
産業廃棄物許可の実績100件の行政書士小野馨です。
今回は、「産業廃棄物の20種類の判断基準と管理方法」のというテーマでお話します。
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優良産廃処理業者認定制度とは?基準やメリットを専門家が解説
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事業活動を行っていると、どうしても発生してしまうゴミの処理に頭を悩ませることはありませんか。
特に、自分たちが出したゴミが法律上の産業廃棄物に該当するのか、それとも事業系一般廃棄物として処理して良いのかという区分は、非常に複雑で迷いやすいポイントです。
もし判断を誤って間違った処理をしてしまうと、廃棄物処理法違反として厳しい罰則を受けるリスクさえあります。
「たかがゴミの区別でしょ?」と思われるかもしれませんが、実務の現場でも、この分類を正しく理解できていないためにトラブルになるケースを数多く見てきました。
例えば、ある建設現場で出た木くずと、八百屋さんで出た木箱。
モノは同じ「木」ですが、法律上の扱いは全く異なります。
これを知らずに一緒に処理してしまうと、法律違反になってしまう可能性があるのです。
ここでは、法律の専門家としての視点から、複雑な20種類の分類をわかりやすく噛み砕き、適正な処理とコスト削減につなげるための知識を余すところなくお伝えします。
- 産業廃棄物20種類の正確な定義と具体的な該当品目
- 業種によって扱いが変わる業種指定7種類の落とし穴
- マニフェストや委託契約における実務上の注意点
- 適正な分別を行うことによるコストダウンの可能性
産業廃棄物20種類の分類一覧と定義
産業廃棄物とは、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、法令で定められた20種類のものを指します。
これらは、「どんな業種から出ても産業廃棄物になるもの」と、「特定の業種から出た場合のみ産業廃棄物になるもの」の大きく2つに分類されます。
この章では、それぞれの定義と具体的な品目について、現場での判断に役立つ視点を交えて解説していきます。
あらゆる事業活動で生じる12種類
まず押さえておきたいのが、業種を問わず、事業活動から排出されれば自動的に産業廃棄物となる「12種類」です。
これらは環境への負荷が高いものや、リサイクルルートが確立されているものが中心です。
オフィスや飲食店、小売店、学校、病院であっても、これらを排出する場合は産業廃棄物として処理する必要があります。
特に「廃プラスチック類」や「金属くず」などは、ほぼ全ての事業所から発生するため、無関係な業種はないと言っても過言ではありません。
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
| 種類 | 詳細な定義と具体例 |
|---|---|
| 燃え殻 | 焼却炉の底に残る灰や燃え残りのことです。石炭がら、炉清掃の掃出物、廃活性炭の焼却残渣なども含まれます。重金属が濃縮されていることがあるため、管理型処分場での処分が必要になるケースが多いです。 |
| 汚泥 | 工場排水の処理プロセスから出る泥状の物質です。有機性のもの(下水汚泥、食品工場汚泥)と無機性のもの(建設汚泥、メッキ汚泥)があり、産業廃棄物の中で最も排出量が多い品目です。 |
| 廃油 | 潤滑油、切削油、廃溶剤はもちろん、飲食店から出る「天ぷら油(廃食用油)」もここに含まれます。引火点が低いものは特別管理産業廃棄物になるため注意が必要です。 |
| 廃酸 | pHが低い酸性の廃液全般です。廃硫酸、廃塩酸、エッチング廃液など。腐食性が強いため、中和処理などが必要です。 |
| 廃アルカリ | pHが高いアルカリ性の廃液全般です。廃ソーダ液、写真現像廃液、金属せっけん廃液など。廃酸と同様に中和処理が行われます。 |
| 廃プラスチック類 | 合成樹脂くず、合成繊維くず、合成ゴムくずなど、石油由来の固形物はほぼ全てこれです。発泡スチロール、梱包フィルム、ペットボトル、弁当ガラ、廃タイヤなどが該当します。 |
| ゴムくず | これは勘違いしやすいのですが、「天然ゴム」の切断くずなどに限定されます。合成ゴム製品は「廃プラスチック類」になるため、ゴムくずとして扱われるケースは実は稀です。 |
| 金属くず | 鉄くず、アルミ缶、銅線、一斗缶、スクラップなど。有価物として売却できる場合は廃棄物から除外されますが、逆有償(処理費を払って引き取ってもらう)の場合は産廃になります。 |
