「トラックさえあれば、明日からでも産廃の仕事ができる」
もしそう思っているなら、その油断があなたの事業計画を白紙に戻します。
こんにちは!
産業廃棄物許可の実績100件以上。
「許可は取れるかどうかではない、取るか取らないかだ」が信条の行政書士、小野馨です。
今回は【産廃収集運搬業許可の5つの要件】というテーマで、許可取得の壁を突破する方法を熱くお話しします。
「仕事の依頼は来ているのに、許可がないから断っている…」
「元請けから『来月までに許可を取れ』と急かされている」
産業廃棄物収集運搬業の許可申請は、建設業や運送業とならび、非常に審査が厳しい許認可の一つです。
単に申請書を出せば通るものではなく、法律で定められた「5つの厳しいハードル(要件)」をすべてクリアしなければ、許可証は絶対に発行されません。
実際に、「講習会を受けていなかった」「役員に過去の違反歴があった」「車両の車検証が適切でなかった」などの理由で、申請窓口で門前払いされるケースが後を絶ちません。
準備不足のまま見切り発車で申請しようとすると、時間もお金も無駄にするだけでなく、最悪の場合、事業計画そのものが頓挫してしまいます。
この記事では、年間100件以上の申請に関わる行政書士が、「これだけ押さえておけば審査に通る」という許可の5大要件を徹底解説します。
教科書的な法律論ではなく、現場で実際に審査官が見ているポイントをお伝えしますので、ぜひ最後までチェックしてください。
▼ この記事のポイント ▼
- ✅ 許可取得には「講習・経理・施設・計画・欠格」の5要件クリアが必須。
- ✅ 赤字決算や債務超過でも、診断書があれば許可は取れる。
- ✅ 車両は「車検証の使用者」が自社名義でないと認められない。
- ✅ 役員に一人でも「欠格事由(前科等)」があれば即不許可になる。
※なお、許可取得の全体的な流れや費用感を知りたい方は、
『産業廃棄物許可の教科書(トップページ)』
をブックマークして、実務バイブルとしてお使いください。
産業廃棄物収集運搬業許可の「5つの要件」全体像
産業廃棄物収集運搬業許可とは、他人から委託を受けて産業廃棄物を運搬するために必要な免許のことです。
この許可(積替え保管なし)を取得するためには、廃棄物処理法が定める以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。
一つでも欠ければ不許可となります。
| 要件の名称 | 概要・チェックポイント |
|---|---|
| ① 講習会の受講(能力) | JWセンターの講習会を修了していること |
| ② 経理的基礎 | 事業を継続できる金銭的な体力があるか(赤字でも対策可) |
| ③ 運搬施設の確保 | 適切な運搬車両、運搬容器、駐車場があるか |
| ④ 事業計画の適正 | どこから運び、どこへ捨てるか。計画に無理がないか |
| ⑤ 欠格要件 | 過去に犯罪歴や許可取消歴がないか |
それでは、それぞれの要件について詳しく見ていきましょう。
要件1:講習会の受講(知識と能力)
講習会の受講とは、申請者が産業廃棄物を適正に処理するための十分な知識と能力を持っていることを証明するための手続きです。
具体的には、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が実施する「産業廃棄物収集運搬業(新規)講習会」を受講し、修了試験に合格しなければなりません。
「うちは運送業を長くやっているから能力はある!」と主張しても認められません。
必ずこの「修了証」の原本が必要です。
(※実は、ここで「予約が取れない」というトラブルが多発しています。許可を取りたいと思ったら、まずは講習会の予約サイトを確認してください)
💡 誰が受講すべきか?
法人の場合:監査役を除く役員(代表取締役など)、または政令使用人(支店長など)
個人の場合:事業主本人、または政令使用人
※単なるドライバーや運行管理者が受講しても、申請には使えませんのでご注意ください。
講習会は2日間(オンラインの場合は動画視聴+試験1日)行われ、最後に試験があります。
試験といっても落とすためのものではなく、講義をしっかり聞いていれば合格できるレベルです。
要件2:経理的基礎(金銭的な信用)
経理的基礎とは、産業廃棄物処理業を安定的かつ継続的に行うことができる「財産的基礎(お金)」があるかどうかを審査する要件です。
産廃業者が倒産してゴミを放置して逃げる(不法投棄)リスクを防ぐため、厳しくチェックされます。
具体的には、直近の決算書(3期分)を提出し、以下のポイントを審査されます。
- 債務超過になっていないか?(資産より負債が多くないか)
- 直近の決算が赤字ではないか?
- 法人税などの税金を滞納していないか?
