【結論】軽貨物の開業失敗とは?
軽貨物開業の失敗とは、不当なリース契約や事業用保険の未加入により、売上があっても利益が出ず、法的制裁や借金苦に陥る状態を指します。
正しい届出と契約知識で、このリスクは100%回避可能です。

軽貨物運送の実績多数 行政書士の小野馨です。
今回は【軽貨物 開業 失敗】についてお話します。
「月収50万円可能」
「スマホ一つで即開業」
ネットやSNSには、軽貨物ドライバー募集の甘い言葉が溢れています。
しかし、私の事務所に相談に来られる方の多くは、「稼げない」のではなく「手元にお金が残らない」という、構造的な地獄に陥っています。
注意ポイント
なぜなら、彼らはハンドルの握り方は知っていても、「不利な契約書(リース・業務委託)」の見抜き方を知らなかったからです。
軽貨物事業は、スタートラインに立つ前の「準備」で、その後の3年間の勝敗がすべて決まります。
本記事では、5000社以上の支援実績を持つ行政書士が、ネット上の「稼げる噂」を法務的視点で斬り込み、2026年の法改正にも対応した「絶対に失敗しないための防衛策」を公開します。
アクセルを踏む前に、まずはブレーキの点検をしましょう。
特に「リース契約」には要注意です。安易にサインをすると、辞めたくても辞められない「違約金地獄」が待っています。知識という武器を持たずに契約するのは、丸腰で戦場に行くのと同じです。
この記事でわかる4つのポイント
- ✅ 悪夢の「リース契約」と中古車購入の損益分岐点
- ✅ 自家用保険では破産する?「事業用保険」の審査実態
- ✅ 売上50万でも貧困?経費と税金を引いた「真の手取り」
- ✅ 違法営業にならないための「黒ナンバー」届出の急所
黒ナンバーの全体像知りたい方は、「軽貨物運送業の開業・黒ナンバー取得完全マニュアル」をご覧ください。
軽貨物開業で「9割が失敗する」致命的な3つの勘違い
多くの開業者は、個人事業主になることが「自由」を得ることだと考えがちですが、法律上は「無限責任」を負う事業者になることを意味します。
特に危険なのが、売上(入金額)をそのまま「自分の給料」と錯覚することです。
ココがダメ
そこから車両リース代、ガソリン代、修繕費、そして消費税・所得税が引かれたとき、手元に生活費が残らないケースが後を絶ちません。
ここでは実務現場で目撃してきた、再起不能になる前に知っておくべき「金銭・保険・数字」の3つの構造的な落とし穴を解説します。

【金銭の罠】「新車リース」と「フランチャイズ」の搾取構造
開業資金が少ないドライバーにとって、「頭金0円・審査なし・月々3万円」で新車の黒ナンバー車両が手に入るリース契約は、救世主のように見えます。しかし、行政書士として断言します。
安易なリース契約は、あなたの事業を「赤字でも辞められない強制労働」に変える法的拘束具です。
なぜなら、商用車のリースの多くは「ファイナンス・リース」という契約形態をとっており、これは実質的に「借金をして車を買うこと」と何ら変わりがないからです。
1. 「中途解約」という名の地獄
レンタカーのように「仕事が辛いから来月で返します」ということは、法律上できません。
ファイナンス・リース契約には、通常「中途解約禁止条項(ノンキャンセラブル)」が含まれています。
もし、病気や怪我、あるいは「稼げない」という理由で解約を申し出た場合、以下の金額を「一括」で請求されます。
【解約時の請求額(例:5年リース・月3.5万円・6ヶ月で解約)】
- 残りの期間(54ヶ月分)のリース料:189万円
- 規定損害金(解約手数料):約10万円〜
- 合計請求額:約200万円(即金払い)
車両を返却しても、この債務は消えません。
手元に車も仕事もなく、ただ200万円の借金だけが残る。これが「リース契約の罠」の正体です。
2. 「仕事紹介付き」フランチャイズの落とし穴
「加盟金50万円を払えば、月収50万円の仕事を保証する」というフランチャイズ(FC)勧誘にも警戒が必要です。
契約書をよく読むと、多くの場合「仕事の紹介は努力義務であり、売上を保証するものではない」と記載されています。
注意ポイント
