運送業の許可

制限外積載許可の申請ガイド|警察署の基準(長さ・はみ出し)と失敗しない書類作成術

【結論】制限外積載許可とは?
制限外積載許可とは、車の長さや幅の1.2倍を超える荷物を運ぶ際、出発地の警察署から受ける法的許可です。

単なる手続きではなく、無許可走行による行政処分(青ナンバー剥奪リスク)を回避し、2026年の物流コンプライアンスを完遂するための必須要件となります。

行政書士 小野馨
こんにちは!

運送業許可の実績豊富 行政書士の小野馨です。
今回は【制限外積載許可の申請ガイド|警察署の基準(長さ・はみ出し)と失敗しない書類作成術】についてお話します。

運送現場で「この荷物、少しはみ出しているけど大丈夫か?」と不安になったことはありませんか。

2022年の法改正で基準が緩和されたものの、依然として「警察署への申請」を怠れば、道路交通法違反だけでなく運送業許可の取り消しにもつながる重い行政処分が待っています。

本記事では、20年以上の実務経験から、1回で審査を通すための図面作成術と、経営者が守るべき「1.2倍の壁」について解説します。

紙の定款で認証を受けると、印紙税4万円をドブに捨てることになります。2026年、電子定款を使わない理由は『ゼロ』です。

この記事でわかる4つのポイント

  • ✅ 【2026年最新】警察署が許可を出す「長さ・幅・高さ」の1.2倍基準
  • ✅ 申請書類を「一発合格」させるための荷姿図・運行経路図の書き方
  • ✅ 特殊車両通行許可(特車)と制限外積載許可の決定的な違い
  • ✅ 知らないと危ない!無許可走行が「運送業許可」に与える行政処分の影響

制限外積載許可とは?警察署への申請が必要な「新基準」を解説

貨物が車両の規定サイズを超える運送を行う場合、出発地を管轄する警察署長から「制限外積載許可」を得ることが法律で義務付けられています。

実務上、最も注視すべきは令和4年(2022年)5月13日に施行された改正道路交通法施行規則の基準です。この改正により、積載制限は従来の「車体の長さ・幅の1.1倍」から「1.2倍」へと緩和されましたが、この新基準を1cmでも超える場合は、依然として事前の許可申請が不可欠となります。

例えば、車幅2.5mのトラックであれば3.0m(2.5m×1.2倍)まで、全長12mの大型車両であれば14.4m(12m×1.2倍)までは原則として届出不要で走行可能となりましたが、これを超える長尺物や幅広物の運搬には、許可証なしで公道を走ることは許されません。

もし無許可で走行すれば、道路交通法第57条違反として「積載物大きさ制限超過」に問われるだけでなく、運送事業者としての行政処分(車両停止処分等)を受けるリスクがあります。

この「1.2倍の基準」を正確に算出し、許可の要否を判断することは、法令遵守はもとより、荷主からの信頼を勝ち取るための経営判断そのものなのです。

📷 画像挿入指示

推奨画像: 大型トラックの荷台から長尺の荷物がはみ出しており、車体全長の1.2倍を示す補助線と「許可が必要なライン」を視覚的に示した図解。警察署の建物とパトカーが背景にあり、クリーンで法的な雰囲気。

生成用プロンプト: Professional minimalist flat illustration of a heavy-duty truck with a long steel beam overhanging the rear, visual markers showing 1.2x length ratio, a police station in the background, reliable corporate blue and white color scheme, trustworthy business atmosphere. Style: Professional minimalist flat illustration, reliable corporate blue and white color scheme.

