

こんにちは
建設業と運送業の許可に特化した行政書士の小野馨です。
建設業許可を持っている会社は、運送業許可が「9割」楽になる?
建設会社の社長様から、最近このような「悩み」とも「野望」とも取れるご相談が急増しています。
こんにちは。
建設業と運送業の許可に特化した行政書士の小野馨です。
建設会社の社長様から、最近このような「悩み」とも「野望」とも取れるご相談が急増しています。
「現場がない日、遊んでいるダンプを稼働させたい」
「知り合いの土木会社から、土砂の運搬だけ頼まれることがある」
「ウチの資材置き場、運送業の車庫として使えないか?」
結論から申し上げます。
もし御社がすでに「建設業許可」をお持ちであれば、他業種の方よりも圧倒的に有利に、そして低コストで運送業許可(緑ナンバー)を取得できる可能性が高いです。
運送業許可は「難関」と言われますが、それはゼロから起業する人の話。
建設業ですでに「人・物・金・場所」の基盤をお持ちの御社にとって、そのハードルは「9割」下がっていると言っても過言ではありません。
この記事では、建設業許可の専門家であり、運送業許可の実績も多数持つ私が、「建設会社が物流事業(運送業)を兼業するメリットと、資産の流用テクニック」について徹底解説します。
この記事の要点(建設社長向け)
- 警告: 「白トラ」行為(現場の残土運搬で運賃をもらう)の逮捕リスク
- 勝機: 建設業の「4つの資産」をそのまま運送業に流用する裏技
- 戦略: 「産廃(帰り荷)」と「一般貨物(行き荷)」の往復ビンタ経営
- 経営: 運送業を始めると「経審(公共工事ランク)」はどうなる?
※許可の基礎知識(詳細な要件)を知りたい方へ:
前面道路の計算式や資金の細かい内訳など、審査基準の詳細はこちらの親記事「運送業許可完全ガイド|要件・費用から2025年法改正まで」で網羅的に解説しています。
まずはこの記事で「建設業者のメリット」を確認してから読むと、理解が深まります。
1. なぜ今、建設業者がこぞって「緑ナンバー」を取るのか?
これまで、建設現場の土砂や資材の運搬は「自社運搬(白ナンバー)」で済ませていた会社も多いはずです。
しかし今、建設業界を取り巻く環境は激変しており、多くの賢い経営者が「運送業許可」の取得に動き出しています。
① コンプライアンスの激化と「白トラ」のリスク
昔は「ついでに運んでおいてよ(お小遣いあげるから)」が通用した時代もありましたが、今は違います。
「運賃」という名目で請求していなくても、工事代金の中に実質的な運送料が含まれているとみなされれば、無許可営業(いわゆる白トラ行為)として摘発されます。
白トラ行為の罰則は「逮捕」レベルです
- 3年以下の懲役 または 300万円以下の罰金
- 建設業許可の欠格事由に該当する可能性(本業の免許も飛ぶリスク)
- 元請け企業からの指名停止、取引停止
「バレなきゃいい」は通用しません。
事故が起きた際や、内部告発(退職したドライバーなど)によって発覚するケースが後を絶たないのです。
② 「第2の収益源」としての魅力
一方で、正規の運送業許可(緑ナンバー)を取得すれば、リスク回避だけでなく「攻めの経営」が可能になります。
建設業は天候や景気に左右されやすいビジネスですが、運送業を持つことでリスクヘッジができます。
- 雨の日でも稼げる: 現場が止まっても、他社の資材運搬の仕事があればダンプは稼働できます。
- 公共工事の評価UP: コンプライアンス体制が評価され、入札ランクの維持・向上に寄与します。
- 下請け脱却: 「運べる建設会社」として、元請けや荷主に対して交渉力が上がります。
2. 建設業者は有利!「4つの資産」を流用するテクニック
ここからが本題です。
運送業許可をゼロから目指す一般の起業家は、土地探しや資金調達で苦労しますが、御社にはすでに「人・物・金・場所」という4つの強力な資産があります。
これをうまく「流用」することで、申請の手間とコストを劇的に圧縮できるのです。
【資産1】場所の流用:その資材置き場、化けるかも?
