運送業の経営黒字化

運行管理者と整備管理者の違い|資格・人数・兼任と補助者の確認

運行管理者と整備管理者は、役割・資格・台数の数え方が違います

運行管理者は点呼や乗務管理等を通じて運行の安全を、整備管理者は点検・整備の計画や実施管理等を通じて車両の安全を支えます。同じ営業所で両方を担当できる場合もありますが、それぞれの資格と職務を果たせる体制が必要です。兼任しても、必要な運行管理者の人数を減らせるわけではありません。

「社長が両方を担当できるか」「今の社員を育てられるか」「30両に増車したら何人必要か」。管理者を確保するときは、資格証の有無だけでなく、営業所・使用の本拠、台数、勤務時間、不在時の対応を一緒に確認します。人件費だけを先に減らし、実際に点呼や整備管理を行えなくなる計画は避けましょう。

本記事は主に一般貨物自動車運送事業のトラックを対象に、2026年10月24日時点の公的資料で整理しています。旅客・自家用・軽貨物では基準が異なる部分があります。軽貨物の安全管理者は別制度なので、貨物軽自動車安全管理者の選任・講習を確認してください。

  • 役割と資格、配置の単位を比較する
  • 29両と30両の人数の違い、兼任と他営業所兼務を区別する
  • 試験・実務認定・整備士・実務経験の各ルートを確認する
  • 補助者、研修、届出、交代時の引継ぎまで計画する

運行管理者と整備管理者の違いを一覧表で比較

比較項目 運行管理者(貨物) 整備管理者
中心となる役割 点呼、勤務・乗務管理、運転者の指導監督等 日常点検の方法、点検結果に基づく運行可否、点検・整備計画等
主な根拠 貨物自動車運送事業法・貨物自動車運送事業輸送安全規則 道路運送車両法・同法施行規則
配置の単位 営業所ごと 自動車の使用の本拠ごと
資格等 貨物の運行管理者資格者証の交付を受けた者から選任 所定の整備士技能検定合格、又は同種類車両の実務経験2年以上+選任前研修等
資格の注意 基礎講習の修了や試験合格だけで資格者証の交付を受けたことにはならない 研修だけでは実務経験要件を満たさない。整備士の資格区分も確認する
補助者 所定の資格又は基礎講習修了等を確認し、指導・監督の下で補助 資格要件を満たす者又は十分な教育を受けた者を、規程に基づき選任
届出の基本 選任・解任は遅滞なく。取扱いは遅くとも1週間以内 選任・変更はその日から15日以内

「人」と「車両」は役割を理解するための整理です。運行管理者が車両の異常に無関心でよい、整備管理者が運行日程と切り離して仕事をしてよいという意味ではありません。双方が安全を優先し、点検結果や運転者からの報告を共有することが重要です。出典:国土交通省「運行管理者について」、近畿運輸局の整備管理者選任前研修資料。

運行管理者:点呼・乗務割・指導で安全な運行を組み立てる

運行管理者は、運転者の勤務・乗務の計画、健康・疲労・睡眠不足等の把握、酒気帯び確認、運転者への指導監督、休憩・睡眠施設の管理などを行います。単なる配車担当者ではなく、安全な運行ができない状態なら乗務させないための判断と指示を行う立場です。

酒気帯びの有無はアルコール検知器を用いるほか、目視等でも確認します。表示が0.00であれば、健康状態や疲労、検知器の故障等を問わず運行できるという意味ではありません。点呼の実施者、時刻、確認事項、指示を実態どおり記録し、補助者が異常を認めた場合の連絡先も定めます。

整備管理者:点検を自分ですべて行う人ではなく、実施を管理する人

整備管理者の業務には、日常点検の実施方法を決め、結果に基づき運行の可否を判断すること、定期点検や必要な整備の実施・計画、記録簿・車庫の管理、運転者や整備員への指導監督等があります。修理や点検作業を整備工場へ依頼することと、会社として整備管理者を選任することは別です。

