運送業の経営・管理 運送業の許可

運送業の輸送実績報告書の書き方|第4号様式・日車計算・提出手順

輸送実績報告は、毎年7月10日までに第4号様式で

一般貨物自動車運送事業の輸送実績は、前年4月1日から当年3月31日までの期間を集計し、毎年7月10日までに報告します。正式な様式名は「貨物自動車運送事業実績報告書」(第4号様式)です。決算後100日以内の事業報告書とは、対象期間も様式も別に管理してください。

延実在車両数、延実働車両数、走行キロ、実車キロは、それぞれ意味が違います。年度末の保有台数をそのまま延日車の欄に入れず、車両台帳・日報・月次集計から計算します。また、2025年・2026年の法改正で必要となった実運送体制管理簿や物流効率化法の報告は、この年次実績報告とは別の制度です。

この記事は近畿運輸局の現行第4号様式と公式案内を中心に、計算例、照合方法、関連制度、電子申請の準備を説明します。確認基準日は2026年10月24日です。提出時は、管轄窓口の最新様式・記載要領を確認してください。

  • 7月10日の実績報告と、決算後100日以内の事業報告を分ける
  • 延実在・延実働を車両ごと、日ごとに集計する
  • 連結車は許可の最低台数の数え方をそのまま流用しない
  • 実働率・実車率を確認し、日報等との相違の理由を整理する
  • 実運送体制管理簿、物流効率化法、e-Govの手続きを区別する

輸送実績報告書の提出義務と、事業報告書との違い

根拠は貨物自動車運送事業法第60条と貨物自動車運送事業報告規則第2条です。本記事は一般貨物の第4号様式を中心に説明します。特定貨物や、別法に基づく貨物利用運送事業の報告については、事業区分に合う手続きを確認してください。

比較項目 事業実績報告書(輸送実績) 事業報告書
主な内容 車両・人員の概況、輸送量、走行距離、収入、事故等 事業概況、収支・人件費、財務諸表等
集計期間 前年4月1日~当年3月31日 会社等の事業年度
期限 毎年7月10日 毎事業年度の経過後100日以内
一般貨物の様式 第4号様式 第1~3号様式と財務諸表等
管理上の注意 3月31日現在の概況と、年間累計を区別 自社の決算期で期限を計算

例えば、2025年4月1日~2026年3月31日の輸送実績は、2026年7月10日までの報告対象です。9月決算の会社でも、この実績の期間や7月10日の期限は変わりません。決算後100日以内の報告は別に提出します。出典:近畿運輸局「一般貨物自動車運送事業」報告関係、貨物自動車運送事業報告規則。

同じ窓口に提出する場合でも、書類ごとの表紙・対象年度・提出状況を分けましょう。同梱が全国一律で禁止されているとは限りませんが、同時に送る場合はそれぞれの内容と控えの扱いを提出先に確認します。財務側の作成手順は、運送業の事業報告書の書き方で確認できます。

不提出や誤りに気付いたら、放置せず提出先へ相談する

不提出や虚偽報告は、法令上の罰則や行政処分の対象となり得ます。ただし、単純な転記ミスが見つかれば直ちに「隠蔽」と認定され、一律10日車の処分になるという説明は正確ではありません。日車は車両の使用停止の量を表す単位であり、会社全体の営業停止日数とも異なります。

  • 未提出の年度や誤った欄を特定し、提出済み控えと根拠資料を確認する
  • 管轄窓口へ、対象年度・誤りの内容・訂正予定を説明する
  • 指示された方法で提出・訂正し、旧版と訂正版、相談履歴を保存する
  • 翌年度の担当者・確認者・期限通知を決め、同じ原因の再発を防ぐ

前年と同じ数字を根拠なく転記したり、実働率を良く見せるために数字を調整したりしないことが重要です。処分の有無や内容は、違反の事実や適用基準によります。出典:近畿運輸局「事業報告書・事業実績報告書作成に当たって」。

第4号様式の全体像|最初にそろえる資料

近畿運輸局のダウンロードページには、現行の第4号様式Excelが掲載されています。様式の表示欄・備考を先に確認し、同じ項目名で社内集計表を作ると転記ミスを減らせます。出典:近畿運輸局の様式ダウンロード、貨物自動車運送事業実績報告書・第4号様式(Excel)。

