制限外積載許可は、分割できない貨物のために道路交通法上の積載制限を超える場合、出発地を管轄する警察署長から受ける許可です。荷物の長さ・幅だけでなく、前後左右のはみ出し、高さ、重量、車両と運行経路を合わせて確認します。
「車の1.2倍以内だから、どの道路でも許可なしで走れる」という判断はできません。警察の制限外積載許可と、道路管理者の特殊車両通行許可・通行確認などは別制度です。ここでは一般的な四輪トラックを中心に、寸法確認、申請資料、許可条件、運行前の点検を整理します。
制限外積載許可の要否は「積載物の大きさ」と「積み方」で確認
2022年5月13日の道路交通法施行令改正で、積載物の長さは車両長の1.1倍から1.2倍へ、幅は車幅以内から車幅の1.2倍へ変更されました。前後のはみ出しはそれぞれ車両長の0.1倍以内、左右はそれぞれ車幅の0.1倍以内です。長さ・幅の制限と、積載方法の制限は両方を満たす必要があります。
根拠は道路交通法施行令第22条です。改正の図解は大阪府警の積載制限の見直し案内にも掲載されています。二輪車、小型特殊自動車などには異なる基準があるため、この数値を全車種へ当てはめないでください。
長さ:積載物1.2倍と、前後各0.1倍を別々に測る
車両長が12mなら、積載物の長さの上限は14.4m、車体の前・後からのはみ出しはそれぞれ1.2m以内です。荷物が14.4m以内でも、後ろだけに2mはみ出せば積載方法の制限を超えます。
ここでいう積載物の長さは、単に荷物の実寸を測るだけではありません。斜めに積む場合なども、積載した状態の貨物の投影部分を、車両の前後方向と平行に測ります。「車体と荷物を合わせた全長」と「積載物の長さ」を図面で区別してください。測定方法は警察庁の制限外積載許可取扱要領(2025年改正)で確認できます。
幅:全体幅だけでなく、左右それぞれのはみ出しを確認
車幅2.5mなら、積載物の幅は3.0m以内、左・右それぞれのはみ出しは0.25m以内です。必ず左右同じ量でなければならないという意味ではなく、各側の上限を超えないことが必要です。
ただし、これは道路交通法の積載制限の例です。幅3.0mの積載状態で走る際には、道路法の一般的制限値との関係で特殊車両通行許可等の確認が必要です。制限外積載許可が不要でも、すべての手続が不要になるわけではありません。
高さ:1.2倍ではなく、車種と指定条件で確認
一般的なトラックでは、地面から積載物の最上部までの高さは原則3.8mです。軽四輪・三輪の普通自動車などは2.5mで、車種により異なります。また、公安委員会が定める自動車には3.8m以上4.1m以下の範囲の別の高さが適用される場合があります。
道路法上の「高さ指定道路だから、道路交通法でも自動的に4.1mまでよい」とは判断しないでください。車種、公安委員会の指定、予定経路の条件を確認します。橋、架線、トンネル、標識などの実際の障害物の高さは、法定の上限とは別に確認が必要です。
許可の対象は、貨物自体が分割できない場合
道路交通法第57条第3項は、貨物が分割できないために制限を超える場合の許可を定めています。警察庁の取扱要領では、電柱や変圧器など形態上単一の物件で、分割・切断により用途や価値を著しく損なうものを対象としています。
- 対象となり得る例:長い電柱、単体の鋼材、大型機械など。ただし、品名だけで必ず許可されるわけではありません。
- 通常は積み方や量の見直しが必要な例:小分けできる箱、土砂、短い材料などを大量に載せた結果の超過。
- 複数本の長尺物:一本の不可分性に加え、束ねた状態の幅・高さ・重量も確認します。長さの許可があるから他の超過も自動的に認められるわけではありません。
「一度で運べば安い」「時間を節約したい」という事情だけでは、貨物の不可分性を満たしません。必要な資料は、貨物の寸法・用途、分割した場合の支障、車両の構造、積載方法、運行経路です。最大積載量や軸重等を超える運行についても、寸法の許可と一緒に当然に認められるとは考えず、関係制度を確認してください。
1.2倍は「許可が下りる上限」ではない
