運送業の経営・管理

物流統括管理者(CLO)の選任|対象判定・届出期限・社内規程の具体案

物流統括管理者(CLO)は、特定荷主・特定連鎖化事業者が、事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者から選任する責任者です。2026年4月から選任義務が始まっています。運送事業者や倉庫業者を含む「特定事業者」全員が、CLOの選任対象になるわけではありません。

こんにちは。行政書士の小野馨です。この記事では、自社の対象判定、貨物重量の算定、CLOの人選、社内規程の具体案、選任後の計画・報告までを順番に整理します。物流担当者一人に書類を任せるのではなく、営業・調達・生産・情報システム部門が動ける体制を作りましょう。

最初に区別する期限:指定のための貨物重量の届出は原則5月末、CLOは指定後速やかに選任し、選任・解任したときは遅滞なく届出を行います。「5月末に指定届とCLO届を必ず同時提出する」という制度ではありません。2026年度の初回中長期計画は10月末、初回定期報告は2027年7月末が案内されています。

運送会社側の許可・営業体制を確認したい方は、運送業許可の要件と手続きの全体像もご覧ください。荷主としてのCLOと、運送事業の運行管理者などの資格・選任は別制度です。

  • 第一種・第二種を分けた「年間9万トン」の判定例
  • 取扱貨物重量の8つの算定方法と根拠資料の残し方
  • CLOの管理的地位と、社内で決める権限・規程の条文案
  • 中長期計画・定期報告、罰則・企業名公表の区別

2026年4月施行の物流効率化法とCLO選任義務

現在の法律名は「物資の流通の効率化に関する法律」です。2025年4月には荷主等に物流効率化の努力義務が導入され、2026年4月には一定規模以上の特定事業者に計画・報告等の義務が追加されました。

このうちCLO選任の対象は、特定荷主と特定連鎖化事業者です。トラック運送事業者の150台、倉庫業者の保管量70万トンという指定基準と、荷主の9万トンの基準を混ぜないでください。運送会社でも、別の立場で荷主に該当する取引があれば、その取引に即して判定します。

CLOは、物流を現場だけの課題にせず、発注量、納品条件、調達日程、設備投資などの経営判断につなげる役割を担います。営業部門が顧客へ約束した短納期を物流部門が後から調整するだけでは、荷待ちや頻回配送を減らしにくいためです。

法定の対象・要件は国のCLO選任案内、事業者の区分は特定事業者の指定案内で確認できます。

CLO選任・届出のスケジュール:5月末と指定後の手続きを分ける

特定荷主・特定連鎖化事業者の主な手続き
時期 必要な対応 確認すること
対象年度の貨物量を把握 第一種・第二種・連鎖化事業者の該当性と重量を判定 2026年度の初回判定では、2025年4月~2026年3月の実績を確認。会社の決算期と区別
原則5月末 基準重量以上の場合、指定に係る届出 自社から届出を行い、行政による指定を受ける。初回届出の未対応があれば直ちに所管へ相談
指定後速やかに CLOを選任 指定通知・社内の意思決定・選任日を確認。人選を後回しにしない
選任・解任後遅滞なく 氏名・役職等の届出 原則として電子申請。2026年度は中長期計画提出前の届出を確認
2026年10月末 初回の中長期計画を提出 荷主・連鎖化事業者の様式第3など、該当する様式を使用
2027年7月末から毎年度 定期報告を提出 荷主・連鎖化事業者の様式第5などにより前年度の取組等を報告
2027年度以降の中長期計画 原則毎年度7月末。内容に変更がなければ5年に一度 計画を提出し直さない年度も、定期報告まで不要になるわけではない

期限が行政機関の休日に当たる場合の取扱いや提出先は、最新の所管省庁の案内で確認してください。2026年10月24日時点で、既に指定を受けたのに選任・届出が済んでいない場合は、来年5月まで待たず、指定通知と現在の対応状況を整理して所管へ相談します。

公式説明資料では、指定後の選任と届出、中長期計画提出までの対応が区分されています。国の説明会資料を参照してください。社内では、候補者の調整と職務分掌の確認を指定前から進めると、選任後の遅れを防ぎやすくなります。

CLOに就任するだけで、会社登記の変更が一律に必要になるわけではありません。新たな取締役の選任等を伴う場合と、既存役員・経営幹部の職務を割り当てる場合を分け、会社の定款・決裁規程に従って手続きします。

