ネットで拾った「立派な経営方針」をコピペして提出する…。
それが、あなたの会社の審査を「不合格」にする一番の近道です。

産業廃棄物収集運搬業許可の実績100件以上。
行政書士、小野馨です。
今回は、【環境経営方針の書き方】をテーマに、エコアクション21の審査を一発でクリアするための「社長の言葉」の紡ぎ方を伝授します。
- 「ガイドラインを読んだが、基本理念とか行動指針とか、難しくて筆が進まない」
- 「文章を書くのは苦手だ。誰か代わりに書いてくれないか?」
エコアクション21の認証取得を目指す社長様から、最も多く寄せられる悩みがこの「環境経営方針」の作成です。
多くの人が、「審査に通るような高尚な文章」を書かなければならないと勘違いしています。
しかし、実は逆です。
審査員が見たいのは、美辞麗句ではありません。
「ウチの会社は、具体的にどうやって環境を守るのか?」という、あなたの本音の決意表明です。
この記事では、産廃業者が絶対に外してはいけないポイントを押さえつつ、誰でも簡単に「自社オリジナルの方針」が作れるテンプレートを公開します。
これを読めば、もう白い紙の前で頭を抱える時間は終わりです。
▼ この記事のポイント ▼
- ✅ 環境経営方針は、会社の「環境憲法」。社長の署名と日付が必須。
- ✅ 「法遵守」と「継続的改善」の誓約が入っていないと審査に通らない。
- ✅ コピペはバレる。自社の業務(収集運搬等)に即した言葉が必要。
- ✅ 作って終わりではなく、社内掲示やカード配布で「周知」して完成。
※なお、エコアクション21の全体像や、優良認定の他の要件を知りたい方は、
『産業廃棄物許可の教科書(トップページ)』
をブックマークして、実務バイブルとしてお使いください。
環境経営方針とは?エコアクション21審査で問われる「3つの必須要素」
環境経営方針とは、会社が環境に対してどのように取り組むのか、その基本的な考え方(理念)と具体的な行動ルール(指針)を明文化した、いわば「環境に関する会社の憲法」です。
エコアクション21の要求事項の中で、最も重要かつ最初に作成すべき文書です。
なぜなら、その後に作成する「目標」や「計画」は、すべてこの方針に基づいて決められるからです。
以前、私が同席した現地審査での出来事です。
社長はネットで見つけた雛形をそのまま使い、「地球規模の環境保全に貢献し、生物多様性を守ります」という立派な方針を掲げていました。
審査員は静かに質問しました。
「素晴らしい方針ですね。では社長、御社の収集運搬業務において、具体的にどうやって生物多様性を守っているのですか?」
社長は言葉に詰まりました。
「ええと…それは…これから考えます」
審査員はニッコリ笑って言いました。
「社長、これは御社の言葉ではありませんね。御社ができることは、生物多様性よりも、まずトラックのアイドリングを止めることではないですか?」
この瞬間、その方針は「不適合(書き直し)」となりました。
審査員が見ているのは、文章の上手下手ではありません。
**「その会社の実態に合っているか(身の丈に合っているか)」**です。
審査をクリアするためには、背伸びせず、以下の3つの要素を確実に盛り込む必要があります。

ガイドラインが定める書き方の基本ルールと構成
エコアクション21のガイドライン(2017年版)には、環境経営方針に必ず含めなければならない事項が明確に定められています。
どんなに熱い想いを語っても、以下の要素が抜けていれば審査には通りません。
【必須構成要素】
1. 基本理念(Philosophy):
なぜ、当社が環境に取り組むのか?という根本的な考え方。
例:「当社は、廃棄物の適正処理を通じて、地域社会の美化に貢献します」
2. 行動指針(Policy):
具体的に何を頑張るのか?という約束事。
以下の3点を必ず含むこと(誓約事項)。
① 二酸化炭素(CO2)、廃棄物、水使用量の削減に取り組むこと
② 環境関連法規(廃棄物処理法など)を遵守すること
③ 環境経営システムを継続的に改善すること
特に重要なのが「行動指針」に含まれる3つの誓約です。
「法を守ります」「活動を継続します」「CO2を減らします」
この3セットは、お経のように必ず入れてください。
これがないと、門前払いです。
逆に言えば、この骨組みさえしっかりしていれば、あとは肉付けをするだけで合格ラインの方針ができあがります。
ネットの雛形を丸写ししてはいけない決定的な理由
ネット上には、たくさんの「環境方針 例文」が転がっています。
注意ポイント
しかし、それを丸写し(コピペ)することは絶対にお勧めしません。
理由は2つあります。
一つは、前述した通り「実態と乖離するリスク」です。
注意ポイント
製造業向けの例文を運送業が使うと、「グリーン購入の推進(原材料の調達)」などの不要な文言が入り込み、審査員に「御社は原材料を仕入れているのですか?」と突っ込まれる原因になります。