一般的な事業用トラックでは3か月ごとの定期点検が関係しますが、対象車種・用途の基準とメーカーの点検整備情報を確認します。タイヤ・ホイールの点検も、打音だけを万能な確認方法とせず、車両に応じた方法で実施してください。タイヤの摩耗等に不具合がある場合には、担当者が報告し、必要な整備が終わるまで使用しない判断ができる仕組みにします。

場面 運行管理側で確認すること 整備管理側で確認すること
出発前 運転者の健康・疲労・酒気帯び、乗務内容、必要な指示 日常点検の結果、異常の有無、運行可否
運行中の異常 運転者からの連絡、運行中止や代替手配等の安全な指示 故障内容、点検・修理の必要性、車両を再使用する条件
帰着後 運行状況や報告、次の勤務・休息への影響 不具合の引継ぎ、整備予定、記録の確認
定期的な管理 乗務割、指導監督、勤務記録等の点検 定期点検・整備・車検の予定と実績、車庫・記録の管理

日常点検を行っていないのに確認印だけまとめて押す、点呼を実施していないのに記録を作る、といった運用は避けます。記録は実施した事実を残すもので、後から体裁を整えるためのものではありません。事業者も管理者へ必要な権限を与え、納期や売上だけで安全上の判断を覆さない体制を作りましょう。

必要人数と台数|運行管理者は29両まで1人、30両から2人

一般貨物の運行管理者は、営業所で運行を管理する事業用自動車の数に応じて選任します。この人数計算では被けん引車を除きます。許可の最低車両台数の計算や、整備管理者の対象台数と同じ数え方だと思い込まないでください。

事業用自動車の両数(被けん引車を除く) 必要な運行管理者数 計画上の注意
29両まで 1人以上 5両未満の例外は別途確認。台数が少なくても実務を行える体制が必要
30〜59両 2人以上 30両になった時点から2人。補助者で2人目を代用しない
60〜89両 3人以上 増車前に資格者証と配置を確認
90〜119両 4人以上 複数選任では統括運行管理者も選任

5両未満でも自動的に運行管理者が不要になるわけではありません。地方運輸局長が、車種・地理的条件等から安全確保に支障を生じるおそれがないと認める例外かを確認します。また、複数の運行管理者を置く営業所では、業務を統括する者を選任します。出典:貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用・第18条関係。

整備管理者は車種と使用の本拠ごとに確認する

自動車の区分 整備管理者の選任を要する台数の基本
乗車定員10人以下の通常の事業用自動車 5台以上の使用の本拠ごと
乗車定員11人以上の事業用自動車 1台以上の使用の本拠ごと
貨物軽自動車運送事業用自動車 10台以上の使用の本拠ごと
自家用トラック等 車両総重量8トン以上の車両を5台以上使用する本拠等、別区分で確認

本記事の通常の一般貨物トラックでは、5台以上を使用する本拠ごとの選任が基本です。バスや自家用・レンタカーの基準をそのまま流用しないでください。車種が混在する場合や被けん引車を含む場合の集計は、車両一覧を示して管轄の整備・保安担当へ確認します。

同じ営業所での兼任は可能か|30両以上でも考え方は同じ

同じ人が運行管理者と整備管理者の両方を担当する場合には、双方の資格要件を満たし、必要な権限を持って実際に職務を遂行できることが必要です。社長や役員が担当する場合も同じです。「29両以下だから無条件に兼任できる」「30両になると二つの役割の兼任が禁止される」というルールではありません。

配置の例 確認すること
被けん引車を除く25両で、Aさんが両管理者を兼ねる Aさんが双方の要件を満たし、点呼・整備管理・不在時の対応を実施できるか
同31両で、Aさんが両管理者を兼ねる 運行管理者は2人以上必要。Aさんに加え、貨物の資格者証を持つBさん等を選任する
同31両で、Aさん+基礎講習修了の補助者だけ 補助者を運行管理者の必要人数に加えることはできない。資格者証を持つ2人目の確保が必要
運転者や配車業務も担当する 運転・配車中に管理業務が空白にならないか、自分自身の点呼にならないか、勤務表で確認する

