別府で温泉を宿泊客の入浴に使う場合は、宿泊営業の許可・届出とは別に、温泉法に基づく温泉利用許可を確認する必要があります。 住宅に温泉が引かれていることや、前の所有者が使っていたことだけでは、新しい宿泊事業者がそのまま提供できるとは限りません。
最初に分けたいのは、「宿泊営業ができるか」「温泉を公共の浴用に使えるか」「宿泊者以外も入浴させるか」「引湯契約と入湯税をどう扱うか」の4点です。別府市内では、温泉利用許可の相談先は大分県東部保健所です。物件の購入や浴室工事を確定する前に、運営方法と図面をそろえて相談すると、必要な手続きを整理しやすくなります。
この記事では、別府で新たに温泉付き民泊を始める方に向けて、許可の違い、申請準備、開業後の管理までを説明します。制度情報は2026年10月22日時点の公的資料に基づきます。
別府の温泉付き民泊は、温泉利用許可と宿泊営業の許可・届出を別に確認する
温泉法は、温泉の保護や採取に伴う災害の防止、利用の適正化を図る法律です。そのうち温泉利用許可は、温泉を公共の浴用・飲用に供するための手続きであり、宿泊営業そのものを認める許可ではありません。環境省「温泉法の概要」
| 確認する制度 | 何を確認するか | 別府市内の主な相談先 |
|---|---|---|
| 温泉法の利用許可 | 温泉を宿泊客などの浴用・飲用に提供すること | 大分県東部保健所・温泉担当 |
| 旅館業法の営業許可/住宅宿泊事業法の届出 | 料金を受けて宿泊させる営業・事業の条件 | 大分県東部保健所・生活衛生担当 |
| 公衆浴場法の営業許可 | 日帰り客などへの入浴提供と浴場営業の条件 | 大分県東部保健所・生活衛生担当 |
| 入湯税 | 課税対象・税率・免除、徴収と申告納入 | 別府市の入湯税担当窓口 |
大分県は、民泊営業について旅館業法の許可または住宅宿泊事業法の届出が必要と案内しています。住宅宿泊事業には年間180日以内などの要件があるため、温泉が使えるかだけでなく、予定する営業日数や住宅の使い方から制度を選びます。大分県「民泊について」
営業制度の選び方から整理する方は、民泊の180日制限と旅館業・特区民泊の違いをご覧ください。別府で特区民泊を利用できるという意味ではなく、制度全体を比較するための解説です。
宿泊者専用・一組限定でも「自家用」とは限らない
温泉法の「公共の用に供する」とは、不特定多数の人の利用に供することをいい、大分県は旅館や公衆浴場などを例示しています。家族だけが入る自宅の風呂と、予約を受け付けて入れ替わる宿泊客に提供する風呂は、同じ扱いとは限りません。
客室風呂、一棟貸し、一日一組という形式だけで、温泉利用許可が不要になるわけではありません。 自家用の温泉付き住宅を宿泊施設へ転用する場合は、宿泊者の募集方法、利用者の範囲、浴槽の数を東部保健所へ伝え、利用許可の対象と単位を確認してください。大分県のしおりは、自家用から公共用への変更を申請が必要な場合として挙げています。大分県「温泉利用許可申請のしおり」2026年4月1日版
公衆浴場営業の許可が不要でも、温泉利用許可は別に考える
旅館業法の適用を受け、衛生措置が講じられている宿泊施設の浴場は、公衆浴場法の適用外とされる場合があります。一方、宿泊者以外の日帰り客にも入浴させる計画では、公衆浴場営業の許可を別に確認する必要があります。厚生労働省「公衆浴場法概要」、大分県「申請手続きの流れ(既設)」
住宅宿泊事業の届出住宅についても、旅館業許可施設の扱いをそのまま当てはめず、浴室の位置・利用者・外来入浴の有無を示して確認しましょう。「公衆浴場営業には当たらない」という説明を受けても、それだけで温泉法の利用許可まで不要とは判断できません。
購入・改修の前にそろえる資料