記載欄 主な根拠資料 照合のポイント
事業者の基本情報・区分 許可関係書類、登記事項、事業者番号の資料 名称・住所・代表者・一般/特積/利用/霊柩等を確認
3月31日現在の事業概況 車両台帳、従業員名簿、運転者台帳 期末時点の車両数・従業員数・運転者数。従業員数は運転者を含む
事業内容 受注・運送記録、扱う貨物と輸送形態 主なものを3項目以内で選択。「その他」は内容を具体化
延実在・延実働車両数 増減車・配置の記録、車両別日報、月次稼働表 日車単位で集計。単なる期末台数と混同しない
走行キロ・実車キロ 運行日報、デジタコ、距離計、配車記録 全走行と貨物を積載した走行の区別、重複・欠落を確認
輸送トン数 運送伝票、荷量・重量データ、他社への委託記録 実運送と利用運送を区別し、対象範囲を統一
営業収入 売上台帳、請求明細、月次資料 様式は千円単位。決算期が異なる場合は対象期間で再集計
事故件数・死傷者数 事故記録、自動車事故報告書等 交通事故と重大事故の定義を区別し、該当なしも確認

兼業の場合、従業員数は主として当該事業に従事する人数と、共通部門から適正な基準で配分する人数を合わせます。事業報告書の年平均人数と、実績報告書の3月31日時点の人数は意味が違うため、機械的に同じ数へそろえる必要はありません。名称等に変更があれば、年次報告の修正だけでなく、必要な変更届が済んでいるかも別に確認します。

地域別の欄は、トラックが走った地域別ではない

第4号様式の備考では、各地方運輸局の管轄区域内にある営業所へ配置された事業用自動車の輸送実績を、その区域ごとに記載します。近畿の営業所に配置された車両が関東へ走ったからといって、その距離を直ちに関東欄へ振り分けるものではありません。利用運送の貨物取扱量も、営業所の所在する管轄区域を基準に整理します。

複数の管轄に営業所がある場合は営業所別に集計してから地域別に合算し、全国計へつなげます。年度途中の配置変更は、いつ、どの営業所に配置されていたかを台帳で追えるようにしてください。

延実在車両数と延実働車両数の計算方法

延実在車両数は、事業用自動車が在籍した日数の合計

1台が1日在籍すれば1日車です。1年間ずっと在籍している車両は、対象年度が365日なら1台につき365日車、366日なら366日車となります。年度途中の増車・減車があれば、各車両の在籍期間を日割りで集計します。

「その日に走れる状態だったか」と「事業用自動車として在籍していたか」は分けて考えます。予備車や整備で運行しなかった車両を、非稼働という理由だけで延実在から差し引かないでください。休止・廃止、車両の入替え、配置変更等で扱いに迷う場合は、異動日と資料を示して提出先へ確認します。

条件(365日の年度を仮定) 計算 延実在車両数
10台が4月1日~翌3月31日まで在籍 10台 × 365日 3,650日車
6月1日に1台増車し、翌3月31日まで在籍 1台 × 304日 304日車を追加
上記を合計 3,650 + 304 3,954日車

6月1日~翌3月31日の304日は、翌年2月が28日の場合です。2月29日を含む年度は日数が変わります。単に「暦年が閏年か」ではなく、報告対象の4月1日~翌3月31日の日数を確認してください。また、入替え前後の車両を同じ期間で二重計上しないよう、在籍開始日・終了日を一覧にします。

延実働車両数は、実際に稼働した日を車両ごとに合計

延実働は、その車両が実際に稼働した日を日単位で集計します。同じ車両が1日に複数便を走っても、便数をそのまま日車に置き換えません。一日のうち短時間だけ稼働した場合も、1日車として扱います。貨物輸送のための空車走行と、貨物を積んだ実車走行を混同せず、用途が不明な回送・整備移動等は集計方法を確認してください。

365日間在籍する10台について、各車が年間100日ずつ全く稼働しなかったと仮定すると、延実働車両数は次の計算になります。これは先ほどの「1台増車」を含まない、10台のみの別例です。

内容 計算・結果
延実在車両数 10台 × 365日 = 3,650日車
非稼働の合計 10台 × 100日 = 1,000日車
延実働車両数 3,650 − 1,000 = 2,650日車