| ガラスくず等 | ガラス類、コンクリートくず(製品製造工程のもの)、陶磁器くずです。空き瓶、板ガラス、破損したレンガなどが該当します。 |
| 鉱さい | 製鉄所の高炉スラグや鋳物廃砂など、鉱業や製造業の溶解工程から出るカスです。路盤材などにリサイクルされることが多いです。 |
| がれき類 | 建物の新築・改築・解体に伴って生じたコンクリート破片や廃アスファルトです。「建設現場から出た」という発生源がポイントになります。 |
| ばいじん | 煙突などの集塵機で回収された細かいダストです。燃え殻(底の灰)とは区別されます。有害物質を含んでいる可能性が高いです。 |
特に間違いやすいのが「廃プラスチック類」です。今の世の中、ありとあらゆる製品にプラスチックが使われていますよね。梱包用のストレッチフィルム、PPバンド、緩衝材、製品のパッケージなど、事業所から出るプラスチックごみは、原則としてすべて産業廃棄物となります。家庭ごみのように「燃えるごみ」として集積所に出すことはできませんので、必ず契約した許可業者に回収を依頼してください。
産業廃棄物の種類の詳細については、環境省の資料なども参考にするとより理解が深まります。
「ゴムくず」は天然ゴム100%のものに限られます。タイヤなどの合成ゴム製品は「廃プラスチック類」に分類されるので、マニフェストの記載時などに間違えないよう注意が必要です。
業種指定のある7種類の具体例
次に、判断が非常に難しく、かつ実務担当者が最も頭を悩ませる「業種指定」のある7種類について解説します。
これらは、「特定の業種」の事業活動から排出された場合のみ産業廃棄物となり、それ以外の業種から出た場合は「事業系一般廃棄物」として扱われます。
「モノは同じなのに、出した人によってゴミの種類が変わるの?」と驚かれる方も多いですが、これが廃棄物処理法の複雑なところです。
この区分けを見誤ると、本来一般廃棄物として市町村の処理施設で燃やせるものを、高いお金を払って産廃として処理してしまったり、逆に産廃として処理すべきものを一般ごみとして出してしまい不法投棄扱いされたりするリスクがあります。
以下の7種類については、自社の業種が「指定業種」に該当するかどうかを必ずチェックしてください。
- 紙くず:建設業(工作物の新築・改築・除去に伴うもの)、パルプ製造業、製紙業、新聞業、出版業、製本業、印刷物加工業から排出されるものに限ります。(例:建設現場で剥がした壁紙やセメント袋は「産業廃棄物」ですが、一般オフィスから出るコピー用紙やシュレッダーごみは「事業系一般廃棄物」です)
- 木くず:建設業、木材・木製品製造業、パルプ製造業、輸入木材卸売業、物品賃貸業から排出されるものに限ります。(例:解体工事で出た廃材や、リース期間が終了した木製家具は「産業廃棄物」ですが、八百屋さんの木箱や造園業者が剪定した枝葉は「事業系一般廃棄物」です)
- 繊維くず:建設業、繊維工業(衣服その他の繊維製品製造業を除く)から排出されるものに限ります。(例:建設現場の畳や断熱材は「産業廃棄物」ですが、アパレルショップから出る売れ残り衣類やオフィスの制服は「事業系一般廃棄物」です。ただし、素材が化学繊維100%の場合は「廃プラスチック類」として全業種で産廃になります)
- 動植物性残さ:食料品製造業、医薬品製造業、香料製造業において原料として使用した動植物に係る固形状の不要物に限ります。(例:食品工場で出た野菜くずや魚のアラは「産業廃棄物」ですが、飲食店やスーパーの厨房から出る調理くずや残飯は「事業系一般廃棄物」です。これが最も間違いが多いケースです)
- 動物系固形不要物:と畜場、食鳥処理場において解体等に伴って生じるものに限ります。
- 動物のふん尿:畜産農業から排出されるものに限ります。
- 動物の死体:畜産農業から排出されるものに限ります。
ポイント
【超重要】木製パレットの特例
木くずには重要な例外があります。
それは「木製パレット」です。
貨物の流通のために使用したパレットに関しては、業種を問わず、事業活動に伴い排出した時点ですべて産業廃棄物(木くず)となります。
パレットは様々な事業者の間を流通するため、排出元による区分が困難であるという実情を考慮した特例です。
自社が運送業や卸売業であっても、不要になった木製パレットは必ず産業廃棄物として処理してください。
13号廃棄物や特別管理産業廃棄物
20種類のうちの最後の一つ、それが「政令第13号廃棄物」です。