さらに、指定車両(割高なリース)の契約や、指定ユニフォームの購入、毎月のロイヤリティ(システム利用料等)が義務付けられ、売上が上がらなくても固定費だけで毎月10万円近くが消えていくケースが散見されます。
3. 【徹底比較】リース vs 中古車購入
事業を継続させるためには、「固定費」を極限まで下げる必要があります。以下の比較表を見て、冷静な判断を下してください。
| 項目 | 新車リース(5年) | 中古車購入(現金/ローン) |
|---|---|---|
| 総支払額 | 約250万円〜 (月4万×60回+諸費用) |
約40〜80万円 (走行5万km程度の良車) |
| 所有権 | リース会社 (支払後は買取等の条件あり) |
自分(資産になる) |
| 解約リスク | 違約金による借金地獄 | 売却して現金化が可能 |
| 審査難易度 | 甘い(罠への入り口) | 銀行ローンは厳しい (現金なら不要) |
💡 行政書士の現場メモ(失敗回避の知恵)
過去に相談を受けた20代の男性は、「審査なし」の言葉に惹かれて月額4万円のリース契約を結びました。
しかし、配送エリアが過疎地でガソリン代がかさみ、3ヶ月で資金ショート。
辞めようにも「残債200万円の一括払い」を求められ、結果として親御さんが老後の貯金を崩して肩代わりすることになりました。
最初はボロボロの中古車(30万円程度)で十分です。見栄を張らず、まずは「自分の所有物」で小さく始めること。
これが鉄則です!

【保険の罠】自家用保険では「1円も出ない」法的現実
「黒ナンバーに変えたけど、保険は今までのままでいいや」
この判断をした瞬間、あなたは「無保険車」で公道を走っているのと同じ状態になります。
もし事故を起こせば、相手への賠償も、自分の車の修理費も、すべて自腹となり、その瞬間に事業は廃業、人生は借金返済のみに費やされることになります。
1. 「用途変更」を甘く見てはいけない
自動車保険(任意保険)には、「使用目的」という厳格な区分があります。
黄色ナンバー(自家用)の保険は、あくまで「日常・レジャー」や「通勤」のリスクを想定して設計されています。
注意ポイント
これを黙って黒ナンバー(貨物軽自動車運送事業)で使用し、事故を起こした場合、保険会社は「告知義務違反」として契約を即時解除し、保険金の支払いを拒否する正当な権利を持っています(保険法第28条等)。
「知らなかった」という言い訳は、法律の世界では一切通用しません。
2. 「入りたくても入れない」審査の壁
さらに深刻なのは、黒ナンバー用の「事業用自動車保険」は、誰でも加入できるわけではないという事実です。
事業用は走行距離が長く事故率が高いため、保険会社の審査が非常に厳しくなっています。
- ❌ 年齢条件の壁: 21歳未満(場合によっては26歳未満)の引き受けを拒否する会社が多い。
- ❌ 等級の壁: 新規加入は6等級(S)からスタートだが、過去に事故歴がある場合、加入を断られるケースがある。
- ❌ 保険料の壁: 相場は自家用の2〜3倍(月額1.5万〜3万円程度)。この固定費を計算に入れていないと、資金繰りは一瞬で破綻します。
💡 行政書士の現場メモ(失敗回避の知恵)
「車を買って、届出も出した。さあ明日から稼働だ!」という段階で、保険会社から「あなたの年齢では加入できません」と断られ、立ち往生する相談者が後を絶ちません。
黒ナンバー取得の手続きをする前に、必ず複数の保険代理店に見積もりを取り、「加入審査」を通しておくこと。これがプロの鉄則です。
※ネット型保険(ダイレクト系)の多くは黒ナンバーを引き受けていません。必ず対面型の代理店を探す必要があります。

【数字の罠】売上50万でも「手取り18万」のカラクリ
「月商50万円!サラリーマンの給料を超えました!」
SNSでよく見るこの手の報告を、絶対に額面通りに受け取ってはいけません。
会社員にとっての「給料(手取り)」と、個人事業主にとっての「売上」は、経済的な意味が全く異なるからです。
多くの脱サラドライバーが陥るのは、入金された50万円をすべて自分の生活費として使ってしまう「ドンブリ勘定」です。
しかし、そのお金の半分以上は、あなたのものではありません。
1. 利益を削り取る「ランニングコスト」の現実
軽貨物事業は、走れば走るほど経費がかさむビジネスです。特に燃料費の高騰は利益を直撃します。
