民泊の基礎知識

【収益比較】180日制限の民泊新法と365日稼働の旅館業許可、投資対効果の決定的な差

「民泊は届出だけで、安く始められる」…

その"常識"を捨てない限り、あなたの事業が成功することはありません。

本物の資産家は、全く逆の視点で動いています。

行政書士 小野馨

こんにちは。
リゾート民泊コンシェルジュ&行政書士の小野馨です。

今回は、「民泊新法(届出)と旅館業許可の違い」について、プロの視点で解説します。

しかし、私の元に相談に来られる成功している投資家や経営者は、口を揃えてこう言います。

「180日しか営業できないビジネスモデルに、投資する価値はあるのか?」と。

結論から申し上げます。

遊びの小遣い稼ぎなら「民泊新法(住宅宿泊事業法)」で十分です。

ポイント

しかし、事業として収益を上げ、将来的に高値で売却できる資産を作りたいなら、選択肢は「旅館業許可(簡易宿所)」一択です。

なぜ、初期費用をかけてでもハードルの高い「許可」を取るべきなのか。

その決定的な「収益差」「資産価値」について、数字と法務の両面から紐解いていきます。

▼ この記事で得られる「経営者視点」 ▼

  • なぜ富裕層は「180日制限」をビジネスとして認めないのか
  • 銀行融資と社会的信用における「届出」と「許可」の決定的格差
  • 面倒な「建築基準法・消防法」への投資が、実は最強の参入障壁になる理由

民泊新法と旅館業法の違い:収益と日数の格差

まず、言葉の定義を明確にしておきましょう。

いわゆる「民泊」には、大きく分けて2つのルートがあります。

1つは、2018年に施行された住宅宿泊事業法に基づく「届出(民泊新法)」

もう1つは、昔からある旅館業法に基づく「許可(簡易宿所営業など)」です。

ネット記事の多くは「新法は届出だけで簡単!」とメリットばかり強調しますが、ビジネス視点で見れば、そこには致命的な欠陥が隠されています。

項目 民泊新法
(住宅宿泊事業法)
旅館業法
(簡易宿所)
年間の営業日数 最大180日
(繁忙期以外は休業リスク)
365日
(フル稼働・高収益)
資産価値・融資 「住宅」扱い
(事業評価が低い)
「宿泊施設」扱い
(事業融資・売却に有利)

民泊新法180日制限と機会損失の罠

ココがおすすめ

民泊新法の最大のネックは、法律で定められた「年間営業日数180日以内」という強烈な制限です。

考えてみてください。

賃料(または固定資産税)、インターネット代、システム利用料、保険料…といった「固定費」は、365日分発生します。

しかし、売上を立てられるのはその半分の期間だけ。

残りの半年間は、どんなに需要があっても、お客様を泊めてお金をいただくことは法律違反となります。

私が以前ご相談を受けたあるオーナー様は、初期投資を惜しんで民泊新法でスタートされました。

しかし、好立地ゆえに稼働率は高かったものの、ハイシーズン(繁忙期)だけであっという間に180日を消化。

書き入れ時の冬のシーズンに「営業日数上限に達したためクローズせざるを得ない」という事態に陥り、数百万円単位の機会損失を出していました。

リゾート投資において、固定費を回収し利益を最大化するためには、「365日フル稼働できる権利」を持っていることが大前提なのです。

銀行融資に響く許可と届出の信用格差

次に「信用」の話をしましょう。

民泊新法はあくまで「住宅」の延長線上にある制度であり、事業というよりは「資産の有効活用」という位置づけが強いものです。

そのため、銀行などの金融機関から見ると、「本格的な事業」として評価されにくいという現実があります。

一方で、旅館業許可を取得するということは、保健所、消防署、建築指導課といった行政機関の厳しい審査をクリアし、「宿泊施設」としてのお墨付きをもらうことを意味します。

これは、銀行融資や補助金申請において、圧倒的な信頼性の差となって現れます。

「とりあえず新法で」と考えるのは、副業レベルの発想です。

数千万円規模のリゾート物件を購入し、事業として拡大していくなら、最初から金融機関が評価する「許可物件」を目指すべきです。

条例の上乗せ規制で営業不可になる罠

さらに恐ろしいのが、自治体ごとの「上乗せ条例」です。

法律では「180日」とされていても、自治体によっては「住居専用地域では週末しか営業してはいけない」「学校周辺では平日不可」といった厳しい独自ルールを課している場所が多々あります。

有名な例では、京都市の住居専用地域における厳しい規制や、東京都内の一部の区などが挙げられます。

これを知らずに「180日できる」と思って物件を買ってしまったら、目も当てられません。

注意ポイント

リゾート地であっても、別荘管理規約や独自条例で新法民泊が実質不可能なケースは珍しくありません。

こうしたいわゆる「地雷物件」を避けるためにも、プロによる事前調査が不可欠なのです。

💡

Administrative Scrivener's Eye

現場の実感としてお伝えすると、民泊新法でスタートした方の約8割が、2年以内に「撤退」するか「旅館業許可への切り替え」を検討し始めます。
「安く始める」ことは、「後で高くつく」ことと同義です。
最初から旅館業許可という「本丸」を攻めることが、結果として最短・最安の成功ルートになります。

