証を取得した物流用ドローンは、一機あたり300万円〜1,000万円クラスが相場です。
さらに、一等無人航空機操縦士の育成に1人あたり約50〜80万円(講習費)、飛行許可承認の審査には標準処理期間が存在せず、半年以上のやり取りを覚悟する必要があります。
| 項目 | トラック運送(緑ナンバー) | ドローン物流(レベル4) |
|---|---|---|
| 主な障壁 | 資金(残高証明)・車両5台 | 機体認証・操縦資格・運航管理 |
| 審査期間 | 3〜5ヶ月(標準処理期間あり) | 6ヶ月〜未定(個別審査重視) |
| 初期コスト | 1,500万円〜(流動資産含む) | 機体代(数百万〜)+教育費 |
つまり、トラックは「お金があれば参入できる」世界ですが、ドローンは「お金があっても、安全性を立証できなければ飛ばせない」世界です。この違いを理解せず、安易に機体を購入することだけは避けてください。
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推奨画像: 「資金の壁(トラック)」と「技術の壁(ドローン)」の対比図。トラック側には積み上がった金貨、ドローン側には複雑な認証書類とハイテクな機体を描画。
生成用プロンプト: Comparison concept art. Left side: A truck blocked by a wall made of gold coins (financial barrier). Right side: A delivery drone blocked by a wall made of thick documents and digital security locks (technical/legal barrier). Style: Professional minimalist flat illustration, reliable corporate blue and white color scheme.
Alt属性: トラック運送業とドローン物流の初期費用比較 参入障壁の違い
ドローン配送に「緑ナンバー(運送業許可)」は不要だが...
運送業の経営者様から最も多くいただく質問、それが「ドローンにも緑ナンバーは必要なのか?」です。
結論から申し上げます。現行法上、ドローン配送事業に「一般貨物自動車運送事業許可(緑ナンバー)」は一切不要です。
理由は単純明快です。貨物自動車運送事業法が定義する「自動車」に、空を飛ぶ無人航空機は含まれないからです。
この一点において、参入の法的ハードルはトラック運送よりも低いように見えます。
しかし、ここで「許可が要らないなら簡単だ」と安堵するのは致命的な間違いです。
許可制度がないということは、逆に言えば「国の厳格な参入審査(=お墨付き)なしに、全責任を自社で負って空の安全と荷主への賠償責任を担保しなければならない」ことを意味します。
緑ナンバーという「行政の看板」がない無法地帯で、いかにして社会的信用を証明するのか。
その答えとなるのが、次章で解説する事実上の許可証「レベル4飛行承認」と、自社を守る盾となる「運送約款」です。
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推奨画像: 「緑ナンバー不要」のマークと、その背後に立ちはだかる巨大な「航空法の壁」のイメージ図。手前でビジネスマンが「不要」の看板を見て喜んでいるが、背後のリスクに気づいていない構図。
生成用プロンプト: Conceptual illustration. Foreground: A businessman smiling at a sign saying 'No Green License Plate Needed'. Background: A massive, towering wall labeled 'Aviation Law & Liability' casting a shadow over him. Style: Professional minimalist flat illustration, reliable corporate blue and white color scheme, warning atmosphere.