資格を二つ持っていても、運行管理者の人数として一人を二人と数えることはできません。兼任する場合は、運行管理者と整備管理者の選任手続きをそれぞれ行い、整備管理者の届出では兼職の職名・内容等も正確に記載します。備考欄に一言書けば、どのような勤務体制でも認められるというものではありません。

同一営業所内の兼任と、他営業所の兼務を区別する

運行管理者は、原則として他営業所の運行管理者や運行管理補助者を兼務できません。一定の同一敷地内の貨物・旅客の兼務などには資格・人数等の条件があり、運行管理業務の一元化等の制度も別の要件・手続きの確認が必要です。遠隔点呼等を行えることから、自由に他営業所の管理者を兼務できると考えないでください。

整備管理者も、別の使用の本拠や別会社の職務を兼ねる場合には、勤務実態、距離、職務の割合、権限、外部委託の該当性等を確認します。肩書きだけで可否を決めず、候補者の全業務と勤務場所を一覧にして相談することが大切です。

年間400万〜500万円という費用は、仮定して比較する

新たな担当者を採用する総人件費を、仮に年間400万円又は500万円と置いて比較することはできます。ただし、全国共通の最低人件費や、兼任すれば必ず同額が利益になるという意味ではありません。既存社員の手当・残業、教育、補助者の確保、業務システム、他の業務を担当できなくなる影響も考慮します。

仮定の比較項目 試算例 確認すること
新規採用の総人件費 年間400万円と仮定 給与・賞与・会社負担の社会保険料等を含むか
兼任に伴う追加費用 年間100万円と仮定 手当、補助体制、研修、業務支援等を積み上げる
単純な費用差 400万円−100万円=300万円 安全に職務を行える体制が前提。利益増加の保証ではない

運行管理者の役割は稼働率を優先することではなく、安全な運行を確保することです。兼任時の問題は「運行は売上、整備は安全」という対立ではなく、仕事が集中して確認漏れや営業優先の判断が生じないかにあります。早朝・深夜の点呼、日中の配車、点検整備の手配が重なる時間帯を洗い出しましょう。

運行管理者になる方法|試験合格と実務認定を比較する

試験ルート:基礎講習、受験、資格者証の交付は別の段階

貨物の運行管理者試験では、所定の運行管理に関する1年以上の実務経験、又は貨物の基礎講習の修了等を受験資格として確認します。講習の種類と試験の種類をそろえ、修了予定で申し込む場合は指定期限までに修了・証明資料の提出等を行います。単に運転手として1年間働けば、必ず受験資格になるわけではありません。

基礎講習は16時間で、対面では3日間の開催例があります。実施機関によって日程・受講方法・費用等を確認してください。eラーニングの方法もあり、必ず連続3日間会場へ通う方法だけとは限りません。基礎講習修了は、受験資格や補助者の要件に関係しますが、運行管理者資格者証そのものではありません。出典:NASVA基礎講習、NASVAのeラーニング案内。

段階 実施すること 勘違いしやすい点
受験資格を確認 実務経験又は対応する基礎講習等の資料を準備 基礎講習を申し込んだだけで受験できるとは限らない
試験を申し込む 申込期間、書類審査、会場・日時予約、受験料の支払い等 CBTでも通年いつでも受けられるという意味ではない
受験・合格 当該回の要項に沿って受験する 合格率は回によって変わる。合格を保証する勉強法はない
資格者証の交付申請 合格発表日から3か月以内に交付申請を行う 合格通知が届いた瞬間に資格者証が自動交付されるわけではない
選任と届出 資格者証と勤務体制を確認して営業所で選任 資格の取得と、会社での選任は別

最新の受付期間・試験日程・受験資格・合格後の手続きは、運行管理者試験センターの新規受験概要と、大阪運輸支局の資格者証交付案内で確認します。必要な人を何月までに配置するかを先に決め、試験や交付手続きの期間も工程へ入れましょう。