名前がいかにも法律用語で難しそうですが、要するに「処理するために処理したもの」のことです。
具体的には、ここまで紹介した1~19種類の産業廃棄物を処分するために、焼却、破砕、中和、固化などの中間処理を行った結果発生したもので、かつ元の19種類のいずれにも当てはまらない新たなゴミを指します。代表的なものとして、有害な汚泥をコンクリートで固めて溶出を防いだ「コンクリート固型化物」などが該当します。実務ではあまり頻繁にお目にかかることはないかもしれませんが、中間処理業者との取引がある場合は覚えておきましょう。
また、産業廃棄物管理において絶対に避けて通れないのが、「特別管理産業廃棄物」の存在です。
これは産業廃棄物20種類の中に含まれるもので、爆発性、毒性、感染性などがあり、人の健康や生活環境に著しい被害を及ぼすおそれがある「危険なゴミ」のことです。これらは通常の産業廃棄物とは明確に区別し、より厳格な基準で管理・処理しなければなりません。
- 引火性廃油:ガソリン、灯油、軽油など、引火点が70℃未満の燃えやすい油。
- 腐食性廃酸・廃アルカリ:pH2.0以下の強酸や、pH12.5以上の強アルカリ。皮膚にかかると火傷をするような危険な液体です。
- 感染性産業廃棄物:病院や診療所から出る注射針、血液が付着したガーゼ、手術廃材など。バイオハザードマークのついた専用容器での密閉保管が義務付けられています。
- 特定有害産業廃棄物:PCB廃棄物、廃石綿(アスベスト)、および有害物質(水銀、カドミウム、鉛、ヒ素など)を基準値を超えて含む汚泥、鉱さい、ばいじんなど。
これらを排出する場合、事業者は「特別管理産業廃棄物管理責任者」を設置する義務があります。また、委託する収集運搬業者や処分業者も、「特別管理産業廃棄物」の許可を持っている業者を選ばなければなりません。通常の産廃許可しか持っていない業者に委託すると、無許可業者への委託となり、重い罰則の対象となります。
産業廃棄物と一般廃棄物の違い
「そもそも産業廃棄物と一般廃棄物は何が違うの?」という根本的な疑問を持つ方も多いでしょう。法的な線引きは非常にシンプルです。「廃棄物処理法で定められた産業廃棄物(20種類)以外のもの」がすべて一般廃棄物です。
一般廃棄物はさらに、家庭生活から出る「家庭系一般廃棄物」と、事業活動から出る「事業系一般廃棄物」に分かれます。ここで実務担当者が最も混乱し、ミスを犯しやすいのが、「事業系一般廃棄物」の存在です。
「事業所から出るゴミは全部産業廃棄物じゃないの?」と思っている方がいたら、それは間違いです。先ほどの「業種指定」でも触れましたが、事業活動から出るゴミであっても、20種類の定義に当てはまらないものは一般廃棄物になります。
具体的な例を挙げてみましょう。
- レストランの残飯:事業活動から出ますが、飲食業は「動植物性残さ」の指定業種ではないため、「事業系一般廃棄物」です。
- オフィスの紙くず:事業活動から出ますが、一般事務は「紙くず」の指定業種ではないため、「事業系一般廃棄物」です。
- 造園業者の剪定枝:事業活動から出ますが、造園業は建設業にも木材製造業にも該当しないため、「事業系一般廃棄物」です。
一方で、同じレストランから出る「プラスチック容器」や「ビニール袋」は、全業種対象の「廃プラスチック類」なので「産業廃棄物」になります。つまり、同じ事業所のゴミ箱の中に、「市町村の焼却炉で燃やせるゴミ(一廃)」と「専門業者に委託すべきゴミ(産廃)」が混在しているのです。これを混同して、産廃を一廃のルートに流してしまうと不法投棄とみなされ、逆に一廃を産廃として処理してしまうとコストの無駄遣いになります。
同じ事業所から出るゴミでも、種類によって「産廃」と「一廃」が混在します。この境界線を正確に見極め、それぞれ適正なルートに乗せることが、コンプライアンス管理の第一歩です。
排出事業者責任と判断のポイント
産業廃棄物処理において、経営者や担当者が肝に銘じておかなければならない最も重要な原則、それが「排出事業者責任」です。
これは、「ゴミを出した事業者が、その最終処分が完了するまでの全責任を負う」という考え方です。よくある勘違いとして、「高いお金を払って許可業者に委託したんだから、あとは業者の責任でしょ?」というものがありますが、これは法的には完全にアウトです。
廃棄物処理法では、委託契約を結んだ後も、排出事業者には「最終処分が適正に完了したかを確認する義務」があります。もし委託先の業者が山林に不法投棄をした場合、排出事業者が適正な委託契約を結んでいなかったり、マニフェスト(管理票)の管理を怠っていたりすると、たとえ自分たちが捨てたわけでなくても、排出事業者自身も措置命令(撤去命令)や罰則を受ける可能性があります。
