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建設会社が「民泊管理業」を始めるべき理由|ストック収入と修繕工事を独占する「住宅宿泊管理業者」登録ガイド

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こんにちは。
建設業許可と民泊ビジネスの専門家、行政書士の小野馨です。

私は普段、多くの建設会社様(工務店、リフォーム、設備業など)の経営相談を受けていますが、多くの社長様が、ある種の「虚しさ」を感じています。

「汗水垂らして良い建物を作って引き渡したのに、
その後は不動産屋や管理会社が、何もしないで毎月手数料を抜いている。
そして数年後、修繕工事だけ安く叩かれて発注が来る…」

この「下請け構造」の悔しさ、今すぐビジネスチャンスに変えませんか?

実は今、賢い建設業者は続々と「住宅宿泊管理業者(民泊管理業)」の登録を受け、自社で施工した物件の「管理」まで丸ごと請け負うスタイルに転換しています。

これは単なる多角化ではありません。
「毎月の安定収入(ストック)」を手に入れ、かつ「将来の修繕工事を100%独占する」ための、建設業にとって理想的な生存戦略です。

今回は、建設会社が民泊管理業を始めるべき圧倒的なメリットと、その登録要件、そして「他社には教えたくない契約の裏技」について解説します。

この記事でわかること(建設会社の社長へ)

  • ストック収入: 毎月「売上の20%」が入ってくる経営の安定剤
  • 最強の競争力: 不動産屋には不可能な「即日修理」と「原価対応」
  • 独占受注の罠: 管理契約書に〇〇と書くだけで、リフォームを独占できる
  • 登録の壁: 「債務超過」だと登録不可?建設業許可との決定的違い
  • 人的要件: 宅建士がいなくても「講習」だけで登録できる!

1. なぜ「建設会社」が管理をやると最強なのか?

民泊の管理業務とは、主に「清掃手配」「宿泊客対応(メール・電話)」「緊急駆け付け」「設備の維持管理」です。
これを、一般的な「不動産管理会社」や「IT系代行業者」がやるとどうなるでしょうか?

「エアコンが壊れた」「水漏れした」というトラブルが起きた時、彼らは何もできません。
慌てて外注の工務店を探し、電話をかけまくり、高い緊急出張費を乗せてオーナーに請求します。
対応は遅れ、費用は高くなり、オーナー(投資家)は不満を持ちます。

しかし、「建設会社」であるあなたが管理していれば?
ここに、他業種が絶対に真似できない「アンフェア・アドバンテージ(不公平な競争優位性)」があります。

① トラブル対応が「即日・原価」でできる

水漏れ? 自社の配管工を現場帰りに寄らせれば1時間で直ります。
ドアの不具合? 建具職人がすぐ調整します。
クロス汚損? 余った材料でパパッと張り替えられます。

この「圧倒的なスピード」「中間マージンなしの安さ」は、投資家への最強のセールスポイントになります。
「私が建てた物件ですから、構造は全部わかっています。何かあっても即日直しますよ」
この一言で、管理契約は決まります。

② 毎月の「固定収入」がキャッシュフローを救う

民泊の管理委託料の相場は、宿泊売上の15%〜20%です。
例えば、月商100万円の人気物件を1件管理するだけで、毎月15万〜20万円が入ってきます。

もし10件管理すれば、月200万円、年商2,400万円の「ストック収入」です。
公共工事の入金サイト(数ヶ月後)を待つ間の運転資金として、これほど心強いものはありません。
しかも、実務(清掃やメール対応)はパートさんや外注に任せれば、社長の手は空きます。

③ 将来の「修繕・リフォーム」を独占できる(極秘)

これが最大の旨味です。
管理をしていれば、建物の傷み具合を誰よりも把握できます。
「そろそろ外壁塗装の時期ですね」「給湯器を交換しましょう」

こうした提案を、相見積もりなしの特命受注で請け負うことができます。
管理契約書に「修繕工事は原則として乙(自社)が施工する」という条項を入れておけば、その物件は将来にわたって御社の「独占市場」になります。

2. そもそも「住宅宿泊管理業」とは?いつ必要なの?