💡 3秒でわかるまとめ:

  • 新法(届出)は180日制限があり、固定費負担で利益が出にくい。
  • 銀行は「届出」よりも「旅館業許可」を事業として高く評価する。
  • 自治体条例によっては、180日すら営業できないエリアがあるため注意が必要。

民泊新法ではなく簡易宿所をする場合の許可要件と旅館業法の違い

では、投資家が目指すべき「旅館業許可」、特にリゾート民泊で一般的となる「簡易宿所営業」の許可を取るためには、何が必要なのでしょうか。

ここが、多くの一般層が脱落し、本気の投資家だけが勝ち残る分岐点となります。

キーワードは「建築基準法」と「消防法」です。

トイレと玄関帳場:クリアすべき設備基準

旅館業許可を取得するには、保健所が定める構造設備基準を満たす必要があります。

具体的な要件は自治体により異なりますが、一般的に以下の設備が求められます。

  • 適正な数のトイレと洗面設備:定員に応じた数を設置する必要があります。
  • 玄関帳場(フロント):原則必要ですが、近年はICT機器(ビデオ通話システム等)の導入で免除されるケースが増えています。

これらは、一般的な住宅スペックのままでは満たせないことが多く、リノベーション工事が必須となります。

ポイント

「工事費がかかる」と躊躇するかもしれませんが、ここで数百万を投資することで、競合する「普通の家」と明確な差別化ができ、宿泊単価を上げることが可能になります。

私の知り合いの案件では伊豆の案件では、古い別荘にサウナと露天ジャグジーを増設し、同時に水回りを旅館業基準に適合させるリノベーションを行いました。

結果、宿泊単価は周辺相場の3倍となり、工事費はわずか2年で回収完了しました。

設備投資はコストではなく、リターンを生むためのエンジンなのです。

200㎡の壁:用途変更と建築基準法

そして、最もハードルが高いのが建築基準法です。

建物を「住宅」から「宿泊施設(旅館・ホテル)」として使う場合、それは「特殊建築物」という扱いになります。

特に、建物の床面積が200㎡を超える場合、「用途変更」という複雑な建築確認申請の手続きが必要になります。

(※2019年の法改正で100㎡から200㎡へ緩和されましたが、依然として200㎡超の大型別荘等は対象です)

ここで問題になるのが、「検査済証がない古い物件」「違法増築された物件」です。

これらは原則として用途変更の許可が下りません。

多くの不動産屋は「民泊できますよ」と言ってこうした物件を売ろうとしますが、買った後に「実は旅館業許可が取れない物件だった」と判明するケースが後を絶ちません。

開発許可の知識がない不動産屋やコンサルタントは、この建築基準法の落とし穴を見抜けないのです。

高い参入障壁こそが最強の差別化になる

ここまで読んで、「旅館業許可は大変そうだ」と思われたかもしれません。

しかし、そこにこそ勝機があります。

「大変だからこそ、誰もやらない。」
「難しいからこそ、ライバルが増えない。」

民泊新法で簡単に始められるエリアは、あっという間に供給過多になり、価格競争に巻き込まれます。

一方で、法的なハードルをクリアし、正式な許可を得た施設は、供給が限定されるため、高稼働・高単価を維持しやすいのです。

ビジネスにおいて、参入障壁(Moat)は資産を守る城壁です。

ポイント

行政書士や建築士への報酬、リノベーション費用といった初期コストは、この「城壁」を築くための必要経費と捉えてください。

ここを乗り越えたオーナーだけが、長期的に安定したリゾート投資の果実を得ることができるのです。

💡

建築基準法への適合義務とは?

200㎡未満であれば用途変更の「確認申請」は不要ですが、建築基準法への「適合」義務自体は残ります。

ここを勘違いして「申請不要=何もしなくていい」と解釈し、違法状態で営業している施設も散見されます。

しかし、万が一の火災や事故の際、法適合していない施設は保険が下りず、オーナーは全責任を負うことになります。
本物の投資家は、リスクを放置しません。必ず「法適合の証拠」を残します。

💡 3秒でわかるまとめ:

  • 旅館業許可にはトイレや手洗いなどの設備基準があり、投資が必要。
  • 200㎡を超える物件は「用途変更」が必要となり、難易度が格段に上がる。
  • 法的なハードルが高いことは、競合参入を防ぐ強力なメリットになる。

