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大阪民泊は終わる?2025年万博特需と特区廃止後の生存戦略

行政書士 小野馨

こんにちは

リゾート民泊コンシェルジュ&行政書士の小野馨です。

今回は、【大阪民泊の未来と戦略】というテーマでお話します。

「大阪の特区民泊、もう終わっちゃうの?」

「今から参入しても遅い?」

最近、私のところにもこうした相談が殺到しています。

確かに、2026年の特区制度終了というニュースは衝撃的でしたよね。

でも、ちょっと待ってください。

2025年には大阪・関西万博というビッグイベントが控えており、市場はかつてないほどの盛り上がりを見せているんです。

この大きな波に乗れるかどうかが、投資成功の分かれ目ですよ。

  • 大阪特区民泊の「2026年5月終了」という期限の正確な意味
  • 万博期間中の宿泊需要予測と、その後の市場変化
  • 難波やUSJなど、今狙うべき高収益エリアのリアルな事情
  • 初期費用や撤退リスクまで含めた、プロが教える長期運営戦略

大阪の民泊市場と万博需要や特区の規制

大阪はこれまで「民泊特区」として日本のインバウンド市場を牽引してきましたが、2025年から2026年にかけて大きな転換期を迎えます。

ここでは、皆さんが一番気になっている制度変更のタイムラインと、万博という特需が市場にどのようなインパクトを与えるのか、プロの視点で詳しく解説していきますね。

特区民泊の終了時期と今後の対策

まず、一番重要な「特区民泊の終了」について整理しましょう。

ポイント

結論から言うと、大阪市の特区民泊(国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業)の新規受付は、2026年5月29日をもって終了することが正式に決定されました。

これは単なる噂レベルの話ではなく、大阪市が「住民環境との調和」や「宿泊施設の供給過多」を背景に下した重大な決断です。

これまで大阪での民泊参入が容易だったのは、この「特区民泊」という制度のおかげで、本来なら厳しい旅館業法の許可が必要なところを、比較的緩やかな要件で365日営業できたからなんですね。

「えっ、じゃあ今運営している物件はどうなるの?」と不安になりますよね。

ここが一番のポイントなんですが、安心してください。

あくまで「新規受付」の終了であって、2026年5月29日までに申請が受理され、認定を受けた施設については、制度終了後も「既存認定施設」として営業を継続できる見通しです。

つまり、期限までに滑り込みで認定を勝ち取れば、それは将来的に新規参入が入ってこれない「既得権益」になる可能性があるんです。

これをチャンスと捉えるか、リスクと捉えるかで、あなたの投資戦略は大きく変わってきますよ。

(出典:大阪市経済戦略局

ポイント

ここがポイント!

  • 終了するのは「新規の申し込み」です。既存施設の免許が剥奪されるわけではありません。
  • 既存の施設がすぐに営業停止になるわけではありませんが、将来的な条例変更のリスクはゼロではありません。
  • これから参入する場合は「期限」との戦いになります。物件探しから消防工事まで含めると、半年以上の準備期間を見ておく必要があります。

ただし、行政の監視は今後より厳しくなると予想されます。

今のうちに法令遵守の状況を再確認しておくことが、生き残りの絶対条件ですよ。

万博期間中の宿泊需要と単価予測

暗い話題ばかりではありません。

2025年4月から10月にかけて開催される「大阪・関西万博」は、民泊ホストにとって絶好のチャンスです!

予想される来場者数は約2,800万人。

この数字、ちょっと想像がつかないレベルですよね。

期間中は国内外から観光客が押し寄せ、大阪市内のホテルだけでは客室が圧倒的に不足すると言われています。

需給バランスが崩れるとどうなるか?当然、宿泊単価(ADR)の高騰が起きます。

特に私が注目しているのは、ファミリー層やグループ客の需要です。

海外からの旅行客は、家族4〜6人や友人グループで来日することが多いんですが、

日本のビジネスホテルだと部屋が狭くて分かれて泊まらないといけない…なんてことがよくあります。

これに対し、「広いリビングでみんなでピザを食べながら過ごしたい」というニーズには、民泊が最適なんです。

実際、私のクライアントの物件でも、万博期間中の予約問い合わせがすでに入り始めています。

私の予測では、好立地の物件なら通常期の2倍〜3倍の単価設定でも予約が埋まる可能性があります。

この半年間で、開業費用の大半を回収してしまうような「ボーナスタイム」が発生する確率は非常に高いですよ。

ただし、そのためには「選ばれる部屋」を作っておく必要があります。

簡易宿所や民泊新法の許可要件

特区民泊が終わった後、新たに大阪で民泊を始めるにはどうすればいいのでしょうか?