Alt属性: 制限外積載許可 長さ はみ出し 1.2倍基準 図解[Professional minimalist flat illustration]

【2022年改正】長さ・幅・高さの制限値と1.2倍ルール

運送実務において、2022年(令和4年)5月13日は、全ドライバーと運行管理者が記憶しておくべき重要な日付です。この日を境に、道路交通法施行規則(第22条)が改正され、自動車の積載制限が大幅に緩和されました。しかし、この「緩和」を「自由になった」と履き違えることは非常に危険です。まずは、許可なしで走行できる限界値と、警察署への申請が絶対に必要になる境界線を、具体的な数値で論証します。

1. 「長さ」の基準:車検証の数値×1.2倍の壁

改正前は、積載物の長さは車両の長さの1.1倍までとされていましたが、現在は「1.2倍」まで引き上げられています。具体的に、全長12mの大型トラックを例に挙げましょう。この場合、12m × 1.2 = 14.4m が「積載物を含めた全長の限界値」となります。ここで重要なのは「はみ出し方」です。車両の前後からのはみ出しは、車両の長さの0.1倍(12mなら1.2m)以内という制限も同時に守らなければなりません。もし、全長14.4mを超える長尺物を運ぶ、あるいは後方へ2m以上はみ出すといった場合は、たとえ「分割できない一本の柱(不可分物)」であっても、出発地の警察署長から制限外積載許可を得る法的義務が生じます。

2. 「幅」の基準:車幅×1.2倍と左右対称の原則

幅についても、従来は「車幅まで(はみ出し禁止)」だったものが、現在は「車幅の1.2倍まで」緩和されました。車幅2.5mの車両であれば、3.0m(2.5m × 1.2倍)までの荷物が許可なしで運べる計算です。ただし、これには「左右からのはみ出しがそれぞれ車幅の0.1倍(2.5mなら25cm)を超えないこと」という厳格な付帯条件がつきます。片側だけに大きくはみ出している荷姿は、たとえ全体が1.2倍に収まっていても、安全走行を阻害すると判断され、警察署による指導や取り締まりの対象となります。3.0mを超える超幅広物を運搬する際には、制限外積載許可に加え、道路法に基づく「特殊車両通行許可(特車許可)」も必要になるケースが多いため、二重の法令チェックが欠かせません。

3. 「高さ」の基準:地上から3.8m(または4.1m)の絶対ルール

高さに関しては、長さや幅のような「1.2倍」という倍率計算は適用されません。原則として地上から3.8m(高さ指定道路は4.1m)までが限界です。この高さを超える荷物を運ぶ場合、たとえ「あと10cm」であっても制限外積載許可の申請が必要です。高さの超過は、トンネルや歩道橋への接触といった重大事故に直結するため、警察の審査も非常に厳しくなります。運行経路上の高さ制限をすべて把握した「運行経路図」の提出が、許可取得の絶対条件となります。

💡 行政書士の現場メモ(失敗回避の知恵)

Yahoo!知恵袋や現場の声でよく耳にするのが、「赤旗(30cm四方)さえつければ、多少長くても警察は見逃してくれる」という根拠のない噂です。これは大きな間違いです。赤旗はあくまで「許可を受けた後」や「緩和範囲内」での安全措置に過ぎません。実際、当事務所に相談に来られた経営者の中で、わずか30cmの超過を「現場の判断」で強行し、運悪く検問に遭遇。道路交通法違反(積載物大きさ制限超過)として1点の加点と罰金(大型9,000円等)を受けただけでなく、その後の「運送業許可の更新」や「Gマークの認定」に影響が出てしまい、数千万円単位の荷主との契約を失いかけた事例があります。プロの世界に「これくらいなら」という甘えは通用しません。

ここで、これから運送業を法人化して本格的に参入しようとしている起業家の皆様に、プロとしてのアドバイスを差し上げます。会社を設立する際、定款の「事業目的」に適切な文言(例:一般貨物自動車運送事業など)が入っていなかったり、資本金の額が許認可基準(2,000万円以上など)を満たしていなかったりすると、後から制限外積載許可どころか、運送業の許可自体が取れないという最悪の事態を招きます。会社設立の段階で、将来の許認可を見据えた「戦略的な定款作成」を行うことが、見えないコストを削減する最大の秘訣なんです。

