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【建設業専門】緑ナンバー運送業許可の要件|資材置き場やダンプを審査に通すプロの基準

こんにちは

建設業許可と運送業許可をサポートする行政書士の小野馨です。

今回は、もともと持っている「資材置き場やダンプを審査に通して建設会社が許可を通す基準」についてお話します。

一般的な「運送業許可の解説本」や「行政書士のサイト」を見て、こう思ったことはありませんか?

「書いてあることは分かるが、ウチの会社の場合はどうなんだ?」
「資材置き場はあるけど、調整区域だから建物は建てられないぞ?」
「現場監督を運行管理者にしてもいいのか?朝早い現場はどうする?」

建設業の会社が運送業許可を取る場合、一般の物流会社とは「審査のポイント」が全く違います。

建設業特有の「土地事情(資材置場)」や「車両事情(ダンプ・重機)」を考慮しないと、一般的な基準だけ見ていては判断を誤り、最悪の場合、申請が不許可になり準備費用が水の泡になります。

この記事では、建設業者様に特化して、「手持ちの資産(土地・人・車)で許可要件をクリアするための具体的基準」を徹底解説します。

さらに、多くの社長が見落としがちな「許可取得後のコスト増」「一人親方の法人化」についても踏み込んでお伝えします。

建設業のための要件チェックリスト

  • 場所: 「資材置き場」を緑ナンバーの車庫にするための裏技(農地・調整区域)
  • 車両: 「白ナンバーダンプ」を緑に変える時の構造変更・車検の罠
  • 金: 白ナンバーとは桁違い?「任意保険料」と維持費のリアル
  • 人: 「現場監督」や「番頭」は運行管理者になれるか?(兼務と点呼のルール)
  • 組織: 「一人親方」でも許可は取れる?法人化のタイミング

1. 【場所の要件】「資材置き場」は車庫になるか?

建設業者様にとって最大のハードルであり、かつ最大の武器になるのが「土地」です。

多くの建設会社様は、すでに広い「資材置き場」をお持ちです。

これを運送業の車庫として流用できれば、毎月の駐車場代(固定費)をゼロにできます。

しかし、そこには「都市計画法」と「農地法」という、一般の運送業者があまり直面しない巨大な壁があります。

① 「市街化調整区域」の資材置き場をどう通すか

建設資材置き場の多くは、地価の安い「市街化調整区域(原則として建物を建ててはいけない地域)」にあります。

ここを運送業の車庫として登録するためには、以下の条件をクリアする必要があります。

【絶対NG】屋根や壁がある建物

市街化調整区域の資材置き場に、無許可でプレハブ事務所や屋根付き倉庫(ガレージ)を建てていませんか?

運送業許可の審査では、役所の担当官が現地を確認しに来ることはありませんが、「宣誓書」の提出が必要です。

もし違反建築物がある場所を車庫として申請すると、虚偽申請となり許可は下りません。

この辺のお話はデリケートなんです。

逆に言えば、以下の状態であれば、調整区域でも車庫として認められる可能性が高いです。

  • 完全な青空駐車場(更地): 屋根も壁もなく、単にトラックを停めるだけの土地。
  • 開発許可を取得済み: 過去に「資材置き場」や「流通業務施設」として開発許可を得ている土地。
  • 既存宅地: 古くから宅地として課税されており、一定の要件を満たす土地。

② 「農地法」の落とし穴(地目の確認)

現場あるあるですが、見た目は完全に「砂利敷きの駐車場」でも、登記簿上の地目が「田」や「畑」のままになっているケースが多々あります。
これを「無断転用」と言います。

運送業許可の申請時には、土地の登記簿謄本を提出します。もし地目が農地であれば、その時点で審査はストップします。
「昔から駐車場として使っていた」という言い訳は通用しません。申請前に必ず行政書士や土地家屋調査士に相談し、「農地転用許可」または「非農地証明」を取得して、地目を変更する必要があります。

③ 営業所と車庫の「距離制限」

「本社(事務所)は街中にあるけど、資材置き場(車庫)は山の方にある」というケースも多いでしょう。
運送業許可では、営業所と車庫の距離に制限があります。

  • 東京23区・横浜市など: 直線距離で10km以内
  • その他の地域: 直線距離で5km以内(※地域により異なります)

もし資材置き場が遠すぎる場合は、その資材置き場の近くに新たな営業所(プレハブなどではなく、適法な建物)を借りるか、車庫を近くに借り直す必要があります。

2. 【車両の要件】手持ちの「働く車」は使えるか?

建設業許可をお持ちの会社なら、すでに複数台のダンプやユニック車をお持ちでしょう。
これらを「5台」の頭数に入れることができますが、ここにも「所有権」と「構造」の罠があります。

① リース・ローン中の車両の罠

「ダンプは全部リースだよ」という会社様も多いと思います。
運送業許可に使用する車両は、車検証の「使用者」欄が申請会社の名義になっていればOKです。「所有者」はリース会社やディーラーのままで構いません。

しかし、問題になるのが「使用権原の期間」です。

  • 1年以上の契約期間が必要: 申請時点で、リース契約や割賦契約の残り期間が1年以上あることが証明できなければなりません。
  • 車検証の書き換え: もし現在、車検証の「使用者」が社長個人名義や、下請けの親方名義になっている場合は、申請前に法人名義への変更手続きが必要です。

② 構造変更とLゲートダンプ

白ナンバーから緑ナンバーに変える際、単にナンバープレートの色が変わるだけではありません。
管轄の運輸支局によっては、「一度車検を切り直す(構造等変更検査)」を求められることがあります。