以下は、一般的な宅配ドライバー(月25日稼働・走行3,000km)のリアルな収支モデルです。
| 項目 | 金額(概算) |
|---|---|
| ① 月間売上(入金額) | 500,000円 |
| 事務手数料・ロイヤリティ(15%) | ▲ 75,000円 |
| ガソリン代(300L×180円) | ▲ 54,000円 |
| 車両費(リース・保険・駐車場) | ▲ 65,000円 |
| 整備積立・通信費・雑費 | ▲ 20,000円 |
| ② 事業所得(① - 経費) | 286,000円 |
この時点で、すでに手元には28万円しか残っていません。
しかし、ここからさらに「税金と社会保険」という、逃れられない徴収が始まります。
2. 会社員時代には見えなかった「天引き」の重み
会社員なら会社が半分負担してくれていた社会保険料も、個人事業主は「全額自己負担」です。
さらに2023年10月以降、インボイス制度により消費税の納税義務も発生しています(課税事業者選択時)。
- 🔴 国民健康保険・国民年金: 約45,000円(※自治体・所得による)
- 🔴 所得税・住民税(積立): 約30,000円
- 🔴 消費税(インボイス): 約25,000円(※簡易課税等考慮)
- 👉 最終的な「真の手取り」:約 186,000円
これが現実です。ボーナスも有給休暇もありません。病気で休めば収入はゼロになります。
「売上=給料」という錯覚を捨て、「経費率」と「税金」を計算できない人は、半年以内に資金繰りに行き詰まり廃業します。
💡 行政書士の現場メモ(失敗回避の知恵)
「確定申告の時期になって、納税資金がなくてパニックになる」
これが駆け出しドライバーの3月に最も多い相談です。
対策は一つだけ。
「売上の30%は、別の口座に移して絶対に手を付けないこと」
これを毎月実行できるかどうかが、経営者として生き残るための最初の試金石です。
【届出編】自分で手続き(DIY)して「違法状態」になるリスク
確かに、運輸支局の窓口に行けば、誰でも無料で届出書を提出することは可能です。
しかし、プロが代行する本当の価値は「書類作成」ではなく、「登録要件の法的適合性チェック」にあるんですね。
ご自身で手続きされた方の中に、知らず知らずのうちに「虚偽の届出」を行い、いわゆる「車庫飛ばし」や「違法登録」の状態になっているケースが散見されます。
注意ポイント
これらは、後の監査や警察の取り締まりで発覚した場合、ナンバープレートの没収(事業停止)や、最悪の場合は刑事罰の対象となります。
「通れば官軍」ではなく、「通った後に爆発する時限爆弾」を抱えないよう、正しい法のルールを知ってください。

「使用の本拠」と「営業所」のズレによる車庫飛ばし
軽貨物運送事業の届出において、最も多くの人が犯す致命的なミスが、「営業所(自宅)」と「駐車場(車庫)」の距離規定違反です。
ポイント
法律上、車庫は原則として「営業所(使用の本拠の位置)から直線距離で2km以内」になければなりません。
しかし、DIYで手続きをする方は、このルールを無視して「契約しやすい遠くの安い駐車場」を借りてしまうことがあります。
1. 「バーチャルオフィス」登録の罠
「自宅の住所を公開したくない」「都心ナンバー(品川・世田谷など)が欲しい」という理由で、実体のないバーチャルオフィスや私書箱を「営業所」として届け出ることは認められません。
貨物軽自動車運送事業における営業所は、「実際に点呼や運行管理が行われる場所」である必要があります。
実態のない住所でナンバーを取得した場合、それは立派な「公正証書原本不実記載(車庫飛ばし)」の教唆または実行となり、逮捕者も出ている犯罪行為です。
2. 引っ越し後の「変更届」忘れ
事業開始後に引っ越しをした際、住民票だけ移して、運輸支局への「変更届(住所変更・車庫変更)」を忘れるケースも多発しています。
車検証の住所と現住所が一致していない状態は、道路運送車両法違反となるだけでなく、前述した通り「事故発生時に保険金が支払われない」原因のトップに入ります。
💡 行政書士の現場メモ(失敗回避の知恵)
以前、「自宅の駐車場が狭いので、実家(車で30分の距離)を車庫として登録したい」という相談がありました。