Alt属性: ドローン配送 緑ナンバー不要の法的根拠とリスク
【結論】航空法「レベル4飛行(カテゴリーIII)」が事実上の許可証
「緑ナンバーが不要なら、誰でも自由に飛ばせるのか?」
この問いに対する答えは、断固として「NO」です。
運送業許可の代わりに立ちはだかるのが、2022年12月の航空法改正で解禁された「レベル4飛行」という概念です。
これは、単なる飛行ルールの名称ではなく、事実上の「ドローン運送事業参入許可」と同義です。その法的な重みを理解するために、まずは国の定めた4つの飛行レベルを経営者の視点で整理しましょう。
- レベル1・2(空撮・趣味の領域):
操縦者が肉眼で機体を見ながら飛ばす状態。物流ビジネスとしては、現場確認や測量には使えますが、「遠くへ荷物を運ぶ」配送には使えません。 - レベル3(無人地帯での目視外飛行):
山間部や海上など、「人がいない場所(無人地帯)」に限定して、モニター監視のみで遠隔操作する状態。※現在のドローン配送の多くはこれです。しかし、配送先が「過疎地の集荷場」などに限定され、各家庭の庭先まで届けることは法的に不可能です。 - レベル4(有人地帯での目視外飛行):
都市部や住宅街など、「第三者の上空」を、補助者(見張り役)なしで飛ばす状態。
※これが「ラストワンマイル配送」の正体であり、物流事業化の本丸です。
ビジネスとして各家庭に荷物を届けるには、必然的に民家の上空や道路の上空を通過するため、「レベル4」が必須となります。
航空法では、このレベル4飛行を「カテゴリーIII飛行」と定義し、リスクが最も高い飛行形態として位置づけています。
このカテゴリーIIIを行うためには、国土交通大臣による個別の「一等無人航空機操縦士(技能証明)」と「第一種機体認証」、そして厳格な「運航管理規定の認可」が全て揃わなければなりません。
これは、トラック運送業で言えば「大型二種免許」と「車検」、そして「運行管理者」がセットになっているようなものです。
さらに言えば、トラックは一度許可を取れば全国どこでも走れますが、レベル4飛行は原則として「飛行経路ごとのリスク評価」が求められます。
「今日はAルート、明日はBルート」と自由に変更できるわけではありません。
つまり、ドローン物流には「運送業許可」という名前の許可証はありませんが、「カテゴリーIII飛行の許可・承認」という、緑ナンバー取得よりも遥かに技術的・資金的ハードルの高い「事実上の免許」が存在するのです。
これを取得せずに住宅街でドローンを飛ばして荷物を運んだ場合、航空法違反により「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科せられるだけでなく、会社名は即座に公表され、社会的信用は地に堕ちます。
経営者の皆様にお伝えしたいのは、「緑ナンバー不要=規制緩和」ではないという事実です。
むしろ、空の安全を守るために、国は陸上よりも厳しい「選ばれた事業者しか通さない狭き門」を用意していると認識してください。
💡 行政書士の現場メモ(カテゴリーIIIの現実)
2026年現在においても、レベル4(カテゴリーIII)の包括的な許可を取得している事業者は、日本郵便や大手物流企業など、ごく一部に限られています。
中小の運送会社様が現実的に狙うべきは、いきなりレベル4を目指すのではなく、まずは「レベル3(山間部配送)」での実績作りです。
過疎地での買い物支援などで自治体と連携し、リスクの低いエリアから運用ノウハウを蓄積する。これが、将来的なレベル4参入への最短ルートとなります。
【盲点】荷主と結ぶ「ドローン運送約款」の作成義務と免責条項
ここは、ドローン物流事業を行う上で最も危険で、かつ最も軽視されているポイントです。絶対に読み飛ばさないでください。
トラック運送業(緑ナンバー)の場合、国が定めた「標準貨物自動車運送約款」という雛形があり、認可申請時にこれを採用すれば、荷主との契約ルールが自動的に決まります。
万が一の事故時の賠償額や、運送を拒否できる条件(危険物など)が法的に守られているのです。
しかし、ドローン物流には、国が定めた「標準約款」が存在しません。さらに、航空法には運送条件(契約内容)を届け出る義務もありません。
これが何を意味するか、お分かりでしょうか?
