運送業の許可

第二種貨物利用運送(外航)の許可要件|NVOCC開業と300万円の資産要件

外航の貨物利用運送事業を始めるときは、まず「荷主からどの区間の運送を引き受けるか」を整理しましょう。海上輸送と、その前後の自動車による集荷・配達を一貫して引き受ける場合は、第二種貨物利用運送事業の許可が問題になります。

外航の財産的基礎の目安は、所定の計算による資産額300万円以上です。3,000万円ではありません。また、NVOCCという呼称やDDPなどの貿易条件だけで、第二種許可の要否が決まるわけではありません。この記事では、輸送範囲、財産、営業所、集配契約、約款の順に確認点を整理します。

第二種貨物利用運送事業とは?第一種との違いとドア・ツー・ドア

一貫輸送になる範囲を、契約と輸送経路で確認する

第二種は、船舶・航空・鉄道による利用運送と、その前後の自動車による集荷・配達を一貫して行う事業です。外航なら「国内の荷送人→国内港→外国港→外国の届け先」という全体を引き受ける計画が、判断の出発点になります。

一方、片側の集配がない「国内のドアから外国の港まで」などは第一種に該当します。国内のトラック区間についても、引き受ける運送に応じた第一種貨物自動車利用運送の登録を確認します。第一種が港から港への運送だけに限られるわけではありません。具体的な区間の扱いは国土交通省のQ8で確認できます。

FOB・CIF・DDPなどは売買契約上の費用や危険負担に関する条件です。利用運送の区分は、別に、誰が荷主に対してどこまで運送責任を負うかで確認します。請求書を分けたり、集配費用を「立替金」と記載したりするだけで、必要な許可が不要になるものではありません。

国土交通省の外航申請案内では、国際運送について輸出が規制対象とされ、輸入・三国間運送はこの法律の規制対象外とされています。ただし、国内で別に引き受ける運送や通関、港湾運送などの別制度まで不要になる意味ではありません。輸出入の方向と各契約を分けて確認してください。

NVOCCとして負う責任と、荷主・実運送事業者との関係

自社で船舶を運航せず、船会社等の運送を利用して荷主から貨物運送を引き受ける場合、荷主との運送契約と、船会社等に委託する契約の両方を整理する必要があります。House B/Lの発行やNVOCCという名称だけを理由に、すべて第二種になるとはいえません。

荷主に約束する受取・引渡しの範囲、委託先の責任範囲、事故の通知先が食い違うと、損害発生時に対応が難しくなります。貨物保険と運送人の賠償責任保険も、補償する対象が同じとは限りません。約款・契約書・保険条件を合わせて点検しましょう。

許可取得の要件:財産・施設・組織・輸送体制

財産:300万円の判定は、資本金や預金だけではない

基準となるのは、貸借対照表等の資産から、創業費その他の繰延資産・営業権と負債を差し引いた額です。資本金が300万円でも、設立費用や損失などの状況によって基準を下回ることがあります。反対に、経常収支が赤字という理由だけで判断するものでもありません。

例えば、資産総額500万円、その中に控除対象となる繰延資産50万円、負債100万円がある場合、計算上の額は350万円です。すでに費用処理され、資産に残っていない支出を、同じ理由でさらに二重控除しないよう、決算書の内訳を確認します。

直近決算後に増資など明確な増減がある場合は、その証明方法も確認が必要です。銀行残高が300万円あるという情報だけでは、負債や控除対象資産を含む判定はできません。既存法人・設立予定法人・個人で提出資料が異なるため、決算書、登記事項、出資や借入の資料を用意し、申請窓口に確認してください。具体的な増資・債務整理の方法は、税務や会社法上の影響も含めて検討します。

根拠:国土交通省Q21(財産的基礎)、貨物利用運送事業法施行規則。

施設:契約前に、営業所として使えるかを確認する

営業所等については、使用する権原があることと、都市計画法・建築基準法などに抵触しないことを確認します。賃貸借契約の用途が住居のみになっている場合には、予定業務を行えるか貸主にも確認が必要です。

用途地域や市街化調整区域という名称だけで、一律に可否を決めることはできません。所在地、建物の用途、面積、既存の許可・確認、実際の業務内容を自治体の担当窓口で照合しましょう。賃貸契約や工事費の支出を先行させないことが大切です。