気持ちは分かりますが、2kmを超えているため、そのままでは受理されません。
この場合、実家を「営業所」として登録し、ご自身が実家で運行管理を行う形をとるか、2km圏内で月極駐車場を探す必要があります。
「バレなきゃいい」で申請すると、近隣通報やパトカーの職務質問で必ず発覚します。
嘘のない届出こそが、最強の防衛策です。

車検適合と最大積載量の誤認(構造変更の落とし穴)
「乗用車(5ナンバー)の軽ワゴンを、黒ナンバー(4ナンバー)に変えて仕事に使いたい」
この場合、単なる書類上の変更ではなく、車両の実態を変える「構造変更検査」が必要になります。
ここで多くのDIYユーザーが不合格となります。
最大の関門は「荷室要件」です。
注意ポイント
貨物車として登録するためには、後部座席を倒した状態(または撤去)で、「荷室の床面積が、乗車設備(運転席側)の床面積より広いこと」が義務付けられています。
人気のハイトワゴン(N-BOXやスペーシア等の乗用モデル)は、快適性を重視して座席スペースを広く取っているため、後部座席を完全に撤去するか、固定金具で二度と起き上がらないように加工しない限り、この基準をクリアできないケースが多々あります。
また、タイヤにも注意が必要です。
規制緩和により乗用タイヤでも車検に通るケースは増えましたが、あくまで「最大積載量(350kg)を積んだ状態での負荷能力(ロードインデックス)」を満たしていることが条件です。
安い乗用タイヤのまま車検場に行き、強度不足で落とされるのは、素人によくある失敗です。
💡 行政書士の現場メモ
「最大積載量350kg」は必ず取れるわけではありません。
重い棚や装飾を取り付けると車両重量が増え、その分だけ積載量が300kg、250kgと減らされます。
荷主によっては「積載350kg必須」という条件を出すところもあるため、不用意なカスタムは禁物です。

生存戦略:2026年以降も生き残る「経営者」の思考法
「営業とか契約とか面倒くさい。アプリの通知に従って荷物を運ぶだけじゃダメなの?」
はっきり申し上げます。
アプリの指示に従って運ぶだけのスタイルは、確かに楽ですが、それは経営者ではなく「都合の良い調整弁」に過ぎません。
2026年以降、物流業界は人手不足と言われていますが、同時に「誰でもできる仕事」には安価な労働力が殺到し、単価の暴落が始まっています。
この激動の時代に生き残るドライバーと、消えていくドライバーの差は、運転技術ではありません。
「特定の一社に依存していないか(リスク分散)」そして「自ら交渉して仕事を獲得できるか(商流の確保)」
この2点において、行政書士が見てきた「強い個人事業主」の共通戦略を伝授します。

プラットフォーム依存(ギグワーク)からの脱却とリスク分散
スマホアプリ一つで仕事が取れる「ギグワーク」は、開業直後のドライバーにとって強力な武器です。
しかし、売上の100%を特定のプラットフォーム(大手配送アプリ等)に依存することは、経営用語で言えば「一本足打法」であり、最も倒産リスクが高い状態です。
なぜなら、プラットフォームにおいて、あなたは「守られるべき社員」ではなく、「アルゴリズムで管理されるID」に過ぎないからです。
1. ある日突然訪れる「アカウント停止(垢BAN)」の恐怖
行政書士事務所には、「身に覚えのない理由でアカウントが停止され、来月の収入がゼロになった」という悲痛な相談が寄せられます。
プラットフォームの規約は絶対です。
「お客様からのクレーム」「誤配率の上昇」、あるいは「システムの判定」により、事前通告なしにアカウントが永久停止(契約解除)されることがあります。
この時、労働基準法は適用されません。
どれだけ高評価を積み重ねていても、アプリにログインできなくなった瞬間、あなたの事業は「即死」します。新車のローンだけを残して。
2. 生き残るための「収入源ポートフォリオ(分散)」
2026年以降、賢い経営者はリスクを分散させるため、性質の異なる3つの収入源を組み合わせています。
- ① アプリ・ギグワーク(流動性):30%