自社は対象か:年間9万トンの判定と第一種・第二種の区分

特定荷主は、前年度の対象貨物の重量が年間9万トン以上かどうかで判定します。9万トンちょうども含みます。発送量だけを数える、購入額だけで対象外と決める、といった判断は避けましょう。

第一種荷主・第二種荷主は、発荷主・着荷主と完全に同じ分類ではありません。第一種は、自社の事業について継続して運送契約を結ぶ立場です。第二種は、運送契約を結ばず、継続して運転者との間で貨物の受渡しをする立場です。第二種については受渡し日時等の指示に関する法令上の条件・除外も確認します。実際の契約と受渡しの関係から判断してください。

第一種と第二種の重量は、それぞれで判定する

メーカーが自ら運送を委託して製品を出荷する場合と、他社が運送契約を結んだ原材料を受け取る場合では、同じ会社でも取引ごとの立場が異なります。第一種と第二種の重量を単純に合算して9万トン判定することはしません。

対象判定の仮定例
企業例 第一種としての重量 第二種としての重量 判定
A社・製造業 10万トン 3万トン 第一種の区分で指定対象
B社・卸売業 5万トン 5万トン 合計10万トンでも、両区分とも9万トン未満。この例では特定荷主の指定対象外
C社・小売業 1万トン 9.5万トン 第二種の区分で指定対象
D社・境界例 9万トン 2万トン 第一種の区分で指定対象。「超える」場合だけではない

この表は、各取引の荷主区分と算定対象を正しく整理できていることを前提とした例です。指定対象外でも、荷主としての物流効率化の努力義務までなくなるわけではありません。

「着払いだから第一種」「送料込みで買ったから必ず第二種」とは決められません。運賃の支払者だけでなく、誰が運送契約を締結し、誰が運転者と受け渡すかを確認します。基本契約、運送依頼、納品条件、受渡し場所の管理者を取引別に一覧化してください。

フランチャイズ本部等の連鎖化事業者は、別の法定区分です。契約・約款等に基づく加盟者への指示内容などから該当性を確認し、その制度の対象となる貨物重量を算定します。「フランチャイズだから全貨物を無条件に合算」「第一種と第二種を合算してよい例外」とは扱いません。荷主としての取引もある場合は、それぞれの区分を確認します。

取扱貨物重量の8つの算定方法と使い分け

すべての貨物を新たに計量し直す必要はありません。ERP・WMS・販売管理・購買管理のデータや運送契約などから、公式の方法に沿って算定できます。第一種荷主に係る8方法は、次のように整理できます。第二種・連鎖化事業者は、それぞれに対応する命令・省令・手引きで確認してください。

第一種荷主の重量算定:公式8方法の整理
方法 計算の考え方 残しておく根拠
1.実測 対象貨物を計量して集計 計量記録、対象期間、単位
2.単位重量×数量 対象貨物の1個・1箱等当たりの重量に数量を掛ける 商品マスター、重量の確認資料、出荷数量
3.容積から重量へ換算 対象貨物の容積を重量に換算 貨物に合った換算係数とその根拠
4.車両の積載量×台数 対象貨物の運送に係る車両の最大積載量又は平均積載量に台数を掛ける 車種、台数、積載量の把握方法、混載等の扱い
5.売上額・仕入額による換算 対象貨物の売上額又は仕入額を、対象貨物の単位重量当たりの額で割る 金額の範囲、単価・換算係数の根拠、対象商品の対応
6.おおむね一致する受渡し重量を使用 第二種としての対象重量と第一種としての対象重量がおおむね一致する場合、受渡し重量を委託重量とみなす 一致すると判断できる取引の流れと集計資料
7.契約に定めた重量 運送・売買等の契約で定めた重量を、運送ごとに区別して算定 契約書、対象運送の識別情報、重複を除く記録
8.その他の適確な算定方法 1~7では算定が困難と認められる場合に、適確に算定できる方法を使用 既存方法で困難な理由、推計の合理性、確認記録

算定方法の根拠は、特定荷主の対応手引きでも確認できます。

公式の8方法は、「実測・数量・容積・車両・売上・サンプル・連鎖化特例・独自方式」という内訳ではありません。サンプル調査を使う場合も、測定期間が繁閑差を代表しているかなどを説明し、上記のどの方法として適切かを確認します。

