「更新の手間が減るから7年にしたい」…その程度の動機なら、優良認定はやめた方がいいかもしれません。コスト倒れで終わります。

こんにちは!
産業廃棄物収集運搬業許可の実績100件以上。
建設業と産廃業の「許可戦略」を支援する行政書士の小野馨です。
今回は【優良産廃処理業者認定制度】について、教科書には載っていない「経営的な損得」について解説します。
- 「そろそろ産廃許可の更新時期だけど、優良認定って取った方がいいの?」
- 「ISOやエコアクション21が必要って聞いたけど、そこまでお金をかける価値はあるのか?」
最近、こうした相談が急増しています。
ポイント
結論から申し上げますと、大手ゼネコンや上場企業との取引を目指すなら、優良認定は「必須のパスポート」になりつつあります。
しかし、単に「地場の解体現場のゴミを運ぶだけ」なら、無理して取る必要はありません。
なぜなら、この認定を取るためには、少なくとも半年以上の準備期間と、数十万円単位の維持コストがかかるからです。
この記事では、あなたが優良認定を目指すべきか、それとも通常の更新で済ませるべきか、その判断基準を明確にします。
▼ この記事のポイント ▼
- ✅ 優良認定を受けると許可の有効期間が「5年」から「7年」に延びる
- ✅ 公共工事の入札や経営事項審査(経審)で加点評価される
- ✅ 最大のハードルは「エコアクション21」等の認証取得(半年以上必要)
- ✅ 申請手数料は通常更新と同じなので、取れればコスパは良い
※なお、産廃許可の全体像や要件を体系的に知りたい方は、
『産業廃棄物許可の教科書(トップページ)』
をブックマークして、実務バイブルとしてお使いください。
優良産廃処理業者認定制度とは?行政書士が教える本当のメリット
優良産廃処理業者認定制度とは、通常の許可基準よりも厳しい基準(遵法性、情報公開、環境配慮など)をクリアした優良な処理業者に対し、都道府県知事等が審査の上で認定を与える制度のことです。
平成23年の法改正で創設されたこの制度は、単なる「お飾り」ではありません。
注意ポイント
悪質な不法投棄業者が後を絶たない中、国が「この業者は絶対に信頼できる」とお墨付きを与える、いわば産廃業界の「ゴールド免許」のようなものです。
私が顧問を務めるある建設会社の事例をお話ししましょう。
参考
その会社は、ある大手メーカーの工場改修工事の下請けに入ろうとしていました。
技術力には自信があり、見積もり金額も他社より安かったそうです。
しかし、最終選考で担当者からこう言われました。
「御社は、産廃の優良認定を持っていませんね? 今回の工事は廃棄物の管理が厳格なため、優良認定業者でないと発注できない社内規定があるんです」
社長は慌てて私に連絡をくれましたが、優良認定は「取りたいと思ってすぐ取れるもの」ではありません。
エコアクション21などの認証取得に最低でも半年はかかるため、その案件は泣く泣く辞退することになりました。
「たかが認定、されど認定」。
この一件以来、その社長は猛勉強し、1年かけて見事に優良認定を取得。
今ではそのメーカーからの直接受注を獲得しています。
このように、優良認定は「機会損失を防ぐための保険」であり、「大手と取引するための入場券」としての側面が非常に強いのです。
では、具体的なメリットを比較表で見てみましょう。
| 項目 | 通常の許可業者 | 優良認定業者 |
|---|---|---|
| 許可の有効期間 | 5年間 | 7年間 |
| 許可証の記載 | 特になし | 「優良」のロゴマークが入る |
| 申請時の添付書類 | 全て必要 | 一部省略可能 |
| 社会的信用 | 標準 | 非常に高い(環境省HPで公表) |
通常許可と異なり有効期間が7年に延びる更新の特例