隙間時間を埋めるための調整弁として利用。1つのアプリに依存せず、常に2〜3社(Amazon Flex, Uber, 出前館など)登録しておく。 - ② 定期チャーター・企業専属便(安定性):50%
「毎週月・水・金」など決まった曜日に、決まった企業の荷物を運ぶ契約。単価は抑えめだが、毎月の固定収入(ベース)を作る。 - ③ スポット・直案件(収益性):20%
「急ぎでこれを運んで!」という突発的な依頼。単価が高く、利益率を押し上げるボーナス要素。
このように、どこか一つがダメになっても、事業全体が揺るがない体制を作ること。
これこそが、ドライバーから「経営者」への脱皮です。
💡 行政書士の現場メモ(失敗回避の知恵)
「アプリのAIに振り回されて疲れた…」という方は、地域の「軽貨物協同組合」や「マッチングサイト(PickGoなど)」だけでなく、地元の運送会社に「庸車(ようしゃ=下請け)」として登録できないか営業をかけてみてください。
実は、アナログな地場の運送会社こそ、信頼できるドライバーを喉から手が出るほど欲しがっています。
アプリの画面を見つめる時間を、名刺配りの時間に変えましょう。

荷主との「直接契約」に必要な契約書とインボイス対応
下請け構造から脱却し、荷主(メーカー、問屋、ECショップ等)と直接取引ができれば、売上は一気に1.5倍〜2倍に跳ね上がります。
しかし、その代償として、あなたは「すべての法的責任」を直接負うことになります。
「口約束」で仕事を受け、トラブルが起きた瞬間に支払いを拒否される。そんな悲劇を防ぐために、プロとして武装すべき「2つの盾」について解説します。
1. 「運送委託契約書」がない取引は自殺行為
「うちは小さいから契約書なんていいよ、信頼してるし」
善良そうな荷主のこの言葉を、絶対に信じてはいけません。
トラブルが起きた時、信頼は一瞬で消え、残るのは「損害賠償請求書」だけです。
注意ポイント
2024年11月施行の「フリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)」により、発注者は取引条件を書面(またはメール等)で明示する義務を負いました。
つまり、契約書を交わすことは、今や法的な義務なのです。
行政書士として、契約書に必ず盛り込むべき「命を守る3つの条項」を伝授します。
🛡️ トラブル回避のための必須条項(チェックリスト)
- ① 損害賠償の範囲と上限:
「一切の損害を賠償する」という記述は危険です。貨物保険の限度額(例:300万円)を上限とする旨や、天災・不可抗力(地震や台風による遅延)の免責を必ず明記させます。 - ② 待機料金(荷待ち時間)の請求:
「到着後30分を超える待機については、15分ごとに〇〇円を請求する」と明記します。これを書かないと、何時間待たされてもタダ働きになります。 - ③ 燃料サーチャージ条項:
昨今のガソリン価格高騰に対応するため、「リッター〇〇円を超えた場合、運賃に〇%上乗せする」という自動改定ルールを設けます。
2. インボイス登録は「法人取引」の入場チケット
2026年現在、企業間取引(B2B)において、インボイス(適格請求書)を発行できない事業者は、事実上「取引停止」か「消費税分の値引き」を強要される局面にあります。
「免税事業者のままでいたい」という気持ちは分かりますが、直接契約を目指すなら、課税事業者になることは避けて通れない「必要経費」です。
3. 【秘策】「簡易課税制度(第4種)」で手残りを最大化する
恐れる必要はありません。軽貨物運送業(個人事業主)には、消費税の負担を大幅に減らせる抜け道(特例)が存在します。
それが「簡易課税制度」です。
運送業は「第4種事業」に分類され、売上の60%を経費(みなし仕入)として計算できます。
実際の経費が60%より少なくても、この計算式を使えます。
【節税シミュレーション(売上880万円・税抜800万円の場合)】
受け取った消費税:80万円
A. 本則課税(まともに計算)の場合:
実際の経費にかかった税金を引く。ガソリン代などが少ないと、50万円以上納税することになる場合も。
B. 簡易課税(第4種・みなし仕入率60%)の場合:
80万円 × (100% - 60%) = 32万円
👉 簡易課税を選ぶだけで、約20万円近くも手元に残る現金が増えます。