売上換算は、会社全体の売上高に任意の係数を掛ければよいわけではありません。例えば対象貨物の売上が1億円、対応する単位重量当たりの額が10万円/トンと合理的に確認できる場合、1億円÷10万円/トン=1,000トンとなります。物流センサスの出荷原単位等を参考にする場合も、自社の貨物・取引に合うかを確認してください。

取扱貨物や事業に応じて算定方法を使い分け、同じ荷主区分の重量を集計することは可能です。「第一種と第二種を合算しない」ことと、「複数拠点や複数算定方法の数値を集計できない」ことは別です。大口は契約重量、小口は商品重量×数量など、どの取引をどの方法で数えたかが分かるようにします。

公式資料では、指定届における具体的な重量数の記載は任意とされ、明らかに9万トン以上なら細かな数値の記載が必須とはされていません。ただし対象区分の判定や今後の計画・報告のため、計算根拠は整理しておきましょう。除外できる郵便物・信書便物・一定の特別宅配貨物・軽量資材等にも条件があるため、小口貨物を一括して除外しないでください。

社内の「物流重量算定マニュアル」に残す項目
項目 具体的に記録する内容
集計範囲 事業者、拠点、対象年度、第一種・第二種・連鎖化の区分
抽出条件 ERP・WMS等の対象伝票、取引先、返品・拠点間移動等の取扱い
計算式 使用方法、単位、係数の出典、重複・漏れの確認手順
確認と変更 担当者、確認者、計算日、年度間で方法を変えた場合の理由と影響
保存 元データ、計算表、契約、相談記録、提出版を対応させて管理

年度ごとに都合のよい方法へ変更して過少に見せるのではなく、変更理由を説明できるようにします。例えば5年間保存する社内ルールを設けることは検討できますが、この記事では重量算定資料すべてに一律5年の法定保存義務があるとは扱いません。他の帳簿・契約等の保存義務、計画期間、行政への説明に必要な期間も確認して保存年限を決めます。

CLOに適した職位と実質的な権限

CLOの要件は、事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にあることです。国の案内では、重要な経営判断を行う役員等の経営幹部から選任する必要があると説明されています。物流に詳しいという理由だけで、経営判断に関与できない担当者へすべて任せることは適切ではありません。

肩書だけでなく、経営判断と部門間調整への関与を確認する

取締役・執行役員等が候補になりますが、肩書だけで適否を決めるのではなく、実際の職務と意思決定への関与を確認します。逆に、CLOを置くため必ず新しい取締役ポストを作らなければならない、という意味でもありません。

CLO候補者と社内体制の確認表
確認項目 確認する資料・状況
管理的地位 役職、経営会議等への参画、事業運営上の重要な判断への関与
部門横断の調整 営業・調達・生産・在庫・物流の責任者と協議できる仕組み
計画・投資への関与 中長期計画、予約システム・荷役設備等の投資、人員配置の検討に関与できるか
実務の支援体制 データ集計・届出・定期報告の担当者、承認者、不在時の連絡先
社外との調整 仕入先、納品先、運送事業者の窓口と、交渉結果の社内共有方法
選任・届出 指定通知、選任記録、氏名・役職、選任・解任届の控え

CLOは事業者ごとに選任します。単に親会社の担当者へ外部委託すれば済むものではありません。一人が複数事業者のCLOを兼任する場合も、それぞれの事業者で要件を満たす必要があります。同じ事業者が特定第一種荷主・特定第二種荷主・特定連鎖化事業者の複数指定を受ける場合は、同じ者をCLOとして選任する扱いを確認してください。

組織図、職務分掌、決裁規程は、実際に誰が何を決めるかを社内で共有する資料になります。ただし、すべてを一律に選任届へ添付しなければならないという意味ではありません。公式様式の必要項目と、自社で管理する資料を区別しましょう。

CLOが主導する中長期計画と物流改善の目標

CLOは、中長期計画の作成、事業運営方針・管理体制の整備、定期報告等の統括を担います。さらに、社内の部門連携、設備投資・デジタル化・標準化、従業員への研修、取引先との連携を進めます。書類の作成担当者を置くだけでは、納品条件や発注方法は変わりません。