優良認定を受ける最大の行政的メリットは、許可の有効期間が通常の「5年」から「7年」に延長されることです。
「たった2年延びるだけ?」と思われるかもしれませんが、これは経営的に大きなコスト削減につながります。
産業廃棄物収集運搬業の更新手数料は、1自治体あたり73,000円(※自治体により異なる場合あり)です。
もし、あなたが大阪、兵庫、京都、奈良の4府県で許可を持っているとしましょう。
参考
通常なら5年ごとに、73,000円 × 4 = 292,000円 の手数料と、行政書士への報酬(約40〜60万円)、そして膨大な書類作成の手間が発生します。
これが7年周期になることで、長い目で見ればランニングコストと事務負担が大幅に圧縮されるのです。
さらに重要なのが、「添付書類の一部省略」という特例です。
優良認定業者の更新申請では、これまで提出していた「事業の用に供する施設の構造を明らかにする図面」や「直近3年の財務諸表」などの一部が、省略可能となる場合があります(自治体の運用により異なります)。
これは、行政側が「この業者は普段から情報をネットで公開しているし、優良だから細かいチェックは不要」と信頼してくれている証です。
更新手続きの簡素化は、多忙な経営者にとって、お金以上の価値がある「時間の節約」となります。
ただし、注意点があります。
この「7年許可」をもらうためには、「現在持っている許可の更新期限」に合わせて申請しなければなりません。
更新時期ではないのに、いきなり「優良認定だけください」と申請することはできないのです。
つまり、次の更新時期(許可期限の2〜3ヶ月前)が、優良認定チャレンジの「唯一のタイミング」となります。
このチャンスを逃すと、また5年間待たなければなりません。
だからこそ、計画的な準備が必要なのです。

経営事項審査や自治体入札での加点というメリット
ココがおすすめ
建設業者様にとって、優良認定を取得する最大の動機になり得るのが、この「加点」メリットです。
公共工事を直接請け負うために必要な「経営事項審査(経審)」において、優良産廃処理業者認定を受けていることは、評価項目の一つになります。
ポイント
具体的には、W点(その他の審査項目)において加点評価されるため、総合評点(P点)のアップに直結します。
公共工事の入札ランクを上げたい、あと少しでAランクに届く、という建設会社にとって、この加点は喉から手が出るほど欲しいものでしょう。
また、多くの自治体が、独自の産業廃棄物処理委託契約の入札において、優良認定業者を優先したり、入札参加資格の加点対象としたりしています。
例えば、役所のゴミ収集や、公共施設の解体工事に伴う産廃運搬業務などです。
国や自治体は「率先して環境配慮型企業を使うべき」という方針(グリーン購入法など)を持っているため、同じ金額なら間違いなく優良認定業者が選ばれます。
「民間工事しかやらないから関係ない」という方も、油断は禁物です。
最近では、民間大手企業もSDGs(持続可能な開発目標)の観点から、サプライチェーン全体での環境負荷低減を求められています。
つまり、元請け企業が「優良認定業者を使うこと」自体が、彼らのCSR(企業の社会的責任)活動になるのです。
選ばれる理由が「安いから」ではなく「優良認定だから」に変わる。
これこそが、脱・価格競争を実現する最強の差別化戦略と言えます。
排出事業者へのアピールと社会的信用の基準
産業廃棄物を排出する事業者(メーカー、建設元請け、病院など)には、廃棄物処理法により「処理責任」があります。
もし委託した業者が不法投棄をしたら、排出した側も罰せられる(両罰規定)可能性があるため、彼らは業者選びに非常に慎重です。
そんな時、彼らは何を見て業者を選ぶでしょうか?