特に注意が必要なのが、土砂運搬用のダンプです。
「深ダンプ(土砂禁ダンプ)」で申請を出しているのに、実際は土砂を積むためにあおりの高さを変えていたり、リアゲートをLゲート(フラットゲート)に改造していたりする場合、車検に通りません。
緑ナンバー化を機に、不正改造を一掃し、正規の状態で登録し直す覚悟が必要です。

3. 【金・コストの要件】白ナンバーとの維持費の違い

ここが最も重要で、かつ多くの社長様が驚かれるポイントです。
「許可を取るための1,500万円」の話ではなく、「許可を取った後のランニングコスト」の話です。

白ナンバーのダンプと、緑ナンバーのダンプでは、維持費の構造が劇的に変わります。

① 任意保険料の跳ね上がり

建設業で使用する白ナンバーダンプの任意保険料と、運送業で使用する緑ナンバーダンプの任意保険料は、料率クラスが全く異なります。
一般的に、緑ナンバーに切り替えると、保険料は1.5倍〜2倍近くに跳ね上がるケースが多いです。

これは、運送業の方が「走行距離が長く、事故リスクが高い」とみなされるためです。
事業計画を立てる際は、今の保険料のままで計算していると、後で収支が合わなくなります。

② 3ヶ月点検の義務化

建設機械(ユンボなど)は年1回の特定自主検査を行いますが、緑ナンバーのトラックには「3ヶ月ごとの定期点検(3ヶ月点検)」が義務付けられます。
車検(1年ごと)とは別に、年に3回、整備工場などで点検を受け、記録簿を保存しなければなりません。
この整備費用も、台数が増えれば馬鹿にならないコストです。

4. 【組織の要件】「一人親方」でも許可は取れる?

建設業では一人親方(個人事業主)として活躍されている方も多いですが、運送業許可は個人でも取れるのでしょうか?

制度上は可能だが、現実は厳しい

結論から言うと、個人事業主でも申請は可能です。
しかし、以下の条件を「一人」で満たすことは物理的に不可能です。

  • 車両5台以上: 5台のトラックを個人で所有またはリースする信用力が必要です。
  • 運転者5名以上: 自分以外に4名のドライバーを雇用し、社会保険に加入させる必要があります。
  • 運行管理者: 原則としてドライバーと兼務できないため、運転しない管理者を雇うか、奥様などに資格を取ってもらう必要があります。

「法人化」が現実的な選択肢

「一人親方が、仲間を集めて運送業を始めたい」というご相談をよく頂きますが、この場合は「法人化(株式会社または合同会社の設立)」を強くお勧めします。

法人化することで、社会保険の適用がスムーズになり、対外的な信用力も上がります。
また、建設業許可も法人成り(許可換え)する必要がありますが、当事務所なら建設・運送・法人設立をセットでサポート可能です。

5. 【実務の要件】建設業の「常識」が通じない世界

最後に、許可要件ではありませんが、建設業者が最も苦労する「文化の違い」についてお伝えします。
それは、「帳票類(書類管理)の厳しさ」です。

「日報」と「点呼」の精度

建設現場では、「日報は週末にまとめて書く」「朝礼で顔を見たらOK」という運用がまかり通っていることもあるかもしれません。
しかし、運送業ではそれは「行政処分(営業停止)」の対象になります。

  • 点呼記録簿: 「何時何分に、誰が、誰に対して、アルコール検知器の数値がいくつで、どんな指示をしたか」を、乗務前と乗務後に毎日記録しなければなりません。
  • 運転日報: 「休憩地点、休憩時間、積んだ荷物の重量」などを正確に記載する必要があります。

「面倒くさい」では済まされません。この管理体制を作れるかどうかが、運送業参入の最大の「要件」と言っても過言ではありません。

6. 【資金の要件】建設業許可の「資産」を活かす

運送業許可には約1,500万円〜2,500万円程度の資金証明(残高証明)が必要です。
ここで、建設業者様には大きなアドバンテージがあります。

一般的な起業家は、この資金を集めるために奔走しますが、建設業許可(特に特定建設業)をお持ちの会社様は、すでに財務基盤がしっかりしているケースが多いです。

決算書の「純資産」は見られない?

誤解されがちですが、運送業許可の資金要件は「決算書の純資産額」ではなく、あくまで「申請時点の預金残高」で見られます。
いくら会社に資産(重機や不動産)があっても、現金が口座になければ認められません。

しかし、建設業の実績があれば、銀行融資(運転資金)を引き出しやすいはずです。
「運送事業への新規参入」という事業計画書を作成し、許可申請のタイミングに合わせて融資を実行してもらい、一時的に口座残高を確保する。このスキームが使えるのが建設業者の強みです。

まとめ:要件クリアは「ゴール」ではなく「スタート」

いかがでしたでしょうか。
建設業者が運送業許可を取るための要件は、一般の物流会社とは攻略法が異なります。

【建設業者のための攻略ポイント】

  • 土地: 調整区域の資材置き場を、農地法と都市計画法をクリアして車庫にする。
  • 車両: 手持ちのダンプのリース契約期間と構造変更を確認する。
  • コスト: 保険料アップと3ヶ月点検の費用を織り込んだ事業計画を立てる。
  • 人・組織: 現場監督を管理者にし、必要なら法人化して体制を整える。

これらは「面倒な壁」に見えるかもしれません。
しかし、この壁を乗り越えた先には、「自社のダンプで堂々と運賃を稼げる」「雨の日でも売上が立つ」という、建設業者にしかできない特権的なビジネスモデルが待っています。

では、具体的にどうやってその「特権」を活かし、利益を最大化するのか?
手持ちの資産を流用して、許可取得コストを極限まで下げる戦略とは?

その答えは、以下の記事で詳しく解説しています。
「ただ許可を取るだけでなく、儲かる仕組みを作りたい」という社長様は、必ず続けてお読みください。

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