※事前の届出が必要です。確定申告直前には変更できません。
このように、「法律」と「税制」を知っているだけで、守れる利益は何十万円も変わります。
行政書士や税理士といったプロを味方につける本当のメリットは、ここにあります。
💡 行政書士の現場メモ(交渉の裏技)
荷主に「契約書を結んでください」と言うと、「面倒くさい」と断られるのがオチです。
そこで、「私の方で雛形(案)を作ってきましたので、ご確認いただけますか?」と、すでに製本された契約書を差し出してください。
相手は内容を確認してハンコを押すだけ。
これなら断られません。
しかも、作成者があなた(行政書士監修)である以上、「あなたに有利な条項」を自然に盛り込むことができます。
これが、ビジネスにおける主導権の握り方です。

【出口戦略】将来の「法人化」と「一般貨物」を見据えた準備
「会社にするなんて面倒だし費用もかかる。一生このまま、気楽な一人親方じゃダメなの?」
もちろん、生涯現役ドライバーとしてハンドルを握り続けるのも一つの生き方です。
しかし、加齢による体力の低下や、万が一の怪我で走れなくなった時、個人事業主の収入は即座に途絶えます。
賢い起業家は、軽貨物事業を「将来の運送会社を作るための資金作り」と捉えています。
黒ナンバー(軽貨物)で実績と資金を作り、法人化して社会的信用を得て、最終的には緑ナンバー(一般貨物)を取得してトラックを増やし、ドライバーを雇って「経営」に回る。
この「黄金のロードマップ」を描けるかどうかが、10年後に笑っているか、疲弊しきっているかの分水嶺となります。

個人事業主から「会社設立(法人成り)」するタイミング
「そろそろ会社にした方がいいですか?」
この質問に対し、以前は「売上が1,000万円を超えたら」と答えるのがセオリーでした。
しかし、インボイス制度で消費税免税のメリットが薄れた今、判断基準はよりシビアな「利益」と「信用」の2点にシフトしています。
1. 【経済的基準】課税所得(利益)600万円の壁
法人化すると、役員報酬を経費にできたり、社宅扱いで家賃を経費化できるメリットがある反面、「社会保険(厚生年金・健康保険)」の会社負担分が重くのしかかります。
私の試算では、売上から経費を引いた「手残りの利益(課税所得)」が600万円を超えたあたりが、個人事業税や累進課税の所得税を払うよりも、法人税(実効税率約23%〜)を払った方が有利になる分岐点です。
逆に言えば、利益が少ないうちに形だけ法人化しても、均等割(赤字でも年7万円の税金)や税理士顧問料で固定費が増えるだけです。
2. 【戦略的基準】「人」を雇う時と「緑」を目指す時
数字以上に重要なのが、対外信用の獲得です。以下のフェーズに来たら、税金の損得に関わらず法人化を決断すべきです。
- ✅ ドライバーを雇用する時:
「社会保険完備」でない求人には、まともな人材は来ません。組織化するなら法人は必須です。 - ✅ 大手荷主と直契約する時:
コンプライアンス規定により「法人とのみ契約する」という企業は依然として多いです。 - ✅ 一般貨物(緑ナンバー)を目指す時:
許可申請には500万円以上の資金証明が必要です。法人の決算書で内部留保(利益剰余金)を積み上げていくことが、最も確実な審査対策となります。
3. 「株式会社」か「合同会社」か
コストを抑えたいなら、迷わず「合同会社(LLC)」をお勧めします。
株式会社の設立実費が約20万〜24万円かかるのに対し、合同会社なら約6万円〜で設立可能です。
社会的信用に大差はなく、AmazonやAppleの日本法人も合同会社です。
また、設立時の定款作成において「電子定款」を利用すれば、紙の定款にかかる印紙税4万円を0円にできます。
ここでも知識の差が現金(コスト)の差に直結します。
💡 行政書士の現場メモ(プロの推奨)
「とりあえず法人化したい」という方には、小さく始めて大きく育てる「合同会社設立」を提案しています。
将来、どうしても「株式会社」の肩書きが必要になれば、後から「組織変更」の手続きも可能です。
まずは見栄を張らず、キャッシュ(現金)を残す選択をしてください。
定款の「事業目的」に隠された拡大の鍵
会社を作る際、定款の「事業目的」の欄に何を書いていますか?