1.2倍は通常の積載制限を確認する数値です。許可を受けられる範囲は、車両・貨物・道路交通の状況によって審査されます。警察庁の取扱要領は、一般的なトラックについて積載物の長さが車両長の1.5倍を超える場合や、積載状態の全長が16mを超える場合などに、関係機関との調整を含む慎重な審査を求めています。連結車では別の数値があります。
この数字も、「そこまで必ず許可される」「超えたら全国一律に絶対不許可」という保証ではありません。超長大物や重量物は、車両を手配する前に警察・道路管理者等へ具体的な計画を相談してください。
申請先と期間:積んで出発する場所から確認する
申請先は出発地を管轄する警察署長です。相談は、その警察署の交通課・交通規制担当窓口へ行います。本社や車庫の所在地だけで決めず、制限を超える貨物を積んで運行を始める場所の住所から管轄を確認します。申請者は原則として実際に運転する人で、複数の運転者がいる場合は全員を記載します。
許可は原則として一つの運転行為が単位です。県をまたぐ場合も出発地で申請しますが、許可された経路・期間・積載状態での運行に限られます。通行禁止道路や道路法上の許可まで、この許可だけで解除されるわけではありません。
帰りに別の貨物を積む場合や経路が変わる場合は、行きの許可を流用できると決めつけず、帰りの出発地を含めて事前に確認してください。一方、同じ運転者・車両・品目・積載方法・経路で定型的に反復する場合には、包括して扱い、原則1年以内とする特例もあります。すべてを毎回単発申請と説明するのも適切ではありません。
兵庫県警は通常、交付まで行政庁の休日を除いて3日ほどと案内し、県外目的地や特に長大な貨物ではさらに日数がかかる場合があるとしています。全国一律1週間や即日交付を保証せず、出発前に申請先へ余裕を持って相談してください。兵庫県警の申請案内を参照できます。
相談で資料不足を指摘されたら、不足する寸法・図面・経路情報を特定し、荷主や車両担当から揃えて再提示します。積載方法や経路の変更を求められた場合は、計画を直して確認を受けてください。許可が得られない場合や回答を待っている間は、その超過積載のまま出発せず、貨物を分ける、別の車両や経路へ変更するなどの方法を検討します。
必要書類と、伝わる荷姿図・経路図
書面申請は申請書2通が基本で、審査に必要な図面等を求められます。車両・荷物・経路に応じて必要書類が異なるため、申請先の現行様式と案内を確認してください。大阪の様式や電子申請の案内は大阪府警の各種申請様式一覧で確認できます。
- 制限外積載許可申請書。
- 運転者の氏名・住所、免許の種類、免許証番号又は免許情報記録の番号など。複数の場合は一覧。
- 車検証・自動車検査証記録事項など、車両の寸法や積載量を確認できる資料。
- 積載状態の見取図・写真、運転経路図。
- 他制度の許可等が関係する場合は、その許可証等の確認資料。
マイナ免許証にも対応した現在の記載方法を確認し、「全員の紙の免許証コピーがどの申請でも必須」と固定しないようにします。申請済みの運転者以外へ交代する場合も、必要な追加・変更手続を確認してください。
荷姿図:荷物・車体・はみ出しを分けて記載
側面・平面・後面から確認できる図は、積載状態を伝えるのに役立ちます。寸法の単位を揃え、以下を区別してください。
- 車両の長さ・幅・高さと、荷台の高さ。
- 積載した貨物の投影長さ・幅、地面から最上部までの高さ。
- 前後左右それぞれのはみ出し量と、車両・貨物を合わせた全体寸法。
- 重量、固定方法、灯火・ナンバー・ミラー等への影響。
- 必要な標示や安全措置の位置。
CADでなければ受理されない、特定の注記一つがないと必ず不許可になる、という制度ではありません。図や写真から正確に把握できることが重要です。兵庫では、高さだけの超過で特殊車両通行許可等の写しを添付する場合、条件により図面省略や許可期間延長を受けられることがあります。
経路図:道路名・交差点・障害物を確認
出発地と到着地だけでなく、通る道路、主要交差点、曲がる方向を分かるようにします。狭い道路、急な曲がり角、重量制限のある橋、高さ制限、通学時間帯なども確認してください。
通学路を避ける理由や安全上の配慮を記載することは計画の説明に役立ちますが、「一言書けば許可が出やすくなる」といった審査の裏技ではありません。現場の実測・道路情報と図面の内容を一致させることが先です。