だからこそ、処理の最初の入り口である「廃棄物の種類(20種類)の特定」が極めて重要なのです。種類を間違えて契約書に記載してしまったり、許可を持っていない業者に委託してしまったりすることは、明確な法律違反となります。
例えば、「汚泥」の許可しか持っていない業者に、誤って「廃油」が混ざった汚泥を委託してしまった場合、それは「無許可業者への委託」となります。このような事態を防ぐためにも、自社の排出物を現物確認し、成分分析などを行って、20種類のどれに該当するかを正確に把握する必要があります。
産業廃棄物20種類の処理と管理実務
20種類の分類や法的責任が理解できたところで、次は実践編です。実際に現場でどのようにゴミを管理し、処理を委託すればよいのか。ここでは、コストを抑えつつコンプライアンスを鉄壁に守るための実務ノウハウを、行政書士の視点から具体的にお伝えします。
混合廃棄物の分別とリサイクル
建設現場の解体工事や、工場のライン撤去、オフィスの移転などでよく発生するのが、様々な種類のゴミがごちゃ混ぜになった「混合廃棄物」です。廃プラスチック、金属くず、ガラスくず、木くずなどが一体となっている状態です。
実務上、これを「現場で混ぜて出す」か「現場で分けて出す」かで、処理コストは天と地ほど変わります。
混ぜてしまえば「混合廃棄物」として扱われ、処理業者は自社の工場で手作業や機械を使って選別作業を行わなければなりません。その手間賃が処理費に上乗せされるだけでなく、汚れてリサイクルが難しいものが増えるため、最終的に埋め立て処分に回される比率が高くなり、処分費が高騰します。
一方で、排出の段階でしっかりと分別を行えば、大きなメリットがあります。
- 有価物化:金属くずや古紙などは、純度が高ければ「ゴミ」ではなく「資源」として売却できる可能性があります。
- リサイクル率向上:廃プラスチックや木くずは、単一素材であれば燃料化(サーマルリサイクル)や原料化(マテリアルリサイクル)がしやすくなり、安価な処理ルートに乗せることができます。
- リスク低減:内容物が明確になるため、処理業者にとっても扱いやすく、不適正処理のリスクが下がります。
「分ければ資源、混ぜればゴミ」という標語がありますが、産業廃棄物の世界では、これがそのままコストに直結します。現場の作業員に分別の重要性を教育し、分別用のコンテナを設置するなどの一手間が、年間数十万〜数百万円のコストダウンにつながることも珍しくありません。
マニフェスト交付義務と電子化
産業廃棄物を業者に引き渡す際、必ず交付しなければならないのが「マニフェスト(産業廃棄物管理票)」です。これは、廃棄物の種類、数量、運搬業者名、処分業者名などを記載した伝票で、廃棄物が排出から最終処分まで適正に処理されたかを確認するための重要なツールです。
従来は7枚複写の紙マニフェストが主流でしたが、最近ではインターネット上で手続きが完結する「電子マニフェスト」の導入が急速に進んでいます。電子マニフェストには、実務担当者にとって以下の大きなメリットがあります。
- 事務処理の大幅削減:紙伝票の保存や整理、郵送の手間がなくなります。
- コンプライアンス強化:処理状況をリアルタイムで確認でき、期限切れのアラート機能などもあるため、管理ミスを防げます。
- 行政報告の免除:紙マニフェストの場合に義務付けられている、都道府県知事への年次報告(産業廃棄物管理票交付等状況報告書)が不要になります。データが自動的に行政に報告されるためです。
政府も電子化を強く推進しており、今後ますます普及していくことは間違いありません。これから新たに処理業者と契約を結ぶのであれば、電子マニフェストに対応している業者を選ぶことを強くおすすめします。なお、電子マニフェストの仕組みについては、運営元の日本産業廃棄物処理振興センター(JWNET)のサイトが詳しいです。
(出典:JWNET 日本産業廃棄物処理振興センター『電子マニフェストの仕組み』)
安定型など最終処分場の3分類
産業廃棄物が最終的に行き着く「最終処分場(埋立地)」には、埋め立てることができる廃棄物の種類に応じて、法律で厳格に定められた3つのタイプがあります。自社のゴミがどのタイプの処分場に行くのかを知っておくことも、リスク管理の観点から非常に重要です。
| 処分場の種類 | 特徴と対象品目 |
|---|---|