温泉付き物件では、行政上の許可と、湯を供給してもらう契約を分けて調べます。相談準備として、次の資料を集めておくと状況を説明しやすくなります。すべてが許可申請の法定添付書類という意味ではありません。給排水や衛生管理も含めた計画全体の確認順序は、温泉付き民泊の契約・工事前の確認で整理しています。
- 施設の所在地、平面図、浴室・浴槽の位置と数
- 既存の温泉利用許可に関する書類と、許可を受けている個人・法人名
- 温泉分析書、源泉名、引湯経路が分かる資料
- 温泉の供給契約、管理規約、使用料に関する資料
- 予定する宿泊制度、定員、営業開始時期、日帰り入浴の有無
供給者には、宿泊事業への利用が可能か、契約者変更や承諾が必要か、供給量・料金・配管修繕の負担がどうなるかを確認します。権利金や商用料金は契約ごとの問題であり、別府の物件すべてに同じ金額・倍率が適用されるわけではありません。
また、以前の許可証があっても、経営者、源泉、浴槽の増設などが変われば手続きの確認が必要です。物件売買、相続、法人の合併・分割を一律の「名義変更」で処理できるとは限らないため、変更内容を保健所へ具体的に伝えてください。
既存の温泉付き施設を買い取り、営業者を変える方は、旅館業・温泉利用許可・引湯契約の承継を分けて確認してください。
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別府の温泉利用許可で準備する書類と申請の流れ
大分県の2026年4月1日版しおりでは、申請先として東部保健所 健康安全企画課(0977-67-2511)が案内されています。別府市の市役所にある「別府市保健所」ではなく、大分県の東部保健所です。
浴用の申請では、温泉利用許可申請書、温泉分析書の写し、誓約書に加え、建物・浴槽等の平面図や設備の概要、源泉から施設までの配管図が示されています。配管図には口径・材質・延長等を記載します。立体配管図という形式がすべての申請で一律必須と決めつけず、手元の図面で不足する情報を確認しましょう。
申請手数料は、同しおりでは35,500円です。ただし、許可は原則として浴槽・蛇口等の利用施設ごとで、一括して許可できる条件もあります。浴用と飲用も別の許可なので、施設全体の費用を「35,500円だけ」と見込まないことが大切です。分析費、図面作成費、設備工事費等は別に見積もります。大分県の申請書類・手数料・相談先
進め方の目安は、次のとおりです。
- 営業形態、浴槽の配置、源泉・引湯経路を整理して事前相談する。
- 許可の単位、分析する場所、設備上の確認事項を保健所と整理する。
- 必要な図面・分析書等をそろえ、申請する。
- 施設の完成時期等に合わせた現地調査に対応する。
- 許可、掲示の届出・内容、宿泊営業側の手続きを整え、利用開始条件を確認する。
これは準備の順序を示したもので、一定の日数で許可されることを保証するものではありません。分析や改修、現地調査の日程を含めて、予約販売を始める前に開業見込みを確認してください。
浴室の安全は泉質と設備に合わせて確認する
硫化水素対策を「別府のすべての温泉に同じ工事」と考えない
温泉によっては硫化水素への対策が重要です。ただし、別府にあるという理由だけで同じ構造基準を一律に当てはめるのは適切ではありません。
環境省の設備構造等基準は、総硫黄を1kg中2mg以上含む温泉を対象にしています。換気孔等を設ける構造のほか、源泉から浴室までにばっ気装置等を設ける構造などを示し、浴槽の湯面や温泉注入口の位置も定めています。したがって「床面の換気孔がないから、必ず壁に穴を開けるしかない」と、図面や成分を確認せずに結論を出すべきではありません。環境省「公共の浴用に供する場合の温泉利用施設の設備構造等に関する基準」