赤旗・夜間灯火などは、許可条件を確認する
赤旗を付けるだけで、無許可の超過積載が合法になるわけではありません。道路交通法施行令第24条は、長さ又は幅の制限を超える貨物について、見やすい箇所に昼間は30cm四方以上の赤色の布、夜間は赤色の灯火又は反射器を付けることなどを、警察署長が付することができる条件として定めています。
高さだけの超過も含めて、すべての許可で「最後端に同じ装備」と一律に判断しないでください。許可証の条件欄に従い、位置、装備、運転時間、先導車や整理員、固定方法などを運転者へ共有します。昼間出発でも日没後まで運行するなら、夜間の条件に対応できる準備が必要です。
運転中は許可証を携帯する義務があります。前面への掲示が条件となっている場合はその指示にも従います。許可があっても、視野やハンドル操作を妨げる積載、灯火・ナンバーを隠す積載、荷崩れなどを許すものではありません。
特殊車両通行許可等と、運送事業の管理は別に確認
警察の許可は道路交通法上の積載制限、特殊車両通行許可や通行可能経路の回答は道路法上の制限に関するものです。前者が不要でも後者が必要な場合があり、片方を取得しただけで両方の条件を満たすとは限りません。
道路管理者の手続は兵庫県の特殊車両通行許可案内などで確認します。車両の保安基準、最大積載量、橋の重量制限、道路標識による規制なども、寸法計算とは別に照合してください。
違反の影響を、一律の即取消しやGマーク剥奪と説明しない
無許可や条件違反の運行は避けなければなりません。交通違反の責任と、事業者の運行管理・指導監督上の責任はそれぞれ確認されますが、一回のはみ出しで必ず事業停止・許可取消し・Gマーク取消しになると断定することはできません。適用基準、違反内容、前歴などによって判断されます。
運輸局の監査、適正化事業実施機関の巡回指導、荷主等への取引慣行の是正を行うGメンは、同じ制度ではありません。また「日車」は台数と停止日数を組み合わせた処分量で、10日車を必ず1台10日間に固定する説明でもありません。実際に通知を受けた場合は、その内容と根拠に沿って対応してください。
荷主への説明では、必要な許可、経路、積載量、予定日を先に共有し、許可前の運行を約束しないことが重要です。許可証があれば事故や契約解除が絶対になくなる、という営業上の保証はできません。
運行前の確認と相談資料
- 車両・貨物の寸法と重量、積載状態を測定する。
- 通常の積載制限と、道路法等の別制度を分けて確認する。
- 不可分性、経路、運転者、運行日を整理して出発地の警察署へ相談する。
- 許可証と他制度の許可等を受け取り、条件を運転者・配車担当へ共有する。
- 出発前に実際の積載、固定、灯火、標示、経路・時間が許可内容と一致するか確認する。
会社設立や一般貨物の許可を同時に検討する場合も、制限外積載許可とは別の要件です。「資本金2,000万円が全社必須」「電子定款を使うだけですべて解決」といった説明では判断できません。事業目的、所要資金、車両・施設計画を別途整理してください。
荷姿図や経路図に必要な情報を整理する時間が取れない場合は、必要資料の整理・申請書類の作成についてご相談いただけます。
申請準備の相談をご希望の場合は、車検証等、貨物の寸法・重量・用途、荷姿図又は写真、出発地・到着地・経路、運行希望日、運転者の予定を揃え、運送業の相談窓口へお知らせください。対応範囲・費用・必要日数は内容に応じて確認します。
よくある質問
制限外積載許可はどこへ申請しますか?
制限を超える貨物を積んで運行を始める出発地を管轄する警察署長へ申請します。本社の所在地だけで決めず、出発地、経路、運転者、車両・積載状態を確認してください。
長さと幅が車両の1.2倍以内なら自由に走れますか?
いいえ。前後左右のはみ出し、高さ、重量なども確認します。制限外積載許可が不要でも、道路法上の特殊車両通行許可等が必要な場合があります。
許可は何日で交付されますか?
兵庫県警は通常、行政庁の休日を除いて3日ほどと案内しています。県外への運行や長大な貨物などはさらに日数がかかる場合があり、全国一律や即日交付の保証はできません。