「自社でオリジナルの運送約款(契約書)を作っておかないと、丸裸の状態で民法・商法が適用され、無限責任を負わされる」ということです。
例えば、突風でドローンが墜落し、運んでいた高価な美術品が壊れたとします。
もし約款がなければ、不可抗力(天気)を証明できない限り、全額賠償を求められる可能性があります。
また、配送遅延による機会損失(「荷物が届かなかったせいで工場のラインが止まった」等)まで請求されるリスクもあります。
そのため、ドローン物流事業者は、以下の3つの特約を盛り込んだ独自の約款を作成し、荷主と合意する必要があります。
- ① 気象条件による免責(不可抗力条項):
「風速○m以上、雨量○mm以上の場合は運航を中止する。この中止による配送遅延・不能について、当社は一切の損害賠償責任を負わない」という条項です。トラックよりも天候に脆弱なドローンには必須です。 - ② プライバシー・肖像権に関する同意:
「機体カメラにより配送経路および着陸地点の映像を記録するが、これは安全運行および事故解析のみに使用する」という条項。これがないと、配送先の近隣住民から盗撮で訴えられた際、荷主を巻き込んだトラブルになります。 - ③ 賠償額の上限設定(リミテーション):
「損害賠償額の上限は、運送料金の○倍、または○万円を限度とする」という条項。これがないと、3,000円の配送料で数千万円の損害賠償を背負うことになります。
「許可を取れば終わり」ではありません。
「契約で守りを固める」ことこそ、ドローン物流で生き残るための経営戦略です。
💡 行政書士の現場メモ(コピペの罠)
「トラックの約款をちょっと書き換えれば使えるだろう」という考えは捨ててください。
トラックの約款には「渋滞」の概念はあっても、「電波障害(通信ロスト)」や「バッテリー切れによる不時着」の概念はありません。
ドローン特有のリスクを網羅した専用の約款(利用規約)を、法務のプロと一緒にゼロから作成することを強くお勧めします。
事業化への「空の3大要件」攻略(※趣味とは別次元)
法的な整理がついたところで、次は「ヒト・モノ・カネ」の具体的な準備に入ります。
ドローン物流(レベル4飛行)を実現するためには、以下の3つの要素が「三位一体」となって揃う必要があります。
これは、トラック運送業で言うところの「車検付き車両」「二種免許」「運行管理者」に相当します。
どれか一つでも欠ければ、申請書類が受理されることはありません。
- ① 機体認証(第一種):国の安全基準を満たした機体であること(車検)
- ② 技能証明(一等):国家資格を持った操縦者がいること(免許)
- ③ 運航管理体制:安全を統括するルールと責任者がいること(運行管理)
- 特に重要なのは、これらが「ホビー用ドローン」の延長線上には存在しないという点です。
- Amazonで売っているドローンで物流事業はできません。ここでは、事業化に必須となる「空の3大要件」の厳しい現実を解説します。
📷 画像挿入指示
推奨画像: 「空の三種の神器」の概念図。三角形の各頂点に「機体認証」「一等資格」「運航管理」を配置し、中心に「Level 4 Logistics」の文字が輝くデザイン。
生成用プロンプト: Concept diagram of the 'Trinity of Drone Logistics'. A triangle structure. Top vertex: 'Certified Drone' (icon of a high-tech drone). Bottom left: 'Pilot License' (icon of an ID card). Bottom right: 'Safety Management' (icon of a control tower). Center text: 'Level 4 Success'. Style: Professional minimalist flat illustration, reliable corporate blue and white color scheme.
