民泊の基礎知識

建設会社が「自社物件」で民泊を始めるべき5つの理由|利回り20%超えの資産活用と「技術の現金化」

民泊・建築基準法ガイド(親記事) > 建設業者のための最強戦略

こんにちは。
建設業許可と民泊ビジネスの専門家、行政書士の小野馨です。

私は普段、多くの建設会社様(工務店、土木、内装業など)の許可申請や経営相談を受けています。
その中で、多くの社長様が、ある種の「閉塞感」や共通の悩みを抱えていらっしゃいます。

「公共工事の利益率が年々厳しくなっている」
「下請け仕事ばかりで、元請けの顔色を伺い、工期に追われる毎日に疲れた」
「職人の手が空く閑散期を埋める仕事がなく、固定費だけが出ていく」

もし、あなたの会社に「技術(職人)」「資材」、そして多少の「土地や倉庫」があるなら。
あなたは今、一般の不動産投資家が喉から手が出るほど欲しがっている「最強の武器」をすでに持っています。

その武器を使って始めるべき新規事業、それが「自社施工による民泊(旅館業)経営」です。

これは、単なる「副業」ではありません。
本業の技術を「現金」に変え、会社経営を安定させるための「第二の柱」を作る戦略です。

なぜ建設会社がやると儲かるのか?
利回り20%超えも現実に可能な、建設業者だけの「アンフェア・アドバンテージ(不公平な競争優位性)」について解説します。

この記事でわかる「建設業の勝ち筋」

  • 一般投資家には不可能な「原価リノベーション」の破壊力
  • 誰も買わない「ボロ物件(雨漏り・傾き)」がお宝に変わる理由
  • 遊休資産(社員寮・資材置場)を収益化する裏技
  • 本業の「閑散期対策」「人材育成(OJT)」
  • 民泊収益だけじゃない!「泊まれるモデルハウス」としての宣伝効果

理由1:初期投資が「原価」で済む(利回りが倍になる)

不動産投資の利回りを決める最大の要因は「初期投資額(物件購入費+リノベ費)」です。
家賃(宿泊費)の相場は決まっていますから、いかに安く作るかが勝負になります。

ここに、建設業者だけの圧倒的な強みがあります。

「発注者」になるか、「施工者」になるか

一般の投資家(サラリーマン大家さんなど)は、リノベーション工事を工務店に「発注」します。
当然、その見積もりには、材料費や人件費に加え、工務店の利益(20〜30%)や現場管理費が乗っています。

しかし、建設会社であるあなたは「原価(材料費+職人の手間賃)」だけで工事ができます。
自社の職人が空いている時間に作業させれば、実質的な人件費の追加コストはゼロに近い計算も可能です。

項目 一般投資家の場合 建設会社(自社施工)
物件購入費 500万円 500万円
リノベ費用 1,000万円
(工務店利益含む)
500万円
(原価施工)
総投資額 1,500万円 1,000万円
年間収益 200万円 200万円
表面利回り 13.3% 20.0%

同じ物件、同じ売上でも、初期コストを500万円圧縮できる建設会社は、利回りが劇的に跳ね上がります。
浮いた500万円で、さらに次の物件を買うこともできます。
これが、他業種が絶対に真似できない「建設業の特権」です。

理由2:「瑕疵物件(ボロ物件)」を安く買い叩ける

不動産市場には、一般の買い手が手を出せない「訳あり物件」が存在します。

  • 「雨漏りしている」
  • 「床が傾いている」
  • 「シロアリ被害がある」
  • 「残置物が山盛り」

一般の投資家は、リフォーム費用がいくらかかるか見当もつかないため、怖がって絶対に買いません。
その結果、立地が良いのに数年も売れ残っている物件が山ほどあります。

しかし、プロであるあなたならどうでしょう?内見に行った瞬間に電卓が弾けるはずです。

👷‍♂️ 社長の脳内シミュレーション

「雨漏りは屋根の葺き替えが必要だな。でもウチなら足場は自前だし、板金屋の応援を呼べば安く済む。土台の腐食もジャッキアップで補強すればいける。材料費込みで200万あればピカピカにできるな…よし、指値で買い叩こう」

市場価値がゼロに近い「ボロ物件」をタダ同然で仕入れ、自社の技術で「高収益物件」に再生する。
まさに現代の錬金術です。

理由3:遊休資産(寮・倉庫・資材置場)が化ける

新たに物件を買わなくても、あなたの会社に眠っている「負債(と思っている資産)」が、金の卵になる可能性があります。

① 使っていない「社員寮」

外国人実習生のために借り上げたアパートや、自社保有の古い寮。
空室になって物置になっていませんか?

