こんにちは、リゾート民泊コンシェルジュ&行政書士の小野馨です。今回は、【民泊 ブッキングドットコム】というテーマでお話します。
2025年現在、日本の観光市場はものすごい勢いで回復していますよね。日本政府観光局(JNTO)の発表を見ても、毎月のように訪日外客数が過去最高を更新している状況です。特にインバウンド需要を取り込むなら、Airbnbだけでは正直もったいないですよ。世界最大級の宿泊予約サイトであり、ホテル市場の覇者であるブッキングドットコムを使いこなせるかが、これからの民泊経営の分かれ道になります。「手数料が高いって聞くけど本当?」「トラブルが多いって噂は?」そんな不安をお持ちのあなたへ、行政書士としての視点も交えながら、リスクを抑えて売上を最大化する秘訣をシェアしますね。
- Airbnbとの決定的な違いや手数料の仕組みがわかります
- ブッキングドットコム特有のトラブル回避法と登録のコツがわかります
- サイトコントローラーを使った効率的な運営方法が理解できます
- 2025年の最新トレンドを押さえた集客戦略がつかめます
民泊でブッキングドットコムを攻略する基礎知識
まずは、民泊運営においてブッキングドットコムがどのような立ち位置なのか、基本からしっかり押さえていきましょう。Airbnbとの違いを知ることで、戦略が明確になりますよ。
Airbnbとブッキングドットコムの違いを比較
「民泊ならAirbnb」というのは、もう過去の話かもしれません。実は、この2つのプラットフォームは、ユーザー層も使い方も、そしてビジネスの根底にある「思想」も全く異なるんです。ここを履き違えたまま登録してしまうと、「全然予約が入らない」とか「ゲストとトラブルになった」という事態になりかねません。
まず、Airbnbは「体験」や「ホストとの交流」を求めるゲストが多いのが最大の特徴です。滞在期間も3泊以上の長期になる傾向があり、予約前に「どんな部屋ですか?」とメッセージでやり取りすることも一般的ですよね。ゲストはあなたの家のユニークさや、ローカルな情報を求めてやってきます。
一方、ブッキングドットコムは「ホテルライクな利便性」を求めるユーザーが圧倒的です。彼らにとって重要なのは、「駅から近いか」「清潔か」「Wi-Fiは速いか」といった機能的な価値です。ビジネス客やアジア圏からの短期旅行者が多く、予約スタイルは「即時予約(インスタントブッキング)」が基本。いちいちホストに挨拶のメールを送ったりはしません。条件に合えばその場でポチッと予約確定。このスピード感の違いを理解することが、攻略の第一歩です。
| 項目 | Airbnb | Booking.com |
|---|---|---|
| 主な客層 | 体験重視・長期滞在(欧米豪)
ホストとの交流を好む |
利便性重視・短期滞在(アジア圏・国内)
ホテルと同じ感覚で利用 |
| 予約スタイル | 検討型(対話あり)
予約リクエスト制も多い |
即決型(場所と価格で決定)
即時予約がデフォルト |
| 求められるもの | ローカル体験・家の個性 | 清潔さ・スムーズなチェックイン・領収書 |
また、集客のピークタイムも違います。Airbnbは数ヶ月前からじっくり計画する旅行者が多いのに対し、ブッキングドットコムは「直前予約」が非常に多いんです。「今週末、空いてるところないかな?」とスマホで探して、サクッと予約する。そんなユーザーを取りこぼさないためにも、ブッキングドットコムへの掲載は必須と言えるでしょう。2025年のインバウンド市場において、特に韓国や台湾、中国などのアジア圏からの旅行者は、距離が近いこともあり短期滞在が中心です。彼らが宿探しに使うメインツールが、まさにブッキングドットコムなんですよ。
(出典:日本政府観光局(JNTO)『訪日外客数(2025年11月推計値)』)
ここがポイント
Booking.comのゲストは「効率」を何より重視します。メッセージの返信速度や、誰とも会わずに済むセルフチェックインの導入が、Airbnb以上に評価される傾向にあります。「おもてなし」の定義を、「交流」から「ストレスフリーな手続き」へと切り替える意識が必要ですね。
掲載にかかる手数料と利益計算の仕組み
ここ、一番気になりますよね。収益に直結する手数料の話です。「ブッキングドットコムは手数料が高いから儲からない」なんて話、聞いたことありませんか? 確かに、表面上の数字だけ見るとそう感じるかもしれません。