休日、車検・点検、故障、運転者不足等は非稼働の理由を確認する資料になります。ただし、休日と修理日が重なった日を二重に差し引いたり、午前に稼働して午後に点検した日を丸一日非稼働にしたりしないでください。原則は車両別の実績を積み上げ、差引計算は同じ結果になるかの確認に使います。

日車の考え方と記載例は、青森運輸支局の公式記載例(第4号様式)にも示されています。地域固有の宛名・番号等の案内はそのまま転用せず、近畿では近畿の現行様式と提出先の指示を優先してください。

「台」と「日車」を混同しない

期末10台の会社でも、年間の延実在は「10」とは限りません。10台が365日在籍した例では3,650日車です。また、延実在・延実働の両方を誤って10と書くと比率は100%になるため、「比率が正常そうだから合っている」とも判断できません。元の台数と日数まで確認しましょう。

トラクター・トレーラーは、制度と記載欄ごとに数え方を確認する

一般貨物の許可における最低車両数の考え方を、そのまま実績報告書の全欄へ流用しないでください。近畿の現行第4号様式の備考には、すべての車両数を「けん引車と被けん引車を合わせて1両」にするという説明はありません。

トラクター5台・トレーラー5台を保有している場合でも、報告書の事業概況、延実在、延実働、走行キロについて、一律に「5台 × 365日=1,825日車が正解」と決めつけるのは避けます。車両の登録・配置と運行実態を整理し、被けん引車の計上方法を提出先の貨物担当へ確認してください。

確認する事項 用意する資料・質問
3月31日現在の車両数 トラクターとトレーラーを区別した車両一覧、車検証、配置営業所
延実在・延実働 それぞれの在籍期間、実際に使用した日、入替え・増減の記録
走行キロ・実車キロ どの車両の記録で距離を把握したか、同じ連結運行を重複集計していないか
他制度との違い 許可の最低台数、運行管理者の選任数、物流効率化法の輸送能力を混ぜていないか

特に、後述する物流効率化法の150台の判定では、公式手引きが被けん引車を含めることを明示しています。こちらではトラクターヘッドとシャーシを合算します。同じ会社の車両でも、制度ごとの定義を確認して台数を出すことが必要です。

実働率・実車率・走行距離のチェック|高低だけで違法と決めない

実績を集計したら、比率や前年との比較で入力ミス・業務の変化を確認します。これらは経営上の確認指標ですが、率が高い・低いというだけで過労運転、名義貸し、整備不良等が確定するものではありません。

指標 計算式 見るときの注意
実働率 延実働車両数 ÷ 延実在車両数 × 100 予備車、繁閑、整備、車両の増減を踏まえる
実車率 実車キロ ÷ 走行キロ × 100 帰り便・集配・空車回送等の輸送形態を踏まえる
実働1日1車当たり走行距離 走行キロ ÷ 延実働車両数 運転者1人当たりの運転時間ではない。交替運転等の実態も確認

先ほどの10台の例では、実働率は2,650 ÷ 3,650 × 100 ≒ 72.6%です。仮に走行キロ10万km、実車キロ7万kmなら、実車率は70%です。分母がゼロの場合には無理に比率を計算せず、実績と記載方法を確認します。実車率の分母は走行キロなので、車両数を誤って2倍にしたから実車率も必ず半分になる、という関係ではありません。

400kmを時速60kmで走る仮定と、実際の拘束時間を分ける

400km ÷ 60km/h = 約6.7時間という計算は、一定速度で走り続けると仮定した移動時間です。400km以上なら違法、6.7時間なら適法という基準ではありません。実際の労務確認では、渋滞、休憩、荷待ち、荷役、点呼等の時間、運転者の交替、休息期間などを記録から確認します。

年間の総走行距離を延実働車両数で割った値だけでは、特定の日・特定の運転者の拘束時間は判断できません。日報・デジタコ・出勤簿等の対象期間や記録の定義を合わせて点検し、単位や端数処理による差と、欠落・二重計上を分けて確認してください。36協定と改善基準告示の確認も、年間実績の集計とは別に行います。