| 安定型最終処分場 | 有害物質や有機物を含まず、雨水にさらされても腐ったり水質を汚したりしない「安定5品目」(廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず、がれき類)専用の処分場です。遮水シートや水処理施設が不要なため、処分コストは比較的安価です。 |
| 管理型最終処分場 | 腐敗したり、汚水が出たりする可能性がある産業廃棄物(燃え殻、汚泥、紙くず、木くず、繊維くずなど)を埋め立てます。ゴムシートなどで遮水し、浸出水を処理施設で浄化してから放流する構造になっています。国内の処分場の多くがこのタイプです。 |
| 遮断型最終処分場 | 有害物質の溶出量が基準値を超える「特定有害産業廃棄物」を、コンクリートのピットなどで完全に外界から遮断して封じ込める処分場です。屋根があり、雨水が入らない構造になっています。建設コストが非常に高く、数も少ないため、処分費は極めて高額になります。 |
ここで特に注意すべきは「安定型処分場」です。処分費が安いので魅力的に見えますが、ここは「安定5品目」以外は一切入れてはいけません。もし、汚泥や木くず、生ゴミなどが混入すると、地中で腐敗してメタンガスが発生したり、地下水を汚染したりする環境事故につながります。そのため、安定型処分場への搬入検査は非常に厳しく行われています。もし「安く処理できますよ」と言って、分別されていない混合廃棄物を安定型処分場に持ち込もうとする業者がいたら、それは不適正処理のサインかもしれません。
違反時の罰則や措置命令のリスク
「知らなかった」では済まされないのが、廃棄物処理法の怖いところです。この法律の罰則は、環境法の中でも最も重い部類に入ります。
もし、不法投棄や不適正処理に関与したとみなされた場合、個人の実行者に対しては「5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金(またはその併科)」という非常に重い刑罰が科される可能性があります。さらに怖いのが、法人に対する罰則です。いわゆる「両罰規定」により、会社に対しても「3億円以下の罰金」が科される可能性があります。3億円という金額は、中小企業であれば即座に倒産に追い込まれるレベルです。
また、刑事罰だけでなく、行政からの「措置命令」も大きな経営リスクです。これは、都道府県知事などが「不法投棄されたゴミを自費で撤去し、原状回復しなさい」と命じるものです。たとえ排出事業者に悪意がなかったとしても、委託先の業者が不法投棄をし、その業者に撤去する資金力がない場合、排出事業者にこの命令が回ってくることがあります。実際に、数億円規模の撤去費用を負担させられた企業の事例も存在します。
コスト適正化に効く分別の秘訣
「コンプライアンスは守りたいけど、処理費は安く抑えたい」。これが経営者の偽らざる本音だと思います。コスト適正化の最大の鍵は、やはり「分別」と「減量」にあります。
すぐにできるコストダウンのヒント
・水分を減らす:汚泥などの含水率が高いゴミは、乾燥や脱水をして「重さ」を減らすことで、重量課金の処分費を大幅に削減できます。
・有価物を分ける:金属類や高品位な廃プラスチックは徹底的に分別し、産廃ではなく「有価物」として買い取ってもらうルートを探しましょう。
・性状で分ける:特に「液状のもの」と「固形のもの」を混ぜないことは鉄則です。これらが混ざると処理の難易度が上がり、処理単価が一気に跳ね上がります。
まずは自社のゴミ箱の中身をひっくり返して、「何が混ざっているか」を確認することから始めてみてください。「これは売れるかもしれない」「これは一般ゴミで出せるかもしれない」という発見が必ずあるはずです。
産業廃棄物20種類の管理まとめ
今回は、産業廃棄物20種類の分類や管理方法について、かなり詳しく解説してきました。長文にお付き合いいただきありがとうございます。
産業廃棄物の管理は、単なる「ゴミ捨て」ではありません。それは企業の社会的責任(CSR)そのものであり、同時にコスト管理という重要な経営課題でもあります。20種類の区分を正しく理解し、適切な業者に委託することは、会社を法的リスクから守り、利益を確保することに直結します。
もし、自社の排出物がどの種類に該当するのか判断に迷ったり、委託契約の内容に不安を感じたりした場合は、独自の判断で進めるのではなく、必ず専門家である行政書士や、管轄の自治体窓口に相談することをお勧めします。正しい知識を武器に、安全でクリーンな事業運営を目指しましょう。
※本記事の情報は執筆時点の法令に基づいています。廃棄物の判断は自治体によって見解が異なる場合があるため、正確な情報は管轄の自治体窓口や専門家にご確認ください。