Airbnbの手数料モデルは、一般的に「スプリットフィー」と呼ばれ、ホスト負担は約3%、残りの約14%をゲストが予約時に上乗せして支払う仕組みです。ホスト側から見れば「3%しか引かれない」ので、手取りの計算が非常に楽ですよね。しかし、ブッキングドットコムは「ホストが全額負担」するモデルを採用しており、手数料は約15%〜20%(地域やプランによる)かかります。
「えっ、15%も引かれたら利益が出ないじゃないか!」と焦るのは早計ですよ。ここで重要なのは、プラットフォームの仕組みに合わせて価格をコントロールする「価格パリティ(等価性)の調整」という考え方です。手数料が高いなら、その分だけ販売価格をあらかじめ高く設定しておけばいいだけの話なんです。これを専門用語で「マークアップ(上乗せ)戦略」と呼びます。
例えば、あなたの手元に「1泊10,000円」の売上を残したいとします。
Airbnbなら、手数料3%を考慮して、設定価格は約10,300円になります。
一方、Booking.comで同じ10,000円の手取りを残すには、手数料15%を見越して、約11,800円に設定する必要があります。
「そんなに高くして売れるの?」と心配になるかもしれませんが、大丈夫です。Booking.comのユーザーには「ゲスト手数料」が別途請求されません。表示価格が最終価格に近いので、Airbnbの「表示価格+ゲスト手数料」の総額と比較しても、実はそれほど大きな差にはならないことが多いんです。
マークアップの計算例:手取り10,000円を目指す場合
- Airbnb(ホスト手数料 約3%):
目標手取り 10,000円 ÷ 0.97 = 約10,310円 で販売
- Booking.com(ホスト手数料 約15%):
目標手取り 10,000円 ÷ 0.85 = 約11,765円 で販売
このように、プラットフォームごとに価格を変えて販売することは、民泊運営の常識です。サイトコントローラーを使えば、この「価格差」を自動で設定できるので、手間もかかりませんよ。
むしろ、Booking.comの圧倒的な集客力を考えれば、多少単価を上げても予約が入る確率は十分に高いです。手数料のパーセンテージに惑わされず、「最終的に自分の手元にいくら残るか」という視点で冷静に価格戦略を立てることが、プロの大家への第一歩です。
掲載方法の手順と本人確認コードの注意点
「よし、じゃあ登録してみよう!」と思ったあなた。掲載登録の作業自体は、画面の案内に沿って写真や設備情報を入力していくだけなので、そこまで難しくはありません。ホテルライクな高解像度の写真を用意して、アメニティのチェックボックスを埋めていけばOKです。
ただ、一つだけ、本当に多くのホストが躓く大きな落とし穴があるんです。それが「本人確認(KYC)の手紙」です。
ブッキングドットコムは、架空の宿泊施設による詐欺を防ぐため、所在確認を非常に厳格に行っています。その確認方法というのが、なんとアナログな「手紙(エアメール)」なんです。登録した物件の住所(現地のポスト)宛に、確認コードが記載された手紙が郵送されてくることがあります(すべての施設ではありませんが、高確率で発生します)。
もしあなたが遠方に住んでいて、物件の管理を業者任せにしていたり、まだ誰も住んでいない空き家だったりする場合、現地のポストを確認できずにこの手紙を受け取れない…という事態が頻発しています。このコードを管理画面に入力しないと、いつまで経っても予約受付を開始できません。
注意点:郵便受けの管理は万全に
無人運営の民泊だと、ポストにチラシが溜まらないように清掃業者さんが中身を全て捨ててしまうトラブルも多発しています。「https://www.google.com/search?q=%E8%BF%91%E3%80%85Booking.comから重要な手紙が届くから、絶対に捨てずに保管しておいて!」と、清掃スタッフや管理会社に必ず伝えておきましょう。
また、日本では合法的に民泊を運営するために、「旅館業法の許可」や「住宅宿泊事業法(民泊新法)の届出」、あるいは「特区民泊の認定」が必要です。ブッキングドットコムの管理画面では、これらの許認可番号の入力が必須となっています。
具体的には、管理画面の「宿泊施設」タブにある「設定」→「許認可の種類」から入力を行います。民泊新法の場合は「M」から始まる届出番号(例:M123456789)を正確に入力してください。この番号が間違っていると、法令遵守の観点からリスティングが非公開にされるリスクがあります。
(出典:観光庁『民泊制度ポータルサイト 住宅宿泊事業の届出について』)
実際の評判や口コミから見る集客効果