選択肢は主に2つ。「旅館業法(簡易宿所)」か「住宅宿泊事業法(民泊新法)」です。

この2つ、似ているようで中身は全くの別物なので注意が必要です。

これからは、本格的に収益を狙うなら「簡易宿所」、副業や空き家活用なら「民泊新法」という棲み分けが明確になります。それぞれの特徴を比較してみましょう。

項目 特区民泊(終了予定) 簡易宿所(旅館業法) 民泊新法
営業日数 365日 365日 年間180日以内
最低宿泊数 2泊3日〜 1泊〜 1泊〜
ハードル 高(消防・建築) 低(届出制)
主な用途 投資・事業用 プロ投資家・ホテル 副業・空き家活用

特に簡易宿所は、365日営業できるのが魅力ですが、消防設備や建築基準法の要件が非常に厳しいです。

例えば、トイレや洗面所の数、フロントの設置義務(代替措置あり)、用途地域の制限など、クリアすべき壁がたくさんあります。

一方、民泊新法は届け出だけで始められますが、「年間180日しか営業できない」という制限が痛手です。残りの185日をどうするか?

マンスリーマンションとして貸し出すなどの「二毛作」戦略が必要になってきますね。

申請期限と駆け込み需要への対応

特区民泊の新規受付終了まで、あと1年ちょっと。

「今のうちに特区の権利を取っておきたい!」という駆け込み申請が急増するのは間違いありません。

注意ポイント

これは2018年の民泊新法施行時にも起きた現象ですが、期限直前になると行政の窓口がパンクして、審査に数ヶ月かかることもザラにあります。

「2026年5月までなら余裕でしょ?」と思っているあなた、それは甘いです。

物件を見つけて、消防工事をして、書類を揃えて…というプロセスには、どんなにスムーズにいっても3〜4ヶ月はかかります。

もし消防署の検査で不備が見つかったら、修正工事でさらに時間がかかります。

私の感覚では、2025年中に物件を決めて動き出さないと、最後のリスクが高すぎると思います。

注意ポイント

注意点

申請期限直前は窓口がパンクし、審査に時間がかかる可能性があります。

「書類不備で受理されず、期限に間に合わなかった…」なんてことにならないよう、遅くとも2026年初頭には動き出すスケジュール感でいてください。

既存施設が直面する運営リスク

「既得権益」として残る特区民泊ですが、安泰というわけではありません。

今回の制度終了の背景には、騒音やゴミ出しなどの近隣トラブルに対する住民感情の悪化があります。

実際、大阪市には「隣の民泊がうるさくて眠れない」「ゴミが散乱している」といった苦情が年間数百件も寄せられているんです。

今後、行政は既存施設に対しても厳しい目を向けるでしょう。

万が一、悪質な運営をして「認定取り消し」なんてことになれば、二度と特区民泊としては復活できません。

旅館業法を取り直すには多額の改修費がかかりますし、用途地域によってはそもそも許可が取れないこともあります。

これからは、「近隣住民と良好な関係を築ける優良な運営者」だけが市場に残れる時代になります。

運営代行会社任せにするのではなく、ホスト自身も物件の状況を把握しておく責任がありますよ。

大阪で民泊を始めるための費用と推奨エリア

「じゃあ、具体的に大阪のどこで始めればいいの?」

「いくら用意すればいい?」

ここからは、これから参入を考えているあなたが一番知りたい、お金と場所のリアルな話に切り込んでいきます。

失敗しないためには、事前のシミュレーションが9割です。

難波やUSJなどおすすめエリアの特徴

大阪で民泊をやるなら、エリア選定が命です。

私が注目しているのは、目的が明確な以下の2大エリアです。

① ミナミエリア(難波・心斎橋・日本橋)