貨物試験の学習:5分野を偏らず確認する

出題分野 出題数
貨物自動車運送事業法関係 8問
道路運送車両法関係 4問
道路交通法関係 5問
労働基準法関係 6問
その他、実務上の知識及び能力 7問
合計 30問

試験センターの案内では、原則として30問中18問以上に加え、最初の4分野でそれぞれ1問以上、実務分野で2問以上の正解が必要です。合計点だけ取ればよいわけではありません。新規許可に伴う役員法令試験の24問以上という基準とは別です。

公開問題等を繰り返し解き、誤答の理由を現行の法令や資料で確認します。過去3年分に取り組む等の学習量は一例で、全員に必要十分な量や合格保証ではありません。改善基準告示も含め、改正前の問題をそのまま現在の実務に当てはめないよう注意しましょう。役員本人が受験する別の試験については役員法令試験の確認事項を参照してください。

実務認定ルート:5年・5回は、経験と年度を確認する

貨物では、所定の運行管理に関する5年以上の実務経験と、その間の所定講習5回以上等により資格者証の交付を申請する方法もあります。5回のうち少なくとも1回は基礎講習が必要で、同一年度に複数回受講しても、認定上の回数は1回とされます。単に同じ年に5回受講して短縮することはできません。

経験は実際に運行管理へ携わった内容を確認し、基礎講習修了・補助者選任・従事期間等を資料で整理します。既に十分な経験と講習記録がある人には選択肢になり得ます。一方、経験のない候補者を直ちに選任するための方法ではありません。「試験ルートが全員に絶対有利」「一度講習を受け忘れたら5年すべてリセット」という説明もしないことが大切です。

確認資料 整理する内容
実務経験の証明 事業の種類、事業者・営業所、担当業務、従事期間、証明者
補助者等の記録 選任時期、基礎講習修了時期、実際の業務
講習手帳・修了証 講習の種類、受講日、年度、少なくとも1回の基礎講習
過去の資料がない場合 勤務先の変更・合併等の経緯と手元資料を示して窓口へ相談

出典:大阪運輸支局「実務経験者向け資格者証交付申請」。原本を紛失したら必ずそれまでの経験が消えると断定せず、再発行や代替資料の確認を行ってください。実際にはしていない業務や期間を足して証明することはできません。

整備管理者の資格ルート|整備士又は実務経験と研修

自動車整備士の技能検定合格によるルート

1級・2級・3級の所定の自動車整備士技能検定に合格した者は、整備管理者の資格要件に該当します。このルートでは、資格要件としての2年以上の実務経験と選任前研修を別途満たす必要はありません。ただし、解任命令歴や職務遂行体制、選任・届出、選任後研修の確認は必要です。

すべての「整備士」という名称の資格が対象ではありません。近畿の研修資料では、自動車の車体・電気装置・タイヤ整備士や、旧検定規則の電装・ジーゼル機器・機工の整備士3級等は含まれないとしています。資格証の正式名称・等級・合格番号を確認し、対象か不明な場合は証書を示して窓口へ相談します。

本人が以前整備工場で働いていたという話だけで判断せず、合格証書等の確認を先に行いましょう。紛失している場合は証明・再交付の方法と期間を確認します。資格者本人の書類を必要以上に預かるのではなく、届出に必要な提示・写し等を窓口の案内に沿って用意し、個人情報を適切に管理してください。

実務経験2年以上+整備管理者選任前研修のルート

資格を持たない場合は、管理しようとする自動車と同種類の自動車について、点検若しくは整備、又は整備の管理の2年以上の実務経験と、選任前研修の修了を確認します。「整備管理という肩書きの仕事だけ」が経験になるわけではありません。研修資料では、同種類を二輪自動車と二輪以外に区分しています。

実務経験の例 記録として整理すること
整備工場等での点検・整備 実際の作業又は技術上の指導監督、車両の種類、従事期間
運送事業者の整備実施担当 点検・整備の担当内容、対象車両、期間
整備管理者・補助者等の車両管理 日常点検結果の確認、点検整備の計画・記録管理等、実際に担当した業務
運転者として勤務した期間 運転歴だけでなく、その間にどの点検・整備等を担当したかを確認