もう一つは、「社長自身の覚悟が決まらないリスク」です。
他人が書いた言葉は、所詮他人の言葉です。
エコアクション21は、社長が先頭に立って社員を巻き込む活動です。
社長自身が「この方針は俺が書いたんだ」という愛着を持っていなければ、朝礼で読み上げても社員の心には響きません。
「かっこ悪い文章でもいい。自分の言葉で書く」
これが、結果として一番スムーズに運用できるコツです。
もちろん、ゼロから書くのは大変ですので、後編で紹介する「産廃業専用の雛形」をベースに、必ず「自社のアレンジ」を加えてください。
社員と取引先に周知して初めて完成する「公表」の義務
素晴らしい環境経営方針ができあがっても、社長の机の中にしまっておいては意味がありません。
ポイント
エコアクション21では、方針を「全従業員に周知する」こと、そして「社外に公表する」ことが義務付けられています。
【社内への周知方法】
事務所の目立つ場所(神棚の下など)に額縁に入れて飾る。
朝礼で唱和する。
「携帯用カード」にして全ドライバーに持たせる(これが一番審査員受けが良いです)。
【社外への公表方法】
自社のホームページに掲載する。
会社案内パンフレットに記載する。
事務所の受付に掲示する。
審査では、「どうやって従業員に知らせていますか?」と必ず聞かれます。
「朝礼で読み上げています」と答えるだけでなく、実際に掲示されている現物や、ドライバーが持っているカードを見せることで、加点評価につながります。
方針書の最後には、必ず「制定日(または改定日)」と「社長の署名(直筆がベスト)」を入れてください。
日付がない文書は、公式文書として認められません。
ここまでやって初めて、「環境経営方針の策定」というステップが完了します。
【そのまま使える】産廃業者専用の環境経営方針の雛形と解説
お待たせしました。
ここからは、産業廃棄物収集運搬業の事業者が、エコアクション21の審査を一発でクリアするための具体的な雛形(テンプレート)を公開します。
この雛形は、私が過去にサポートし、実際に認証を取得された数社の事例をベースに、ガイドラインの最新要件(2017年版)を網羅するよう調整したものです。
このまま使っていただいても構いませんが、**[](カッコ)で囲った部分は、必ず御社の言葉や実情に合わせて書き換えてください。**
審査員は「コピペ」に敏感です。
しかし、ベースとなる骨組みがしっかりしていれば、少し単語を変えるだけで「御社オリジナル」の盤石な方針ができあがります。
Word等にコピーして、社長と一緒に読み合わせながら完成させてください。
産業廃棄物収集運搬業に特化した具体的な例文
環境経営方針
基本理念
株式会社〇〇(以下、当社)は、[建設現場から排出される産業廃棄物の収集運搬業]を通じて、地域社会の環境保全と資源循環型社会の構築に貢献することを経営の重要課題と捉えます。
私たちは、美しい[大阪]の街を次世代に引き継ぐため、全従業員が一丸となって環境負荷の低減に努めます。
行動指針
当社は、事業活動に伴う環境への影響を低減するため、以下の項目に取り組みます。
-
二酸化炭素排出量の削減
収集運搬車両の[エコドライブ(アイドリングストップ、急発進防止)]を徹底し、燃料消費量を抑制することで、二酸化炭素排出量の削減を推進します。 -
廃棄物の適正処理とリサイクルの推進
廃棄物処理法をはじめとする環境関連法規を遵守し、不法投棄の防止を徹底します。また、自社から排出される廃棄物(事務所ゴミや廃車部品等)の分別・リサイクルを推進します。 -
水使用量の削減
[洗車時における節水ノズルの使用]や事務所内での節水を心がけ、水資源の有効活用に努めます。 -
グリーン購入の推進
事務用品や作業服等の購入にあたっては、環境に配慮した製品(エコマーク認定品等)を優先的に選択します。 -
環境経営システムの継続的改善
環境目標を設定し、定期的に見直しを行うことで、環境経営システムを継続的に改善します。 -
周知と公表
この環境経営方針は、全従業員に周知徹底するとともに、社外に対しても公表します。
制定日:2025年〇月〇日
株式会社〇〇
代表取締役社長 [小野 馨] ㊞
いかがでしょうか。
ポイントは、行動指針の1番目です。
単に「CO2を減らす」と書くのではなく、**「収集運搬車両のエコドライブを徹底し」**と、手段を具体的に書くことで、産廃業らしさが生まれます。
また、2番目に**「法遵守」**と**「不法投棄防止」**を入れることで、遵法意識の高さをアピールできます。
この例文をベースに、例えば「うちは積替え保管施設があるから、そこでの節電も追加しよう」といった具合にアレンジすれば完璧です。
「二酸化炭素排出量の削減」など具体的目標を盛り込むコツ
環境経営方針を作ったら、次はそれを達成するための具体的な「数値目標」を立てる必要があります。