「登録が面倒なのはわかったけど、苦労して登録する価値はあるの? 本当に予約入るの?」という疑問に対しては、自信を持って「入ります、しかも大量に」とお答えします。
2024年から2025年にかけての民泊市場データを分析すると、日本国内の民泊向けOTA予約数ランキングにおいて、ブッキングドットコムが堂々の1位を獲得しているケースが非常に多いんです。Airbnbももちろん強力ですが、インバウンド需要の回復に伴い、世界的にシェアを持つブッキングドットコムの存在感が増しています。
特に、観光をメインにしていて「宿は寝に帰るだけ」というゲスト層にとって、ブッキングドットコムは最強のツールです。彼らは、ホストとの温かい交流よりも、検索のしやすさ、価格の透明性、そして何より「世界中どこでも同じ使い勝手で予約できる安心感」を求めています。Airbnbが「暮らす体験」を売る場所だとしたら、ブッキングドットコムは純粋に「宿泊機能」を売る場所だと言えるでしょう。
実際に私のクライアントでも、「Airbnbだけだった時は稼働率が50%くらいだったけど、Booking.comを始めたら平日も埋まるようになって、稼働率が80%を超えた」という声は珍しくありません。特に、直前予約や1泊だけの短期滞在の埋まり具合は、ブッキングドットコムが圧倒的です。空室を遊ばせておくくらいなら、多少手間がかかってもブッキングドットコムで埋めた方が、トータルの収益は確実に上がります。
口コミの質も違う?
Booking.comの口コミは「実際に宿泊した人」しか投稿できない仕組みになっています。そのため、信頼性が非常に高く、これから予約しようとしているゲストへの影響力が絶大です。最初は口コミがなくて予約が入りにくいかもしれませんが、誠実な運営を続けて高評価が数件つけば、そこからは雪だるま式に予約が増えていきますよ。
よくあるトラブルとノーショー対策の鉄則
光があれば影もある。ブッキングドットコムで最も恐れられているトラブル、それが「ノーショー(無断不泊)」です。これは、予約したゲストが当日現れず、連絡もつかない状態のこと。最悪なのは、キャンセル料を請求しようとしても、登録されていたクレジットカードが無効で、1円も回収できない…というケースです。
なぜこんなことが起こるのか? それは、ブッキングドットコムのデフォルト設定が、ゲストにとって「予約しやすい(=キャンセルしやすい)」ようになっているからです。特に「現地決済」を選べる設定にしていると、ゲストは財布の痛みを伴わずに予約できてしまうため、とりあえず予約して、もっと良い宿が見つかったら無断でキャンセルする、というモラルの低い行動を誘発しやすくなります。
現地決済は絶対NG!
フロントにスタッフが常駐しているホテルならまだしも、無人運営が基本の民泊において「現地決済」はリスクが高すぎます。集金に行けませんし、ドタキャンされた時のダメージが大きすぎます。
では、どうすればいいのか? 鉄則は「事前決済を徹底すること」です。
ブッキングドットコムには「オンライン決済(Booking.comペイメント)」という機能があります。これを利用すれば、ゲストが予約時(または指定の期日)にブッキングドットコムへ支払いを済ませてくれるため、もしノーショーが発生しても、キャンセル規定に基づいた金額が確実に支払われます。
さらに盤石な体制を作るなら、後述する「Beds24」などのサイトコントローラーと決済システム(Stripeなど)を連携させるのがおすすめです。これにより、予約が入った瞬間に自動でクレジットカードの有効性をチェックし、決済を実行することができます。「カードが切れない予約は自動キャンセルする」といった設定も可能なので、不良債権化するリスクを根元から断つことができますよ。
また、もう一つのトラブルとして「宿の場所がわからない」というものがあります。ブッキングドットコムの地図情報はたまにズレていることがあります。予約完了メールには、正確なGoogleマップのリンクや、建物の外観写真、キーボックスの開け方動画などを添付して送るのが、スムーズな運営のコツです。ゲストが迷子になってイライラした状態でチェックインすると、理不尽な低評価口コミにつながりやすいので、事前のフォローは本当に大切ですよ。
民泊とブッキングドットコムの連携で売上拡大
基礎知識で「守り」を固めたら、次は「攻め」の戦略です。便利なツールやブッキングドットコム独自のプログラムを使い倒して、効率よく売上を伸ばしていきましょう。ここからは、プロの運営者が実践している具体的なテクニックをお伝えします。