2030年度に向けた物流全体の改善という長期的な方向を踏まえつつ、自社の改善策を検討します。まず、荷待ち・荷役等時間、取扱量、積載状況を把握し、改善策と担当部署を結び付けます。3~5年程度を見渡す社内の工程案を作る場合も、法定様式と国の目標を踏まえ、自社の実情に合った実施時期・目標・説明を整理してください。

国の目標を、一件ごとの絶対的な罰則付き上限と混同しないことが重要です。基本方針では、1運行の荷待ち・荷役等時間を2時間以内、1回の受渡しでは1時間以内にすることなどが示されています。超えた瞬間に契約が違法になり、CLOへ罰金が科されるという意味ではありません。

また、説明資料にある「16%」は、積載率向上による輸送能力の増加に関する政策上の効果指標であり、すべての会社に一律16%の積載率改善を義務付けるものではありません。現在の基本方針の目標や算定単位を確認し、自社の対策へ落とし込みます。国の物流効率化法ポータルで目標の位置付けを確認できます。

中長期計画を社内の行動へつなげる例
課題 改善案 関係部署・確認データ
午前中の入荷集中 予約受付、納品時間帯の平準化 調達・倉庫・情報システム。到着、受付、荷役開始・終了時刻を確認
小口・頻回配送 発注締切や納品頻度の見直し、共同配送の検討 営業・生産・在庫・物流。出荷量、台数、欠品・在庫への影響を確認
バラ積み・検品に時間がかかる パレット化、荷姿・検品方法の調整 調達・物流・取引先。荷役時間、回収費、資材費を確認
契約外作業が見えない 附帯作業と対価の書面化、作業記録の整理 購買・法務・物流。契約内容と実際の作業を照合

計画には、施策名だけでなく、担当者・実施時期・予算・測定方法を記載し、取引先との協議が必要な事項も明らかにします。2026年10月公表の中長期計画作成のポイントには、短納期・頻回輸送の見直し、CLOによる部門間調整、荷役体制や予約受付などの具体例があります。テンプレートに数字を入れるだけでは、定期報告時に実績との差を説明できません。

年1回の進捗レビューや、未達見込みの経営会議への報告を社内ルールにすることは有効です。ただし、その会議体や頻度をすべての企業に同じ形で義務付ける規定と混同しないでください。未達なら理由を分析し、設備導入の遅れ、需要の変化、取引先との調整状況を記録して次の改善につなげます。

CLOを機能させる社内規程:法定要件と任意の条文案

社内規程は、CLOと各部門が何を決め、意見が対立したら誰へ相談するかを明確にするために役立ちます。ただし、特定の名称の規程を作ることや、以下の条文をそのまま採用することが一律の法定義務ではありません。

以下は社内運用のたたき台です。会社の組織、定款、取締役会・経営会議の権限、既存の決裁規程、取引契約と整合させて調整してください。CLOの法定業務があることと、個々の契約を単独で停止・変更できる権限が自動的に付与されることは別です。

職務権限規程の「指示・勧告・保留」の条文案

例えば、営業が当日受注・翌日午前着を約束する前に、物流部門が車両・人員・荷役能力を確認する仕組みを作ります。CLOの確認を必要とする案件を明確にすれば、単なる「お願い」よりも社内で判断しやすくなります。

条文案1:部門間の連携と改善協議
物流統括管理者は、全社的な物流効率化のため、開発、調達、生産、販売、在庫及び物流の各部門に対し、必要な資料の提出及び業務改善の検討を求めることができる。各部門長は、検討結果及び実施上の課題を、物流統括管理者が指定する社内期限までに報告する。

「指示」「勧告」を使う場合は、どこまでの判断を委任するかも定めます。重要な設備投資や既存契約の変更を、既存の承認手続きを飛ばして行えるようにする条文ではありません。

条文案2:新規取引・条件変更の事前確認
各部門は、新規取引又は既存取引の条件変更により、荷待ち・荷役等時間、配送頻度、運送能力又は法令遵守に重大な影響が生じるおそれがある場合、契約の確定前に物流統括管理者へ相談する。物流統括管理者は、必要に応じて社内承認を保留し、代替条件の検討又は再協議を求めることができる。

この保留は社内の決裁手続きです。既に締結した対外契約が当然に無効になったり、一方的な履行拒否が認められたりするものではありません。「1運行2時間」という政策目標を絶対的な法定時間制限と書き換えて、機械的な拒否権の根拠にしないでください。