もし、「貨物軽自動車運送事業」としか書いていないなら、あなたは将来、最低でも3万円(登録免許税)をドブに捨てることになります。
なぜなら、事業が軌道に乗り、いざ「トラック(緑ナンバー)を増やしたい」や「荷主の荷物を一時保管したい」と思った時、定款にその事業が入っていなければ、許可申請は降りないからです。
後から目的を追加するには、法務局での変更登記が必要となり、登録免許税3万円+専門家報酬がかかります。
行政書士として、設立時の定款に「絶対に最初から入れておくべき文言」をリストアップします。
これらは今はやっていなくても、入れておいて何ら損はありません。
✅ 運送会社のための「最強の事業目的」セット
- 一般貨物自動車運送事業(将来、緑ナンバーを取るために必須)
- 貨物利用運送事業(同業者に荷物を振ってマージンを得るために必須)
- 倉庫業(荷物の保管・管理業務を行うため)
- 梱包および発送業務の請負業(物流加工全般をカバー)
- 古物営業法に基づく古物商(中古トラックや車両の売買を行うため)
定款は、会社の憲法であり、未来の設計図です。
目先の軽貨物だけでなく、10年後に「総合物流企業」になっている自分を想像して、言葉を選んでください。
💡 行政書士の現場メモ
「何でもかんでも入れておけばいい」と、関連性のない事業(飲食、FX、仮想通貨など)を羅列するのはNGです。
銀行融資の際、「この会社は何が本業なのか?」と不審がられ、審査でマイナスになることがあります。
あくまで「物流・運送」の周辺領域で固めるのが、プロの定款設計です。

まとめ:軽貨物は「安易な逃げ道」ではない。経営者としての第一歩だ
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
厳しい現実ばかりをお伝えしましたが、それは私が行政書士として、「準備不足で散っていく起業家」をこれ以上見たくないからです。
ココがおすすめ
軽貨物運送業は、正しい知識と戦略さえあれば、学歴や職歴に関係なく、自分の腕一本で人生を切り拓ける素晴らしいビジネスです。
失敗する9割の人は、「楽をして稼ぎたい」と考えます。
成功する1割の人は、「リスクを計算し、法的武装をして挑もう」と考えます。
あなたはどちらの道を選びますか?
もし、後者の道を歩む決意ができたなら、その最初の「法的武装(定款・契約書)」作りは、私たち専門家にお任せください。
- 神戸の黒ナンバーの取得が、地域最安値27500円(税込み)でプロに頼みたい方は1番わかる「神戸の黒ナンバーの取り方」の完全ガイド
- 運送業許可の全体像を知りたい方は、「運送業許可の完全ガイド」をご覧ください。
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| ホワイト物流宣言 登録・策定支援 | 30,000円〜 |
| 巡回指導・監査対策(模擬監査) | 100,000円〜 |
※上記金額は税別表記です。
※登録免許税、証紙代、交通費、証明書取得費等の実費は別途必要となります。
※案件の難易度や事業規模により変動する場合がございます。正式なお見積もりはヒアリング後にご提示いたします。
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