Alt属性: ドローン物流 3大要件 機体認証 一等資格 運航管理
機体認証:量産型(型式認証)か改造機(個別認証)か
ドローン物流を行うための絶対条件、それが「第一種機体認証」です。これは自動車で言うところの「車検」ですが、その厳しさは桁違いです。
「落ちても安全な機能(パラシュート等)」や「ハッキング耐性」など、極めて高度な安全性が求められます。
経営者が直面する最初の分岐点は、この認証をどうクリアするかです。ルートは以下の2つに分かれます。
1. 型式認証(かたしきにんしょう)ルート:【推奨】
メーカーがあらかじめ国の審査を受け、「この型番のドローンは安全です」とお墨付きをもらっている機体(量産機)を購入する方法です。
トラックで言えば、いすゞや日野のディーラーで新車を買うのと同じです。ユーザー側の検査手続きが大幅に簡略化されるため、早期に事業を開始したいなら、この「型式認証を受けた機体」を選ぶのが鉄則です。
2. 個別認証(こべつにんしょう)ルート:【茨の道】
自社で開発した機体や、海外製の改造機など、型式認証のないドローンを一機ごとに検査機関(日本海事協会など)に持ち込み、審査を受ける方法です。
これは「自作した改造車でナンバープレートを取る」ようなものです。膨大な設計図面の提出や強度テストが求められ、検査費用も高額になり、許可が下りるまでに半年〜1年以上かかることも珍しくありません。
| 比較項目 | 型式認証機(メーカー既製品) | 個別認証機(自社・改造) |
|---|---|---|
| 手続きの難易度 | 低(書面検査が主) | 極高(実機検査・設計審査) |
| 導入コスト | 高い(機体価格に転嫁) | 見かけは安いが検査費が膨大 |
| ビジネス適性 | ◎(スピード重視) | △(メーカー機能を持つ企業向け) |
運送会社の本業は「運ぶこと」であり、「ドローンを作ること」ではありません。安易に「安い海外製ドローンを買って個別認証を取ろう」と考えると、手続きの泥沼にハマり、いつまで経っても飛ばせない事態に陥ります。
💡 行政書士の現場メモ(第一種と第二種の違い)
機体購入時、カタログに「機体認証対応」と書いてあっても飛びつかないでください。必ず「第一種(レベル4対応)」か「第二種(レベル3まで)」かを確認してください。
現在市場に出回っている多くの物流ドローンは「第二種」です。第二種機体認証では、どれだけ高額でも、法律上「有人地帯(街中)」を飛ばすことはできません。
目的に合致しない数百万の機体を買ってしまった経営者を私は何人も見てきました。
国家資格:経営者が知るべき「一等無人航空機操縦士」の配置基準
2022年12月より、ドローンの操縦資格は民間資格から国家資格(技能証明)へと格上げされました。
物流事業でレベル4飛行を行うためには、操縦者が「一等無人航空機操縦士」の資格を保有していることが絶対条件となります。
ここで経営者が判断すべきは「誰に取らせるか」です。
多くの社長様が「まずは私が取って手本を見せる」と仰いますが、行政書士として、私はこれを全力で止めます。理由は以下の2点です。
1. 難易度と拘束時間の壁
一等資格は、自動車免許で言えば「大型二種」に匹敵するプロ資格です。登録講習機関(ドローンスクール)での講習時間は、経験者でも数十時間、初学者なら50時間以上を要します。さらに実地試験では、GPSなどの安定装置を切った状態(ATモード解除)での高度な制御技術が求められます。経営者が現場を離れて没頭できるレベルではありません。
2. 「属人化」による事業停止リスク
運送業許可(緑ナンバー)における「運行管理者」は必置資格(営業所に必ずいないといけない)ですが、ドローンの操縦士は「ドライバー」そのものです。
もし社長一人だけが資格を持ち、社長が風邪を引いたり、急な商談が入ったりしたらどうなるでしょうか? その瞬間、物流ラインはストップします。ドローン物流を事業として継続させるには、最低でも「正操縦士1名+副操縦士(予備)1名」の2名体制がスタートラインです。
採用戦略としては、ラジコン操作に慣れている若手社員や、ゲーム世代の従業員を選抜し、会社負担でスクールに通わせる(約50万〜80万円/人)のが最も合理的です。
これは福利厚生ではなく、必須の設備投資と考えてください。
💡 行政書士の現場メモ(身体検査の盲点)
一等資格には、技術だけでなく「身体検査」も必須です。視力や聴力はもちろん、既往歴などもチェックされます。