条文案3:意見対立と例外対応
部門間で結論が得られない場合、物流統括管理者は、法令上の問題、物流負荷、顧客への影響及び代替案を整理し、会社の決裁規程に従って代表者又は所定の会議体へ判断を求める。例外対応を承認した場合は、理由、対応期間、追加費用及び再発防止策を記録する。

このように、保留条件と最終決裁者をセットにします。CLOの意見を尊重する方針を置く場合でも、法令に反する対応を会社の例外承認で認めることはできません。

規程作成には法務部門だけでなく営業責任者も参加し、顧客との交渉でどのように説明するかまで決めます。即日配送を求められる場合も、締切時間、配送頻度、納品先、追加費用など複数の条件を比較し、現場が一律に断るだけの運用にならないようにします。

販売管理・購買管理指針:リードタイムと適正な対価

「標準リードタイムを中1日、翌々日着にする」という案は、自社の配送網に合う場合の社内標準です。全国一律の法定最低日数ではありません。当日受注・翌日配送を法律がすべて禁止しているわけでもありません。

販売・購買ルールの見直し案
規程・指針 社内で検討する案 適用時の注意
販売管理規程 中1日以上等の標準リードタイム、発注締切、配送頻度の目安を設定 商品・地域・顧客契約を踏まえて合意。法定の一律日数と説明しない
販売管理規程 パレット単位の発注や荷姿の標準化を推進 サイズ、荷役機器、納品先設備、パレットの所有・回収費を協議。JIS適合だけで運用が一致するとは限らない
緊急配送の取扱い 例外の承認者、追加手配・特急料金の確認手順を設定 追加料金は対外契約・合意で確認。社内規程だけで顧客へ自動請求しない
購買管理指針 棚入れ・ラベル貼り等の附帯作業を確認し、内容と対価を明確化 契約外の作業を無償で当然に求めない。現場の作業記録と契約を照合
購買管理指針 燃料サーチャージ、人件費等を含む価格協議の窓口・時期を設定 根拠資料を検討し、協議の経過を保存。一方的な拒否や決定を避ける
共同輸配送のルール 共有する情報、取引先の同意、守秘義務の取扱いを定める 社内規程だけで既存NDAを解除しない。必要最小限の情報共有と競争法上の問題を確認

購買部門は、運送事業者が適正な対価を収受できるよう、運賃・料金・作業内容の確認と協議を行います。「購買側が運賃を収受する」という意味ではありません。運送事業者側の運賃設定や届出も、荷主側の社内規程とは別に確認します。

2026年1月からは、下請法の改正による「取適法」が施行され、対象取引には特定運送委託が追加されています。対象となる取引・事業者の要件を確認し、附帯作業の無償要請や、協議に応じない一方的な代金決定等に注意してください。取適法の対象外でも、独占禁止法上の優越的地位の濫用等が問題となる場合があります。公正取引委員会の制度案内を参照します。

顧客への説明では、「法律で翌日配送が禁止された」といった誤った理由を使わず、安定供給、荷役能力、必要なリードタイム、費用の根拠を示します。規程の目的は、営業を止めることではなく、継続できる取引条件を社内外で合意することです。

法令違反の罰則と企業名公表:違反の種類を分ける

CLOの未選任、届出の不備、改善措置に関する命令違反は、同じ扱いではありません。「必ず指導から始まるので、注意されるまで選任しなくてもよい」という理解は誤りです。

主な違反と法的な取扱い
違反・問題 取扱いの概要 実務で確認すること
対象事業者がCLOを選任しない 100万円以下の罰金の対象 指定日、選任記録、職務・管理的地位
CLOの選任等の届出を怠る 20万円以下の過料の対象 選任と届出を別々に管理。過料と刑事罰の罰金を混同しない
指定に係る必要な届出をしない・虚偽の届出 50万円以下の罰金の対象となる場合がある 重量判定、提出記録、誤りを発見した際の訂正相談
中長期計画を提出しない、定期報告をしない・虚偽報告 50万円以下の罰金の対象 選任届とは別に、各年度の提出・報告控えを確認
法定の報告徴収への不報告・虚偽報告、検査の拒否等 50万円以下の罰金の対象 通常の定期報告と行政からの報告徴収を区別し、対象資料・期限を確認
判断基準に照らした改善措置の命令に違反 100万円以下の罰金の対象 勧告・公表・命令の内容と、求められた措置の実施状況