「民泊管理」は、誰でも勝手にやっていい商売ではありません。
国土交通省の登録を受けた「住宅宿泊管理業者」でなければ、報酬を得て管理を行うことはできません。

そして、投資家が民泊を始める場合、以下の条件に当てはまれば、法律で「管理業者への委託」が義務付けられています。

  1. 家主不在型: オーナーが同居しておらず、無人で運営する場合(投資用民泊の99%はこれです)。
  2. 部屋数が多い場合: 家主同居型でも、部屋数が6室以上ある場合。

つまり、投資家は「自分では管理できない」ので、必ず誰かにお金を払って委託しなければならないのです。
その「委託先」の受け皿に、御社がなればいいのです。

💡 旅館業法(簡易宿所)の場合は?

旅館業法の施設には、法律上の「委託義務」はありません。
しかし、別府や湯布院などの条例で「10分以内の駆け付け」が求められるため、現実的には地元の管理会社が必要になります。
管理業の登録を持っていれば、民泊新法・旅館業法のどちらの物件も堂々と受託できます。

3. 登録の壁:最大のハードルは「金」

「よし、うちも登録しよう!」
と思った社長様、ここで建設業許可とは違う「厳しい審査」があることを知ってください。

財産的基礎要件(債務超過はアウト)

国土交通省への登録申請時、「債務超過(資産より負債が多い状態)」ではないことが厳しく求められます。

  • 建設業許可(一般)の場合: 直前の決算で赤字でも、500万円の残高証明があればOKでした。
  • 民泊管理業の場合: 直近の決算書(貸借対照表)で、純資産がマイナス(債務超過)だと、原則として登録できません。

「うちは銀行融資で回してるから、決算書の見栄えは悪いんだよ…」
という建設会社様はピンチです。

【回避策】
ただし、諦めるのは早いです。
もし債務超過であっても、「公認会計士による財務改善の見込み証明書」などを提出することで、特例的に認められるケースがあります。
このスキームは非常に専門性が高いため、通常の行政書士では対応できません。ぜひ当事務所にご相談ください。

4. 人的要件:宅建士はいらない!?

もう一つのハードルが「人」です。
営業所ごとに、民泊管理の知識を持った「管理業務の責任者」を置く必要があります。

「うちは不動産屋じゃないから、宅建士なんていないよ」
ご安心ください。宅建士の資格は必須ではありません。

誰でも取れる「管理業講習」

以下のいずれかの条件を満たせば、責任者になれます。

  1. 宅地建物取引士の登録者
  2. 管理業務主任者の登録者
  3. 賃貸不動産経営管理士の登録者
  4. 住宅宿泊管理業講習の修了者(←これが狙い目!)

4番目の「講習」は、指定の機関が実施する講習(1日程度)を受ければ誰でも修了証がもらえます。
社長自身や、事務員さんがこの講習を受ければ、すぐに人的要件はクリアできます。

5. 別府・湯布院エリアは「地元の建設業」が独り勝ちできる

最後に、大分県(別府・湯布院)ならではの勝機について。

以前の記事で解説した通り、このエリアでは条例により「10分以内の緊急駆け付け」が事実上の義務となっています。

東京の大手代行業者や、IT系管理会社は、この「物理的な壁」を越えられません。
「何かあったらすぐ行く」ことができるのは、地元に拠点があり、機動力(社用車と人員)を持つ建設会社だけです。

「うちは湯布院に資材置き場がある」
「別府市内に営業所がある」

これだけで、東京の大手運用会社から「提携してほしい(駆け付けだけやってほしい)」というオファーが殺到する可能性があります。
管理業登録をしておけば、こうしたBtoBの仕事も受けられるようになります。

まとめ:建設業の未来は「ストックビジネス」にある

人口減少により、新築工事の需要は確実に減っていきます。
これからの建設業は、「作る」だけでなく「守る(管理する)」ことで利益を出す時代です。

自社でリノベした物件を、自社で管理し、自社で修繕する。
この「自給自足のサイクル」を回せる会社は、不況知らずです。

当事務所は、建設業許可のプロであると同時に、この「住宅宿泊管理業者」の登録申請も専門としています。

  • 「うちの決算書で登録できるか、診断してほしい」
  • 「管理業を始めるにあたって、修繕を独占できる契約書を作りたい」

そんな「経営的」なご相談もお任せください。
単なる手続き代行ではなく、御社の新しい収益の柱を作るパートナーとして伴走いたします。

民泊・旅館業の全体像を再確認する

管理業を始める前に、まずはクライアント(投資家)にアドバイスできるよう、
建築基準法や消防法の基礎知識をおさらいしておきましょう。


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