相違が見つかったときの照合順序

  • 車両番号・営業所・集計期間が同じかを確認する
  • 増減車、配置変更、年度をまたぐ運行の扱いを確認する
  • デジタコの欠測、交換、手入力、重複取込みがないかを確認する
  • 走行距離と実車距離、実運送と利用運送を取り違えていないか確認する
  • 差異の原因、訂正値、確認者を記録し、提出後の訂正は窓口に相談する

1kmの差があれば即座に隠蔽とみなされる、年次実績の数値だけで直ちに監査が決まる、という一律の説明はできません。ただし、根拠資料に戻って説明できる数値にしておくことは重要です。帳尻を合わせるために日報や元データを書き換えないでください。

2025年・2026年の改正制度と、年次実績報告を混同しない

制度・書類 主な対象と役割 この実績報告との関係
第4号様式の事業実績報告 一般貨物等の年間の輸送実績を報告 毎年7月10日までの本記事の手続き
実運送体制管理簿 真荷主からの一定の運送を他社に委託する元請等が実運送事業者・請負階層を記録 年次の輸送トン数とは別の記録。物流効率化法の特定指定が要件ではない
物流効率化法の中長期計画・定期報告 指定を受けた特定貨物自動車運送事業者等が効率化の取組を計画・報告 150台等の指定基準と専用の届出・提出期限がある
物流統括管理者(CLO) 特定荷主・特定連鎖化事業者の物流を統括 運送事業者が全社一律に選任する制度ではない
運送利用管理規程・運送利用管理者 一定規模の利用運送を行う事業者が健全化措置を管理 CLOや日常の運行管理者とは別制度

実運送体制管理簿は、2025年に始まった貨物法上の制度

貨物自動車運送事業法に基づく実運送体制管理簿の作成・保存義務は、2025年4月1日から施行されています。2026年4月1日からは、元請としてトラックを利用する貨物利用運送事業者にも対象が広がりました。「2026年の物流効率化法で、すべての運送事業者へ新設された年次報告」という説明ではありません。

基本的には、真荷主から一の運送依頼で引き受ける1.5トン以上の貨物について、その全部又は一部の運送を他の運送事業者に委託する場合が対象です。すべて自社で実運送する場合は作成不要です。元請以外でも、対象となる運送について必要事項を通知する義務があるため、委託先との情報伝達を決めておきます。

管理事項 確認内容
法定の記載事項 実運送事業者の商号又は名称、実運送を行う貨物の内容・区間、請負階層
作成・保存 運送完了後遅滞なく作成することが望ましいとされ、運送完了日から1年間営業所に据え置く
様式・媒体 決まった様式に限定されず、必要事項がそろえば既存配車表等や電磁的記録を活用できる
国への提出 定期的な提出は不要。ただし監査等で求められた場合の提出や真荷主の閲覧・謄写に対応する
例外・簡略化 災害等の例外や、受注時点で一連の委託関係が明らかな場合の取扱いは公式Q&Aで条件を確認

住所・許可番号を社内の取引先管理に持つことは有用ですが、上記3つの法定記載事項と区別します。デジタコだけでは、委託先の請負階層や他社の運送情報まで自動的に分かるとは限りません。配車担当と委託先の通知経路、担当者、変更時の更新方法を決めることが先です。

出典:国土交通省「改正貨物自動車運送事業法(令和7年4月1日施行)」、改正貨物自動車運送事業法Q&A(2026年3月31日時点)。同Q&Aは、管理簿の作成・保存義務違反について罰則はないものの行政処分等の対象となる可能性を示しています。他の義務違反に対する罰金を、管理簿違反へ一律に当てはめないでください。

2026年4月からの委託次数制限は、2次までとする努力義務

真荷主から引き受けた貨物について他社の運送を利用する場合、委託段階を2次までに制限する努力義務が2026年4月1日から課されています。数え方は「真荷主 → 元請 → 1次請け → 2次請け」です。元請を1次と呼び替えたまま「実運送は3次まで」と説明すると、制度上の次数とずれてしまいます。

これは一律の再委託禁止や、3次となった瞬間に罰金という制度ではありません。二次委託先以降の再委託を抑制するための条件・情報共有・確認体制を整えます。出典:国土交通省「トラック適正化二法」委託次数の制限。