ここは言わずと知れた大阪観光の中心地!「グリコの看板」や「黒門市場」など、インバウンド観光客が求める「THE OSAKA」が詰まっています。

稼働率は非常に高く、コロナ前は90%超えも珍しくありませんでした。

ただ、デメリットとしては物件価格や家賃の高騰が挙げられます。

競合もひしめき合っているので、中途半端な物件では価格競争に巻き込まれてしまいます。

② ベイエリア(港区・此花区・USJ周辺)

ここが今、一番アツいかも。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)へのアクセスはもちろん、2025年1月に延伸開業した「Osaka Metro中央線」を使えば、万博会場である夢洲(ゆめしま)へも直通です。

家族連れがターゲットになるので、40平米以上の広めの物件や、一戸建てを用意できれば、長く安定して稼げるポテンシャルがありますよ。

(出典:Osaka Metro

開業資金や消防設備の設置費用

民泊を始めるには、物件の取得費用以外にも結構なお金がかかります。

特に初心者が見落としがちで、かつ金額が大きいのが「消防設備」です。

民泊として使う建物には、一般住宅よりも厳しい消防設備が求められます。

特に重要なのが「自動火災報知設備(自火報)」です。

これ、一戸建てに設置するとなると、安価な無線式(特定小規模施設用)が使える場合でも30万円〜50万円、配線工事が必要な有線式になると100万円近くかかることもザラにあります。

さらに、誘導灯や消火器の設置、防炎物品(カーテンなど)への交換も必要です。

初期費用の目安(1LDK〜2LDKの場合)

  • 家具・家電・備品: 50万〜100万円(IKEAやニトリを上手く使ってもこれくらいはいきます)
  • 消防設備(自火報など): 30万〜100万円以上(建物の構造や広さで大きく変動します)
  • 申請代行費用: 15万〜30万円(行政書士への報酬や手数料など)

「安く物件を借りられた!」と思っても、工事費で予算オーバー…なんて失敗をしないよう、事前の見積もりは必須です。

必ず消防設備士などの専門家に現地を見てもらいましょう。

大阪の民泊投資で期待できる利回りと収益

実際のところ、どれくらい儲かるのか?気になりますよね。

大阪市内の人気エリアで、しっかり運営できれば、実質利回りで10%〜20%を目指すことも不可能ではありません。

例えば、ミナミエリアの1LDK(4名定員)なら、平日で1泊1.2万円、週末なら2万円以上の単価が狙えます。

万博期間中はさらに跳ね上がり、1泊4万円〜5万円でも予約が入る可能性があります。

もし月間稼働率が80%なら、売上は40万円〜60万円規模になります。

そこから家賃、光熱費、清掃費、代行手数料などを引いても、手元に10万円〜20万円残れば御の字ですよね。

ただし、これはあくまで「満室稼働」に近い状態の話。2月や6月といった閑散期のリスクも考慮して、損益分岐点(BEP)を低く抑えた、固めのシミュレーションをしておくのがプロの鉄則です。

Airbnbの手数料改定と集客サイトの活用

運営コストに関わる大きなニュースとして、Airbnbの手数料改定があります。

2025年後半(第4四半期)から、日本を含む多くの地域で、手数料モデルが変更される予定です。

これまでは「ゲストが大部分(約14%)を負担し、ホストは3%程度」というモデルが主流でしたが、今後は「ホストが全額(約15%〜16%)を負担する」モデルへと移行する動きがあります。

これ、ホスト側からすると利益率に直撃しますよね。単純計算で売上の1割以上が削られるわけですから。

対策としては、手数料分を見越して宿泊費に上乗せするか、Booking.comや楽天トラベル、agodaなど他のOTA(予約サイト)も併用して、リスクを分散させることが重要になってきます。

https://www.google.com/search?q=%E7%89%B9%E3%81%ABBooking.comは欧米系のゲストに強いので、販路拡大には欠かせません。