貨物を保管する場合は保管施設の概要も整理します。自社集配を予定する場合は、営業所だけでなく、車庫、車両、運行管理体制などの資料が必要になります。集配委託の場合と同じ資料で足りるとは限りません。

組織:欠格事由と外国人等に該当する場合

欠格事由は、本人だけでなく法人の役員等についても確認します。現行法では、1年以上の拘禁刑に処せられ執行終了等から2年を経過しない場合、登録・許可取消しから2年を経過しない場合、申請前2年以内の貨物利用運送に関する不正行為などが規定されています。旧刑や経過措置を含む個別事情は、現行条文と窓口で確認してください。

代表者が外国人である法人や、外国人等が役員・議決権の3分の1以上を占める法人などは、邦人向け申請と区別されます。外国人等だから一律に外航利用運送を行えないということではなく、法45条による許可の確認が必要です。「国内のトラック区間があるから外資は一律不可」と判断しないでください。

根拠:貨物利用運送事業法6条・22条・23条・45条。外国人等に該当する場合は、国土交通省の手続一覧から外国人向けの外航第二種資料を選びます。

集配事業計画と実運送契約を一致させる

委託先の許認可・対応区間を確認する

集配事業計画では、集配の拠点・地域・営業所、自己集配か委託か、必要な車両や受託者の情報を整理します。国内の集荷だけでなく、国外の受取・配達を担う相手との契約も確認しましょう。

他の利用運送事業者を利用する場合でも、その相手の許可が自社の不足を補うわけではありません。自社と委託先について、運送機関、区域・区間、集配拠点などの範囲を照合します。国土交通省Q10もこの点を説明しています。トラック会社の営業所が別の都県にあるという理由だけで、集配できないと断定することは避けてください。

軽自動車は、第二種の定義にいう集配自動車とは扱いが異なります。単に積載量の問題として判断せず、予定する輸送全体について登録・許可の区分を確認します。

契約書で確認する責任分担

  • 受託する貨物、輸送区間、受取・引渡し場所が事業計画と合っているか。
  • 破損・紛失・遅延時の連絡、責任範囲、損害賠償、保険の扱いが明確か。
  • 再委託の条件と、実際に運送する相手を確認できるか。
  • 運賃、集配料、保管料、付帯作業費と支払条件が区別されているか。

外航の申請資料には、実運送契約書の添付が困難な場合に、運賃見積書等で代えられる扱いや、未締結時の契約案の扱いも示されています。ただし、どの委託契約でも一律に不要という意味ではありません。国土交通省の外航第二種申請資料で必要書類を確認し、現在の提出方法を窓口に照合してください。

自社トラックで集配する場合

「第二種許可では自社集配できず、必ず別の一般貨物許可が必要」とは限りません。申請時に法23条5号に対応する集配事業計画の安全性審査を受けるなど、法定の要件を満たす第二種事業者には、別途の貨物自動車運送事業許可を受けずに集配できる制度があります。

これは、委託型の計画で許可を取れば自由に自社トラックを使えるという意味ではありません。予定する集配方法を最初から申請内容に反映させます。詳しくは国土交通省Q50を確認してください。

外航の利用運送約款:標準約款とJIFFA約款を区別する

国の標準外航利用運送約款は存在する

国土交通省は、標準外航利用運送約款を公表しています。「外航には標準約款がないので、必ず自作かJIFFA加入が必要」という説明は正しくありません。

第二種事業者は利用運送約款を定める必要があり、国の標準約款と同一のものを定めた場合には、法26条が準用する8条3項のみなし認可の制度があります。一方、海上部分だけでなく陸上集配を含む契約全体について、どの約款・条件を適用するかは、引き受ける業務に合わせて確認が必要です。

損害賠償限度額、通知期限、共同海損、準拠法・裁判管轄などは、適用法令と契約により検討します。国内運送なら必ず運賃額が賠償の上限になる、すべての国際輸送に同じSDR基準が適用される、といった一律の判断はできません。

JIFFAの運送書類を使う場合

JIFFAの国際複合一貫輸送約款や運送書類は、利用条件を満たす会員向けに提供されています。JIFFAの運送書類等利用規程では、会員資格、登録・許可、約款認可などの条件が定められています。国の標準約款のみなし認可と、JIFFAの書類を利用する手続は同じではありません。