物流効率化法の特定事業者|150台判定と提出期限

物流効率化法では、一定規模以上の貨物自動車運送事業者等について、特定事業者の指定、中長期計画、定期報告等が設けられています。貨物自動車運送事業者等の輸送能力は、前年度末における対象車両の合計が150台以上かを確認します。年間の延実在日車や輸送トン数をそのまま150台と比較するものではありません。

公式手引きでは、貨物自動車運送事業及び第二種貨物利用運送事業の用に供する車両を確認し、被けん引車も含めて算定します。例えば、中型50台・大型75台・トラクターヘッド10台・シャーシ15台で合計150台という例が示されています。出典:国土交通省「特定貨物自動車運送事業者等の手引き」。

手続き 対象・時期の基本 2026年度との関係
輸送能力の届出 初めて基準に達した年度の翌年度5月末日まで。既に指定されている場合は毎年同じ届出を繰り返すものではない 前年度末の対象車両数を確認。未対応なら管轄へ相談
初回の中長期計画 指定を受けた年度の7月末日が基本 2026年度は10月末日まで。第4号様式の7月10日とは別
その後の中長期計画 変更の有無と計画期間により次の提出時期を確認 毎年必ず同じ計画を再提出、又は必ず5年間提出不要と一律にしない
定期報告 指定を受けた翌年度以降、毎年度7月末日まで 2026年度に指定された場合の初回は2027年度。2026年10月末の中長期計画と混同しない

2026年10月末の提出期限については、国土交通省の特定貨物自動車運送事業者向け説明会案内でも確認できます。対象事業者は指定通知と最新手引きを確認し、提出システムの利用準備を進めてください。この手続きのシステムを、次に説明する年次実績報告のe-Govと同じものと決めつけないでください。

CLO・運送利用管理者・運行管理者を区別する

物流統括管理者(CLO)の選任義務は、特定荷主・特定連鎖化事業者に関する制度です。特定貨物自動車運送事業者に指定されたという理由だけで、同じCLO選任義務が生じるわけではありません。兼業等により荷主等としても対象となる場合は、その立場で確認します。CLOの権限・選任対象は、公式のCLO案内で確認してください。

これとは別に、前年度のトラック利用運送量が100万トン以上の場合には、運送利用管理規程・運送利用管理者の制度を確認します。2026年4月からは貨物利用運送事業者にも対象が拡大しています。運行管理者、安全統括管理者とも名称・役割が異なるため、組織図に役職名を一つ書けばすべての制度に対応できるわけではありません。

紙・郵送・e-Govの提出方法と、電子申請の不備対策

年次の実績報告は、国土交通省のオンライン対象手続としてe-Govによる提出が案内されています。紙の窓口提出・郵送が一律に廃止されたわけではありません。宛名・窓口・部数・控えの返送方法を確認し、自社で確実に提出・確認できる方法を選びます。

通常は主たる事務所の所在地を管轄する地方運輸局長宛ての扱いとなりますが、一定の特別積合せ貨物運送等では国土交通大臣宛てとなるため、事業区分に合った手続きを選んでください。兵庫で窓口を確認する場合は、神戸運輸監理部兵庫陸運部の輸送部門へ確認し、自動車の検査・登録窓口と混同しないようにします。

段階 確認すること
早めの準備 手続名・提出先・対象年度を確認し、アカウントと電子申請アプリを準備する
ログイン確認 e-Govアカウント、GビズID等の利用可能な認証方法を選ぶ。GビズIDプライムだけが必須とは限らない
様式作成 最新の報告様式を使用し、日車・km・トン・千円を照合する
添付 当該手続画面の必須・条件必須資料、形式、容量、ファイル名の指定を確認する
送信 送信前に申請内容と添付ファイルを開いて確認し、送信結果を確認する
送信後 到達番号等の管理番号、提出した内容、連絡・補正履歴、処理状況を保存・確認する

動作環境は更新されます。2026年10月のe-Govインストール案内にはWindows 11や対応するmacOSが掲載され、Windows 10はサポート終了のため掲載対象外とされています。「Windows 10か11であればよい」と古い説明を固定しないでください。ブラウザ拡張機能が常に必須と決めつけず、公式の利用準備・アプリの手順に従います。出典:e-Gov電子申請アプリのインストール案内。

ファイル名・添付資料は、その手続きの指定を優先する

ファイルが開けること、内容が正しいこと、指定形式・容量に収まることを確認します。閲覧できないパスワード設定や破損ファイルを避け、必要な資料を添付してください。運行系統図等は事業区分に応じて必要性を確認するもので、すべての一般貨物事業者に同じ添付が必要とは限りません。