10年間運転していたという在籍年数だけでは足りませんが、運転者が実際に担った点検・整備等の経験を、職名だけで一律に除外するのも適切ではありません。開始日・終了日、事業所、車種、具体的な業務と証明資料を一覧にし、該当する経験かを確認してください。

実務経験証明と、前職の資料がそろわない場合

証明には、実際に行った業務を具体的に記載します。例えば「対象車両の日常点検・整備を担当」「定期点検の実施計画と入庫手配を担当」「点検整備記録を管理」などですが、審査に通すために事実と違う法令用語を並べてはいけません。複数社の経験がある場合は、期間の重複や車種・仕事内容を分けて整理します。

近畿の研修資料には、信頼できる第三者の証明書を得にくい場合に、本人の履歴の誓約書又は使用者の使用証明書を提出させる取扱いも示されています。前職から押印を得られなければ必ず選任不能、と決めつけず、得られない理由と手元資料を窓口へ伝えましょう。どの資料でも無条件に足りるという意味ではありません。

選任前研修は全国の運輸局の研修修了が認められ、修了時期についても近畿資料に取扱いが示されています。開催が全国一律年2回というものではないため、地域の募集案内・予約・修了証の受領時期を確認します。実務経験が2年になる前から日程を確認し、経験と研修の両方が整う時期を計画してください。出典:近畿運輸局・整備管理者選任前研修資料。

2026年10月1日からは、整備管理者の選任前・選任後研修についてオンライン受講の案内も出ています。会場開催日だけで予定を判断せず、近畿・和歌山運輸支局のオンライン研修案内等から、対象研修、申込先、本人確認、受講期限、修了証の取得方法を確認してください。オンラインでも、必要な実務経験や研修修了の要件がなくなるわけではありません。

選任・届出・研修の時期を分ける|届出日だけで責任が始まるわけではない

新規許可では、運行管理者・整備管理者を確保予定として申請できる場合があります。近畿FAQでは、許可後の運輸開始前の確認までに確保し、選任届を提出するよう案内されています。資格要件の不足を放置したまま運行してよいという意味ではありません。出典:近畿運輸局FAQ・管理者の確保予定。

手続き・受講 時期と確認事項
貨物の運行管理者の選任・解任届 遅滞なく。国土交通省の取扱いでは遅くとも1週間以内。旅客の15日以内と混同しない
整備管理者の選任・変更届 選任又は届出事項の変更から15日以内。廃止等も必要な様式で確認
運行管理者の講習 新たな選任時の基礎・一般講習、定期的な受講、事故・処分に係る特別講習等を確認
整備管理者の選任後研修 新たに選任された場合、以後の受講年度等を確認。整備士資格ルートでも選任後研修は別
退職・異動・休職 後任の資格者、交代日、選解任等の届出、記録と未処理事項の引継ぎを準備

運行管理者の一般講習は通常2年度ごとの受講を基本としますが、新任等では別の受講条件があります。整備管理者の選任後研修も、新任と継続の受講年度を確認してください。「一度資格を取ったら講習は不要」とは考えないことが大切です。様式と期限は大阪運輸支局の届出様式案内等を参考に、自社の管轄へ確認します。

届出は選任の事実を届ける手続きです。「選任届を出す日まで無資格でも仕事をしてよい」「届出から15日間は後任なしでよい」と解釈しないでください。資格確認、職務権限、選任日、実際の勤務、届出を一つの工程で管理します。運行管理者が退職しただけで資格者証自体を返納するわけではなく、会社での解任と行政による返納命令は別です。

補助者を活用する方法|管理者不足を埋める制度ではない

運行管理補助者:点呼の一部を担当し、異常時は指示を受ける

貨物の運行管理者資格を持つ者や、所定の基礎講習を修了した者等から補助者を選任できます。管理者の指導・監督のもとで補助する立場であり、必要人数に数える運行管理者の代理ではありません。補助者がいても、管理者の長期不在や退職による欠員が自動的に解消するわけではありません。