「じゃあ、赤字だったら許可は取れないの?」
いいえ、諦める必要はありません。
もし直近が決算赤字や債務超過であっても、「中小企業診断士による経営診断書」や「今後の収支計画書」を追加で提出し、「今後5年間で黒字化できる根拠」を示すことができれば、許可を取得できる可能性は十分にあります。
私が担当した案件でも、債務超過の企業様が診断書を添付して無事に許可を取得できた事例は多数あります。
ただし、税金の「未納(滞納)」がある場合は、原則として申請が受け付けられません。
まずは納税を済ませることが先決です。
(※どうしても払えない場合は、税務署と相談して「分納計画」を立てることで認められるケースもありますが、ハードルは高いです)
要件3:運搬施設の確保(車両・容器・駐車場)
運搬施設の確保とは、産業廃棄物を飛散・流出させずに安全に運ぶための物理的な「道具」が揃っているかを確認する要件です。
① 運搬車両(トラック等)
車検証の備考欄に「貨物」と記載されている車両が必要です。
ダンプ、平ボディ、バン、パッカー車などが該当します。軽トラック(黒ナンバー)でも申請可能です。
【重要】車両は、申請者が「使用権原」を持っている必要があります。
つまり、車検証の「使用者」が自社名義になっているか、または長期のリース契約(1年以上)を結んでいることが必要です。
短期のレンタカーや、役員個人の名義のまま(借用書対応)では、原則として許可は取れません。
② 運搬容器
運ぶ廃棄物の種類に応じた容器が必要です。
例えば、「汚泥」や「廃油」などの液体を運ぶならドラム缶やタンク、「燃え殻」や「ばいじん」ならフレコンバックなど、飛散・流出を防ぐ措置が求められます。
「がれき類」などは直積みでもOKですが、その場合は荷台シートや落下防止枠が必要です。
③ 駐車場(車庫)
登録する車両を置くための駐車場が必要です。
使用権原(自社所有または賃貸契約)があり、かつ、車両が収まる広さが必要です。
路上駐車や、自宅の庭に適当に停めるというのは認められません。
(※申請時に駐車場の図面や写真の添付が求められます)
要件4:事業計画の適正(入口と出口の整合性)
事業計画の適正とは、産廃業のビジネスモデルそのものが法律に適合しているか審査するものです。
産廃業は「誰からゴミをもらい(排出事業者)、どこへ運ぶか(処分業者)」というルートが明確でなければなりません。
申請書には、具体的な「運搬計画」を記載します。
- 何を運ぶか:廃プラスチック類、がれき類、金属くず など
- どこへ運ぶか:搬入先の処分業者の名称、所在地、許可番号
ここで重要なのが、「運搬先の処分業者が、そのゴミを処理する許可を持っているか」という整合性です。
例えば、あなたが「廃油」を運びたいのに、運搬先の処分場が「廃プラスチック」の許可しか持っていなければ、その計画は「実現不可能」として不許可になります。
申請前に、必ず搬入予定の処分場と連絡を取り、「受入証明書(または内諾書)」をもらっておくか、処分業者の許可証の写しを入手して確認する必要があります。
(自分でやるのが面倒な方は、丸投げも可能です)
要件5:欠格要件(過去の違反歴など)
欠格要件とは、申請者が「産廃業を行うにふさわしくない人物」でないかを確認する、ネガティブリストの要件です。
申請者(法人の場合は役員、株主、支店長を含む)が、以下のいずれかに該当する場合は、絶対に許可が下りません。
⛔ 主な欠格要件リスト(該当するとアウト)
- 成年被後見人・被保佐人、破産者で復権を得ないもの
- 禁錮以上の刑に処せられ、5年を経過しないもの
(※産廃法違反だけでなく、交通事故等の刑法犯も含む) - 廃棄物処理法などの環境関連法に違反し、罰金刑以上を受けて5年を経過しないもの
- 暴力団員、または暴力団員でなくなってから5年を経過しないもの
- 過去に産廃許可を取り消され、5年を経過しないもの
特に注意が必要なのは、「役員の中に一人でも該当者がいれば、会社全体が不許可になる」という点です。
非常勤の監査役や、親会社の役員なども調査対象になります。
「昔、ちょっとヤンチャしていて...」という役員がいる場合は、事前に警察や法務局での確認が必要です。
嘘をついて申請しても、警察とのデータベース照合で必ずバレます。
バレた場合、虚偽申請としてさらに罪が重くなります。
あなたが得られる未来:許可証は「信頼」の証
5つの要件、いかがでしたでしょうか。
「こんなに厳しいのか…」とため息をついた方もいるかもしれません。
しかし、裏を返せば、この許可を取得できた会社は、国から「金銭的にも、能力的にも、コンプライアンス的にも信用できる」とお墨付きをもらったことになります。
許可証を手に入れたその日から、あなたは堂々と営業活動ができます。
「許可を持っています」という一言が、元請けからの信頼を勝ち取り、新しい取引(売上)を呼び込みます。
面倒な審査は、ライバルが脱落していくフィルターでもあります。
この壁を乗り越えて、一国一城の主として次のステージへ進みましょう。
もし、「書類を作る時間がない」「赤字決算で不安だ」という場合は、プロの手を借りるのも賢い経営判断です。
あなたの挑戦を応援しています。
よくある質問(FAQ)
Q. 講習会はオンラインでも受講できますか?
はい、可能です。
JWセンターでは、講義動画を自宅等のパソコンで視聴し、後日指定された会場で試験のみを受ける「オンライン形式」の講習会を実施しています。ただし、試験会場の予約枠も限りがあるため、早めの申し込みが必要です。
Q. 許可取得までにかかる期間はどれくらいですか?
申請書を提出(受理)してから、標準処理期間として約60日(2ヶ月)かかります。
これに書類作成や講習会受講の期間を含めると、トータルで3ヶ月〜4ヶ月程度を見込んでおくのが安全です。
Q. 軽トラックでも許可は取れますか?
はい、取れます。
車検証の用途が「貨物」であり、かつ事業用(黒ナンバー)または自家用(白ナンバー ※要件あり)であれば、軽トラックでも登録可能です。ただし、運べる量は限られるため、事業計画に見合った車両選定が必要です。
この記事を書いた人
行政書士 小野 馨
産業廃棄物収集運搬業許可・建設業許可専門。
許可取得実績100社以上。
複雑な許可要件を分かりやすく解説し、赤字企業や難案件の許可取得も多数サポート。
「お客様の事業発展のパートナー」として、許可後の運用までトータルで支援している。