以前、技術は完璧なのに「特定の持病」で身体検査に通らず、エースパイロット候補が不合格になったケースがありました。
人選を行う際は、スクールに大金を払う前に、航空法が定める身体基準を満たしているか(自動車免許より厳しい項目があります)を必ず確認してください。
運航管理体制:トラックの「運行管理者」に相当する役割とは
機体と操縦者が揃っても、それだけでは許可は下りません。
航空法では、組織として安全を担保する「運航管理体制(安全管理システム)」の構築が義務付けられています。
これは、トラック運送業における「運行管理者」と「整備管理者」の役割を、空用に再定義する作業と言えます。
具体的には、以下の役割を担う責任者を社内で選任し、マニュアル(飛行マニュアル・安全管理規定)に明記しなければなりません。
1. 運航管理者(空の管制官)
トラックの運行管理者と同様に、最も重要な権限は「Go / No-Go(飛行可否)の判断」です。
その日の気象条件(風速・雨量)、電波状況、飛行経路上のイベント有無などを総合的に判断し、操縦者に「今日は飛ばすな」と命令する権限を持ちます。操縦者が現場のノリで「ちょっと風が強いけど行けるだろう」と判断するのを防ぐための、絶対的な安全装置です。
2. 整備管理者(空のメカニック)
フライト前後の点検(日常点検)と、一定時間ごとの定期点検(定期整備)を管理する責任者です。ドローンはバッテリーの劣化やプロペラの微細な傷が墜落に直結するため、トラック以上にシビアな記録管理(整備記録簿の保存)が求められます。
レベル4飛行(カテゴリーIII)の審査では、単に名前を置くだけではなく、「緊急時に誰がどう連絡を取り合い、誰が警察や航空局へ通報するのか」という緊急連絡体制図や、事故を未然に防ぐためのリスクアセスメント(危険予知)の結果まで、分厚い資料として提出する必要があります。
💡 行政書士の現場メモ(点呼の重要性)
運送会社の強みは「点呼」の習慣があることです。ドローン物流でも、この「点呼」は極めて有効です。
操縦者の健康状態、アルコールチェック、睡眠不足の確認。これらをフライト前に実施し、記録簿に残す。
トラック運送で当たり前にやっているこのルーティンこそが、実は航空局の審査官に対して最も強力な「安全体制のアピール材料」になります。
既存の点呼簿をドローン用にカスタマイズして使いましょう。
[実務] 陸送×空送「ハイブリッド配送」の法的落とし穴
現在、最も現実的なドローン配送のモデルとして注目されているのが、「ハイブリッド配送(陸空連携)」です。
これは、配送エリアの近くまでトラックで荷物とドローンを運び、そこを簡易発着拠点(ドローンポート)として、ラストワンマイルのみを空輸する手法です。
航続距離の短いドローンの弱点をトラックが補う合理的な作戦ですが、ここには法的な「落とし穴」が潜んでいます。
それは、「どこまでが運送行為なのか?」という定義の問題です。
「空の許可(航空法)」に気を取られるあまり、「陸の許可(貨物自動車運送事業法)」がおろそかになり、知らぬ間に違法行為に手を染めてしまう。
そんな悲劇を避けるために、ハイブリッド配送特有の「白ナンバー問題」と「補助金戦略」について、行政書士の視点でメスを入れます。
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推奨画像: 「ハイブリッド配送」のオペレーション図。配送トラックが山間部の拠点に到着し、そこから複数のドローンが飛び立って各家へ向かう様子。トラック(陸)とドローン(空)の連携を強調。
生成用プロンプト: Logistics operation diagram. A delivery truck parked at a mobile hub in a rural area. From the truck, delivery drones are taking off carrying parcels to distant houses. Concept: 'Hybrid Logistics'. Style: Professional minimalist flat illustration, reliable corporate blue and white color scheme.
Alt属性: ドローン物流 ラストワンマイル トラック連携 ハイブリッド配送
配送拠点まで運ぶトラックは「白ナンバー」で良いのか?