「許可証を持っているか」は当たり前です。
その次にチェックするのが、「産廃情報ネット(環境省推奨サイト)」などの公開情報です。
優良認定業者は、このインターネット上での詳細な情報公開(実績、財務、社内体制など)が義務付けられています。
排出事業者からすれば、「ここまで情報をさらけ出している業者なら、裏で悪いことはできないだろう」という強烈な安心材料になります。
また、許可証自体に「優良」の文字とロゴマークが入るため、営業資料として許可証の写しを渡した時のインパクトが違います。
「御社は優良認定なんですね、じゃあ安心だ」と、商談がスムーズに進む経験を多くのクライアントがしています。
逆に言えば、優良認定を取るということは、自社の経営内容をガラス張りにする覚悟を持つということです。
その「覚悟」こそが、厳しい基準をクリアした証であり、社会的信用の源泉なのです。
(もし、今の自社の状況で優良認定が狙えるか知りたい方は、要件の簡易診断を行ってみてください)
優良産廃処理業者認定制度の審査をクリアするための5つの基準
優良産廃処理業者認定制度の審査をクリアするためには、環境省が定めた「5つの基準」をすべて満たす必要があります。
これは「どれか一つでも欠けたらアウト」の減点方式です。
多くの経営者様が「うちは無事故だし、税金も払っているから大丈夫だろう」と高を括って相談に来られますが、要件リストを照らし合わせると、ほとんどの方が「環境配慮の取組(ISO等)」や「情報公表」の項目で準備不足が発覚します。
以前、更新期限の3ヶ月前に「優良認定を取りたい」と駆け込んでこられた社長がいらっしゃいました。
しかし、後述する「エコアクション21」の認証を持っておらず、情報公表もしていませんでした。
「なんとかならないか」と懇願されましたが、こればかりは物理的な期間(半年以上)が必要なため、どうあがいても間に合いません。
結局、その回は「通常更新」にならざるを得ず、社長は「もっと早く相談していれば…」と悔しがっておられました。
このような悲劇を避けるために、まずは敵(基準)を知りましょう。
優良認定に必要な5つの基準は以下の通りです。
| 基準項目 | 概要(クリア条件) |
|---|---|
| ① 実績と遵法性 | 5年以上許可を持っており、過去5年間に改善命令等の行政処分を受けていないこと。 |
| ② 事業の透明性 | 会社情報や許可内容を、インターネットで一定期間公表していること。 |
| ③ 環境配慮の取組 | ISO14001やエコアクション21等の認証を取得していること。 |
| ④ 電子マニフェスト | 電子マニフェストシステム(JWNET)に加入し、利用可能であること。 |
| ⑤ 財務体質の健全性 | 直近の税金滞納がなく、債務超過などの危険な財務状態でないこと。 |
多くの業者が躓くエコアクション21等の認証取得
優良認定を目指す上で、最大の壁となるのが「環境配慮の取組」です。
ポイント
具体的には、ISO14001(国際規格)か、環境省が策定した「エコアクション21」の認証を取得していることが必須条件となります。
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中小企業にとって、ISO14001の取得・維持は費用面(数百万円〜)でハードルが高いため、多くの事業者が「エコアクション21」を選択します。
しかし、このエコアクション21も、決して「お金を払えばもらえる賞状」ではありません。
注意ポイント
会社として「環境経営方針」を立て、実際に電気やガソリンの使用量を記録し、削減目標に向けた活動(PDCAサイクル)を最低でも数ヶ月間実践し、審査人の審査を受けなければなりません。
私がサポートしたある運送会社様は、キックオフから認証取得まで約10ヶ月かかりました。
社長だけでなく、現場のドライバーさんにも「アイドリングストップ」や「燃費記録」を徹底してもらう必要があったからです。
途中で「面倒くさい」と現場から反発もありましたが、それを乗り越えて取得した認証は、会社全体の意識改革にも繋がりました。
ポイントは、申請(更新)の時点で「認証を持っていること」が必要です。
つまり、更新期限の「1年前」にはエコアクション21の準備をスタートしていないと、間に合わない計算になります。
「そろそろ更新だな」と思ってから動くのでは遅いのです。