国土交通省のオンラインマニュアルでは、複数資料をZipにまとめる場合の項目番号・項目名による命名等が案内されています。「必ずファイル名の先頭を事業者名にする」という一律ルールではありません。申請画面と最新マニュアルに従い、特別な指定がなければ対象年度・資料内容を社内で識別できるよう整理します。出典:国土交通省のオンライン申請案内・マニュアル・FAQ。

控えと処理状況を確認し、補正まで管理する

送信画面の番号だけでなく、実際に提出したファイル、日時、提出先、連絡内容を一緒に保存します。到達番号・問合せ番号等は照会に役立ちますが、「唯一の法的証拠」と決めつけないでください。到達と内容確認・補正完了も区別します。

保存期間は報告書、運行記録、労務記録等で異なるため、すべて一律5年という根拠にしないでください。資料の法定保存期間と社内の保存方針を整理し、翌年の集計や問い合わせにも対応できる状態を保ちます。自動削除・担当者退職で控えが失われないよう、保存場所と閲覧権限を決めておきましょう。

期限の直前に、初めてログインしない

例えば提出の1週間前までにログイン・アプリ起動・様式入手を確認するのは、社内運用上の目安として有効です。ただし法定の準備期限ではありません。メンテナンスやエラーに備え余裕を持ち、問題があればシステムの操作はe-Gov、記載内容や提出先は運輸支局へ問い合わせます。

報告前の最終チェックと、翌年を楽にする月次管理

  • 報告対象の4月1日~翌3月31日と、概況の3月31日現在を分けたか
  • 車両の在籍期間、増減車・配置変更、連結車の取扱いを確認したか
  • 延実働は延実在以下、実車キロは走行キロ以下となっているか
  • 輸送量の実運送・利用運送と、地域別・全国計を確認したか
  • 営業収入の対象期間・千円単位と、事故の定義を確認したか
  • 前年との差が大きい項目について、事業の変化や集計方法を説明できるか
  • 提出先・添付・控え・補正の連絡先を確認したか

毎月、車両台帳と運行日報を締めて月次集計を残せば、年度末に一年分を探す負担を減らせます。実働率・実車率や空車距離の変化は、配車、車両更新、荷主との運賃・運行条件の協議に使える資料にもなります。ただし、正確な報告をしただけで監査がなくなる、荷主の評価や利益が必ず上がるという保証ではありません。

よくある質問

輸送実績報告書の提出期限はいつですか?

一般貨物の第4号様式による事業実績報告は、前年4月1日から当年3月31日までの実績を毎年7月10日までに報告します。決算後100日以内の事業報告書とは別です。

延実在車両数は、年度末の保有台数を書けばよいですか?

いいえ。車両ごとの在籍日数を合計した日車で集計します。10台が365日間在籍する例なら3,650日車です。年度途中の増減車は在籍期間を反映します。

トラクターとトレーラーは、報告書の全欄で2台を1両と数えますか?

許可の最低台数の考え方を、そのまま実績報告の全欄へ流用しないでください。車両一覧と運行記録を用意し、事業概況・延日車・走行距離それぞれの取扱いを提出先へ確認します。

未提出や記載ミスがあれば、すぐに車両停止になりますか?

不提出や虚偽報告は罰則・行政処分の対象となり得ますが、すべての記載ミスが直ちに一律の車両停止となるわけではありません。未提出や誤りに気付いたら、管轄窓口へ提出・訂正方法を相談してください。

2026年の物流効率化法の報告も7月10日ですか?

別の手続きです。特定貨物自動車運送事業者等の中長期計画は2026年度に限り10月末、指定翌年度以降の定期報告は毎年度7月末が基本です。指定通知と最新手引きで確認してください。

運送業の報告書・許可手続きの相談

ご相談前には、対象年度、提出済み控え、車両台帳、日報・月次集計、分からない項目を整理しておくと確認が進めやすくなります。当事務所では、運送業に関する無料相談、役所への事前相談、資料整理、申請書類の作成・提出、補正対応についてご相談いただけます。報告書対応の範囲は、事業区分と資料の状況を伺って確認します。

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