[警察署別] 制限外積載許可の申請手順と必要書類リスト

制限外積載許可の申請において、最初に確定させるべきは「どこの警察署に行くか」です。

申請先は会社の所在地や到着地ではなく、必ず**「荷物を積んで出発する場所(出発地)」を管轄する警察署でなければなりません。例えば、本社が東京にあっても、千葉県の資材置き場から制限外の荷物を積んで出発する場合は、千葉県の所轄警察署が窓口となります。提出書類は「制限外積載許可申請書」に加え、特殊な荷姿を示す図面や経路図など、原則として正副2部**が必要です。

不備があればその場で修正、あるいは再提出となり、標準処理期間(約1週間)以上のタイムロスが発生します。本章では、警察署の窓口で「出直し」を命じられないための、鉄壁の準備手順と書類作成術を公開します。

📷 画像挿入指示

推奨画像: デスクの上に整然と並べられた「申請書類一式(正本・副本)」と、地図上の「出発地」にピンが立っているイメージ図。警察署の受付カウンターでスムーズに受理されている様子。

生成用プロンプト: Professional minimalist flat illustration of a neat stack of application documents (two sets) on a desk, a map with a red pin strictly marking the "Departure Point", and a smooth handover at a police station counter, reliable corporate blue and white color scheme. Style: Professional minimalist flat illustration.

Alt属性: 制限外積載許可 申請書類 出発地管轄 警察署窓口[Professional minimalist flat illustration]

出発地を管轄する警察署が「絶対の窓口」である理由

制限外積載許可の申請において、最も基本的でありながら、ベテランの運行管理者でも見落としがちなのが「管轄(かんかつ)」のルールです。道路交通法において、申請窓口は「その行為を行う場所(出発地)を管轄する警察署長」と明確に定められています。ここで注意すべきは、会社の「本店所在地」や「車庫の場所」ではないという点です。

1. 「本社」ではなく「積む場所」が基準

例えば、御社の本社が「東京都港区」にあり、車庫もそこにあるとします。しかし、今回の業務で千葉県船橋市の資材置き場から、長さオーバーの鉄骨を積んで神奈川県の現場へ運ぶとしましょう。この場合、申請書を提出すべきは、港区の警察署(本社管轄)ではなく、「船橋市の出発地を管轄する警察署(船橋警察署や船橋東警察署など)」となります。「いつもの付き合いがある地元の警察署」に持ち込んでも、管轄違いとして受理されず、その移動時間すべてが徒労に終わります。必ず事前に、積載場所の住所がどの警察署の管轄区域なのかを、県警のホームページ等で確認してください。

2. 「県またぎ」でも許可は一本で有効

「出発地と到着地が県をまたぐ場合、両方の警察署に申請が必要ですか?」という質問をよく頂きますが、答えは「出発地のみでOK」です。出発地の警察署長が発行した許可証は、その運行経路全体に対して法的効力を持ちます。ただし、経路が極端に長く複数の都道府県を縦断する場合や、通行禁止道路を含むような特殊なケースでは、出発地の警察署が関係する他管轄の警察署と協議を行うため、審査に通常(1週間程度)以上の日数を要することがあります。県またぎの長距離輸送こそ、スケジュールの余裕が不可欠です。

3. 最大の盲点:「帰り荷」は別申請になるリスク

最も危険なのが「往復輸送」のケースです。行き(A地点→B地点)はA地点の警察署で許可を取りました。しかし、帰り(B地点→A地点)に別の制限外貨物を積んで戻る場合、行きの許可証は使えません。帰りの運行については、「B地点(帰りの出発地)」を管轄する警察署で、別途許可を取る必要があります。これを怠り、「往復だから大丈夫だろう」と判断して検挙される事例が後を絶ちません。積む場所が変われば、管轄も変わる。この鉄則を忘れないでください。