インターネットを利用した半年以上の情報公表
次に落とし穴になりやすいのが、**「情報公表」**の要件です。
これは、自社のホームページや「産廃情報ネット(公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団が運営)」において、許可の内容、処分実績、財務諸表などの詳細な情報を公開することです。
ここで重要なのは、**「申請の日から起算して6ヶ月以上前から」**継続して公表していなければならないという「期間」の縛りです。
つまり、申請前日に慌ててアップロードしても認められません。
「うちはHPがないから無理だ」と諦める必要はありません。
ほとんどの認定業者は、自社HPではなく「産廃情報ネット」を利用しています。
ここに登録し、定期的に情報を更新(最低でも年1回)していれば要件を満たせます。
ただし、更新履歴(ログ)が残るため、嘘の日付で誤魔化すことは不可能です。
「更新申請の半年前」がデッドラインです。
カレンダーに赤丸をつけて、絶対に忘れないようにしてください。
税金の未納がないことを証明する経理的基礎
最後は、**「経理的基礎」**の要件です。
通常の許可申請でも財務能力は問われますが、優良認定ではさらに明確な「健全性」が求められます。
具体的には以下の基準です。
1. **直近3年の決算において、利益が計上されていること(または条件付きで認められる場合あり)**
2. **法人税、消費税、地方税などの税金に未納がないこと**
3. **債務超過の状態であっても、一定の基準(純資産額や自己資本比率など)をクリアしていること**
特に注意が必要なのは「税金の未納」です。
資金繰りが厳しく、消費税の分納などをしている場合、原則として優良認定は受けられません。
国がお墨付きを与える以上、「税金を払っていない会社を優良とは呼べない」という理屈です。
もし直近で赤字決算や税金未納がある場合は、無理に優良認定を狙わず、まずは通常更新を行い、経営を立て直してから5年後の次回更新でチャレンジするという戦略も必要です。
無理をして認定申請を行い、不認定になって履歴に傷をつけるより、堅実な判断をすべき場面もあります。
このあたりの「GO/NO-GO判断」こそ、我々プロの専門家が最も力を発揮する領域です。
>>(自社の決算内容で優良認定が取れるか、無料診断も可能です)
あなたが得られる未来:選ばれる企業への進化
優良産廃処理業者認定制度は、確かにハードルの高い制度です。
時間も、労力も、コストもかかります。
しかし、その対価として得られるのは、単なる「7年の許可証」だけではありません。
それは、**「環境経営を行う一流企業」としてのブランド**です。
認定取得のプロセスを通じて、社内のコンプライアンス意識が高まり、経理が透明化し、社員が胸を張って働ける会社へと生まれ変わります。
そして、その姿勢は必ず取引先に伝わります。
価格競争に巻き込まれず、「あなただから頼みたい」と言われる未来。
大手ゼネコンやメーカーと対等に渡り合えるビジネスチャンス。
優良認定は、あなたの会社を次のステージへ押し上げる最強の武器になるはずです。
今から準備を始めれば、5年後の景色は間違いなく変わっています。
一緒に「選ばれる企業」を目指しましょう。
🚀 今日から始める「3つの行動」
- 現在の許可証の「有効期限」を正確に確認する
- エコアクション21の取得にかかる期間を見積もる
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よくある質問(FAQ)
Q. 現在の許可期間の途中でも、優良認定に変更できますか?
いいえ、できません。
優良認定の申請ができるのは、原則として「更新許可申請のタイミング」のみです。
現在の許可期限が来るまで待つ必要があります。
Q. エコアクション21の取得費用はどれくらいですか?
事業規模によりますが、審査費用や登録料で数万円〜十数万円程度です。
ただし、コンサルタントに指導を依頼する場合は別途費用がかかります。
ISO14001に比べれば、低コストで取得可能です。
Q. 優良認定申請の手数料は高くなりますか?
いいえ、変わりません。
通常の更新許可申請と同じ手数料(収集運搬業なら約73,000円)で申請できます。
追加料金なしで7年許可になるため、要件さえ満たせばお得な制度です。