運送業許可の最大の難関は「営業所・車庫」の確保です。
通常、市街化調整区域では営業所を構えることはできず、多くの運送起業家がここで挫折します。
しかし、建設業者様の場合、以下の条件を満たしていれば有利に進められます。
- 既存の営業所: すでに建設業の営業所として使用している建物であれば、運送業の営業所として「併設」できる可能性が高いです。
- 資材センター: トラックが出入りしている既存の資材置き場であれば、前面道路の幅員(6m以上など)をクリアしているケースが多く、そのまま車庫として申請できる可能性があります。
※プロの視点:
農地(田・畑)を勝手に資材置き場にしている場合はNGですが、過去に「開発許可」を取っている場合や、「既存宅地」の要件を満たす場合は、市街化調整区域でも許可が下りるケースがあります。
ここが私の腕の見せ所です。
💡 ウチの資材置き場は使える?
「調整区域だけど大丈夫か?」「農地転用は必要か?」
具体的な判定基準は、別記事「建設業専門・運送業許可の要件(プロの基準)」で解説しています。必ずチェックしてください。
【資産2】人の流用:番頭さんを運行管理者に
運送業には「運行管理者」という国家資格者が必須です。
新たに採用すると人件費がかかりますが、建設会社なら社内の人材を活用できます。
- 現場監督・番頭さん: 普段から工程管理や安全管理をしている方は、運行管理者の適性が非常に高いです。試験勉強も、建設業法の知識があるためスムーズです。
- ドライバー: 現場に行っている作業員兼ドライバーの方を、運送部門の運転者(5名以上)として登録できます。兼務も可能です(※運転時間の管理は必要)
【資産3】物の流用:ダンプはそのまま使える
緑ナンバーを取るには「5台以上」のトラックが必要です。
これをゼロから揃えると数千万円かかりますが、御社にはすでにダンプやユニック車がありませんか?
それらの車両を、車検のタイミングなどで「白ナンバー」から「緑ナンバー」に変更(構造変更など)するだけでOKです。
もし3台しか持っていない場合でも、不足分の2台だけを中古リースで調達すれば要件を満たせます。
【資産4】金の流用:建設業の財務基盤
許可には約1,500万円〜2,500万円の資金証明(残高証明書)が必要です。
一般的な起業家はここで融資に走り回りますが、建設業許可(特に特定建設業)をお持ちの会社様なら、すでに一定の純資産要件をクリアしているはずです。
日頃の建設業経営で培った「信用」と「内部留保」があれば、資金要件は決して高いハードルではありません。
3. 戦略:「産廃許可」と「運送許可」の往復ビンタ経営
建設業者様から最も多くいただく質問がこれです。
「産廃の許可(収集運搬業)は持ってるけど、それじゃダメなの?」
結論から言うと、「運べるモノ」と「誰からお金をもらうか」が全く違います。
この2つを組み合わせることで、トラックの空荷をなくす最強のビジネスモデルが完成します。
| 項目 | 産業廃棄物収集運搬業許可 | 一般貨物自動車運送事業許可 (緑ナンバー) |
|---|---|---|
| 運べるもの | ゴミ(廃棄物) ※現場で出たコンクリ殻など |
商品(有価物) ※新しい土砂、資材、機材など |
| お金の流れ | 処分費+運搬費を「もらう」 (ゴミを捨てる側がお金を払う) |
運賃を「もらう」 (物を運びたい人がお金を払う) |
| ナンバーの色 | 緑でも白でもOK | 緑ナンバー必須 |
利益を2倍にする「往復ビンタ」の仕組み
- 行き(往路): 緑ナンバーで「新しい資材・土砂」を現場へ運ぶ → 運賃売上GET
- 帰り(復路): 産廃許可で「現場のゴミ・ガラ」を持ち帰る → 産廃運搬費GET
このように、行きも帰りもトラックがお金を稼ぐ状態を作れるのが、建設業者が運送業許可を持つ最大のメリットです。
片方しか持っていないと、どちらかが「空荷(ただの移動)」になり、燃料代が無駄になります。
💡 ウチの資材置き場は使える?