方針の中で「CO2を削減します」と宣言した以上、その証拠を見せなければならないからです。
ここで多くの社長が失敗するのが、**「高すぎる目標」**を立ててしまうことです。
「今年は前年比マイナス10%を目指す!」
意気込みは素晴らしいですが、運送業において、仕事量が減っていないのに燃料を10%減らすのは至難の業です。
達成できない目標を立てると、後で「なぜ達成できなかったのですか?」と審査で追及され、苦しい言い訳をすることになります。
エコアクション21のガイドラインでは、削減目標の数値に決まりはありません。
極端な話、**「前年比マイナス1%」**でも立派な目標です。
また、仕事量が増えて総排出量が増えてしまう場合は、**「原単位(げんたんい)」**での目標設定をお勧めします。
原単位とは、「売上100万円あたりのCO2排出量」や「走行距離1kmあたりの燃料使用量」といった効率の指標です。
これなら、仕事が忙しくてガソリン代の総額が増えても、「効率は良くなっています(エコドライブの成果です)」と胸を張って報告できます。
審査員が評価するのは「無茶な数字」ではなく、「実現可能で論理的な数字」です。
背伸びせず、確実にクリアできるラインを設定しましょう。
方針は一度作ったら終わりではない!見直しのタイミング
環境経営方針は、一度作れば永久にそのまま…ではありません。
会社の状況が変われば、方針も進化させるべきです。
見直すべきタイミングは主に以下の3つです。
1. **事業内容が変わった時**
* 例:新たに「中間処理施設」を作った場合、施設での騒音対策や粉塵対策を方針に追加する必要があります。
2. **社会情勢が大きく変わった時**
* 例:SDGs(持続可能な開発目標)や脱炭素(カーボンニュートラル)への対応を盛り込みたい時。
3. **毎年の「環境活動レポート」作成時(経営層による見直し)**
* 1年間の活動を振り返り、「この方針のままでいいか?」を社長が自問自答します。
変更した場合も、必ず「改定日」を更新し、再度全従業員に周知することを忘れないでください。
古い方針のまま放置していると、審査で「実態と合っていない」と指摘されます。
方針書は神棚に飾るお札ではなく、常に手垢にまみれる「現場のマニュアル」であるべきです。
毎年の更新審査は、この方針を見つめ直す良い機会になるはずです。
あなたが得られる未来:社長の想いが社員に伝わる瞬間
たかが紙切れ一枚。
そう思うかもしれません。
しかし、社長が悩み、考え抜いて作った「環境経営方針」には、魂が宿ります。
「ウチの会社は、ただゴミを運んでいるんじゃない。街をきれいにしているんだ」
方針書を通じてその想いが伝わった時、社員の顔つきが変わります。
やらされ仕事だったエコドライブが、プライドあるプロの仕事に変わります。
その変化こそが、エコアクション21に取り組む本当の価値です。
審査に合格するのは通過点に過ぎません。
その先にある「社員が誇りを持てる会社」を目指して、まずは最初の一枚を書き上げてください。
あなたのその一歩が、会社の未来を変えます。
🚀 今日から始める「3つの行動」
- 上記の雛形をコピーし、[ ]の部分を自社に合わせて書き換える
- 完成した方針に日付を入れ、社長が直筆で署名する
- 額縁に入れて事務所の入り口に掲示し、写真を撮る(審査の証拠になります)
方針策定から認証取得まで
「書類のプロ」が完全サポートします。
🎁 小野事務所のサポート内容
- ① あなたの会社に最適な「環境経営方針」の添削・作成代行
- ② 面倒なデータ集計やレポート作成の【丸投げOK】
- ③ 最短6ヶ月で認証を取得する【スケジュール管理】
※まずは上記ページよりお気軽にお問い合わせください。
よくある質問(FAQ)
Q. 「基本理念」と「行動指針」の違いは何ですか?
「基本理念」は会社の根本的な考え方(想い)であり、「行動指針」はその想いを実現するための具体的なルール(約束)です。
両方揃って初めて「環境経営方針」として認められます。
Q. 方針は手書きでないとダメですか?
いいえ、本文はパソコン作成で構いません。
ただし、最後の「社長の署名」だけは、本人の意思であることを証明するために、直筆(または実印の押印)であることを強く推奨します。
Q. ホームページがないのですが、どうやって公表すればいいですか?
自社HPがない場合は、会社案内パンフレットに印刷したり、事務所の受付や門扉に掲示板を設置して貼り出すことでも「公表」と認められます。
誰でも見られる状態にすることが重要です。
この記事を書いた人
行政書士 小野 馨
産業廃棄物収集運搬業許可・建設業許可専門。
許可取得実績100社以上。
「審査に通る書類」と「現場で使える書類」の両立を追求。
エコアクション21の環境経営方針策定ワークショップなども開催している。