温泉分析書と設備図をもとに、保健所、設計者、設備業者で対象基準と対策を確認してください。露天風呂でも安全確認が不要になるわけではありません。風水の方角や窓の見栄えを、換気の安全性の根拠にしないことも大切です。
成分分析とレジオネラ対策の検査を混同しない
温泉の成分を調べる分析と、浴槽水等の衛生状態を確認する水質検査は、目的が異なります。温泉分析書があるだけで、営業中の衛生管理が完了するわけではありません。
大分県の掲示のしおりでは、前回の温泉成分分析を受けた日から10年以内に再分析し、その結果通知を受けた日から30日以内に掲示内容を変更することが案内されています。「分析書の発行日から10年」と読み替えないようにしてください。
掲示には成分だけでなく、禁忌症、入浴上の注意、加水・加温・循環・消毒等の情報も含まれます。施設内の見やすい場所に掲示し、掲示・変更に必要な届出を行います。利用場所での分析を原則とする扱いや、源泉の分析書を利用できる条件についても、保健所に確認してください。大分県「温泉成分等の掲示及び届出のしおり」2026年4月1日版
一方、日常の清掃・消毒、換水、レジオネラ属菌検査、記録の保存については、旅館業・住宅宿泊事業・公衆浴場の別や、循環設備・浴槽の使い方に応じて、適用する条例・管理基準を確認します。全国一律の検査周期や塩素濃度をこの記事だけで決めず、次の事項を開業前に具体化しましょう。
- 誰が、どの浴槽・設備を、どの方法と頻度で清掃・点検するか
- 必要な検査項目、採水箇所、検査頻度、結果の確認者
- 記録の保存方法・期間と、異常時の使用停止・連絡手順
かけ流しであることを理由に、衛生管理を省略しないでください。国の考え方は厚生労働省の公衆浴場法概要、住宅宿泊事業の衛生資料は大分県の住宅宿泊事業案内から確認できます。
別府市の入湯税は一律250円ではない
入湯税は、鉱泉浴場での入湯に対する税金です。温泉利用許可の申請手数料ではありません。施設の経営者が特別徴収義務者として徴収し、申告納入する仕組みについて、市の担当窓口で確認します。
別府市でも「すべての宿泊客から1泊250円」とは限りません。 市の現行案内では、宿泊料金・飲食料金の区分と滞在期間で税額が異なります。たとえば、消費税を除く宿泊・飲食料金の合計が6,001円以上50,000円以下の区分では、日帰りから6泊7日までの短期滞在者は1人1日250円、7泊8日以上の長期滞在者は1泊目から125円です。50,001円以上の短期滞在者は500円とされています。
超過課税の特例期間は2024年4月1日から5年間延長されたものです。12歳未満などの課税免除もあるため、料金区分だけでなく、免除の対象と証明・申請の要否まで確認してください。別府市「入湯税」
一棟貸し料金を人数でどう扱うか、連泊、飲食込みのプラン、日帰り利用を設ける場合などは、販売前に税額の算定方法を市へ確認し、予約ページの表示と現地徴収をそろえておきます。他市町村の税率・免除を別府へ流用することも、別府の扱いを全国共通とすることもできません。
温泉付き民泊の準備は、図面と運営計画を一緒に確認する
温泉付き民泊では、浴室の見栄えだけでなく、許可を受ける人、温泉の供給条件、宿泊者への提供方法、開業後の管理をそろえて考える必要があります。
まずは、所在地・図面・温泉分析書・既存許可・供給契約を集め、東部保健所へ温泉利用と宿泊営業を分けて相談してください。入湯税は別府市、契約条件は温泉の供給者、設備設計は建築士・設備業者へ確認します。温泉の適応症の掲示を、特定の病気が治るという保証や広告へ置き換えることも避けましょう。
手続きの整理や申請準備について相談したい方は、物件所在地、予定する営業形態、温泉分析書・図面の有無を添えて、サクセスファン行政書士事務所へお問い合わせください。対応可否・支援範囲・費用は、個別の計画を確認したうえで相談してください。