社員寮は、すでに個室や水回りが整備されているため、少し手を入れるだけで「民泊(簡易宿所)」や「ゲストハウス」への転用が容易です。
最近は、インバウンド客向けに「職人が住んでいた部屋」というストーリー性を持たせた、レトロなホステルも人気です。

② 半端な「資材置き場」や「更地」

「トラックを停めるだけの土地」や「資材置き場」。
もしそこが市街化調整区域でなければ、大きなチャンスがあります。

整地や基礎工事は自社で行い、そこに「トレーラーハウス」や「グランピングテント」を設置するのです。
建物(ホテル)を建てるよりも圧倒的に安く、かつ高単価な宿泊施設が作れます。
土木工事が得意な会社様には、特におすすめのモデルです。

③ 余った「建築資材(在庫)」

現場で余ったフローリング材、半端な壁紙、タイル、木材。
倉庫の肥やしになっていませんか?

これらを民泊の内装に使えば、廃棄コストを削減しつつ、ユニークな内装(パッチワークのようなデザイン壁など)が作れます。
「廃材アートな宿」としてブランディングすれば、集客の武器にもなります。

理由4:閑散期対策と人材育成(OJT)になる

建設業経営の最大の悩みである「波(繁閑の差)」。
仕事が薄い時期、職人を遊ばせておくのはもったいないですが、給料は払い続けなければなりません。

そんな時こそ、自社民泊のリノベーション工事を進めるのです。
「今週は現場がないから、自社物件の床を張っておいてくれ」
こう指示すれば、人件費を「コスト(損失)」ではなく「資産形成(投資)」に振り向けることができます。

また、若手職人の練習台(OJT)としても最適です。
お客様の家では失敗できませんが、自社物件なら、普段はやらせてもらえないような難しい造作や、新しい工法に挑戦させることも可能です。
技術力が上がり、資産も増える。一石二鳥の戦略です。

理由5:最高の「モデルハウス(ショールーム)」になる

完成した民泊施設は、ただ宿泊費を稼ぐだけではありません。
そこは御社の技術力を世界中にアピールする「泊まれるモデルハウス」になります。

  • 「この古民家のリノベ、どこの工務店がやったの?すごく素敵!」
  • 「泊まってみて、この無垢材の床が気に入ったから、自宅のリフォームもお願いしたい」

実際に、私がサポートした工務店様の中には、民泊経由で「古民家リノベーション」の受注が殺到している会社があります。
チラシやWeb広告にお金をかけなくても、宿泊客が勝手にSNSで拡散し、質の高い見込み客を連れてきてくれるのです。

注意点:やるなら「本気」の法適合を

ここまで「良いこと尽くめ」に見えますが、建設会社が民泊をやる上で、唯一にして最大のリスクがあります。
それは「プロなのに法律を守っていない」とバレた時のダメージです。

「建築屋さんなんだから、確認申請くらいしてるよね?」
「消防設備くらいちゃんとしてるよね?」

世間の目は厳しいです。
もし「無許可営業(ヤミ民泊)」や「違法建築(確認申請逃れ)」をして摘発されれば、本業の「建設業許可」の欠格要件に抵触したり、指名停止処分を受けたりするリスクがあります。
会社の信用は地に落ち、本業まで失いかねません。

だからこそ、「建築基準法」や「消防法」を完璧にクリアした物件を作る必要があります。
中途半端な知識でDIY民泊をするのではなく、プロとして恥ずかしくない「完全適法な施設」を作らなければなりません。

⚠️ 200㎡超え物件の注意点

自社施工だからといって、法律の手続きは省略できません。
特に200㎡を超える物件の用途変更は「確認申請」が必須です。
👉 【200㎡の壁】確認申請が必要になるラインと回避策を確認する

まとめ:技術を「現金」に変えるのは今しかない

建設業の未来は、人手不足や資材高騰など、決して明るい話題ばかりではありません。
しかし、インバウンド観光立国という日本の新しい波に乗ることで、あなたの会社の技術は「金の卵」を産むガチョウに変わります。

「自社の技術で、自社の資産を作り、自社で稼ぐ」

この最強のサイクルを回せるのは、世界中を見渡しても建設会社だけです。
不動産投資家が羨むその「特権」を、眠らせておくのはあまりにも勿体ないと思いませんか?

当事務所は、建設業許可と旅館業許可の両方を熟知したパートナーとして、御社の新規事業参入を「法的」にサポートします。

  • 「手頃な古民家を見つけたんだけど、法的に問題ないか見てくれないか?」
  • 「自社の倉庫をゲストハウスにできるか調査してほしい」

そんなご相談からで構いません。
社長の「直感」と「図面」を持って、まずは当事務所にご連絡ください。
本業の利益を圧迫しない、賢い新規事業の立ち上げを一緒に成功させましょう。

まずは「法的なハードル」を全体把握しましょう

勢いで物件を買う前に、建築基準法、消防法、用途地域のルールを確認してください。
プロとして恥ずかしくない「完全適法」な物件を作るためのガイドブックです。

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