選任・届出の制裁はCLOの公式案内、報告徴収等は報告徴収・立入検査の案内、改善措置は勧告・命令の案内で確認できます。法令の条文はe-Govの物流効率化法で確認できます。個別案件の処分や刑事手続きが、表の金額だけから自動的に決まるわけではありません。

指導・報告・勧告・公表・命令を、固定の5段階と考えない

行政対応の性質と社内での対応
行政の対応 位置付け 企業側で行うこと
指導・助言 判断基準を踏まえた取組を促す 指摘事項、現状、対応方針を担当部署と共有
報告徴収・立入検査 法に基づいて事実や実施状況を確認 対象・期限を確認し、元データと提出資料を照合。指導の後だけに限られる手続きではない
勧告 判断基準に照らし取組状況が著しく不十分な場合等に、措置を求める 内容と理由を確認し、実施計画・責任者・期日を明確にする
公表 勧告に従わない場合に、その旨が公表されることがある 改善対応と説明体制を整える。CLO未選任から自動的に同じ手順になると決めつけない
命令 正当な理由なく措置をとらない場合に、措置を命じられることがある 法務・経営陣へ共有し、内容に応じた対応を進める

データが不足していることと、虚偽報告を行うことは同じではありません。欠測や集計誤りを見つけたら、事実を確認し、補足・訂正方法を所管へ相談します。検査に備えて数字を作ったり、記録の日付を遡らせたりしてはいけません。

荷待ちを減らすために実施したこと、まだ実施できない理由、取引先への協議内容、改善後の測定結果を整理します。専門家への相談は対応の助けになりますが、依頼すれば指導・処分・公表を確実に回避できるというものではありません。

ESG・取引・採用への影響と、説明できる記録

行政上の問題は、取引先や金融機関、投資家、求職者から説明を求められるきっかけになり得ます。ただし、企業名公表で必ず融資や採用が止まる、永久にブラックリストへ載るという一律の制度として説明することはできません。

重要なのは、CLOの氏名を公表することだけでなく、どのような物流課題に取り組み、実績をどう確認し、未達の課題をどう改善しているかを説明できることです。対外的な説明では、改善結果と今後の目標を分け、根拠のない効果や適法性の保証をしないようにしましょう。

自社対応と外部支援の範囲を決める

対象判定、重量集計、人選、規程、電子届出、中長期計画、定期報告は、別々の作業です。外部へ依頼するときは、どこまで含むか、実測やデータ整備は誰が行うか、変更・報告まで継続支援するかを確認します。選任届だけを依頼して、社内の権限調整が未着手にならないようにしてください。

相談には、会社・事業の概要、指定通知、運送・売買契約、貨物重量の集計表、候補者の役職、組織図、既存規程、計画・報告の控えを用意すると整理しやすくなります。未対応があれば、まず事実と日付を整理し、期限を過ぎた書類の扱いを所管へ確認しましょう。

よくある質問

CLOには誰を選任すればよいですか?

事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者です。役員等の経営幹部から、職務と実際の権限を確認して選任します。物流に詳しいだけの実務担当者へ、経営判断への関与がないまま任せることは適切ではありません。

年間9万トンの判定では、発送と受取を合算しますか?

第一種荷主と第二種荷主の対象重量は、それぞれで判定します。ただし発送・受取と第一種・第二種は完全に同じ分類ではないため、運送契約と受渡しの関係を確認します。各区分で9万トン以上なら指定対象となります。

CLOを選任しない場合と、届出だけ忘れた場合は同じですか?

異なります。対象事業者のCLO未選任は100万円以下の罰金、選任等の届出を怠ることは20万円以下の過料の対象です。勧告・企業名公表・命令に関する手続きとも分けて確認してください。

社内規程にCLOの拒否権や翌々日配送を必ず定める必要がありますか?

この記事の保留権限や標準リードタイムは、社内で検討する運用案です。同じ条文や日数が全社に一律義務付けられているわけではありません。法定業務を果たせるよう、既存の決裁規程・取引契約に合わせて権限と協議手順を整えます。

CLO選任と規程整備は、対象判定と実際の物流の流れから整理しましょう。相談の際は、対応したい手続きと現在の資料をお知らせください。対応範囲と費用を確認しながら進めます。

運送業の手続きについて相談する

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