審査を1回で通すための「荷姿図」と「運行経路図」の書き方

警察署の窓口で「出直し」を命じられる原因の9割は、この「添付図面」の不備にあります。担当官が見ているのは、絵の上手さではありません。「この状態で公道を走っても、物理的に安全か?」「信号機や標識に接触しないか?」という物理的な整合性です。ここでは、私が実際に5,000件の実務で使用している作成メソッドを公開します。

1. 【荷姿図】(積載図):3方向からの「完全証明」

荷姿図(にすがたず)は、車両に荷物を積んだ状態をイラスト化したものです。以下の3つの視点を必ず盛り込み、具体的な数値をmm(ミリメートル)またはcm(センチメートル)単位で記入してください。

  • ① 側面図(横から見た図):
    • 車両全長と積載全長の対比:「車検証上の長さ(例:11,900mm)」と「荷物を含めた全長(例:14,000mm)」を明確に書き分けます。
    • 後方へのはみ出し量:最も重要な数値です。「後方○○mm はみ出し」と赤字等で強調してください。ここが車両長の1.1倍〜1.2倍の範囲に収まっているか(またはそれ以上か)で審査基準が変わります。
    • 赤旗の位置:荷物の最後端に「赤色布(0.3m平方)」を装着している様子を描き込みます。
    • 重要:ナンバーと灯火類の視認性:荷物が垂れ下がってナンバープレートやブレーキランプを隠していないことを証明するため、「※ナンバープレート、灯火類、視認可」という注釈を必ず記載してください。これが無いと、「見えない可能性がある」として突き返されるリスクが高まります。
  • ② 平面図(上から見た図):
    • 幅のはみ出し:左右どちらにはみ出しているかを明記します。「左側○○mm、右側○○mm」と具体的に記述し、バックミラーの視界が確保されていることを示します。
  • ③ 後面図(後ろから見た図):
    • 地上高の確認:荷物が地面を引きずらないか、あるいは高さ制限(3.8m)を超えていないかを示します。

2. 【運行経路図】:Googleマップ+「安全の論証」

経路図は、単に出発地と到着地を線で結べば良いわけではありません。警察署長は「その巨大な荷物で、その交差点を本当に曲がれるのか?」を懸念しています。

  • 地図の選定:市販の地図のコピーやGoogleマップの印刷(詳細図と広域図の2種類あるとベスト)を使用します。
  • ルートの朱書き:通行する道路を蛍光ペンなどで明確になぞります。
  • 危険箇所の回避証明:もしルート周辺に「小学校(通学路)」や「極端に狭い道路」がある場合、あえてその道を避けて大通りを選んでいることを、余白に「※通学路を回避するため国道〇号線を選定」とメモ書きします。この一言があるだけで、担当官の心証(=許可の出しやすさ)は劇的に向上します。

3. その他の必須書類と「ドライバー免許証」の罠

図面の他に、以下の書類もセットで提出します。これらはすべて「正本・副本」の2セット必要です。

  • 制限外積載許可申請書:警察署備え付け、または県警HPからダウンロード。
  • 自動車検査証(車検証)の写し:電子車検証の場合は「自動車検査証記録事項」も必要です。
  • 運転者の運転免許証の写し:ここで注意が必要です。「当日は誰が運転するか決まっていない」は通用しません。運転する可能性があるドライバー全員分の免許証コピーを用意し、全員の名前を申請書(または運転者一覧表)に記載してください。申請していない人間が運転して事故を起こした場合、許可取り消し等の重い処分が下されます。

💡 行政書士の現場メモ(失敗回避の知恵)

過去に、「手書きの図面でもいいと言われたから」と、チラシの裏のような紙にフリーハンドで線を引いただけの図面を持参した経営者様がいました。結果は門前払い。「ここは役所です。子供のお絵かきではありません」と厳しく指導されたそうです。CADソフトを使う必要はありませんが、定規を使って直線を引く、寸法を正確に入れるといった「公文書としての最低限の体裁」は必須です。この図面は、万が一事故が起きた際、実況見分で警察が参照する「証拠能力のある書類」になるのですから。