「ドローン配送事業」を行う際、荷主の倉庫からドローンの離発着地点(山麓や中継拠点)まで、荷物をどう運ぶかが問題になります。
もし、自社の白ナンバーのハイエースなどで運ぼうと考えているなら、今すぐその計画を停止してください。
【法的結論】他人の荷物を運ぶ以上、陸路の移動には「緑ナンバー(または黒ナンバー)」が必須です。
多くの新規参入企業が、「我々はドローン運送会社だ。
トラック代は貰わず、ドローン輸送料金だけを請求するから、陸路はサービス(無償)扱い。
だから白ナンバーでいいはずだ」という論理を展開します。
しかし、行政(運輸局)や警察は実態を見ます。
トータルの配送料金の中に「陸路のコスト」が実質的に含まれているとみなされれば、それは「無許可営業(白トラ行為)」と認定されます。
そのペナルティは、「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」という、経営が即死するレベルの重罪です。
したがって、ハイブリッド配送を行うための正解ルートは以下の3つしかありません。
- ① 自社で「一般貨物(緑ナンバー)」を取る:
すでに運送会社であれば問題ありません。これが最強の形です。 - ② 「貨物軽自動車運送事業(黒ナンバー)」を取る:
軽バンを使用する場合、届出だけで取得できる黒ナンバーを取得します。これなら資金要件も緩く、現実的な選択肢となります。 - ③ 陸路部分を「既存の運送会社」に外注する:
自社はドローン飛行に専念し、拠点までの輸送は緑ナンバーを持つ協力会社に委託する。これが最もリスクの低い分業モデルです。
- 「空の革命」を起こそうとして、陸の法律で捕まることほど愚かなことはありません。
足元のコンプライアンスを固めてこそ、ドローンは高く飛べるのです。
💡 行政書士の現場メモ(自社配送の例外)
唯一、白ナンバーで運んでも違法にならないケースがあります。それは「自分の会社の商品を運ぶ場合(自社配送)」です。
例えば、ピザ屋さんが自社のピザをドローンポートまで運ぶ、あるいは農家さんが自分の畑の野菜を運ぶ場合です。
これらは「運送業」ではなく「販売行為の一部」とみなされるため、許可は不要です。
しかし、Amazonの荷物や、地域の商店街の荷物をまとめて請け負う場合は「他人の荷物」となるため、必ず許可が必要になります。
この境界線を見誤らないでください。
過疎地配送における「自治体連携」と「補助金活用」の現実
最後に、ビジネスとして最も重要な「収益性」の話をします。
はっきり言いますが、過疎地のお年寄りから「配送料1回5,000円」を徴収するのは不可能です。
では、誰がドローン物流のコストを負担するのか?
答えは「国と自治体」です。
現在のドローン物流は、純粋なBtoCビジネス(対消費者)として成立させるのは困難であり、自治体から業務委託費や補助金を得る「BtoG(対行政)」モデルとして設計するのが鉄則です。
運送事業者が活用すべき資金調達ルートは、主に以下の3つです。
| 制度名 | 概要と活用法 |
|---|---|
| 事業再構築補助金 (成長枠・グリーン枠等) | 【最大規模】 トラック運送会社が「新分野展開」としてドローン物流に参入する場合の鉄板。機体購入費、システム開発費、建屋改修費などが対象。数千万円クラスの大型投資に向いています。 |
| ものづくり補助金 | 【設備投資】 ドローン機体や運航管理システムの導入に特化。革新的なサービスの開発として申請します。1,000万円前後の補助上限が目安です。 |
| デジタル田園都市国家構想 交付金 | 【自治体連携】 これは事業者が直接貰うのではなく、自治体が国から貰うお金です。自治体と「包括連携協定」を結び、「買い物弱者支援」や「防災物流」のプロジェクトとして予算化してもらい、そこから委託費を受け取るモデルです。 |