「調整区域だけど大丈夫か?」「農地転用は必要か?」
具体的な判定基準は、別記事「建設業専門・運送業許可の要件(プロの基準)」で解説しています。必ずチェックしてください。
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4. 経営判断:運送業は「兼業」か「分社化」か?
ここは非常に重要な経営戦略の話です。運送業許可を取る際、「今の建設会社で取るか(兼業)」、それとも「新しく運送会社を作るか(分社化)」で悩まれる社長が多いです。
行政書士としての私の見解をお伝えします。
パターンA:今の建設会社で取る(兼業)
- メリット: 資金力(純資産)をそのまま使えるため、資金要件クリアが簡単。初期費用も安い。
- デメリット: 万が一、運送部門で重大事故が起きた場合、会社全体(建設業許可含む)に行政処分の影響が及ぶリスクがある。
パターンB:別会社を作る(分社化)
- メリット: リスクを切り離せる。運送部門独自の評価制度を作りやすい。
- デメリット: 法人設立費用がかかる。新設法人の場合、資金要件(資本金)の準備が少し大変。
私の推奨:
まずはコストを抑えてスピーディーに始めるために「兼業」でスタートし、売上が軌道に乗ってから「分社化」するステップアップ方式が、建設業者様には最も成功率が高いです。
5. 公共工事(経審)への影響はあるか?
公共工事の入札に参加されている建設会社様にとって、経営事項審査(経審)の点数は死活問題です。
「運送業を始めると、経審の点数が下がるのでは?」と心配されることがありますが、ご安心ください。
運送業の売上は、経審上「兼業事業売上高」として計上されます。
本業(完成工事高)には含まれませんが、会社全体の売上規模や利益率が向上すれば、経営状況分析(Y点)の評価アップに貢献します。
つまり、運送業でしっかりと利益を出せば、結果として建設業の入札ランク維持・向上にもプラスに働くのです。
6. 【重要】許可取得後の生存戦略:「健康経営」で人手不足を解消する
許可を取って運送業を始めたものの、多くの社長様が直面する壁が「ドライバー不足」です。
建設業も運送業も、人手不足は深刻な共通課題です。
そこで当事務所では、許可取得とセットで「健康経営(健康経営優良法人)」への取り組みを強く推奨しています。
建設・運送業にこそ「健康経営」が必要な理由
- 採用力の強化: 「社員の体を大切にする会社」というブランドになり、若手や経験者の採用に圧倒的に有利になります。
- 事故リスクの回避: 定期的な健康チェックやSAS(睡眠時無呼吸症候群)対策を行うことで、運転中の急病による重大事故を防ぎます。
- 入札加点・金利優遇: 自治体によっては公共工事の入札加点対象になったり、銀行融資の金利が優遇されるメリットがあります。
「許可を取るだけの代書屋」ではなく、「人が集まる強い会社作り」までサポートできるのが、当事務所の強みです。
まとめ:建設業許可とセットでご依頼ください
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
運送業許可は、建設会社にとって「最強のサブウェポン」になり得ることがお分かりいただけたかと思います。
しかし、申請手続きは複雑で、特に「土地(車庫)」の要件判断を誤ると、準備した時間と費用がすべて無駄になります。
当事務所は、「建設業許可」と「運送業許可」の両方を専門としています。
建設業の事情(現場の動き、車両の使い道、決算書の読み方)を深く理解しているからこそ、御社に最適な「最短ルート」での許可取得プランを提案できます。
- 「ウチの資材置き場、車庫として使えるか見てほしい」
- 「ダンプ3台しかないけど、あと2台どうやって揃えるのが得か?」
そんな疑問をお持ちの社長様、まずは一度ご相談ください。
「建設 × 運送」のハイブリッド経営で、御社のさらなる飛躍を全力でサポートいたします。
要件をクリアできそうな社長様へ
おめでとうございます。
実は、その「資材置き場」と「ダンプ」があれば、
産廃業と組み合わせて「利益を2倍にする」ことが可能です。
▼ 許可取得の基礎知識(費用・期間)はこちら
失敗しないための基礎ガイド
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