清掃代行の料金相場と業者選定

民泊運営で一番の手間であり、ゲストの満足度を左右するのが「清掃」です。

どんなに部屋がおしゃれでも、髪の毛一本落ちているだけで低評価をつけられてしまいます。

大阪エリアでの清掃代行費用の相場は以下の通りです。

  • 1K/1DK(〜30㎡): 3,000円〜5,500円
  • 1LDK/2DK(30〜50㎡): 6,000円〜8,000円
  • 一軒家(70㎡〜): 8,000円〜15,000円

最近はインバウンド需要の回復で人手不足が深刻化しており、清掃料金はじわじわと上がっています。

「安いから」という理由だけで選ぶと、清掃が雑でクレームになり、最悪の場合アカウント停止…なんてことにもなりかねません。

リネン(シーツ)の品質や、ゴミの持ち帰り対応が可能かどうかも重要なチェックポイントです。

料金よりも「質の高さ」と「緊急時の対応力」で業者を選ぶのが、結果的にコスト削減につながりますよ。

収益を伸ばすインテリアの工夫

競合が多い大阪で選ばれるためには、「写真映え」が欠かせません。OTA(予約サイト)で検索したとき、ゲストは最初の一枚の写真で判断します。ただ家具を置くだけじゃダメなんです。

「和モダン」や「ポップカルチャー」「昭和レトロ」など、ターゲットに刺さるコンセプトを明確にしましょう。

例えば、USJ近くなら映画の世界観を意識した内装にしたり、ミナミならネオン管を使ったサイバーパンクな雰囲気にしたり。

インテリアコーディネートをプロに頼むと、ワンルームで20万円〜40万円程度かかりますが、それで予約率が上がるなら安い投資です。

初期費用をケチらず、ゲストが「ここに泊まってみたい!」と直感的に思う空間を作ることが、高単価への近道です。

近隣トラブルを防ぐ運営代行の活用

副業で民泊をやるなら、全ての管理を自分でやるのは正直キツイです。

特に夜間の騒音トラブル対応などは、精神的にも消耗しますし、本業に支障が出かねません。

売上の20%程度の手数料はかかりますが、信頼できる運営代行会社(管理業者)に任せるのが賢い選択です。特に大阪の特区民泊では、近隣対応の迅速さが求められます。

「何かあったらすぐ駆けつけてくれる」パートナーがいることは、最強のリスクヘッジになります。

また、最近では「Minut(マイナット)」のような騒音検知センサーを導入するのも一般的です。

部屋の中の音量を監視し、騒ぎすぎている場合はゲストに警告メッセージを送ってくれる優れものです。

こうしたテクノロジーも活用して、トラブルを未然に防ぎましょう。

大阪の民泊運営で長期的に稼ぐ戦略

最後に、これからの大阪民泊で勝ち残るための戦略をお伝えします。

それは、「量より質」へのシフトです。

「とりあえず空いている部屋を貸す」だけの民泊は、もう通用しません。

法適合性はもちろん、清潔さ、快適さ、そしてホストの温かいおもてなし。これらを兼ね備えた「プロフェッショナルな民泊」だけが、万博後も生き残り、長期的に利益を生み出し続けるでしょう。

特区民泊が終わったとしても、簡易宿所への転用を見越した物件選びをしたり、マンスリーマンションとの併用を考えたりと、柔軟な発想でビジネスモデルを組み立てていくことが大切です。

大阪・民泊まとめ:万博後の成功戦略

いかがでしたか?

2026年の特区終了は一つの区切りですが、それは市場が成熟し、健全化するプロセスでもあります。

決して悲観することはありません。

  • 2026年5月までの特区申請期限を逃さない:まずはここが勝負です。
  • 万博需要を最大限に取り込み、初期投資を回収する:2025年は攻めの年です。
  • 法令遵守と質の高い運営で、地域に愛される施設を作る:これが長期安定の秘訣です。

この3つを意識して、ぜひ大阪というエネルギッシュな街で、あなただけの民泊ビジネスを成功させてくださいね。

応援しています!

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