📷 画像挿入指示

推奨画像: 「合格する荷姿図」のサンプル。トラックの側面図と平面図があり、寸法線(L, W, H)と「はみ出し量」、そして「赤旗」の位置が明記されている。余白に「灯火類確認よし」の注釈がある。

生成用プロンプト: Professional technical diagram of a truck load configuration (side view and top view) on a white blueprint background. Clearly marked dimension lines showing length, width, and rear overhang. A red square flag indicated at the rear end. Annotations in Japanese style. Clean, precise, high-contrast lines. Style: Professional minimalist flat illustration, reliable corporate blue and white color scheme.

Alt属性: 制限外積載許可 荷姿図 書き方 見本 寸法線 赤旗[Professional minimalist flat illustration]

[比較表] 許可が「出る荷物」と「出ない荷物」の境界線

制限外積載許可は「どんな荷物でも自由に運べる魔法の切符」ではありません。警察署が許可を出す絶対条件は、その荷物が「分割不可能であること(不可分なもの)」に限られます。例えば、一本の長さが15mある「電柱」や「H型鋼」は、切断すると商品価値がなくなるため許可の対象となります。しかし、1mの段ボール箱を15個並べて「15mになりました」というのは絶対に認められません。なぜなら、「箱を減らすか、トラックを2台に分ければ済む話だから」です。警察は企業の「コスト削減」や「効率化」のために許可を出すのではありません。あくまで「物理的に切れないもの」を運ぶための救済措置です。この境界線を見誤ると、申請窓口で即座に却下されるだけでなく、現場で違法積載として摘発されるリスクがあります。

📷 画像挿入指示

推奨画像: 「許可が出る荷物(長い鉄骨1本)」と「出ない荷物(小さな箱の大量積み)」を左右に並べた比較イラスト。許可側には青い◯、不許可側には赤い×印。不可分性の概念を視覚的に表現。

生成用プロンプト: Comparison illustration split in half. Left side: A truck carrying a single long indivisible steel beam with a blue circle mark (Safe). Right side: A truck carrying many small separate boxes stacked to exceed length with a red cross mark (Illegal). Professional minimalist flat illustration, reliable corporate blue and white color scheme.

Alt属性: 制限外積載許可 基準 不可分物 バラ積み 比較[Professional minimalist flat illustration]

分割できない貨物(不可分物)という大前提

制限外積載許可の申請において、警察署の担当官が審査する第一のポイントは、その荷物が「客観的に見て分割不可能(不可分)であるか」という点です。これは道路交通法施行令第22条の例外規定に基づくものであり、許可の成否を分ける絶対的な基準となります。

1. 「不可分」の法的定義とは

「分割不可能」とは、物理的に切断することができない、あるいは切断することでその貨物の用途や価値が著しく損なわれる状態を指します。 具体的には以下のようなものが該当します。

  • 許可対象(○):電柱、鋼材(H形鋼、鉄筋)、建設用機械(ショベルカーのアーム等)、コンテナハウス、ヨット、変圧器など。これらは切断して現場で溶接することが現実的ではないため、許可が下ります。
  • 不許可対象(×):土砂、砂利、液体、短い木材、ブロック、段ボール箱など。これらは「小分け」にして運ぶことが可能であるため、いくら量が多かろうと、寸法超過の理由は認められません。

2. 「コスト削減」は許可理由にならない

経営者様が最も誤解しやすいのが、「一度に運んだ方が効率が良い」「トラックを大型にする予算がない」という経済的な理由です。警察署の立場からすれば、企業のコストダウンよりも「道路交通の安全」が最優先されます。「荷物を減らして規定内に収める」か「より大きな車両(トレーラー等)を用意する」という代替案が可能であれば、申請は却下されます。申請書にある「積載の理由」欄に「経費削減のため」と書くことは、自ら不許可を招くようなものです。