成功している運送会社は、単に「荷物を運びます」と営業するのではなく、「災害時には孤立集落への物資輸送ラインとして機能させます」という提案を自治体に持ち込んでいます。
これにより、「平時は買い物配送、有事は防災インフラ」というデュアルユース(二重用途)の価値が生まれ、公的資金が投入されやすくなるのです。
ただし、補助金は「後払い」であり、採択には厳格な「事業計画書」が必須です。
「許可が取れたら考えます」では遅すぎます。
許可申請と並行して、行政書士や認定支援機関と共に、緻密な収支計画(P/L)を練り上げてください。
💡 行政書士の現場メモ(PoC貧乏の罠)
業界でよく言われるのが「実証実験(PoC)貧乏」です。
自治体の予算で「1回だけ飛ばす実験」を繰り返しても、それはビジネスではありません。イベント的に飛ばして写真を撮って終わり、では機体代すら回収できません。
補助金申請の段階から、「実験終了後の3年目、5年目にどうやって自走(黒字化)するか」という出口戦略を描けていない計画は、銀行からも国からも見透かされます。
継続的な「社会実装」の絵を描けるかどうかが勝負です。
ドローン物流を「事業」として成功させるための3つの攻め方
ここまで航空法や運送法の「守り」の側面を解説してきましたが、ドローン物流を単なる実験で終わらせず、持続可能な「事業」として成立させるには、資金調達と資産活用という「攻め」の戦略が不可欠です。
物流業界の2024年問題をチャンスに変え、先行者利益を獲得している経営者が実践している「実務の裏側」を、3つの専門ガイドとしてまとめました。自社の状況に合わせて、以下の詳細解説も併せてご確認ください。
① カネの要件:最新の補助金・交付金戦略
ドローン物流は「配送料」だけで黒字化させるのは至難の業です。成功の鍵は、自治体の「買い物弱者支援」や「防災予算」をいかに活用するか。2026年最新の補助金採択のポイントを解説します。
② 資産の流用:【建設業者向け】利益を2倍にするシナジー術
当事務所が最も得意とする「建設×運送」のノウハウ。既存の資材置き場を「ドローン配送ハブ」へ転用し、現場監督のスキルを「運航管理」に転用することで、最小限の投資で新事業を立ち上げる手法です。
③ 実行のロードマップ:開始までの実務ガントチャート
レベル4飛行(カテゴリーIII)の運用開始までには、機体選定から操縦者育成、国交省審査まで、最短でも6ヶ月〜1年を要します。挫折しないための具体的なスケジュールと手順を可視化しました。
「まずは法務の基礎を固めたい」という方は、引き続き本記事の[実務ステップ]へと読み進めてください。
⚠️ 【警告】「とりあえず飛ばす」が招く倒産リスク
「許可はあとでいい」「約款なんてネットの雛形でいい」
ドローン事業において、その甘い判断は命取りです。空の事故は、地上の交通事故とは比較にならないほどセンセーショナルに報道され、たった一度のミスで企業のブランドは失墜します。
また、事業目的(定款)に「無人航空機による運送業」の記載がないまま事業を始めると、融資審査で否決されるだけでなく、補助金の返還を求められるリスクすらあります。
空へ飛び立つ前に、まずは足元の「法務の地固め」を完璧にしてください。
【毎月3名様限定】ドローン新会社・事業立ち上げを「4万円」安くしませんか?
ドローン物流への参入には、定款の「目的変更」や「新会社設立」が不可欠です。
いきなり高額な顧問契約をする必要はありません。
まずは、あなたの事業計画と定款案に、航空法や運送法上の致命的なミスがないか、無料の『定款・法務診断』を受けてみませんか?
行政書士としての「法的調査」と、電子定款認証の実績に基づき、確実にコストダウンしつつ、鉄壁の守りを構築できるか正直にお伝えします。
※賢い経営者のリスクヘッジ。
※この記事を見たとお伝え頂ければスムーズです。