加入だけで行政審査が免除されたり、許可が「フリーパス」になったりするわけではありません。採用する約款を決める前に、事業内容への適合、利用資格、費用、準備に要する期間を確認しましょう。

申請から許可までの期間と、許可後の手続

国土交通省が公表する第二種許可の標準処理期間は3~4か月です。他の地方運輸局等を経由する場合や照会を要する場合には、1か月を加える取扱いも示されています。これは個別案件の許可日や開業日を保証する期間ではありません。資料準備・契約調整・補正への対応も見込んで計画してください。

  1. 計画を整理する:荷主との契約範囲、輸送経路、委託先、営業所、資産状況を整理します。
  2. 窓口に確認する:外航担当へ、申請区分と必要書類を確認します。国土交通省の相談窓口一覧を利用してください。
  3. 申請・補正に対応する:事業計画、集配事業計画、契約・施設・財産・役員関係資料、約款の整合を確認します。
  4. 許可とその条件を確認する:新規許可の登録免許税は12万円で、国土交通省案内では許可日以後1か月以内の納付とされています。
  5. 開始前後の義務を管理する:運賃料金、掲示・ウェブ掲載、定期報告、変更時の認可・届出を確認します。

運賃料金の届出は、原則として設定・変更後30日以内です。不定期航路等に係る法定の提出不要の場合もあります。「すべて事業開始前に届出が必要」とは説明できません。また、納税期限と事業開始の適法性を混同せず、許可条件や自社集配に必要な準備を個別に確認してください。

根拠:標準処理期間、許可後の留意事項、貨物利用運送事業報告規則3条。掲示・ウェブ掲載は、現行法27条の適用と省令上の例外も確認します。

なお、2026年4月からは、貨物利用運送事業者にも、トラックの利用運送に関する書面交付等の義務が拡大されています。元請として引き受ける貨物の重量等に応じた実運送体制管理簿や、一定規模を超える場合の運送利用管理者など、集配に関係する義務も確認してください。国土交通省のトラック適正化二法案内で適用条件を確認できます。

自分で申請する場合と行政書士に依頼する場合

依頼するかどうかは、費用だけでなく、社内で準備できる資料と外部に任せたい範囲を分けて判断します。行政書士への依頼で許可や開業日が保証されるわけではありません。

比較項目 自分で申請する場合 行政書士に依頼する場合
費用 登録免許税のほか、証明書等の実費や必要な準備費用 実費に加え、依頼範囲に応じた報酬。見積書で内訳を確認
作業 資料収集、計画の整理、窓口照会、補正対応を自社で行う 委任範囲を確認。財務資料や取引契約等の提供・判断は自社でも必要
許可の判断 法令上の要件と申請内容に基づき行政庁が判断 同じ基準で行政庁が判断。依頼による審査免除はない
契約・リスク管理 必要に応じて法務・税務・保険の専門家にも確認 約款や国際契約の確認を含むか、他専門家との分担も事前に確認

相談前に、輸送経路図、荷主との契約案、船会社・集配事業者・海外代理店との契約資料、直近の決算書、営業所の所在地と使用資料をそろえると、未確認の要件を整理しやすくなります。

外航利用運送の許可について相談する。問い合わせ時には、輸出・輸入の別、どこからどこまで引き受けたいか、現在保有する登録・許可をお知らせください。全体の制度案内は運送業許可の教科書も参照できます。

よくある質問

許可までどのくらいかかりますか?

公表されている標準処理期間は3~4か月で、経由・照会のある場合の加算もあります。資料準備や補正対応を含む個別の所要期間、許可日は保証されません。

預金が300万円あれば財産要件を満たしますか?

預金だけでは判断できません。資産から所定の控除対象資産と負債を差し引いて計算し、決算後の増減や申請者の区分に応じた資料も確認します。

第二種許可で自社のトラックを使えますか?

集配事業計画について必要な安全性審査を受けるなど法定の要件を満たせば、別途の貨物自動車運送事業許可を受けずに自己集配できる制度があります。委託型の許可を持つだけで自由に自社集配できるわけではありません。

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