3. 「長尺物」の束ね積みについての注意点

例えば、長さ13mの鉄筋(不可分物)を運ぶ際、許可を得れば複数本を積むことは可能です。しかし、これはあくまで「1本でも長さが超過してしまうから」許可が出るのであり、積み重ねることで新たに「高さ」や「幅」の制限を超えてしまう場合は、減トン(積載量を減らす)指導が入ります。「長いからついでに沢山積んでもいい」わけではないことを肝に銘じてください。

💡 行政書士の現場メモ(失敗回避の知恵)

以前、足場工事業者様から「足場板を大量に積んで現場に行きたいが、少し後ろにはみ出るので許可申請してほしい」と依頼がありました。現場を確認すると、はみ出している原因は「長い板」ではなく、「短い板を前後にずらして積んでいた(積載効率を上げるため)」ことでした。これは典型的な「分割可能」なケースです。私は「このまま申請に行けば、警察署で確実に指導を受け、最悪の場合は運行停止になります」と説得し、2台に分乗するようアドバイスしました。結果として、その後の検問を無事に通過。目先のガソリン代よりも、会社の社会的信用(緑ナンバー)を守ることが真の利益です。

赤旗と夜間反射板|許可後に義務付けられる「安全措置」の具体例

警察署長から交付される「制限外積載許可証」には、必ず「条件」が付されます。これは「許可を出してやる代わりに、これらの安全措置を絶対に守れ」という行政命令です。許可証を手に入れただけで安心せず、現場のドライバーに以下の装備を徹底させてください。これらが一つでも欠けていると、検問で止められ、許可証を持っていても「許可条件違反」として切符を切られます。

1. 昼間の措置:0.3m(30cm)平方以上の「赤旗」

日中に走行する場合、積載物の「最後端(一番後ろ)」の見えやすい位置に、「0.3メートル平方以上の赤色の布」を付けることが義務付けられています。

  • NG例:赤いタオル、軍手、小さすぎる布切れ、色が褪せてピンク色になった旗。
  • OK例:ホームセンターやトラック用品店で販売されている規格品の「警戒旗(赤)」。

現場判断で適当な布を縛り付けるのではなく、必ず定規で測って「30cm×30cm以上」あることを確認してください。

2. 夜間の措置:赤色の「灯火」または「反射器」

日没後やトンネル内など、視界が悪い状況では、赤旗は見えません。そのため、夜間は以下のいずれかを装着する義務があります。

  • 赤色の灯火:後続車に注意を促すための赤いランプ(LEDライト等)。
  • 赤色の反射器:車のライトを反射するリフレクター。

ここでの注意点は、「夕暮れ時」です。まだ明るいからといって赤旗のまま走行し、渋滞に巻き込まれて日が暮れてしまった場合、その時点で違反となります。長距離輸送の場合は、最初から「赤旗」と「反射器」の両方をセットしておくのがプロの安全管理です。

3. その他の条件(誘導車の配置など)

荷物の長さや幅が極端に大きい場合、警察署長の判断で「先導車(誘導車)を配置すること」や「運行時間を深夜0時から早朝4時までに限定する」といった厳しい条件が付加されることがあります。許可証を受け取ったら、必ず「備考欄」や「条件欄」を一字一句確認してください。「読んでいなかった」は通用しません。

📷 画像挿入指示

推奨画像: トラックの荷台から突き出した鉄骨の先端に、正しい規格(30cm四方)の「鮮やかな赤旗」と「反射板」が装着されているアップ画像。背景は薄暗い夕暮れで、反射板がキラリと光っている様子。

生成用プロンプト: Close-up illustration of the rear end of a truck load (steel beam). A standard 30cm square bright red flag and a red reflector are securely attached to the tip. The setting is twilight, emphasizing the visibility of the reflector. Style: Professional minimalist flat illustration, reliable corporate blue and white color scheme.

