
「許可を取るのが面倒だから、とりあえず民泊(新法)でいいや」…その妥協が、5年後に数千万円の資産格差を生みます。
こんにちは!
開業20年で電子定款と会社設立の実績5000件、行政書士の小野馨です。
今回は、不動産投資の明暗を分ける【民泊 vs 簡易宿所】の徹底比較を行います。
空き家活用や不動産投資として宿泊事業を始める際、最初にぶつかる最大の壁。
それが「民泊(住宅宿泊事業法)」でいくか、「簡易宿所(旅館業法)」を取るかという選択です。
多くの人は「民泊の方が簡単そう」という理由だけで選びがちですが、プロから見ればそれは非常に危険な判断です。
なぜなら、この2つは「営業できる日数」も「資産価値」も、そして「将来の売却価格」も全く異なるビジネスモデルだからです。
この記事では、両者の違いを許可のハードルから収益性まで、数字を使ってシビアに比較します。
「楽をしてそこそこのお小遣い」を得たいのか、「苦労してでも本物の資産」を作りたいのか。
あなたの投資スタンスを決める決定打になるはずです。
▼ この記事のポイント ▼
- ✅ 「180日制限」のある民泊 vs 「365日営業」の簡易宿所
- ✅ 住居専用地域で開業できるのは「民泊」だけ
- ✅ 簡易宿所最大の壁は「玄関帳場(フロント)」と「トイレの数」
- ✅ 長期的な収益と資産価値なら「簡易宿所」が圧勝
※なお、リゾート民泊について知りたい方は、
『リゾート民泊の教科書』
をブックマークして、辞書代わりにお使いください。
民泊(新法)vs 簡易宿所(旅館業)!決定的な3つの違い
まずは、この2つの法的な違いを整理しましょう。
名前は似ていますが、法律上の扱いは「月とスッポン」ほど違います。
一言で言えば、民泊は「住宅の延長」、簡易宿所は「ホテル(事業)」です。
| 比較項目 | 民泊(新法) | 簡易宿所(旅館業) (今回のおすすめ) |
|---|---|---|
| 根拠法令 | 住宅宿泊事業法 | 旅館業法 |
| 営業日数 | 年間180日以内 | 365日(無制限) |
| 用途地域 | ほぼ全域で可能 (住居専用地域もOK) |
制限あり (住居専用地域は不可) |
| 手続き | 届出(比較的簡単) | 許可(非常に難しい) |
【営業日数】「180日制限」か「365日フル稼働」か(サジェスト:180日)
最も大きな違いは、やはり営業日数です。
民泊(新法)は、年間180日(約半年)しか営業できません。
これは法律で決まっている絶対的なルールです。
「繁忙期だけ営業して、閑散期は休めばいい」と考えるかもしれませんが、固定費(家賃・ローン・固定資産税・Wi-Fi代など)は365日かかり続けます。
一方、簡易宿所にはこの制限がありません。
365日、好きなだけ予約を受けられます。
単純計算で、売上の天井が「2倍」違うということです。
ビジネスとしてスケールさせたいなら、この差は致命的です。
【用途地域】住宅地でできるのは「民泊」だけ(サジェスト:エリア)
ただし、民泊(新法)にも強力なメリットがあります。
それは「どこでもできる」という点です。
閑静な住宅街(住居専用地域)にある実家をそのまま活用したい場合、基本的に「簡易宿所」の許可は下りません。
旅館業は「商業的な施設」とみなされるため、住環境を守るべきエリアでは営業できないのです。
その点、民泊(新法)は「あくまで住宅」という扱いなので、住居専用地域でも届出が可能です。
(※ただし、自治体の上乗せ条例で「週末のみ営業」などの制限がかかる場合があるので要注意です)
物件の「場所」によって、そもそも選択肢が限られる場合があることを覚えておきましょう。
【許可難易度】届出で済む民泊、建築基準法が絡む簡易宿所
手続きのハードルも段違いです。
民泊(新法)は「届出」制です。
書類を揃えて提出し、形式が整っていれば受理されます。
建築基準法上の用途変更も、200㎡未満なら不要なケースが多く、ハードルは低いです。
対して、簡易宿所は「許可」制です。
保健所、消防署、建築指導課など、複数の役所を回って事前協議を行い、厳しい基準(トイレの数、換気設備、非常用照明など)を全てクリアして初めて営業許可が下りる「高い壁」があります。
この「壁」を乗り越える覚悟があるかどうかが、プロとアマチュアの分かれ道です。
💡 3秒でわかるまとめ:
- 稼ぎたいなら「365日営業」の簡易宿所一択。
- 住宅街でやるなら「民泊(新法)」しか選択肢がない場合も。
- 簡易宿所の許可取得は、新法の10倍難しいと覚悟せよ。
簡易宿所の「許可の壁」は高い?クリアすべき設備要件
では、具体的に簡易宿所の許可を取るには何が必要なのでしょうか。
多くの投資家がここで挫折する、代表的な2つのハードルについて解説します。
[画像指示: 簡易宿所の構造要件である「玄関帳場(フロント)」と「定員に応じたトイレ・洗面所の数」を示した間取り図解 (alt: 簡易宿所 許可要件 フロント トイレ)]
最大の難関「玄関帳場(フロント)」の設置義務とは(サジェスト:玄関帳場)
旅館業法では、原則として「玄関帳場(フロント)」の設置が義務付けられています。
これは、ホテルの受付カウンターのような設備です。
一般的な戸建て住宅やマンションの一室に、そんなスペースはありませんよね?