民泊新法と旅館業許可の違い:売却価格と資産価値

事業を始める前から「辞める時」のことを考える。

これはネガティブな思考ではなく、投資家として必須のリスク管理です。

リゾート民泊投資における最大のゴールは、インカムゲイン(宿泊益)だけではありません。

ポイント

最終的にその物件や事業を高値で売却する「キャピタルゲイン」を含めたトータルリターンで考える必要があります。

ここで、「旅館業許可(適法物件)」と「民泊新法(または違法民泊)」の資産価値に天と地ほどの差が生まれます。

違法民泊が売却時に値段がつかない理由

  • 「許可を取らずにこっそり営業している」
  • 「違法建築だが黙っていればバレない」

そう考えているオーナーがいれば、私は強く警告します。

注意ポイント

今の時代、コンプライアンス(法令遵守)に瑕疵がある物件は、まともな投資家や法人は絶対に買いません。

金融機関の融資がつかないからです。

私が知る事例でも、利回りは高いものの建築基準法違反(用途変更未実施)の状態だった別荘が、売りに出した瞬間に買い叩かれ結局購入価格を大きく下回る値段でしか売れなかったケースがあります。

ココがおすすめ

一方で、適法に改修され、旅館業許可証という「証明書」がある物件は、金融機関の評価もつきやすく、高値で取引されます。

初期投資で数百万をケチった結果、売却時に数千万の損をする。これが「安く始める」ことの代償です。

リノベ費用と投資回収率:プロの判断準

では、いくらでもお金をかけて良いのかというと、それも違います。

「趣味の家」ではなく「投資」である以上、投資回収率(ROI)のシミュレーションが不可欠です。

かけるべきお金:消防設備、水回りの増設、サウナ等の単価アップ直結設備
抑えるべきお金:過剰な装飾、自己満足の家具、運営に支障のない部分の内装

このバランス感覚こそが、リゾート民泊開発の肝です。

  • 「許可を取るための最低限の工事」
  • 「顧客満足度を上げるための攻めの工事」。

このライン引きを誤ると、回収不能な豪華なだけの箱物が出来上がってしまいます。

リノベーションの相場を知り尽くした専門家に相談することで、この「投資の最適解」導き出すことができます。

💡

Administrative Scrivener's Eye

旅館業許可を取得している物件は、単なる「不動産売買」ではなく、営業権を含めた「M&A(事業譲渡)」として売却できる可能性があります。

事業譲渡であれば、過去の宿泊実績や予約サイトの評価(レビュー)も含めて値付けができるため、不動産単体の価格以上のプレミアムが乗ります。

ここまで見据えて、最初の許可申請を行うのが一流の戦略です。

💡 3秒でわかるまとめ:

  • 違法状態の物件は融資がつかず、売却時に大幅に値崩れするリスクがある。
  • 法適合への投資は「コスト」ではなく、資産価値を守る「保険」である。
  • 許可物件なら、将来的に高値でのM&A(事業譲渡)も視野に入る。

365日稼働の旅館業許可で描く投資の未来

想像してみてください。

365日、あなたの別荘が法令を遵守した状態でフル稼働し、
ハイシーズンには1泊10万円以上の単価で予約が埋まり続ける。

ゲストは「こんな素敵な場所に泊まれて幸せだ」と感謝し、
地域からも「空き家を再生してくれてありがとう」と歓迎される。

そして数年後、その実績ある事業を、高値で譲り受けたいという投資家が現れる。

この未来を実現できるのは、目先の「楽な届出」に逃げず、
真正面から「許可」というハードルに挑んだオーナーだけです。

あなたは、どちらの道を選びますか?

🚀 次のステージへ進むための「3つの行動」

  • 用途地域の確認:検討中の物件が「旅館業許可」を取得可能なエリアか調査する。
  • 365日収支の計算:民泊新法ではなく、旅館業での売上予測と改修コストを天秤にかける。
  • 専門家への相談:不動産屋の「たぶん大丈夫」を鵜呑みにせず、許可のプロに法的判断を仰ぐ。

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【個別相談会・無料診断の内容】

  • 法的調査:用途地域・建築基準法・消防法の適合性判定
  • 事業計画:リノベーション費用と収益性のバランス診断
  • 資金調達:補助金活用・融資に向けた事業計画アドバイス

※冷やかしはお断りしております。真剣な方のみご連絡ください。

よくあるご質問(FAQ)

Q. 住宅ローンで購入した物件で民泊はできますか?

A. 原則としてできません。住宅ローンは「本人が住むこと」が条件の融資だからです。民泊を行う場合は、事業用ローン(アパートローン等)への借り換えが必要になるケースがほとんどです。無断で行うと一括返済を求められるリスクがあります。

Q. 今は民泊新法で運営していますが、途中から旅館業許可へ変更できますか?

A. 可能です。ただし、そのためには用途地域の要件を満たし、かつ消防設備や建築基準法(用途変更)の要件をクリアする必要があります。最初から許可を見据えた改修をしていない場合、多額の追加工事費がかかることがあります。

Q. 許可取得までどのくらいの期間がかかりますか?

A. 物件の状態やリノベーションの規模によりますが、事前相談から工事、申請、許可まで含めると、早くて3ヶ月、長ければ6ヶ月以上かかる場合もあります。余裕を持った事業計画が必要です。

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