Alt属性: 制限外積載許可 赤旗 サイズ 夜間反射板 基準[Professional minimalist flat illustration]

運送業経営者が知るべき「無許可走行」の代償と行政処分リスク

結論から申し上げます。制限外積載許可を取らずに走行し、検挙された場合の最大の損失は、運転手が支払う数千円の反則金ではありません。その背後にある「運送業許可(緑ナンバー)への行政処分」と、それに伴う「社会的信用の失墜」です。多くの経営者が誤解していますが、警察による交通違反の取り締まり情報は、国土交通省(運輸局)へと共有される仕組みになっています。たった一度の「無許可はみ出し走行」が引き金となり、運輸局の監査が入り、結果として「車両停止処分」や「事業停止処分」を受ける事例が後を絶ちません。トラックが止まれば売上はゼロになりますが、リース料や給料は発生し続けます。わずかな手間を惜しんだ代償として、会社が傾くリスクを負う。これが「無許可走行」の真の恐ろしさです。

📷 画像挿入指示

推奨画像: 「氷山の一角」をモチーフにした図解。水面上の小さな氷山に「反則金(数千円)」と書かれ、水面下の巨大な氷山に「車両停止処分」「監査」「荷主契約解除」「信用失墜」と書かれている。リスクの全体像を可視化。

生成用プロンプト: Iceberg concept illustration. Above water (small tip): text "Ticket Fine". Below water (massive danger): text "Business Suspension", "Audit", "Contract Loss". Visualizing hidden risks for trucking business. Professional minimalist flat illustration, reliable corporate blue and white color scheme.

Alt属性: 制限外積載許可 違反 リスク 行政処分 氷山の一角[Professional minimalist flat illustration]

道路交通法違反だけではない|運送業許可の「点数」への影響

運送会社の社長様と話していると、「ドライバーが勝手にやった違反だから、会社には関係ないだろう」と考えている方が非常に多いことに驚かされます。しかし、行政法規の世界では、その理屈は通用しません。制限外積載違反で検挙されると、以下の「二重の制裁」が同時に、あるいは時間差で襲いかかってきます。

1. 警察と運輸局の「ホットライン」を知っていますか?

まず、現場でドライバーが警察官に検挙され、青切符(反則告知書)や赤切符を切られます。これは道路交通法上の処分です。しかし、恐怖はここから始まります。警察庁と国土交通省は連携しており、特に「過積載」や「制限外積載」といった重大な違反情報は、警察から管轄の運輸支局(運輸局)へ通知される仕組みになっています。 この通知を受け取った運輸支局は、「この会社は運行管理がずさんではないか?」と疑いを持ちます。そして、ある日突然、輸送担当官(Gメン)による「巡回監査」「特別監査」が入ることになるのです。

2. 「日車(にっしゃ)」というペナルティの重み

監査の結果、会社側の「指導監督義務違反(ドライバーに適切な教育をしていなかった)」や「運行管理の不備」が認定されると、貨物自動車運送事業法に基づき、会社に対して行政処分が下されます。 ここで登場するのが「日車(にっしゃ)」という単位です。 例えば、「10日車(にっしゃ)」の処分が下されたとしましょう。これは「1台のトラックを10日間、ナンバープレートを外して運行停止にしなさい」という意味です。 もし、保有台数が5台しかない小さな会社で、稼ぎ頭のトラックが10日間も止まったらどうなるでしょうか。

  • 1日の売上が5万円なら、50万円の損失。
  • その間、ドライバーの給料やトラックのリース代は発生し続ける。
  • さらに「行政処分を受けた事業者」として、国土交通省のホームページで社名が公表される。