補助者が点呼の一部を担当する場合、運行管理者が行う点呼は営業所の点呼総回数の少なくとも3分の1以上が必要です。酒気帯び、疾病・疲労・睡眠不足、無免許、過積載等のおそれを認めたときは、直ちに管理者へ報告し、運行の可否等について指示を受ける体制にします。通常時も記録・引継ぎを行い、補助者に判断を丸投げしません。

例えば、対象となる点呼総回数を仮に90回とすれば、少なくとも30回を運行管理者が行う計算です。ただし単に月末に回数を合わせればよいのではなく、実際の運行時間帯で適切に点呼できる勤務体制が必要です。遠隔点呼・自動点呼等の制度を利用する場合は、その方式の要件・手続きを別に確認してください。

一般貨物の運行管理補助者について、貸切バスと同じ届出制度だと混同せず、社内の規程に補助者・担当範囲・連絡先を明確にします。資格のない運転者同士で形式的に確認し合うだけでは、適切な点呼体制を設けたことにはなりません。一方、運転者が適法に補助者として選任されて担当する場合まで、一律禁止とするものでもありません。

整備管理補助者:教育・規程・結果報告が必要

整備管理者が自ら業務を行えない場合、運行可否の決定や日常点検の実施指導等の日常点検に係る業務について、あらかじめ定めた基準に従い、補助者を通じて執行できる取扱いがあります。整備管理全般を自由に丸投げする制度ではありません。

  • 整備管理者の資格要件を満たす者、又は整備管理者が研修等で十分に教育した者から選ぶ
  • 氏名と補助する業務の範囲を整備管理規程で明確にする
  • 選任時、管理者の研修受講後、規程変更時等に必要な教育を行う
  • 必要な情報を事前に伝え、結果の報告を受けて必要に応じ記録・保存する

出典:整備管理者選任前研修資料・補助者の取扱い。運行管理補助者の基礎講習と、整備管理補助者に必要な教育は別です。補助業務の経験を将来の資格確認に生かすなら、実際の担当業務・期間・対象車両を日頃から記録しましょう。

「補助者2人」を一律の義務とせず、勤務表から必要な体制を決める

早朝・深夜・休日の運行がある営業所では、複数の補助者を育てることが役立つ場合があります。ただし「どの営業所も必ず2人以上」という一律の法定人数ではありません。点呼の時間帯、管理者本人の実施回数、休暇、急病時の連絡と後任確保まで考えて人数を決めます。

確認する時間・状況 決めておくこと
早朝・深夜の出発 点呼と日常点検の確認を行う担当者、管理者への連絡方法
日中の重複業務 配車・運転・点検手配と管理業務が重なる時間帯の分担
休日・短期不在 補助できる範囲と連絡体制、判断できない場合の運行見合わせ
長期休職・退職 資格者証を持つ後任の確保、選任・届出、引継ぎ
増車前 必要人数の再計算、点呼・整備計画・勤務負担の見直し

管理者自身の勤務時間も考慮し、24時間いつでも一人が対応する前提にしないでください。運転者の労働時間管理に関しては36協定と改善基準告示を確認し、管理者の労務も職務・勤務実態に応じて整理します。肩書きだけで労働時間規制の対象外と決めることはできません。

外部委託と名義だけの選任を区別する

整備工場への修理委託は、整備管理者の外部委託とは別

事業用自動車の整備管理者の外部委託は原則禁止で、一定の条件を満たすグループ企業内の委託等には例外があります。「保有台数が少ない」「離島だから」「近所の整備工場と親しい」といった理由だけで認められる制度ではありません。自家用自動車の取扱いをそのまま事業用へ当てはめないでください。

グループ企業内で検討する場合も、企業関係、受委託契約、職務権限、本人・所属事業主の同意、兼職と業務割合、事業所間の距離等を確認します。登記等の資料と整備管理規程をそろえ、具体的な体制を管轄へ相談してください。修理・車検を整備工場へ発注すること自体とは、区別して考えます。