ここでリフォーム費用がかさむのです。
ただし、最近は規制緩和により、「ビデオ通話による本人確認システム(スマートチェックイン)」を導入することで、物理的なフロント設置を免除する自治体も増えてきました。
あなたの物件がある自治体が、この「フロント免除」に対応しているかどうか。
これが簡易宿所化の成否を握る鍵となります。
必ず管轄の保健所に事前相談に行きましょう。
トイレと洗面所の数は?「定員」による厳しいルール
もう一つの物理的な壁が「水回り」です。
民泊(新法)なら、家庭用のトイレが1つあればOKです。
しかし、簡易宿所の場合、自治体によっては「定員5人につきトイレ2個」といった厳しい基準を設けていることがあります。
例えば、定員10人の宿を作りたいのに、トイレが1つしかなければ、許可は下りません。
新たにトイレを増設するとなると、配管工事で数十万円〜100万円単位の出費になります。
「物件を買ってからトイレが足りないことに気づいた」では遅いのです。
購入前の内見時に、必ず「トイレの増設スペースがあるか」「今の個数で何人まで泊まれるか」を行政書士や建築士に確認してください。
行政書士 小野馨の「ここだけの話」
簡易宿所の許可を取った物件は、「旅館業許可付き物件」として、売却時に高く売れます。
なぜなら、次のオーナーは面倒な許可手続きをせずに、即日365日営業を始められるからです。
初期投資で苦労して許可を取ることは、将来の「出口戦略(売却益)」を最大化するための投資でもあるのです。
💡 3秒でわかるまとめ:
- 「フロント設置義務」はビデオ通話で回避できる可能性がある。
- 「トイレの数」は定員に直結する。増設費用を見込んでおくこと。
- 許可取得済みの物件は、将来高く売れる資産になる。
【収益シミュレーション】5年後に笑うのはどっちだ?
「簡易宿所は工事費がかかるから、民泊(新法)で安く済ませたい」
その気持ちは痛いほどわかります。
しかし、投資は「初期費用」ではなく「回収期間」と「総利益」で考えるべきです。
ここで、一般的な戸建て物件を使った5年間の収益シミュレーションを見てみましょう。
[画像指示: 民泊(180日営業)と簡易宿所(365日営業)の5年間の累計利益を比較したグラフ。3年目あたりで簡易宿所が逆転し、差が開いていく様子 (alt: 民泊 簡易宿所 収益 シミュレーション)]
初期費用が高くても「簡易宿所」を選ぶべき理由
**【条件設定】**
・宿泊単価:1泊2万円
・稼働率:80%(人気エリアと仮定)
・初期費用:民泊は50万円、簡易宿所は200万円(消防・トイレ工事含む)
**【民泊(新法)の場合】**
年間売上:2万円 × 180日 × 80% = **288万円**
ここから家賃や経費を引くと、手元に残る利益は微々たるものです。
しかも、残り185日は売上ゼロ。家賃の垂れ流し状態です。
**【簡易宿所(旅館業)の場合】**
年間売上:2万円 × 365日 × 80% = **584万円**
民泊との売上差は、年間で約300万円。
つまり、初期費用で150万円多くかかったとしても、たった半年〜1年でその差額は回収できてしまうのです。
2年目以降は、毎年300万円ずつ差が開いていきます。
5年後には、**1,500万円もの資産格差**が生まれている計算になります。
「目先の150万円」をケチって「将来の1,500万円」を捨てるのか。
経営者としてどちらが正しい判断かは、火を見るよりも明らかです。
💡 3秒でわかるまとめ:
- 民泊(180日)は、機会損失が年間数百万円レベルになる。
- 簡易宿所の初期投資は、営業日数の差ですぐに回収できる。
- 長く続ければ続けるほど、簡易宿所の方が圧倒的に儲かる。
あなたが得られる未来
民泊と簡易宿所。
入り口は似ていますが、出口は全く別の世界に繋がっています。
民泊(新法)は、あくまで「空き家活用の延長」であり、お小遣い稼ぎの域を出ません。
一方、簡易宿所は「ホテルオーナー」としての第一歩であり、強固な収益基盤を持つ「事業資産」です。
もしあなたが、本気で不動産投資として成功したいなら、多少の困難があっても「簡易宿所」の許可を目指すべきです。
トイレの増設も、消防設備の設置も、全ては将来の莫大なリターンのための「種まき」です。
その種をまく覚悟があるなら、私が全力でサポートします。
まずは、あなたの物件で簡易宿所の許可が取れるかどうか、可能性を診断することから始めましょう。
🚀 今日から始める「3つの行動」
- 物件の「用途地域」を調べ、旅館業が可能か確認する
- 保健所に電話して「フロント設置免除」の要件を聞いてみる
- 物件の間取り図を用意して、トイレ増設が可能かリフォーム業者に見てもらう