たった一度の「はみ出し違反」が、数十万円の損失と、プライスレスな社会的信用の失墜を招くのです。

3. Gマーク(安全性優良事業所)の即時剥奪

さらに深刻なのが、Gマーク(安全性優良事業所認定)への影響です。多くの大手荷主が取引条件としているGマークですが、これは「行政処分を受けていないこと」が認定の絶対条件です。制限外積載違反をきっかけに行政処分(車両停止処分等)を受けると、現在持っているGマークは取り消され、向こう数年間は再申請ができなくなります。 「Gマークがない会社とは取引しない」というコンプライアンス重視の荷主が増えている現在、これは事実上の「取引停止宣告」に等しいと言えるでしょう。

💡 行政書士の現場メモ(失敗回避の知恵)

「うちはまだ監査なんて入ったことないから大丈夫」と高を括っている経営者様へ。運輸局の監査体制は年々強化されています。特に最近は、スマートインターチェンジのETCデータや、街頭検査でのデータが蓄積され、「怪しい会社」はAIで抽出される時代です。制限外積載の申請を怠るような会社は、点呼簿の不備や健康診断の未実施など、他の不備も併発しているケースがほとんどです。警察の切符一枚が、会社の膿(うみ)をすべて暴く「パンドラの箱」を開ける鍵になることを、どうか忘れないでください。

荷主からの信頼失墜|コンプライアンス重視時代の経営判断

最後に、法律や罰金よりも恐ろしい「ビジネス上のリスク」についてお話しします。かつては「少々の無理(過積載やはみ出し)を聞いてくれる運送会社」が重宝された時代もありました。しかし、令和の現代において、その価値観は完全に逆転しています。

1. 荷主は「自社を守るため」にあなたを切る

上場企業や大手メーカーを筆頭に、現在の荷主企業は「CSR(企業の社会的責任)」や「コンプライアンス(法令遵守)」に極めて敏感です。もし、あなたの会社のトラックが制限外積載の無許可走行で事故を起こし、それがニュースになったらどうなるでしょうか。 「あそこの荷主は、違法な運送会社を使っている」 という風評被害は、荷主企業のブランドイメージを毀損します。だからこそ、多くの荷主は取引基本契約書に「反社会的勢力の排除」と並んで「法令遵守の徹底」を謳い、違反があれば即座に契約解除できる条項を設けています。たった一度の許可申請を怠ったばかりに、長年築き上げた太い取引先を一瞬で失う。これが「コンプライアンス倒産」のリアルです。

2. 「許可証」は最強の営業ツールになる

逆に、制限外積載許可を適切に取得していることは、強力な武器になります。 「うちは面倒な申請手続きも、コンプライアンス基準に則って完璧に行います。御社には絶対にご迷惑をおかけしません」 と胸を張って言える運送会社は、荷主の担当者からすれば「安心して仕事を任せられるパートナー」です。許可取得にかかる手間や行政書士への報酬は、単なるコストではありません。「安全と信頼を買うための投資」であり、安値競争から脱却して高単価な案件を受注するためのパスポートなのです。

⚠️ 【警告】自己判断のリスクと「見えないコスト」

「自分でやれば無料」は間違いです。慣れない警察署への申請で何度も足を運び、図面の訂正に追われる時間は、社長であるあなたの時給換算でいくらの損失でしょうか? 定款の不備による再申請の手間、将来的な修正費用(3万円〜)、そして何より「本業の営業や採用に集中できない時間的損失」は計り知れません。プロに任せることは、時間を買うことと同義です。

【毎月3社様限定】その「はみ出し荷物」、合法的に運びませんか?

「警察署に行く時間がない」「図面が書けない」「急ぎで許可が欲しい」

そんな運送経営者様の悩みを、行政書士歴20年の小野馨が解決します。

まずはあなたの運ぼうとしている荷物が、許可の対象になるか、無料の『積載診断』を受けてみませんか?

警察署との事前協議から書類作成まで、完全サポートいたします。

無料・制限外積載診断を申し込む >

※コンプライアンス重視の荷主を獲得したい方へ。

※この記事を見たとお伝え頂ければスムーズです。

-運送業の許可