運行管理についても、運行管理業務の一元化や受委託等の制度を用いる場合には、その制度の対象・条件・許可等を確認する必要があります。遠隔点呼の機器を置いたり、外部の有資格者と契約したりするだけで、営業所の管理者の選任義務がなくなるわけではありません。

資格者の名前だけを届けても、管理体制にはならない

資格者証の写しを借りる、退職した人を選任したままにする、勤務実態がない人の名前を届けるなど、実態を伴わない選任は問題になります。社会保険の加入資料だけで可否を決めるのではなく、雇用・役員等の立場、勤務場所・時間、権限、実施記録を合わせて確認します。

違反内容によっては、事業者への指導・行政処分、運行管理者資格者証の返納命令、整備管理者の解任命令等の対象となり得ます。ただし「名義を借りたら必ず100点超」「一回で全社取消し」「必ず30日以上停止」という一律の結論ではありません。事業者への処分と管理者個人への措置も分けて確認してください。

貨物自動車運送事業法では、返納命令から5年を経過しない者等に対し、運行管理者資格者証を交付しないことができる旨が定められています。「通常2年、悪質なら5年」という区分ではありません。一方、整備管理者の解任後の要件は、通常の貨物トラックでは2年、一定の乗車定員区分では5年という別の規定があります。出典:貨物自動車運送事業法、近畿の整備管理者研修資料。

行政処分は公表され、取引先等の確認材料になる場合がありますが、処分だけで必ず融資が引き揚げられる、契約がすべて解除される、倒産するというものではありません。リスクを過小評価せず、疑問があれば実態を整理して早めに是正と後任確保を相談します。事実と異なる経験証明や点呼・点検記録を作成して取り繕わないでください。

自社の配置を確認する手順|資格・人数・勤務・届出を一枚にする

  • 営業所と使用の本拠、車種、被けん引車の別、台数を一覧にする
  • 運行管理者の必要人数と整備管理者の選任対象を、それぞれ計算する
  • 候補者ごとに資格者証・整備士資格・実務経験・研修記録を確認する
  • 兼任・運転業務・他営業所での仕事を含む勤務表を作る
  • 補助者の担当範囲、教育、報告先、不在時の対応を規程にする
  • 増車・開始・交代の日付と、選任・届出・受講の期限を合わせる

候補者が足りないのか、資格の証明資料が足りないのか、勤務体制に無理があるのかを分けると、次に行う作業が明確になります。具体的な確保方法は運行管理者・整備管理者がいないときの準備も参考にしてください。

運送業許可の無料相談では、予定車両と営業所、候補者の資格・職歴・研修記録、開始又は交代の希望時期をお知らせください。役所への事前相談、資料整理、申請書類の作成・提出、補正対応について相談できます。資格取得・認定、兼任の可否、許可や行政処分の回避を保証するものではなく、現在の条件と必要な準備を確認して進めます。

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運行管理者と整備管理者についてよくある質問

運行管理者と整備管理者は兼任できますか?

同じ営業所で双方の要件を満たし、職務を適切に遂行できる場合は兼任を検討できます。ただし、運行管理者の必要人数は減りません。被けん引車を除く30〜59両では2人以上が必要で、補助者を不足人数に充てることはできません。

整備士資格がなくても整備管理者になれますか?

管理する自動車と同種類の自動車の点検・整備又は整備管理について2年以上の実務経験があり、選任前研修を修了するルートがあります。職歴の年数だけでなく実際の業務と証明資料、解任命令歴等の要件も確認します。

運行管理者の試験を受けずに資格を取る方法はありますか?

貨物では所定の運行管理の実務経験5年以上と、その間の講習5回以上等による認定交付の方法があります。少なくとも1回は基礎講習が必要で、同一年度の複数回受講は1回とされます。経験・講習の記録をそろえて交付申請の窓口へ確認してください。

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